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相場展望7月11日 参議院選挙イベントの動向に注目 不透明感を増す7月後半以降の4~6月企業決算
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)7/7、NYダウ+346ドル高、31,384ドル(日経新聞より抜粋)
・米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引締めによる景気減速はあるていど織込まれたとの見方から、買いが優勢だった。
・前日に3カ月ぶりの安値に付けた原油相場が大幅反発するなど、リスク資産全体が強含んだ。
・中国が景気対策で巨額のインフラ投資に動くとの観測も市場心理改善につながった。
・前日にFRBが発表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の6月議事要旨が「想定内の内容だった」との見方から、景気敏感とハイテクを中心に買われた流れが続いた。
・市場では7/8の米雇用統計に注目している。非農業部門雇用者数が予想25.0万人から小幅に下ぶれれば 、「労働市場の過熱が和らいだサインと受け止められ、株買いが強まる」との見方が買いを誘ったようだ。
・中国政府がインフラ投資加速に向け、地方政府に2,200億ドルの特別債発行を許可すると報じられた。これを好感し、欧州株が上げ、米国株にも波及したとの指摘があった。建機のキャタピラーが+5%高、航空機のボーイング・化学のダウ、金融株が上昇。
【前回は】相場展望7月7日 米景気後退近づく、「GDPナウ」「CRB指数」「逆イールド」 日本株、株式先物で外人買い手口がピークアウト、注意
2)7/8、NYダウ▲46ドル安、31,338ドル(日経新聞より抜粋)
・米6月雇用統計で雇用者数の増加が市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)が大幅な利上げに動きやすくなったと見た、売りが出た。
・米経済事態は底堅いとの見方もあり、買い優勢となって上昇する場面もあった。
・雇用統計では、景気動向を映す非農業部門雇用者数が前月比+37.2万人増と、市場予想+25万人増を上回った。平均時給は前年同月比+5.1%上昇と、伸び率は市場予想+5.0%を小幅に上回った。
・FRBが7月米連邦公開市場委員会(FOMC)でも通常の3倍に当たる+0.75%の利上げに動くとの観測が強まった。
・反面、労働市場の力強さを受けて、米経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が相場を支えた。
・景気敏感や消費関連は総じて下げた。反面、ハイテクやディフェンシブの一角は上昇した。
●2.米国株:雇用統計を受け利上げ加速を意識、「逆イールド」に注目
1)米国株は、めずらしく欧州株価下落に反応した。これは、それだけ市場が、米国経済の景気減速・後退に敏感になっていることを示唆したものと思われる。
2)米雇用統計を受け、金利引上げ加速への観測が強まる。
3)米債券市場では金融引締めへの警戒感から、長短金利が逆転するという「逆イールド」が7/5に発生し、7/8まで継続している。これは、債券市場が米国経済を見る目が「インフレから景気後退」に移ってきているとも言える。したがって、「逆イールド」の動向にも目が離せなくなってきた。
●3.米6月雇用統計は+37万人増で好調維持、FRBは大幅利上げ継続へ(朝日新聞)
1)失業率は前月と同じ3.6%。新型コロナ渦前の3.5%の肉薄。全体では深刻な人手不足。
●4.マスク氏、ツイッターへ買収撤回の方針通知、「重大な違反」と主張(朝日新聞)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)7/7、上海総合+9高、3,364(亜州リサーチより抜粋)
・中国経済対策の期待感が相場を支える流れとなった。
・商務部など関係部門は、「自動車の流通を活性化し、自動車消費を拡大するための若干の措置に関する通知」を発表した。自動車消費を拡大することで、経済の安定化、民生の改善を促す考え。各種措置は6項目にわたり、その新エネルギー自動車(NEV)などの購入支援策については、期限の延長を検討するとした。
・中国当局はこのところ、国内景気の腰折れを回避するため、消費刺激や産業支援などの政策を矢継ぎ早に打ち出している。
・国内で新型コロナ感染が再び拡大していることなどを不安視した売りが先行したものの下値は堅く、指数は程なくプラスに転じた。
・業種別では、自動車が急伸、発電・電力設備も高く、反面、医薬品・金融が売られた。
2)7/8、上海総合▲8安、3,356(亜州リサーチより抜粋)
