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相場展望7月25日 米インフレ退治には、景気後退と失業率増加は不可避 中国経済は目標を大きく低下 日本株は転換に注意
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)7/21、NYダウ+162ドル高、32,036ドル(日経新聞より抜粋)
・市場予想を上回る米主要企業の決算発表が多く、売り一巡後は企業業績の底堅さを意識した買いがハイテク銘柄を中心に入り、米長期金利の低下もあり相場は上昇した。
・好決算のテスラが+10%高、アップル・セールスフォースが+2%高、マイクロソフト・ボーイング・ビザ・ハネウェル・ゴールドマンサックスなど景気敏感の一角も上げた。
【前回は】相場展望7月21日 過度なインフレ懸念後退で株価反発も、慎重さが肝要 中国経済のひずみが日本経済に及ぼす影響に注視
2)7/22、NYダウ▲137ドル安、31,899ドル(日経新聞より抜粋)
・欧米の景気悪化を示す経済統計発表を受け、リスク資産の株式を売る動きが強まった。
・予想を下回る4~6月決算を発表した一部ハイテク株の急落が相場全体に波及した。
・米7月購買担当者景気指数(PMI)が4カ月連続低下し、好不況の分かれ目となる50を割込み、インフレの高止まりが消費を抑え、欧米の景気後退入りが近づいているとの懸念が強まった。
・ボーイング・キャタピラー・ダウなど景気敏感株が下げ、NYダウは一時▲300ドルを超えて下落した。
・4~6月決算が市場予想を下回った写真・動画アプリのスナップは、前日比▲4割安。広告事業を巡る懸念からアルファベットは▲6%安、交流サイトのメタは▲8%安。アップルやセールスフォースは朝高したが、次第に売りに押される展開となった。
・予想を上回ったアメックスは+2%高、ディフェンシブ銘柄が買われ相場を下支えた。
●2.米国株:米利上げはまだ+1.5%しか上げておらず、インフレ抑制には及ばず。
インフレ退治には、金融引締めによる景気後退と失業率の大幅増加は不可避。
1)FRBの利上げ推移
3月 0.25%
5月 0.50
6月 0.75 合計+1.5%の利上げ
2)米6月消費者物価指数は前年比+9.1%、40年半ぶりの伸び率
・原油価格は下落し始めたが、高値から下がり始めた初期の段階である。
3)イエレン米財務長官も、「利上げの影響は経済成長にも失業率にも表れていない、経済は堅調」とコメントしている通り、利上げ+1.5%ではインフレ退治できない水準と述べているに等しい。つまり、「さらなる利上げが必要」とも読める発言をしている。
4)インフレ退治には「利上げが3.5%~5.0%」必要とみている。イエレン財務長官は、「インフレ抑制はFRBが行なう」とFRBに責任を押しつけた。バイデン政府の積極的な財政出動がインフレの火を付けたと認識しており、火を煽って拡大したのがFRBであり、政府とFRBの共同責任とみている。バイデン政府も、財政削減に政策転換すべきである。イエレン財務長官の政治的発言にあるようなFRBへの責任転嫁スタンスでは、利上げは+5.0%近辺まで、上昇する可能性が出てきたと思われる。
5)そうなれば、ますますインフレ退治は長期化し、景気後退の沈降と失業率の増加は大きくなりそうだ。
●3.米、7/27のFOMCで連続利上げへ、+1%なら市場動揺も(産経新聞)
●4.米巨大IT企業、採用を抑制、景気後退に備えた「守り」(時事通信)
1)グーグル 年内の採用計画を見直し。
2)アップル 来年の採用を圧縮する。
3)メタ 今年1万人の技術者採用計画を、6,000~7,000人に修正。
4)マイクロソフト クラウド事業などで採用募集を中止。
●5.米新規失業保険申請件数は25.1万件に増加、8カ月ぶりの高水準(ロイター)
●6.欧州中央銀行(ECB)は政策金利を+0.5%引上げ、11年ぶり利上げ(NHK)
●7.ユーロ圏経済は7月に予想外の縮小、コロナ渦のロックダウン以来(ブルームバーグより抜粋)
1)リッセッション(景気後退)が迫りつつ兆候が改めて示された。
・ユーロ圏7月購買担当者指数(PMI)は総合で49.4と、予想51.0を下回った。
・製造業は売上げ減少が予想を下回り、生産が冷え込み、在庫が急増。サービス業は小幅な成長にとどまった。
2)新規受注の急減や受注残の減少、企業景況感の悪化は、いずれもこの先の落込みの加速を、示唆している。
●8.米7月総合購買担当者景気指数(PMI)47.5に急低下、約2年ぶりに50割れ(ロイターより抜粋)
1)低下は7月で4カ月連続。経済が停滞していることを示唆した。
2)サービス業PMIの落込みが顕著で、6月の52.7から47.0と、2020年5月以来の低水準
●9.企業業績
1)米ベライゾン 通期利益見通しを下方修正、インフレと値上げで契約者減(ロイター)
2)米ツイッター 4~6月決算の純損失▲2.7億ドル(約370億円)の赤字 (共同通信)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)7/21、上海総合▲32安、3,272(亜州リサーチより抜粋)
・前日までの続伸を受け、売りが先行する流れとなった。
・不動産ローン問題の警戒感、大型経済対策の期待感後退もマイナスとなった。
・資金不足などにより建設工事が中断した未完成住宅を巡り、中国各地で物件購入者による集団ローン不払いが発生している問題に関しては、当局は救済措置を模索しているものの、具体策は依然みえていない。
