相場展望 7月16日号 米ハイテク株に暗雲――スペースX公募割れ目前、IBM急落で揺れる世界市場

2026年7月16日 14:50

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米国株:スペースXの公募価格割れ寸前、IBMは歴史的暴落と、相場に暗雲
中国株:輸出強いが、内需・不動産は悪化 ⇒ 構造改革が必要
日本株:日経平均は荒い動きを示し、不透明感が増す

■Ⅰ.米国株式市場

●1.NYダウの推移

●1)7/13、NYダウ▲138ドル安、52,498ドル                 (日経新聞)

7/13の米国株式市場でNYダウは前週末比▲0.26%安と、3営業日ぶりに反落した。ホルムズ海峡の通航を巡る不透明感から米国原油先物が上昇し、株式相場の重荷となった。半導体関連に売りが膨らみ、投資家心理が悪化した面もあった。

トランプ米国大統領は7/13、イランに対する海上封鎖を再開するとSNSに投稿した。ホルズム海峡を通航する船舶に対し、全貨物の20%に相当する金額を対価として受け取るとも表明した。米国中央軍は米国東部時間7/14午後4時から海上封鎖を始めると発表した。

イランメディアは7/12、イランの革命防衛隊がホルムズ海峡を再封鎖したと報じていた。米国とイランの攻撃の応酬も続いている。エネルギー輸送の停滞や両国の関係悪化が意識され、7/13の米国原油先物市場ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近8月物は1バレル=78ドル台と、前週末比で+9%あまり上昇した。

米国連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は7/13の講演で、今週発表される物価指標でインフレ率の上振れが確認されれば「米国連邦公開市場委員会(FOMC)は近い将来に利上げを検討する必要がある」と語った。インフレ懸念や米国利上げ観測を背景に、米国長期金利は一時4.62%まで上昇し、米国2年物国債利回りは一時2025年2月以来の高水準を付けた。投資家心理が弱気に傾き、株式には売りが優勢になった。

NYダウの構成銘柄ではないが、7/10に米国預託証券(ADR)を上場した韓国の半導体大手のSKハイニックスは一時▲9.9%安と急落した。他の半導体関連株にも売りが及び、マイクロン・テクノロジーやインテルが下落した。市場では「人工知能(AI)関連の巨額投資の持続性を巡る懸念が半導体株の重荷となっている」との声があった。

NYダウは朝方に上昇する場面があった。高性能の人工知能(AI)がソフトウェアを代替するとの懸念で出遅れていたソフト株に買いが入った。もっともイラン情勢を巡る先行き不透明感が高まり、株式相場は押し戻された。

NYダウの構成銘柄では、エヌビディアやボーイング、ハネウェル・テクノロジーズが下落した。キャタピラーやシャーウィン・ウィリアムズ、ホーム・デポも売られた。一方、セールスフォースやビザ、アマゾンは上昇した。シェブロンやマイクロソフト、ユナイテッドヘルスにも買いが入った。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前週末比▲1.55%安と、4営業日ぶりに反落した。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やブロードコム、アームの下げが目立った。テスラやスペースX、アプライドマテリアルズも下落した。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は▲4.7%安で終えた。

●2)7/14、NYダウ+9ドル高、52,508ドル                  (日経新聞)

7/14の米国株式市場でNYダウは反発し、終値は前日比+0.01%高の5万2,508ドルだった。6月の米国消費者物価指数(CPI)の発表後に早期の利上げ観測が後退し、株式に買いが入った。四半期決算を発表した金融株の一角が上昇したことも相場の支えとなった。

同日発表の6月の米国CPIは前年同月比+3.5%上昇と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想+3.8%上昇を下回った。前月比では▲0.4%低下と市場予想▲0.2%低下を下回り、前月比の低下率が2020年4月以来の大きさだった。食品とエネルギーを除くコア指数は前月比で横ばいと、市場予想+0.2%上昇から下回った。

市場では、「7月の米国連邦公開市場委員会(FOMC)で米国連邦準備理事会(FRB)が政策金利を据え置く可能性を高めた」との受け止めがあった。

ウォーシュFRB議長は7/14の米国連邦議会下院金融サービス委員会で議会証言に初めて臨んだ。インフレの持続的な高まりを「容認しない」と改めて強調した一方、金融政策の方向性については言及しなかった。
「ウォーシュ氏の発言は短期的な『思い切った利上げ』に傾いていなかった」との指摘があった。6月の米国CPIとあわせて市場の早期利上げ観測を後退させ、株式市場の追い風となった。