・中国の新型コロナ感染再拡大が不安視される流れ。
・国家衛生健康委員会(NHC)の7/8発表によると、7/7に確認された新規感染(症状あり)で47人、無症状をあわせて全国378人に上った。6日連続で300人を超えた。
・中国経済対策の期待感が高まったことで、下値は限定的。
・業種別では、自動車の下げが目立ち、電力設備・発電・半導体の一角が売られた。反面、ゼネコンはしっかり、銀行・保険・不動産・医薬品・運輸が買われた。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)7/7、日経平均+382円高、26,490円(日経新聞より抜粋)
・前日に公表された6月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の内容が一段の金融引締めに積極的な内容ではなく、投資家の安心感につながった。
・米株価指数先物が上昇すると、日経平均先物にも短期筋の買いが入り、日経平均の上げ幅は一時+400円を超える場面があった。
・このところ下げが目立っていた半導体関連に買いが入った。
・米景気の悪化が懸念されるなか、医薬・通信・食品といったディフェンシブ銘柄が物色され、前日に好決算を発表したイオンは大幅高だった。
・反面、鉄道・百貨店の下げが目立った。
・政府が7月前半に予定していた旅行支援策「県民割」の全国拡大を延期する調整に入ったと伝わり、経済再開への期待から買われていた銘柄に売りが出た。
・国際商品の価格が下がるなかで、石油・海運なども下落した。
2)7/8、日経平均+26円高、26,517円(日経新聞より抜粋)
・前日の米国株高を受け、東京市場でも運用リスクを取りやすくなった投資家からの買いが先行し、上げ幅は一時+400円に迫った。
・米雇用指標が堅調な内容だったことから、景気減速への過度な懸念は和らいだ。
・中国が景気対策として多額のインフラ投資に動くとの観測も、投資家心理を支えた。
・安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃されたと伝わると、急速に上げ幅を縮めた。
・市場では、「元首相を巡る衝撃的なニュースに、短期筋などが反射的に売りを出した」との声があった。
・決算を迎える上場投資信託(ETF)の分配金捻出目的の売りあり、上げ幅を縮小。
・NX・住友鉱・三菱重工が上昇し、エムスリー・大塚・第一三共・味の素が下落。
●2.日本株:参議院選挙イベントと、景気減速・後退の企業業績に注目
1)参議院選挙イベントに動く短期筋の動向に注目
・先週は短期筋の外国人が積極的な買い仕掛けをしたが、国内勢の売りもあり、思うような株価上昇幅とはならなかった。
7/4~8の日経平均の上昇幅 : +582円高・+2.2%
・外国人の株式先物の買い手口が6月下旬から目立っているが、以前よりは執拗な買いが継続している。「参議院選挙イベント」による買いと思われる。過去、自民党優位な選挙結果を見越した仕掛けと見られる。
・外国人の株式先物の買い残高が膨らんでいるため、「手仕舞い売り」に注意したい。なお、この外国人の短期筋の参加者は少数と限られていることにも注目したい。
2)7月後半から4~6月期決算シーズン入り、不透明感が台頭
(1)懸念材料
・輸入物価上昇と円安もあり消費にマイナス影響 ⇒ GDP成長にとって負。
・ただ、輸出企業にとっては、円安は追い風。
・米欧など中央銀行の利上げが、景気減速⇒景気後退⇒企業業績悪化につながる。
・中国の上海・北京での新型コロナ感染が終息するかに見えたが、再拡大の様子が出てきた。中国の経済回復状況に影響を受ける日本経済・企業の動向に慎重な見極めが求められるだろう。
(2)4~6月期決算発表に不透明感が浮上
・米国での企業決算発表に下方修正企業が現れるなど、まちまち企業決算があり株価の乱高下が見られるようになってきている。
・欧州では、ロシア産ガスの供給不安で景気後退懸念が浮上し、欧州株価の下落が米国株式相場に影響を与えるという現象が見られたことに注目したい。今まで米株式市場は、欧州株式相場の影響を受けるのは希であった。それだけ、景気減速・後退に、市場はナーバスになってきたと思われる。
・7月後半から8月上旬にかけて4~6月期決算発表シーズンとなる。前年同期比で営業利益が▲15%減益との観測もあり、注意したい。また、7~9月期以降の利益見通しは楽観的な予想もあり、併せて注視したい。
■IV.注目銘柄(投資はご自身の責任でお願いします)
・3038 神戸物産 物価上昇による消費者の生活防衛需要に期待
・7270 SUBARU 円安効果もあり業績堅調
・9605 東宝 業績上方修正を期待
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