相場展望3月21日号 米国株: 「利下げ回数が3回を維持」という理由で最高値更新の不思議 日本株: 「根拠なき熱狂」に乗るのは慎重にあれ

2024年3月21日 12:00

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)3/18、NYダウ+75ドル高、38,790ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは3営業日ぶりに反発して終えた。人工知能(AI)関連の需要拡大が業績を押し上げるとの見方から、ハイテク株を中心に買いが広がった。前週末までの2営業日で▲300ドルあまり下げた後で、押し目とみた買いが入りやすかった。

【前回は】相場展望3月18日号 米国株: 金利上昇でハイテク株に売り 日本株: 日銀の政策修正と米FRBによる「金利高」「円相場」に注目 36業種の週間別騰落は、下落数が多数へと変化

  ・NYダウの上げ幅は一時+180ドルを超えた。アップルがスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」にグーグルの生成AI「Gemini(ジェミニ)」を搭載する方向で交渉していると米ブルーム・バーグ通信が報じた。グーグルの親会社アルファベットは+4.6%高で終えた。アップルのほか、NYダウの構成銘柄ではセールスフォースやマイクロソフトといったハイテク株に買いが波及した。

  ・NYダウの構成銘柄ではないが、アナリストによる目標株価の引上げを受け、エヌビディアが上昇。投資家心理の改善につながり、ハイテク株を中心に買いを促した面があった。

  ・ただ、NYダウは次第に上げ幅を縮めた。米連邦準備理事会(FRB)は3/19~20に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を据え置く公算が大きい。政策金利の見通しやパウエルFRB議長の記者会見の内容を見極めたいという雰囲気もあった。

  ・市場では「前週から米長期金利が水準を切り上げており、株式市場の重荷となっている」との声が聞かれた。3/18の米債券市場では、長期金利が4.34%と2月下旬以来の高水準を付ける場面があった。

  ・その他の個別銘柄では、ディズニーとキャタピラー、アメリカン・エキスプレスが高かった。半面、ボーイングとナイキが下落した。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反発した。米国や欧州で電気自動車(EV)の一部車種を値上げすると決めたテスラが+6%高となった。メタプラットフォームズとネットフリックスも買われた。

 2)3/19、NYダウ+320ドル高、39,110ドル(日経新聞より抜粋
  ・米株式市場でNYダウは続伸して終えた。3/19発表の米住宅指標が強かったことから消費関連株を中心に買いが入った。主力ハイテク株の一角が上昇したのも相場を支えた。

  ・朝方発表の2月の米住宅着工件数が市場予想を大幅に上回る伸びとなった。住宅市場の回復や個人消費の底堅さが意識された。NYダウ構成銘柄ではホームデポが買われ、マクドナルドやナイキ、ディズニーなどの消費関連銘柄も上昇した。ユナイテッドヘルスといったディフェンシブ株も高かった。

  ・NYダウは午後に上げ幅を広げ、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数なども上げに転じた。NYダウ構成銘柄ではないが、エヌビディアが売り先行後の上昇に転じ、アップルやマイクロソフトなど一部ハイテク大手が連れ高した。

  ・エヌビディアは3/18から年次の開発者会議を開いており、3/18に生成人工知能(AI)開発向けの新たな半導体を発表していた。新製品を評価した買いがみられたほか、ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)の3/19の発言から改めてデータセンター需要の大きさが意識されたとの見方もあった。

  ・日銀が3/19の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決め、大規模な金融緩和を修正した。ただ、緩和的な金融環境が継続するとの見方が根強く、同日の東京株式市場で日経平均が上昇した。急落していた代表的な暗号資産(仮想通貨)ビットコインが米東部時間3/19午後にやや値を戻したことで、「投資家のリスク回避姿勢が和らいだ」との声もあった。

