相場展望1月22日号 米国株: グリーンランド関税でトリプル安出現⇒撤回でトリプル高も警戒 日本株: 衆院投開票日2/8までは「高市トレード」で堅調、その後注意

2026年1月22日 16:48

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)1/19、祝日・キング牧師誕生日で休場
 2)2/20、NYダウ▲870ドル安、48,488ドル
 3)2/21、NYダウ+588ドル、49,077ドル

【前回は】相場展望1月19日号 米国株: 不透明感強まる、関税判決・グリーンランド・FRB独立性・政治等 日本株: 高市・与党に、対抗勢力「中道」が勃興、「中道」優位は本当か?

●2.米国株:グリーンランド関税でトリプル安出現⇒関税撤回でトリプル高も警戒続く

 1)1/20、トランプ・リスクで「トリプル安」
  ・ダボス会議で欧州首脳から非難続出
   ・グリーンランドの米国領有問題
    ・トランプ氏は、EU8カ国がトランプ要求を受け入れない場合、8カ国に追加関税(追加10%を2/1から⇒6月から25%へ増加予告)を示した。
    ・EUの規定では、追加関税は8カ国にとどまらず全EU加盟の27カ国が対象。
    ・欧州首脳がトランプ大統領に牙を抜く
       フランスのマクロン大統領
         「欧州を弱体化させ、従属させよとしている」と強く批判した。
       デンマークのフレデリクセン首相
         「グリーンランドの強制併合はNATOの終焉を意味する」と警告。
         追加関税発動には「対抗措置を取らざるを得ない」との考え示す。
       グリーンランドのニールセン首相
         「米軍介入に備えよ!」国民に5日分の食料備蓄を呼びかけ。
       対象国でないがNATO加盟のカナダのカーニー首相さえも
         「私たちは、移行期ではなく、破裂期にある」と述べた。

  ・トランプ大統領はグリーンランド領有問題以外にも挑発
   ・「提案中の『平和評議会』への参加拒否なら、仏シャンパンとワインに200%の関税を課す可能性がある」と示唆。マクロン氏が招待を辞退と報告後「200%関税をかければ参加するだろう」と反応して述べた。
   ・シャンパンとワインへの200%関税は、もともとガザ問題協議のためのフランスの加入を促すためのトランプ氏発言であった。

  ・米国とEUとの同盟が揺らぐ⇒米国でトリプル安
   ・NATO⇒新たなNATOへの可能性膨らむ。
   ・ダボス会議に出席のトランプ大統領の会見控え、市場は不安感増大。米国・欧州証券市場で不安心理が増大し株価は大幅安などトリプル安。
    ・リスク回避として金・銀価格も史上最高値を更新し続けている。

  ・トランプ大統領の「覇権拡張主義」は勢いを増す
   ・ホワイトハウスにある地図に、米国・カナダ・メキシコ・グリーンランド・ベネズエラの領土が米国国旗に覆われている。この地図は、トランプ氏の覇権拡張の思想をよく表している。トランプ氏は同盟の価値は認めず、むしろ同盟国を支配したがっている。
   ・トランプ氏は同盟国の盟主という地位ではなく、求めているのは「覇権」だ。彼がシンパシーを感じているのは、プーチン・習近平・金正恩である。プーチンによるウクライナ侵攻に対しても、ロシア寄りスタンスだ。中国に対してもレアアース輸出規制の1年間延長だけで、関税を引き下げた。彼にとって同盟国の首脳は「ハエ」であって、うるさいだけの存在。

  ・トランプ大統領が抱えるその他の問題
   ・FRB議長人事
   ・関税の最高裁判決
   ・今年11月の中間選挙

 2)1/21、トランプ米国大統領の欧州8カ国への追加関税の撤回で、トリプル高
  ・トランプ氏はNATO事務総長のルッテ氏との会談で「グリーンランド議論の枠組」合意したことを理由に、欧州8カ国に対する追加関税を撤回した。
  ・このグリーンランド関税の回避を受け、1/21にトリプル高(米国株・米国債券・ドル)となった。
  ・しかし、ルッテ氏はNATO事務総長であり、EUを代表した立場ではない。よって、ルッテ氏との話し合い合意に、どれだけの意味があるか不明。
  ・いつまでトリプル高が続くのか、不透明感は払拭されていない。現に、リスク回避で金価格は1/21も上昇し最高値を更新していることに注目。警戒警報は解除できない。

●3.市場の急落はトランプ氏へのメッセージ=JPモルガンのマイケルCIO(ブルームバーグ)

 1)S&P500種株価指数は1/20、今年に入ってからの上昇分をすべて失い、米国債券相場とドルも下落した。
 2)トランプ氏がグリーンランドの取得を巡って対立する複数の欧州諸国に追加関税を示唆したことが背景にある。

●4.トランプ関税、商品価格を押し上げ始まる=アマゾンCEOが指摘(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)1/19、上海総合+12高、4,114
 2)1/20、上海総合▲1安、4,113
 3)1/21、上海総合+3高、4,116

