相場展望2月12日号 米国株: ドル安が急進展->「基軸通貨ドル」信認に飛び火すると大波乱 日本株: 「高市ラリー」による大幅高と、高値警戒感を意識

2026年2月12日 17:39

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)2/09、NYダウ+20ドル高、50,135ドル
 2)2/10、NYダウ+52ドル高、50,188ドル
 3)2/11、NYダウ▲66ドル安、50,121ドル

【前回は】相場展望2月9日号 米国株: AIへの投資家の慎重姿勢が根強く、株は売り転換を懸念 日本株: 衆院選結果は自民党の歴史的圧勝を好感「高市トレード再燃」

●2.米国株:ドル安が急進展⇒「基軸通貨=ドル」の信認問題に飛び火すると大波乱

 1)ドル安が急進展⇒「基軸通貨=ドル」の信認問題に飛び火すると大波乱
  ・ドル相場の推移(円相場ベース)
     2/02 155.57円/ドル
     2/06 157.22
     2/11 153.91
     2/12 152.56 ・・2/6から3日間で4.66円ものドル安・円高が急激に進行

  ・米国景気減速の懸念が高まり、ドル売り。
    ・12月の米国小売売上高が前月比±0と横ばいとなり、市場予想+0.4%増を下回った。
    ・米国経済と消費が減速傾向にあるとの懸念が出て、ドルが売られた。

  ・ラトニック商務長官は上院の公聴会で「ドル安の進行を容認」発言をした。その根拠は、ドル安が米国の輸出を増加させ、米国の国内総生産(GDP)を大きく成長させるのに寄与する、との考えを持っていると思われる。

  ・もし、ラトニック商務長官の発言の狙いが「ドル安」のさらなる進展を望んでいるならば、大問題が起こる。米国経済の6割超が「消費支出に依存」しているためだ。ドル安となれば、輸入物価が上昇⇒インフレ上昇に直結するからである。また、米国は世界から資金を集めているが、ドル信認が低下すれば、米国からその資金が流出することになる。当然、米国株式相場からも資金が海外に流出することになる。そうなれば、米国株安となる。米国債券市場も大きな傷を負う。つまり、米国に「通貨・株・債券のトリプル安」が襲うことになる。結果的の米国自体の信認低下をももたらすことになる。

  ・ラトニック商務長官の発言は「短期的な視野」に限定されたものと理解したいが、あまりにも短期のドル安急伸なだけに注意していきたい。

 2)米国景気が底堅い、雇用統計で雇用者数が予想以上に増加
  ・米国1月雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比+13万人増と予想を上回ったことで、労働市場の底堅さを示した。失業率も4.3%と、前月4.4%から改善した。
  ・堅調な雇用情勢を受け、今後の米国連邦準備理事会(FRB)の利下げペースが鈍化するとの見方が増える可能性がある。
  ・労働市場が堅調であれば、金利低下期待が後退し、株式市場の支えとはならない。

●3.2026年度の米国財政赤字は1.853兆ドルに拡大見通し、トランプ経済政策の影響(ロイター)

 1)議会予算局(CBO)によると、トランプ大統領の経済政策が財政悪化につながる可能性を示唆した。
  ・CBOの試算では、トランプ政権の関税措置に伴う歳入増で、赤字は今後10年で▲3兆ドル削減される見通し。一方、2025年に成立した大規模な減税・歳出削減法によって、赤字は同期間で+4兆7,000億ドル悪化する見通し。また、移民減少で赤字が+5,000億ドル増加する可能性もある。

 2)CBOが見込む成長率見通しは、2026年実質GDP伸び率は+2.2%、残り10年間は平均+1.8%程度まで鈍化する。トランプ政権高官は、2026年1~3月期成長率は+6%を超える可能性があるという見通しを示していた。

●4.米国フォード、10~12月期▲1兆7,000億円赤字、EV巡り損失(共同通信)

 1)EVは需要鈍化のため投資抑制し、ハイブリッド車(HV)などを増やす戦略転換。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)2/09、上海総合+57高、4,123
 2)2/10、上海総合+5高、4,128
 3)2/11、上海総合+3高、4,131

●2.中国1月自動車販売、前年比▲19.5%減の140万台数、BYDは▲30%減(ロイター)