  ・NYダウは一進一退で始まるなど、寄り付き直後は上値が重かった。米連邦準備理事会(FRB)が3/20まで米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いており、FRBの利下げ開始時期を探るうえで参加者の政策金利見通しやパウエルFRB議長の会見が注目される。前週発表のインフレ指標が市場予想を上振れし、政策金利見通しが示す利下げペースが緩やかになるとの警戒感があった。半面、パウエル議長が3/6~7の議会証言でみせたハト派姿勢を踏襲するとの期待もあった。

  ・多くの機関投資家が運用指標とするSP500指数は続伸し、3/12以来の1週間ぶりに過去最高値を更新した。ナスダック指数は続伸して終えた。

 3)3/20、NYダウ+401ドル高、39,512ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは2/23以来、1カ月ぶりに最高値を更新した。米連邦準備理事会(FRB)は3/20まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を5.25~5.5%に据え置いた。年末に向けた利下げ姿勢も変わらなかったことから、主力の景気敏感株を中心に買い安心感が広がった。

  ・FOMC参加者らの政策金利見通しは、2024年末時点の水準が4.6%と前回2023年12月時点と変わらなかった。現在の水準から0.25%の利下げ3回分に相当する。市場の一部では年内の利下げ予想が2回に減るとの警戒があった。FOMCの結果公表後に、買いの勢いが増した。

  ・市場では「2月分の物価指標が根強いインフレ圧力を示したのを踏まえると、2024年中の3回の利下げ見通しが維持されたのは良いニュースだった」との声が聞かれた。

  ・FRBのパウエル議長はFOMC後の記者会見で、米国の物価上昇率は目標の2%に向かって「でこぼこした道を進んでいる」と述べ、インフレのさらなる鈍化を示す経済指標を待つ姿勢を改めて示した。一方で「雇用が強いこと自体は利下げを遅らせる理由にはならないだろう」とも話し、景気に配慮する考えをにじませた。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待も米株への買いを誘った。

  ・景気敏感株への買いが目立ち、ボーイングやスリーエム、ダウが上昇した。半面、シェブロンとジョンソン・アンド・ジョンソンが下落した。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、約2週間ぶりに最高値を更新した。

  ・多くの機関投資家が運用目標にするSP500種指数は連日で最高値を更新した。

●2.米国株:「利下げ回数が3回と維持」されたという理由だけで米株価最高値更新の不思議

 1)NYダウを含む米主要株価指数は史上最高値更新
  ・利下げ回数が3回と「維持」されただけで、安心感が広がり株価は史上最高値を更新した。

 2)株価上昇に「理由はいらない」状況
  ・企業業績が向上したわけではない。
  ・FRBが資金の需給緩和したわけではない。
  ・金利を引下げたわけでもない。

 3)金利高・エネルギー高でインフレ上昇圧力ま増す方向
  ・金利上昇   3/8   3/19  3/20
   米10年債金利 4.075% 4.293 4.275
  ・原油高上昇 3/12   3/19  3/20
   米WTI原油 77.56ドル 82.47 81.55