・また、李克強・首相は7/19、大規模な景気刺激策の実施に慎重姿勢を示し、成長目標の一定の下振れを容認する姿勢を示唆した。
・業種別では、金融が下げを主導し、消費関連も冴えない。ハイテクは物色された。
2)7/22、上海総合▲2安、3,269(亜州リサーチより抜粋)
・中国景気の先行き不安がくすぶる流れとなった。
(1)新型コロナの新規感染者数の高止まり
(2)住宅ローン集団不払い問題
が不安材料として意識されている。
・資金不足などにより建設工事が中断した未完成住宅を巡り、中国各地で物件購入者による集団ローン不払いが発生している問題に関して、当局が救済措置に乗り出しているとはいえ、投資家の懸念は払拭されていない。
・もっとも、下値は限定されている。
・米金利低下が好感されたほか、これまでに中国当局が打ち出した産業振興や消費拡大雇用改善などに向けた各種施策の効果に対する期待感も根強い状況だ。
・業種別では、素材の下げが目立ち、ハイテクが冴えない。自動車は物色された。
●2.中国株:2022年の中国経済成長率は目標+5.5%を大きく下回り+4%割れを予想
1)ブルームバーグ報道によると、エコノミスト予想として2022年中国GDPは+3.9%を見込んでいるという。+2.7%の予想をする機関も出ている。
2)中国経済の重石となる要因
・ゼロコロナ政策の徹底による、個人消費や企業活動への大きな負の影響。この事態が、失業率の増加をもたらすことで、社会が不安定化するリスク。
・高騰した不動産価格の強権的抑制による、不動産セクターの混乱と低迷。加えて、住宅ローン集団不払い運動の全国波及で、社会に動揺を与える恐れ。
・IT業界、教育業界など民間活力を削ぐことによる、民間経済の萎縮。半面、不効率な国営企業を主軸にした中国経済運営による、中国経済の生産性低下。
・中国共産党イデオロギーを全面に押し出すことによる、経済の不活性化。
・世界経済の見通しの悪化、特に米欧圏からの需要低下による生産(=輸出)の減退。
●3.日本企業の中国進出数は減少(zakzak)
1)中国リスクを嫌って脱中国依存の動き(2022年版 防衛白書)
2012年 14,300社 最盛期
2000年 13,646
2022年6月 12,706社 最盛期比▲11.1%減
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)7/21、日経平均+122円高、27,803円(日経新聞より抜粋)
・日銀が大規模な金融緩和策を継続することを決め、買い安心感が広がった。
・欧州のエネルギー供給を巡る不安が和らいだことも投資家心理の支えとなって、高値で引けた。
・前日までの5営業日で日経平均が+1,300円ほど上昇したことで、主力銘柄の一部に利益確定売りや戻り待ちの売りが出やすかったが、下値は限られた。
・ダイキン・ファナック・KDDI・ニコンが買われ、塩野義は▲6%超安・JFEが下落。
2)7/22、日経平均+111円高、27,914円(日経新聞より抜粋)
・好決算を発表した銘柄に買いが入り、日経平均は7日続伸し、3月以降で6/9以来の高値水準となった。
・米長期金利の低下を受け、半導体や電子部品関連の主力の値がさ株の一角も買われた。
・郵船・商船三井・川崎汽船が2023年3月期見通しを上方修正し、海運株が大幅高。
・「原油価格が落ち着き、FRBの過度な金融引締め懸念が後退し、円安効果で輸出企業を中心に業績改善が高まったことで、日本株に対する見方が強気に傾いた」との声もある。
・東エレク・アドテスト・京セラ・リクルート・キーエンスが買われ、第一三共は下落。
●2.日本株:トリプルトップ形成、テクニカル指標は「買われ過ぎ」を示唆
1)日経平均は、トリプルトップを形勢か
3/29 28,252円 6/09 28,246 7/22 27,914
短期間でダブルトップ形成の場合は下落基調に入る転換点となりやすいが、今回は比較的長期間で、しかもトリプルトップを形成するとなると、より落込みの強い展開となる可能性がある。
2)騰落レシオは高値警戒を示唆
25日移動平均 6日移動平均
6/20時点 89.85 36.98
7/21時点 132.36 207.33
7/22時点 130.28 191.62
3)ストキャスティクス(7/22時点)は、「買われ過ぎ」を示唆
RSI(14日)77、 FAST 98、 SLOW 95
4)企業物価指数6月は、前年比+9.2%、16カ月連続上昇
・円安の影響もあり6月の輸入物価は、前年比+46%、そのうちの2割は円安が後押し。
・企業はコスト上昇分を価格転嫁できているのは食品等の一部であり、特に中小企業は値上げできていない企業が多数ある。
・輸出企業と、値上げした食品企業は最近の国際商品の低下の恩恵を受けているが、多くの内需企業の業績発表に注目したい。
・決算発表で下方修正した企業の株価下落幅が大きいため注意したい。やはり、この夏の時期はディフェンシブ銘柄の選好が良さそうだ。
●3.黒田・日銀総裁、物価目標は未達、金利引上げ「全く考えず」(ロイター)
●4.企業動向
1)HIS ハウステンボス売却(毎日新聞)
■IV.注目銘柄(投資はご自身の責任でお願いします)
・2726 パル 業績好調
・2802 味の素 業績堅調
・3776 ブロードバンドタワー 業績好調期待
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