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相場展望9月25日号 米国株: 恐怖指数(VIX)が上昇し、高値警戒の意識が高まる 日本株: 自民党総裁選告示も、候補者意識は低く、自民党解党的出直しは困難?
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)9/22、NYダウ+66ドル高、46,381ドル
2)9/23、NYダウ▲88ドル安、46,292ドル
3)9/24、NYダウ▲171ドル安、46,121ドル
【前回は】相場展望9月22日号 米国株: 金利上昇局面入り⇒米国株は相対的に「割高」意識を示唆 日本株: 9/19日銀のETF売却方針で日経平均乱高下⇒過熱感を証明
●2.米国株 : 恐怖指数(VIX)が上昇し、高値警戒の意識が高まる
1)FRBの利下げ再開で米国株は下げにくい展開も、市場金利は上昇のため注意
・米国金利とNYダウの推移
日付け 2年債利回 10年債 30年債 NYダウ
9/02 3.639% 4.261 4.975 45,295ドル
9/11 3.542 4.021 4.651 46,108
9/19 3.576 4.129 4.748 46,315
9/24 3.604 4.147 4.752 46,121
・金利は、9/2⇒9/11と低下している。しかし、その後、9/24へと上昇している。この金利上昇は株式の相対的な割高感が高まっていることを示唆している。そして、NYダウは9/23・24と小幅ながら続落した。
2)米国株、恐怖指数(VIX)が上昇し、高値警戒の意識が高まる
・恐怖指数(VIX)の推移
9/17 15.72
9/24 16.18
・このところ、米国株が上昇しているにも関わらず、VIX指数は上昇傾向を示していただけに、注意したい。
3)米国株は主要3指数が最高値圏にあり、高値警戒感が増す可能性があり、注意
●3.ベッセント財務長官、明確な利下げ方針示さぬパウエル議長に失望表明(ブルームバーグ)
●4.米国新築住宅販売+20.5%増、2022年以来の高水準、値引きなどが奏功(ブルームバーグ)
1)新築一戸建て住宅販売は前月比(年率換算)は+20.5%増加の80万戸。予想は65万戸、7月は66.4万戸だった。
●5.TikTokの米国事業、米国オラクルなどの企業連合が買収へ、トランプ政権が発表(読売新聞)
1)買収金額は数十億ドルになる見込み。
2)中国側が管理していたアルゴリズム(計算方法)はオラクルなどの合弁会社の管理下に置き、オラクルが米国向けに再構築する。
3)ティックトックの米国の利用者は1億7,000万人を超え、禁止されれば大きな影響が予想されていた。
●6.ベトナムの対米国向け輸出、関税で最大▲250億ドル以上の打撃、国連試算(ロイター)
1)国連開発計画(UNDP)は8月発動の米国関税で、ベトナムの対米国輸出が最大で▲12.9%・年▲250億ドル以上減少し、東南アジアで最大の打撃を受ける可能性があると指摘した。
2)ベトナムの2024年の対米国輸出は1,365億ドルで世界6位。主に米国など外資系多国籍企業が経営する工場で生産された製品が輸出されている。
3)UNDP報告書では、東南アジア全体の対米国輸出減少率は平均▲9.7%の見込み。タイは▲12.7%、マレーシアは▲10.4%、インドネシアは▲6.4%の減少見通し。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)9/22、上海総合+8高、3,828
2)9/23、上海総合▲6安、3,821
3)9/24、上海総合+31高、3,853
●2.バフェット氏率いるバークシャー、中国BYDから出資を完全に引き揚げ(ロイター)
1)BYDへの出資額は2024年末時点で4.15億万ドルだったが、3月末時点でゼロ。BYDの株価が20倍以上に上昇した後、2022年に株式の売却を開始していた。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)9/22、日経平均+447円高、45,493円
2)9/23、祝日「秋分の日」で休場
3)9/24、日経平均+136円高、45,630円
●2.日本株:自民党総裁選告示も、候補者意識は低く、自民党解党的出直しは困難?
