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【日本株2026】日経平均5万円台の先に見える「真の復活」 三菱商事から東エレクまで、グローバル基準で選ぶ勝ち組銘柄

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2026年年初、日経平均株価は5万2000円の大台に到達した。2021年2月にバブル崩壊後約30年ぶりとなる3万円の大台を回復してからわずか5年。上げ幅にして2万円を超え、株価は1.7倍の水準へと躍進したこの驚異的な上昇劇は、日本企業の構造的変革とグローバル市場での立ち位置の変化を反映したものだ。
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この上昇は段階的に加速した。2024年7月には4万2000円台に到達し、その後も勢いは衰えていない。歴史的な上昇を牽引したのは、生成AIブームの追い風を受けた東京エレクトロン<8035>や、ウォーレン・バフェット氏の買い増しが続く三菱商事<8058>といった、グローバル基準の「稼ぐ力」を持つ主力銘柄だ。商社から半導体まで、世界が「再発見」した日本株の勝ち組銘柄を探る。
■バフェット氏が見抜いた「商社の実力」
米バークシャー・ハサウェイを率いたウォーレン・バフェット氏による大手商社5社(三菱商事<8058>、三井物産<8031>、丸紅<8002>、伊藤忠商事<8001>、住友商事<8053>)への投資は、日本株復活の象徴だ。5大商社の合計純利益は、2025年3月期においても事業ポートフォリオの多角化により約3.8兆円規模の高い水準を維持した。
特に三菱商事は、2025年3月期に9500億円超の純利益を達成。続く2026年3月期も、非資源分野の伸長を背景に、純利益1兆円の大台再突破を視野に入れた強気の経営を続けている。バフェット氏が2025年3月時点で保有比率を約9%まで引き上げ、長期保有を改めて明言したことは、これら商社の「稼ぐ力の持続性」が世界基準で認められた証左といえる。
■東証改革とメガバンクの構造転換
日本株上昇の最大の仕掛けは、東証が2023年に始動させた「PBR1倍割れ改善要請」である。コンサルティング大手のレイヤーズ・コンサルティングの集計によれば、2024年末時点で、プライム市場の約9割が対応を開示。自社株買いや増配が加速し、「日本株は変わった」という海外投資家の確信を生んだ。
改革の成功例がメガバンクだ。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>は、2023年3月時点でPBR0.59倍と深刻な1倍割れ状態だったが、2024年3月に3メガバンクで最初に1倍を回復。日銀の金融政策正常化による利ザヤ改善を追い風に、積極的な株主還元を実施した。
30年近く続いたデフレからの脱却により、日本経済全体で「金利のある世界」が許容される環境へと変化。これが銀行の貸出利ザヤ改善を促し、金融セクター全体の再評価を強力に後押ししている。
■「AI・半導体」が牽引する指数上昇
日経平均の歴史的上昇は、「バリュー(割安)」を代表する商社株と、「成長」を代表する半導体関連株という両輪に支えられてきた。
商社株が海外投資家の信頼回復を促した一方、指数を実際に押し上げる原動力となったのは半導体関連株だ。東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>といった半導体製造装置メーカーは、世界的なAIインフラ投資の加速を受け、日経平均を3万円台から5万円台へと押し上げた。
特に東京エレクトロンは、米エヌビディア(NVDA)を中心とする生成AI革命の不可欠なパートナーとして、時価総額・技術力ともに世界トップクラスの「真のグローバル企業」へと進化した。
日本が得意とする「精度の高いものづくり」が、次世代半導体のサプライチェーンにおいて戦略的なピースとして組み込まれた結果である。国内市場の縮小に対し、グローバル展開を加速させた企業が、今まさにその果実を得ている。
■真の復活への課題:ROE15%への挑戦
日本株が持続的に上昇し続けるには、依然として高い壁がある。多くの日本企業が目標に掲げたROE(自己資本利益率)8%は、2025年3月期には全産業ベース(金融除く)で10.2%と、ついに2桁台に乗った。しかし、欧米基準と比較すれば依然として道半ばだ。
2025年末時点の主要指数採用銘柄を対象としたデータによれば、米国企業の約6割、欧州企業の約5割がROE15%以上を達成しているのに対し、日本企業でこの水準に達しているのは22%程度にとどまる。
今後の成否を握るのは、AI活用による徹底した生産性向上だ。生産年齢人口の減少を、「AIによる自動化・省人化の先進国」という強みに変えられるか。人的資源を高付加価値セクションへ再配置し、業績連動型報酬を導入する。こうした取り組みが、日本株が再び世界の主役に躍り出るための最終条件となるだろう。
23年にわたり市場を注視してきた筆者の目には、現在の日本企業の変容は、かつての「失われた30年」とは明らかに異なる質の変化として映っている。
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