相場展望3月12日号 米国株: イラン戦争は長期化が必至、トランプ氏の「短期」発言は夢 日本株: 年初からの株価は、NYダウと比べると日経平均は高値警戒

2026年3月12日 13:50

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)3/09、NYダウ+239ドル高、47,740ドル
 2)3/10、NYダウ▲34ドル安、47,706ドル
 3)3/11、NYダウ▲289ドル安、47,417ドル

【こちらも】相場展望3月9日号 米国株: NYダウは弱い経済環境のところに、イラン攻撃の長期化 日本株: 米国株安を、日経平均は3/6は底堅さ、3/9は?限界迫る

●2.米国株:イラン戦争は長期化が必至、トランプ氏の「短期」発言は夢

 1)米国によるイラン攻撃は「長期化」必至
  (1)トランプ氏の思惑「短期終息」は夢。

  (2)イランの後継指導者に対米国強硬派とされるモジタバ師を選出。
   ・米国・イスラエルの爆撃でイラン最高指導者ハメネイ師を殺害。モジタバ師はハメネイ師の息子。爆撃で、モジタバ師の妻・子供も死亡したという説がある。モジタバ師も負傷したという説もある。
   ・モジタバ師は高校卒業後に革命防衛隊に所属しただけに強硬派である。
   ・米国・イスラエルに対する憎しみは計り知れないはず。まして、肉親を殺害されて、米国と温厚な対応を期待する方が間違っている。

  (3)イランは、ホルムズ海峡の機雷敷設という反撃手段がある
   ・過去、イラク攻撃した時は1,200個の機雷をフセイン大統領は敷設した。イラク戦後、機雷の排除に6カ月要した。
   ・イランは、機雷を2,000~6,000個も保有するという。
   ・機雷の掃討できるまで、タンカー含む船舶は動けない。
     ・タンカーが運搬するのは、原油・液化天然ガス・ナフサ等。
     ・日本のナフサは6割が輸入である。ナフサを原料とする、自動車・タイヤ・家電・住宅・肥料など農業・繊維などの多分野で活用されている。日本のナフサの在庫は3週間程度といわれる。
     ・原油に世界の眼は向いているが、備蓄の無いナフサが枯渇すれば、日本の産業全般はたちまち大きな痛手を受ける。

  (4)イランは失うものが少ない。
   ・イランは核問題で、すでに制裁を長期にわたって受けている。制裁下での経済、体制作りが出来ている。したがって、米国・イスラエルの空爆によるダメージはそれほどではない。
   ・まして、最高指導者ハメネイ師を爆殺され、米国への憎しみでイラン国民は一致団結している。
   ・対して、米国、トランプ大統領の方が弱い要因を多く抱えている。
     ・スタグフレーション(インフレ懸念、経済後退)
     ・中間選挙でトランプ共和党に逆風
     ・トランプ支持のMAGA派は、国内優先・海外戦争阻止で、イランとの戦争は望んでいない。

 2)トランプ氏の思惑通りに「イラン情勢は収束?」⇒主導権はイランが握る
  (1)米国を消耗戦に誘い込むイラン
   ・ホルムズ海峡を機雷の敷設で封鎖し、脅迫。
   ・湾岸諸国にミサイル、ドローンで攻撃。
    ・イランの攻撃で、矢面に立たされるペルシャ湾岸諸国。UAE、クウェート、バーレーン、カタール、サウジアラビアなど。
   ・米国でのガソリン価格上昇は物価に直結し、米国民の不満が増す。
    ・米国民のトランプ氏への不支持率は50%超え、増加方向にある。

  (2)今後の交渉に自信を持つイラン
   ・米国はイランに休戦メッセージを送ったが、イラン側が拒否。
   ・イランは戦争終結を要求する米国内外の世論の高まりを背景に、トランプ政権を揺さぶってきている。
   ・トランプ政権は、中間選挙を前にして「幕引きを急ぐ」はず。

  (3)出口を探るのはイランではなく、トランプ米国の方だ
   ・イランは原油輸送の要衝・ホルムズ海峡を抑える地理的優位を背景に、強硬姿勢を崩していない。
   ・イラン、ホルムズ海峡に機雷を数十個程度敷設を開始、米国CNN報道。

 3)原油高が続いくと、米国経済はスタグフレーション(景気後退+物価高)懸念
  ・原油高はコスト上昇を招くため企業業績は悪化。
  ・消費者支出はマイナスに働く、