1)自民党総裁選は告示されたが、候補者意識は低く、自民党解党的出直しは困難か
(1)国民の重税感を和らげる政策がない。
・現在の補助金など歳出の見直し・削減について全く切り込んでいない。補助金は、団体・企業などからの政治献金と票が絡み、効果測定も弱く、継続している場合や膨張が目立つ。例えば、太陽光発電など。
・現状の税金の使い方について、効率化・適正化などが一切述べられず。税の歳出の根本的な見直しを実施するという政策がない。
・国民の重税感を和らげる政策がない。
・所得税の減税、社会保障税の減免もなし。
・税と社会保障の家計の負担軽減策もなし。
・重税の負担軽減策もなし。
(2)国民の苦しい家計の改善への取り組みがない。
・食料品価格が高騰し、「エンゲル係数」は28.3%と1981年以来と43年ぶりの高水準となった。2024年の消費支出は実質で前年比▲1.1%減少と、食料品の負担増が個人消費支出に負の影響を与えている。
・コメ価格の急騰対策がない。
・備蓄米の放出で一時はコメ価格は低下したものの、その後、新米が出てきたが価格は急伸し元の高値さえ超える勢いである。しかし、石破首相は抑制指示を出さず、割れ関知せずのスタンス。国連に行って演説するも高い位置からの一般論の話に終始し、ご満悦。小泉・農相も総裁選挙にかかりっきりで、コメ価格低下に興味を失ったような感じ。
(3)重税を推し進める財務省の「悪代官の解体」が必要。
・いかに国民から税金を盗ることしか考えない悪代官・財務省は解体。
・ガソリン「暫定」税率を恒常化し、一般財源化した。揮発油税28.7円に1974年道路整備の財源として暫定25.1円加算した。
・5 年の期間限定であった暫定税率を50年経過した現在も適用続ける。暫定税は田中角栄・元首相が「日本列島改造論」で急増する道路建設の財源として設けたもので一時的な措置だった。
・過去、政府はインフレ対応で、所得控除額の増額や税率を引き下げてきた。しかし、今の政府・自民党は、所得控除額や税率の見直しをしなくなった。政府・自民党は賃上げが唯一の物価対策と位置付けているが、賃上げで一番潤うのは国家財政である。賃上げの5割を所名目で国家歳入につながっている。さらに、残った家計収入から支出する食品・ガソリン・物品購入などにガソリン税や消費税が課されている。国民の租税負担率は5割をはるか超えている。しかも、所得税は累進課税のため、賃上げ⇒所得税率の上昇につながる。
・しかし、政府・自民党は膨大に膨らんだ政府歳入を、選挙で自民党に投票してくれる団体・個人に補助金などをバラまいて費消している。来年度予算策定に当たり、財務省は予算削減を織り込まずに予算申請作成を指示した。
・国民の家計からみた、国民目線で思考できない悪代官・財務省の解体は必須と思われる。
・平気で税金の二重取り等をしているのは、果たして公僕と言えるだろうか?
