相場展望12月5日号 米国株: 米景気堅調で最高値更新も、下院で共和党が僅差で勝利 年末商戦が苦戦か 日本株: トランプ・ラリーから取り残された日経平均

2024年12月5日 12:07

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)12/2、NYダウ▲128ドル安、44,782ドル
 2)12/3、NYダウ▲76ドル安、44,705ドル
 3)12/4、NYダウ+308ドル高、45,014ドル

【前回は】相場展望12月2日号 米国株: 米国株高は、12月上旬までか? トランプ関税大幅引上げの負の要因に着目する動きに注意 日本株: トランプ追加関税・円高で輸出関連株が下落し、日本株に暗雲

●2.米国株:米国景気は堅調で最高値を更新も、共和党下院が僅差で勝利・年末商戦に注目

 1)11月はトランプ・ラリーで、NYダウは+3,147ドル高・+7.5%高
  ・NYダウの推移
            10/31終値 ⇒ 11/29   上昇幅    上昇率
    NYダウ     41,763ドル  44,910  +3,147ドル高・+7.5%上昇

 2)12月スタートは、売りが出てやや軟調な滑り出しも、12/4に史上最高値更新
  ・NYダウの動向
            12/2   12/3   12/4   上昇幅  上昇率
    NYダウ   ▲128ドル安 ▲76   +308 +104ドル高・+0.2%上昇
  ・12/4に史上最高値更新した要因
    ・パウエルFRB議長が講演で「米国景気が好調」との見方を示したことを株式市場が好感したため。
    ・12/4の米国主要株価指数の動向
       NYダウ     +0.69%高 
       ナスダック総合 +1.30
       S&P500     +0.61
       半導体株(SOX) +1.71
    ・個別銘柄では、セールスフォースが好決算で売上が市場予想を上回ったため+10.99%上昇と急伸した。エヌビディアが+3.48%高、アマゾン+2.21%高、テスラ+1.85%高と主要銘柄の上昇が相場を牽引した。

 3)ただ、年末商戦は出だしが要注意となり、先行き見通しに留意したい
  ・12/4の時間外取引で、カジュアル衣料のアメリカン・イーグルが年末商戦の苦戦を見込んだ売りが出ている。
  ・今後の年末商戦の動向に注目したい。

 4)米国下院の全議席が確定、共和党は僅差で過半数を獲得
  ・共和党は、大統領選と上下両院で過半数となり、トリプル・レッドを達成。トランプ次期大統領は、議会を押さえたため、政策の実施を進めやすくなった。
  ・下院の議席は、共和党220議席・民主党215議席で確定した。
  ・だが、僅差であるため、共和党から2議員の造反があると議案が否決される。
  ・このため、トランプ氏にとって、盤石な下院議員数とは言い難い結果となった。

●3.インテルCEOが退任、業績低迷し、7~9月期に▲2.5兆円の巨額赤字を受け(時事通信)

 1)同社の株価は、年初から約▲50%下落していた。
 2)AI向け半導体で遅れをとった。

●4.独VW労組、国内工場閉鎖や給与カット含む経費削減計画の撤回を要求しスト(時事通信)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)12/2、上海総合+37高、3,363
 2)12/3、上海総合+14高、3,378
 3)12/4、上海総合▲14安、3,364

●2.ニトリ、上海で20店舗目オープン、今後も中国市場に期待(新華社)

 1)中国本土で105店目の直営店となる。
 2)中国市場で今後5年間の店舗数は、毎年2割増のペースで出店する考え。ニトリは2014年に武漢市に1号店をオープンし、消費者に支持されている。

●1.中国、半導体材料のレアメタルを米国向け輸出規制を発表(日テレ)

 1)米国の対中国向け半導体輸出規制に対する対抗措置とみられる。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)12/2、日経平均+304円高、38,513円
 2)12/3、日経平均+735円高、39,248円
 3)12/4、日経平均+27円高、39,276円

●2.日本株:トランプ・ラリーから取り残された日経平均

 1)12月に入って日経平均は強いが、中味に問題あり
  ・新高値・新安値銘柄数の推移
               12/2     12/3    12/4
     日経平均     +304円高  +735円高  +27円高
     新高値銘柄数     32      75     56 
     新安値銘柄数     28      10     40

  ・日経平均の上昇幅の大きさにもかかわらず、新安値数割合が多いのが目立つ。これは相場の弱さが内包している現象とみる。

 2)日本株にはトランプ・ラリーの恩恵はなかった
  ・11月の日経平均の推移
    日経平均 ▲873円安    10/31終値 39,081円⇒11/29 38,208円

 3)前月11月はNYダウが優勢だったが、12月スタートは日本株が優位
  ・NYダウ・日経平均の動向
           11月      12/2~4
    NYダウ  +3,147ドル高  ▲
    日経平均  ▲ 873円安    +1,068円高

●3.日本製鉄、米国USスチールの買収は剣が峰(時事通信)

 1)トランプ氏は対米国外国投資委員会の審査結果にかかわらず、計画を認めない公算が大きい。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6523 PHC          黒字化。
 ・7180 九州フィナンシャル   業績堅調。
 ・8308 りそな         過去最高益予想。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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