●2.中国2025年の年間GDPは140兆1,879億元(約3,177兆円)、前年比+5.0%成長(日経新聞)

 1)全国固定資産投資額   48兆5,186億元で前年比▲3.8%減、4年連続のマイナス。
 2)不動産投資       ▲17.2%減、昨年▲10.6%より下落幅を拡大。
               不動産沈滞が終わる兆しは見られない。
 3)中国人口        2025年末の人口は14億489万人、前年比▲339万人減。   
    新生児        2024年の953万人⇒2025年の792万人、▲161万人減。
               出生数792万人は、1738年(人口1.5億人)と同水準。
    高齢化        60歳以上の人口は3億2,338万人で前年比+1,307万人増。
               全人口の割合は22.0%⇒23.0%に増えた。
    青年失業率      2年連続で発表なし。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)1/19、日経平均▲352円安、53,583円 
 2)1/20、日経平均▲592円安、52,991円 
 3)1/21、日経平均▲216円安、52,774円 

●2.日本株:日経平均は衆院投開票日2/8までは「高市トレード」で堅調、その後は注意

 1)日経平均寄与上位5銘柄の推移
  (1)1/19、日経平均▲352円安、寄与上位5銘柄で▲283円安・占有率▲80.39%
   ・寄与上位5銘柄     下げ寄与額   株価下げ幅
     アドバンテスト    ▲171円安   ▲640円安
     TDK         ▲37     ▲74
     ファーストリテイ   ▲28     ▲350
     豊田通商       ▲25     ▲248
     ソフトバンクG     ▲22     ▲28
      合計        ▲283

  (2)1/20、日経平均▲592円安、寄与上位5銘柄で▲481円安・占有率▲81.25%
   ・寄与上位5銘柄     下げ寄与額   株価下げ幅
     アドバンテスト    ▲181円安   ▲675円安
     東京エレクトロン   ▲110     ▲1,100
     ソフトバンクG     ▲105     ▲131
     リクルート      ▲59     ▲590
信越化学       ▲26     ▲155
      合計        ▲481

  (3)1/21、日経平均▲216円安、寄与上位5銘柄で▲150円安・占有率▲69.44%
   ・寄与上位5銘柄     下げ寄与額   株価下げ幅
     ファーストリテイ   ▲67      ▲840
     リクルート      ▲32 ▲320
     コナミ        ▲24      ▲705
     ベイカレント     ▲15      ▲444
      KDDI        ▲12      ▲30
      合計       ▲150
   ・下落寄与上位5銘柄で、半導体関連株が1銘柄もない、という珍しい状況になった。逆に、上昇寄与5銘柄はすべて半導体関連株だった。
   ・5日続落は昨年1/8~15以来、1年ぶり。
   ・5日続落は、反発が近いサイン。

 2)衆院解散検討の報道1/9と日経平均
  ・日経平均の推移
    1/08  51,117円
    1/14  54,341    上昇幅 +3,224円高・+6.30%高
    1/20  52,991    下落幅 ▲1,350円安・▲2.48%安
  ・衆院解散報道1/9で「高市ラリー」に号砲が鳴り、海外短期筋主導による先物買いに個人投資家の買いも入り、日経平均は短期間で大幅高した。

 3)1/15~20、衆院総選挙による株式市場は「高市フィーバー」を織り込み済みの様相

 4)1/21、トランプ氏「グリーンランド関税」でトリプル安が波及し、日経平均下落

 5)1/22、「グリーンランド関税の撤廃」でトリプル高を受け、日経平均買い戻し
  ・グリーンランド領有問題で、トランプ氏は領有を諦めたわけではない。あくまでEUに時間を与えただけの「グリーンランド関税撤廃」に過ぎない。
  ・総選挙実施日までは堅調な動きを示すと思われる。
  ・しかし、衆議院選挙投開票2/8以降、海外短期投機筋の売り浴びせに注意したい。

●3.12月訪日客、中国から▲45%減も、欧米が補う、2025年訪日客4,270万人(ブルームバーグ)

 1)消費額は2025年、9兆5,000億円と過去最高。
 2)JTBは2026年訪日客を前年比▲2.8%減の4,140万人と予測。

●4.ソニー、テレビ事業を分離し、中国電機大手TCLと設立する合弁会社に継承(読売新聞)

 1)新会社の出資比率はTCLが51%・ソニーが49%、2027年4月事業開始。
 2)薄型テレビの世界シェアで、ソニーは2005年に9.4%だったが2024年には2.3%まで低下した。一方、TCLは1.8%⇒13.9%までシェアを拡大した。
 3)日立は、2018年に国内販売を終了。東芝は、中国の家電大手ハイセンスに事業を売却。パナソニックは、撤退を検討したが、収益改善の目途がついたとして2025年10月に事業を存続すると表明した。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1928 積水ハウス   業績・配当期待
 ・5631 日製鋼     業績期待
 ・6258 平田機工    業績期待

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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