 4)この理由なき株高基調は、当面、続くだろう

 5)この「熱狂的」な株式市場が、近い将来に「ピークを迎える現象」を示唆か
  ・いずれにしても、「慎重さ」を忘れないようにしたい。

●3.パウエル米FRB議長の会見要旨(ロイターより抜粋

 1)景気はかなり改善している。
 2)インフレは大幅に改善したが、継続的な進展は保証されていない。
 3)先行きは不透明。
 4)米GDPは、サプライチェーンの回復や旺盛な消費者需要によって支えられてきた。
 5)金利上昇は債券投資を圧迫している。
 6)労働市場は引続き相対的にタイトだが、需給バランスは改善しつつある。
 7)名目賃金の伸びは緩和している。
 8)労働需要は依然として供給を上回っている。
 9)FOMCメンバー、労働市場のリバランスが続くと予想。
 10)インフレ率は依然として目標を上回っている。
 11)長期的なインフレ期待は依然、十分安定している。
 12)目標に対するリスクはより均衡。
 13)政策金利、ピークにある公算。
 14)年内のいずれかの時点で利下げに踏み切る可能性高い。
 15)先行きは不確定で、リスクを引続き注視。
 16)必要に応じ、高水準の金利を長期間維持する用意ある。
 17)政策決定に際し入手されるデータを慎重に見極める。
 18)2大債務双方にコミット。
 19)利下げに踏み切る前にインフレが持続的に鈍化しているという確信を強める必要。
 20)会合ごとに決定する。
 21)われわれの予測は計画ではなく、状況に応じて調整する。
 22)バランスシートについては、保有資産縮小ペースの減速を巡り議論した。
 23)かなり早い時期に保有資産の縮小ペースを落とすことになるだろう。
 24)縮小ペースの減速によって、スムーズな移行が可能となり、短期金融市場におけるストレスを緩和させるだろう。
 25)経済は好調。
 26)インフレデータは予想を幾分か上回ったが、インフレ抑制に向けた良好な進展は
続いている。
 27)「時間をかけ」インフレを2%に低下させることを強くコミット。
 28)時間とともに住宅部門で家賃の上昇が鈍化するという一定の確信があるが、その時期は定かではない。
 29)賃金の伸びはより持続可能な水準まで緩やかになっている。
 30)バランスシート縮小を止めるタイミングを見極めるため、資金市場の状況を注意深く監視していく。

●4.米2月住宅着工件数は年率152.1万戸、予想144万戸を上回り、昨年5月以来の大幅伸び(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)3/18、上海総合+30高、3,084(亜州リサーチより抜粋
  ・中国の景気支援策が期待される流れとなり、昨年10月以来の約5ヵ月ぶりの高値水準を回復した。

  ・中国共産党の機関紙「求是」に3/16掲載された記事で、藍仏安・財政部長は「今年の経済成長目標を達成させるために、積極的な財政政策が必要になる」と改めて強調した。

  ・相場の先高観も強まる。当局は相場支援策を強化しているほか、主要企業のA株自社株買いが相次いでいると報じられた。

  ・なお、取引時間中に公表された今年1~2月の中国経済指標はまちまちの内容。小売売上高が下振れし、不動産開発投資のマイナス成長が続いた一方、鉱工業生産や固定資産投資は予想を上回った。

  ・業種別では、証券の上げが目立ち、ゼネコンや建機のインフラ建設関連もしっかり、ハイテク関連も高い。保険・医薬・素材・軍事関連・運輸・自動車なども買われた。半面、不動産は冴えず、エネルギー・食品・酒造・銀行も売られた。

 2)3/19、上海総合▲22安、3,062(亜州リサーチより抜粋
  ・戻り売りが先行する流れとなった。

  ・上海総合指数はこのところ急ピッチに上昇し、約5カ月ぶりの高値水準を回復していた。

  ・米中の金融政策も気懸り。米連邦公開市場委員会(FOMC)は3/20まで開催され、政策金利見通しなどが公表される。足元で米長期金利が上昇するなか、中国からの資金流出も警戒される状況だ。

  ・また、中国人民銀行(中央銀行)は明日3/20(日本時間10時15分ごろ)、実質的な政策金利となる最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」を発表する。銀行貸出の指標となる1年物LPRは現行の3.45%、住宅ローン金利の指標となる5年物LPRは3.95%に据え置かれる見通しだ。

  ・ただ、下値は限定的。

  ・中国当局の消費刺激策や産業支援策、相場テコ入れスタンスなどに対する期待感が支えだ。

  ・業種別では、証券の下げが目立ち、医薬も安い。銀行・保険・自動車・インフレ関連・不動産・公益・ハイテクの一角なども売られた。半面、エネルギーはしっかり、食品・酒造も買われた。

 3)3/20、上海総合+19高、3,079(亜州リサーチより抜粋
  ・資源株の上昇が相場を支える流れとなった。

  ・原油供給の縮小観測が流れるなか、相場の先高観も強まっている。関連銘柄に買いが先行した。昨夜のWTI原油相場は前日比+0.9%高と続伸し、昨年10月以来の高値を付けた。