例:ガソリン税、暫定税率、税金に税金を課す消費税など。
(4)自民党総裁選での候補者別主張(概略)
候補者 消費税減税 所得税減税 賃上げ
茂木 議論進める ー 物価高以上
小林 簡単でない 期限付き減税 ー
林 現状維持 ー 実質賃金1%上昇
高市 食品減税を撤回 給付付き税額控除 賃上げの環境整備
小泉 ー 基礎控除で調整 30年までに100万円増加
解党的出直し 政治とカネ 円相場(物価) 関税の経済対策
茂木 ー(言及なし) ー ー ー
小林 ー ー ー ー
林 ー ー ー ー
高市 ー ー ー ー
小泉 ー ー ー ー
その他の政策
・日本のビジョン(夢など)
高市・林・小林氏は漠として述べるにとどまった。他の候補者は不明。
・裏金問題
高市・林氏は「決着済み」とした。
・裏金議員の重要ポスト就任の可能性は述べた
・高騰のコメ価格対策
候補者全員がスルー。
・自民党の「顔」を替えればよい、という趣旨が透き通るスローガン「#変われ自民党」「解党的出直し」とかけ離れた候補者発言に終始しているのが目立つ。ただ、茂木氏は「自民党らしさを失った」と発言。
(5)自民党の年代別支持率から見えるもの
・年代別支持:18~39歳 14%
40歳台 20%
50歳台 31%
60歳台 39%
70歳台 55%
80歳以上 61%
・問題点は、若い層ほど自民党の支持率が低いこと。いかに自民党が高年齢層の支持に依存しているかを表している。つまり、自民党の政策は高齢者寄りになっているかを証明している。自民党は家計に苦しむ現役世代に向いた政策を実施してこなかった。
・ところが、総裁選候補者の目線は高齢者目線で在り、若者・現役世代の心に訴えることがなかった。果たして、減少し続ける層に焦点を合わせた自民党総裁選の論争として、正しいのか疑念が生じる。
・別の観点からすると、
・租税負担率は社会保険料費・ガソリン税・消費税を含むと5割をはるかに超えており、重税となっている。
・物価上昇に何の対策も打っていない。むしろ、輸入に大きく依存した食料・原油代は「円安」効果で高騰している。円安が物価に及ぼす悪影響に触れていない、家計が苦しいからカネをバラまいて終わりということで済まそうとしている。
・実質賃金は岸田政権時代から3年以上にわたってマイナスが続いている。
・政府の歳出は「利権化」して、それが膨張し、硬直化している。
・このような状況のもと、高齢者は年次を追うごとに減少するため、自民党の衰退は避けられない。昨年11月の衆議院選挙、今年7月の参議院選挙での自民党の退潮が際立ったが、たまたまの現象ではなく、自民党の政策の積み重ねの結果である。これは、野党・立憲民主党や社民党、共産党にも同じことが当てはまる。
・総括:果たして自民党は生まれ変われるのか
・1年前の自民党総裁選挙と同じ顔触れで、新鮮味なし。
・発言内容も、表現を変えただけの抽象的言い方。
・石破打倒で辞任をさっきまで迫ったが、今は、石破好評価で矛盾。
・派閥領袖クラスの総裁選でのキングメーカー競いが目立ち、旧来の自民党と遜色なし。
・自民党の「#変われ自民党」のスローガンは、何だったのか?代り映えしない、どこが「#変われ・・・」なのだろうか?
・「解党的出直し!」、昔から何度も聞かせられた、聞き飽きたスローガンで、むなしい響き。
(6)日経平均は、以上の観点からすると、海外短期筋の売りが速まる可能性を想定する。
2)9/22日経平均+447円高は、5銘柄で+376円の寄与で84%を占める
・寄与度上位5銘柄
アドバンテスト 130円高
東エレク 100
ファーストリテイ 71
TDK 44
ファナック 31
合計 376
3)9/24、日経平均+136円高したが、ソフトバンクGの1銘柄で押し上げた
・寄与度上位5銘柄 寄与額
ソフトバンクG +217円高
東エレク +66
任天堂 +14
フジクラ +11
KDDI +9
合計 +317
・ソフトバンクGの1銘柄だけで、日経平均上昇額を説明できる。
・ソフトバンクGは、オープンAIやオラクルと、テキサス州など5つのデータセンター建設計画を発表した。総投資額は、今後3年間で4,000億ドル(約59兆円)になる見通し。
・相場全体をみると、東証プライム市場では50%の820銘柄が値下がり、値上がりは45%に当たる734銘柄だった。
・相場は強弱が拮抗する中で、値がさのソフトバンクGの1銘柄で日経平均は史上最高値を更新した。
・最近の日経平均の傾向として、1~3銘柄で全体が上昇しており、相場の脆弱性が増していることが懸念。
●3.自民党総裁選、9/22に告示、10/4投開票(Quick Money)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・7022 川崎重工 業績堅調
・7733 オリンパス 業績回復期待
・9468 KADOKAWA 業績好調
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