 4)米国早期利下げ観測が後退
  ・原油高によるインフレ再加速を抑制するため、むしろ利上げ観測の可能性。

 5)米国株式市場にとって重荷
  ・金利上昇の懸念が増える。
  ・イラン戦闘の長期化で、戦費が急増し、米国財政赤字が急増する可能性。
  ・相互関税の返還で約26兆円もの支出に迫られている。

●3.米国2月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.4%と、1月分と一致(フィスコ)

 1)変動の激しい食品やエネルギーを除いたコアCPIは前年比+2.5%と、予想通り1月水準を維持した。

●4.IEA(国際エネルギー機関)加盟国32カ国が石油備蓄、過去最大の4億バレル放出(TBS)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)3/09、上海総合▲27安、4,096
 2)3/10、上海総合+26高、4,123
 3)3/11、上海総合+10高、4,133

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)3/09、日経平均▲2,892円安、52,728円
 2)3/10、日経平均+1,519円高、54,248円
 3)3/11、日経平均+776円高、55,025円

●2.日本株:年初からの株価は、NYダウと比べると日経平均は高値警戒

 1)恐怖指数(VIX)は3/9に急伸後も高水準が続く
  ・VIX指数の推移
    3/03  29.98
    3/09  57.00
    3/10  32.55
    3/11  42.94
  ・VIX指数からは、警戒が続くと読み取れる。

 2)新高値銘柄数の推移からは、強気が減少している
  ・新高値銘柄数の推移
    3/02  177
    3/03  110
    3/04  3
    3/09  8
    3/10  16
    3/11  36
  ・高値追いの買いが、目立って減っている。高値警戒の表れか? 慎重さが求められているようだ。

 3)日経平均寄与度上位5銘柄の推移
  (1)3/9、日経平均▲2,892円安、寄与上位5銘柄で▲1,612円安・占有率55.73%
   ・寄与上位5銘柄   寄与下げ額    株価下げ額
     アドバンテスト  ▲758円安    ▲2,835円安
     ソフトバンクG   ▲309      ▲ 385
     東京エレクトロン ▲288      ▲2,870
     ファーストリテイ ▲174      ▲2,170
     フジクラ     ▲ 83      ▲2,485
      合計      ▲1,612
   ・3/9、トランプ氏の「イランとの戦争はまもなく終わる」発言が報じられた。

  (2)3/10、日経平均+1,519円高、寄与上位5銘柄で+643円高・占有率42.33%
   ・寄与上位5銘柄   寄与上げ額    株価上げ額
     アドバンテスト  +321円高    +1,200円高
     東京エレクトロン +111      +1,110
     ファーストリテイ +79      +990
     ソフトバンクG   +73      +91
     レーザーテク   +59      +4,410
      合計      +643

  (3)3/11、日経平均+776円高、寄与上位5銘柄で+552円高・占有率71.13%
   ・寄与上位5銘柄   寄与上げ額    株価上げ額
     アドバンテスト  +217      +810
     ソフトバンクG   +205      +256
     フジクラ     +53      +1,585
     東京エレクトロン +50      +500
     任天堂      +27      +812
      合計      +552
   ・日経平均の上げ幅は一時+1,400円を超えたが、買い一巡後は売られ+776円高で終えた。上げ幅を半分近く縮めた。そこに、相場は戻りの勢いの弱さを示している。

 4)日経平均は楽観に傾いているが、イラン戦争は長期化を予測
  ・3/11、米国がイスラエルに対して、イラン石油施設を攻撃しないように要請
   ⇒日経平均はこの報道を好感し続伸。
  ・主要7カ国(G7)による石油備蓄放出の観測を好感し株価上昇。
  ・イラン戦争での下落幅に対し、半値戻しならず。

 5)年初からの株価は、NYダウと比べると日経平均は高値警戒
  ・NYダウ・日経平均の推移
         NYダウ    日経平均
    昨年末 48,063ドル   50,339円
    3/11  47,417     55,025  
    差異 ▲646ドル安   +4,686円高
    騰落率▲1.34%安   +9.30%高
  ・日経平均は最近、大幅安となっている。しかし、年始からの値幅でみると、
    ・NYダウは、弱含み。
    ・日経平均は、強い。
   日経VIX指数は高止まりしており、日経平均の下げ余地があると思われる。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・7309 シマノ    業績好調
 ・7806 MTG     業績好調
 ・7974 任天堂    業績好調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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