  ・中国経済の持ち直しも改めて意識された。中国当局は消費刺激策や産業支援策などで、中国経済を支える方針だ。

  ・また、主要企業が報告した決算では、業績改善を示唆する内容も目立っている。ただ、上値は重い。

  ・米中対立の警戒感がくすぶっているほか、3/20(日本時間3/21未明)に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の内容も気懸り材料となった。米金利動向によっては、中国の金融緩和も遅れると不安視されている。一方、寄り付き前に発表された実質的な政策金利となる最優優遇貸出金利の「ローンプライムレート(LPR)」に関しては、予想通り銀行貸出の指標となる1年物LPRが現行の3.45%、住宅ローン金利の指標となる5年物LPRは3.95%に据え置かれた。

  ・業種別では、エネルギー株が相場を牽引し、銀行もしっかり。医薬・公益・インフラ関連・保険・証券なども買われた。半面、酒造・飲料の一角が冴えず、建築資材・電子機器の一角が売られた。

●2.中国・若者の失業率15.3%、昨年12月に調査方法見直し後最悪に(テレ朝)

 1)16歳~24歳の若者(学生を除く)の2月の失業率は15.3%で、前月と比べ0.7%悪化した。25歳~29歳は6.4%で+0.2%増、30歳~59歳は4.2%で+0.1%増と、いずれも悪化している。

●3.中国、恒大集団に厳しい処分、中核子会社は財務報告の虚偽記載で865億円罰金(産経新聞)

 1)恒大集団の創業者・許家印氏の責任は「特に重大」と指摘し、9.8億円の罰金処分。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)3/18、日経平均+1,032円高、39,740円(日経新聞より抜粋
  ・日経平均株価は大幅反発し、終値は前週末比+1,032円高の39,740円だった。3/6以来の高値で、上げ幅は2/13の+1,066円以来の大きさとなった。日銀の金融政策を巡る先行き不透明感が後退したとの受け止めから、株価指数先物への買いが優勢となった。相場上昇による損失覚悟の買い戻しを巻き込み、日経平均は午後の取引終了にかけて一段高となった。

  ・3/16付けの日本経済新聞朝刊は「日銀は3/18~19に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する見通しになった」などと報じた。日銀の政策修正をにらみ、このところ株式相場は軟調に推移していた。市場では先週末の報道をきっかけに悪材料を一定程度織り込んだとの思惑が強まり、見直し買いが優勢となった。当面は緩和的な金融環境が維持されるとの見方が支援材料になった。

  ・外国為替市場で1ドル=149円台まで円安・ドル高が進んだことも輸出関連や海外事業化比率の高い銘柄にとって追い風になった。市場では「国内外の機関投資家から商社や自動車、半導体など幅広く主力銘柄に買い注文が入った」との声が聞かれた。

  ・東証株価指数(TOPIX)は3日続伸した。JPXプライム150指数も3日続伸して終えた。

  ・日経平均への寄与度が高いファストリや東エレク、ソフトバンクGが上げた。トヨタやソニーのほか、三菱UFJなど銀行株も買われた。一方、東電や三菱倉庫、帝人は下げた。

 2)3/19、日経平均+263円高、40,003円(日経新聞より抜粋
  ・日経平均は続伸し、約2週間ぶりに節目の40,000円台を回復した。日銀が3/19まで開いた金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除や上場投資信託(ETF)の買い入れ終了などを決めた。ただ、政策修正は織り込みが進んでいたうえ、金融緩和的な状況は当面続くとの見方が広がり、株買いが優勢になった。

  ・日銀は決定会合の声明文で「当面、緩和的な金融環境が継続する」との見通しを示した。円相場は一時1ドル=150円台まで下落し、トヨタなど輸出関連株のほか、三井不や住友不、三菱地所といった不動産株への買いを誘った。株価指数先物の売り方の買い戻しを巻き込んで、日経平均は大引けにかけて急速に強含んだ。

