ホルムズ海峡で原油タンカー通過ゼロ 封鎖長期化で市場に打撃か

2026年3月8日 20:27

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画像はイメージです。(c) 123rf

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 イランとの軍事衝突が続く中、石油輸送の重要ルートであるホルムズ海峡において、6日時点で原油タンカーの通過が事実上皆無となっていることが明らかになった。

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 合同海洋情報センター(JMIC)が同日公表したリポートで確認されたもので、封鎖状態の長期化により原油価格のさらなる上昇と金融市場への悪影響が避けられない情勢となっている。

■ホルムズ海峡周辺の元凶

 攻撃前まで連日多数の船舶が往来していたホルムズ海峡は、2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃を契機に通過数が激減し、3月に入って事実上の閉鎖状態に陥った。

 イラン革命防衛隊が海峡付近の船舶に警告しており、日本の海運大手を含む世界各社が航行を見合わせている。現在もペルシャ湾内には多数の船舶が身動きの取れない状態で滞留しており、出口の見えない状況が続いている。

 トランプ大統領は3日、米海軍によるタンカー護衛と保険提供を表明するなど事態の収拾を図ろうとしているが、革命防衛隊による警告は続いており、抜本的な解決には至っていない。

 停戦交渉についても、イラン側が協議を拒否する姿勢を崩しておらず、封鎖が解除される見通しは立っていない。

■原油が届かなければ、物価は上がる

 ホルムズ海峡は中東から世界へ向かう原油・LNGの主要な輸送ルートであり、代替となる航路がほぼ存在しない。

 苦肉の策として、サウジアラビア西岸のヤンブーを通す経路も活用され始めているが、それでもホルムズ海峡の完全な代替にはならない。

 封鎖が長引けば原油の供給不足から価格が上昇し、ガソリン代や電気・ガス料金が家計を直撃する。さらに原油価格の上昇は企業のコスト増につながり、業績悪化を通じて株式市場にも下押し圧力となる。

 足元では安全資産とされる金への資金移動が活発化しており、世界的にリスクを避ける動きが広がっている。

■日本を直撃する影響

 日本市場への影響はとりわけ大きい。原油輸入の大部分を中東に頼る日本では、エネルギーコストの上昇が企業収益の悪化と消費者の節約志向を同時に誘発する。

 またインフレが加速すれば、日銀の金融政策にも影響が及びかねず、市場の不確実性はさらに強まるだろう。

 さらに有事のドル買いによる円安圧力も加わることで、株価・円・債券がそろって下落するいわゆる「トリプル安」を懸念する声も少なくない。

 停戦の見通しが立たない中、ホルムズ海峡の動向が当面の市場における最大の焦点となっている。(記事:庭田 學・記事一覧を見る

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