 1)政府補助の縮小、需要減退を背景に、2024年2月以来、約2年ぶりの大幅減少となった。
 2)新エネルギー車(NEV)の輸出は2倍以上に増加した。国内販売が低迷するなか、メーカー各社は海外市場に活路を見出している。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)2/09、日経平均+2,110円高、56,363円
 2)2/10、日経平均+1,286円高、57,650円
 3)2/11、祝日「建国記念の日」で休場

●2.日本株:「高市ラリー」の大幅高と、高値警戒感を意識

 1)「高市ラリー」で、自民党総裁決定前⇒2/10までの急伸の状況と懸念
  ・高市ラリーの推移(高市・自民党総裁決定前日10/3⇒2/10)
    ・日経平均
       10/03  45,769円
       02/10  57,650
       上昇幅 +11,881円・+25.95%上昇

  ・高市ラリーで、日経平均は+11,881円高・+25.95%と急騰した。
    ・高市ラリーの要因
     ・17の戦略投資分野への重点投資への期待。
     ・積極財政を不安視した円安への進展で、輸出関連株が買われた。
     ・国政選挙では過去、日経平均は上昇との経験則。
     ・上記状況を受け、海外短期投機筋による株価先物買いで日経平均は放り上げられた。

 2)日経平均株価に懸念される衆院選挙後の「円高」
  ・円相場
     10/03日本  149.17円 も
     02/06日本  156.97
     02/11日本  153.22
     02/12日本  152.94

  ・円相場は2/6⇒2/12の短期間で+4円3銭の円高が急伸した。

  ・高市・自民党総裁直前10/3とは、▲7円80銭の円安となっていた。その後、ラトニック米国商務長官・FRB高官発言もあり円高に振れたが、2/12現在でも10/3比で▲3円77銭の円安の状況にある。

 3)騰落レシオ(6日)が急伸し高値警戒圏に突入⇒警戒感が意識
   ・6日騰落レシオの推移
     2/02  58.53
     2/09  201.36 
     2/10  304.61

  ・騰落レシオ(6日)は2/10で304.61と極めて高い水準まで急伸した。日経平均の高値警戒感の高まりを示唆している。

 4)日経平均は、米国NYダウと比べても勝ち過ぎ⇒警戒を意識
  ・高市・自民党総裁決定前日⇒衆院選挙後2/10の日経平均・NYダウの推移
         日経平均    NYダウ
    10/03  45,769円    46,758ドル
    02/10  57,650     50,188
     上昇幅 +11,881円   +3,430ドル
     上昇率 +7.33%高   +25.95%高

  ・日経平均の上昇幅は、NYダウと比べ3.54倍と極めて高い上昇となっている。

  ・お祝儀相場とはいえ、揺り戻しの売りが想定されるだけの上昇率である。
    
 5)日経平均寄与度上位5銘柄の推移
  (1)2/9、日経平均+2,110円高、寄与上位5銘柄+1,412円高・占有率+66.91%
   ・寄与上位5銘柄     寄与上げ額   株価上げ幅
     アドバンテスト    +755円高   +2,825円高
     ファーストリテイ   +349     +4,350
     ソフトバンクG    +202 +252
     TDK    +54      +108
     中外薬        +52      +518
      合計       +1,412

  (2)2/10、日経平均+1,286円高、寄与上位5銘柄+630円高・占有率+48.98%
   ・寄与上位5銘柄     寄与上げ額   株価上げ幅
     ソフトバンクG    +364円高  +454円高
     東京エレクトロン   +90 +900
     アドバンテスト   +86 +320
     ファーストリテイ   +53     +660
     フジクラ       +37     +1,105
      合計        +630

   ・日経平均を押し上げた銘柄は、ハイテク・半導体株が主力であるが、日経平均上昇幅に占める割合は低下傾向にある。つまり、割安株や景気敏感株など買い銘柄が拡大していることを示す。

●3.資生堂、2025年12月通期純損益▲406億円赤字、米国企業買収が不発(朝日新聞)

 1)売上高は前年比▲2.1%減の9,699億円。米国の新興ブランド「ドランクエレファント」を約900億円で買収したが、不振のため▲468億円の減損処理をした。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・5803 フジクラ     業績好調
 ・6501 日立       業績堅調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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