  ・前日の日経平均は日銀会合の思惑を背景とした投機的な買いで+1,000円超の上昇となっていたとあって、利益確定売りに押されて下げる場面もあった。米エヌビディアは3/18、生成AI(人工知能)向けの新たな半導体を発表した。同日の米株式市場の通常取引でエヌビディア株は反発したが、時間外取引では下げたため、東京市場ではアドテストなど半導体の一角に売りが波及した。

  ・東証株価指数(TOPIX)は4日続伸し、1990年2月以来、約34年1カ月ぶりの高値。JPXプライム150指数も4日続伸し、算出以来となる高値を更新した。・個別銘柄では、KDDIやデンソー、レーザーテクが上げた。一方、ファストリやテルモ、中外薬は下げた。

 3)3/20、祝日「春分の日」で休場

●2.日本株:「根拠なき熱狂」に乗るのは慎重に

 1)日経平均が高騰する強さの不思議
  ・日銀がマイナス金利解除したと決定しても、「日銀=銀行」間のマイナス金利を解除しただけで、金融市場には直接的に響くものではない。

  ・しかも、日銀は「緩和的な姿勢を継続」という。

  ・企業全般に業績が良くなるわけではない。

  ・実質賃金はマイナスが継続し、消費減退している。

  ・春闘の賃上げは連合発表で5.88%となっているが、それは大手企業の場合である。労働者の7割は中小企業に勤務している。日産自動車は取引関係の中小企業に対し値上げを認めないということで違法摘発された。中小企業全般に賃上げする原資が増えているとは思えない。

  ・岸田政権は、大手企業が加盟する「経団連」に対して、賃上げ要請した。しかし、大手企業と取引する中小企業への賃上げのための取引価格上昇は経団連に強く求めていない。

  ・以上のように、デフレ傾向に舞い戻りする可能性が増している。

 2)個人が生活不安を抱えるなかでの、株高は「理由なき熱狂」としか説明できない
  ・今年に入って新NISAなどで個人の株式投資への誘導が促進された。

  ・株価上昇で、株式に縁が薄かった個人が株式投資に目が移っている。

  ・1929年の米国株式市場の暴落前には、靴磨きの少年でさえ客に「株式」の話をするようになった。それを聞いたケネディは、保有株式を一斉に売却したという話がある。

 3)騰落率が急伸し、日経平均の反落接近を示唆
  ・騰落率の推移 3 /11  3/19
       25日 101.17 122.32
       6日  90.16 185.22

 4)日本株は不安定な基盤の上に立っている
  ・1989年前後のバブル絶頂期には、土地も株式も値上がりした。日本の土地の時価総額が、米国の土地を全て購入できるまでに上昇した。その後、当時の三重野・日銀総裁による「金融引締め策」発動がきっかけとなり、「失われた30年」を迎えた。土地は値下がりし、日経平均は約▲8割下落した。

  ・日本は、米国のように産業革新させる基盤がない。日本の政権は、台湾のTSMCを育てた産業育成策を持ち合わせていない。中国が尖閣諸島沖に観測機器のブイを設置したが、岸田政権は放置した。撤去できないような他人の顔を窺うことしかできない政権に、日本の未来を築くような骨格ある政策を打ち出せないだろう。

 5)日経平均の史上最高値更新は「根拠なき株高」が演出
  ・日経平均の高騰は、根拠が不透明である。
  ・それだけに、「慎重さ」が求められる。反落の兆しを感じたら、反射的な行動が必要になると思われる。

●3.「マイナス金利解除」住宅ローン変動金利に上昇圧力、7月返済分から新金利適用も(産経新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1332 日本水産 業績好調
 ・2764 ひらまつ 黒字転換期待
 ・5713 住友金属鉱山 資源高騰

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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