7/14朝に四半期決算を発表した金融株の一角も高かった。NYダウの構成銘柄では、ゴールドマン・サックスが買われた。2026年4~6月期決算では株式引き受けが好調で、1株利益が市場予想を大きく上回ったことが好感された。JPモルガン・チェースも上げた。

一方、IBMは▲25%安と急落した。7/14朝に2026年4~6月期収益の速報値を公表し、特別項目を除く1株利益は2.93ドルと、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想3.01ドルに届かなかった。このところ顧客が人工知能(AI)インフラの設備投資を優先し、ソフトウェア支出を減らす動きがあるとした。マイクロソフトやセールスフォースといったソフト株に売りが波及した。

トランプ米国大統領は7/14、自身のSNSへの投稿で、ホルムズ海峡を航行する全ての貨物に対して20%相当の対価を求めるとの提案を撤回した。代わりに中東の湾岸諸国と貿易・投資協定を結ぶとした。一方、イランに入出航する船舶を対象に海上封鎖をする考えを示した。同日はペルシャ湾の島で爆発音が聞こえたとも伝わった。

米国原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近8月物は前日比+1.5%高の79.34ドルとなった。中東のエネルギー供給を巡る不透明感はくすぶるが、「目新しい動きではない」との見方があり、米国株式相場への影響は限られた。

その他のNYダウの構成銘柄では、エヌビディアやアルファベット、ボーイングが買われた。半面、メルクやアムジェンといったヘルスケア株が売られた。ナイキとコカ・コーラも下げた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前日比+0.90%高と反発した。

●3)7/15、NYダウ+150ドル高、52,658ドル                (日経新聞)

7/15の米国株式市場でNYダウは続伸し、前日比+0.28%高の5万2,658ドルだった。同日発表の6月の米国卸売物価指数(PPI)は市場予想を下回った。米国連邦準備理事会(FRB)による早期利上げ観測が一段と後退し、株式の買いにつながった。

6月の米国PPIは前月比▲0.3%低下し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想の横ばいを下回った。前日発表の6月の米国消費者物価指数(CPI)に続き、市場予想を下回った。

米国短期金利先物の値動きから金融政策を予想する「フェドウオッチ」ではFRBが9月までに利上げする確率が前日から低下した。7/15の米国債券市場では長期金利が低下(債券価格は上昇)した。株式の相対的な割高感が薄れ、株式相場を支えた。

NYダウは下落する場面があった。NYダウの構成銘柄ではないが、マイクロン・テクノロジーやアプライドマテリアルズといった半導体関連株に売りが広がり、投資家心理の重荷となった。

市場では「半導体関連株は不安定な値動きが続いているため、利益確定目的の売りが出やすい」との指摘があった。
NYダウの構成銘柄では、アルファベットやマイクロソフト、アマゾンが上昇した。アップルは最高値を更新した。中国での人口知能(AI)サービス利用が承認されたと伝わり、買いが入った。

半面、シスコシステムズやキャタピラーが下落した。前日に急落したIBMに売りが続いた。朝に四半期決算を発表したジョンソン・エンド・ジョンソンも安かった。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、終値は前日比+0.62%高の2万6,269だった。メタプラットフォームズなどが上昇した。半面、韓国半導体大手・SKハイニックスの米国預託証券(ADR)が下落した。スペースXは6月の上場以来初めて公開価格を割り込む場面があった。

●2.米国株 : スペースXの株価は公募価格割れ寸前、IBMは歴史的暴落と、ハイテク株相場に暗雲

●1)米国株式、好調な銀行決算やCPI鈍化を受け上昇

⑴米国主要株価指数(前日比)
7/14     7/15
NYダウ     +0.02%高   +0.29%高
ナスダック総合 +0.90     +0.62
S&P500種    +0.38     +0.38
半導体株(SOX)  +2.54     ▲2.08%安

NYダウは7/14に+9ドル高とわずかな上昇にとどまる。全体としては、強いとはいえない。

⑵消費者物価指数(CPI)やコア指数が、6月は5月よりも鈍化したことも、好感された。
5月 ⇒  6月
消費者物価指数  +4.2%  +3.5% 市場予想+3.8%をも下回った
コア指数     +2.9   +2.6

イラン情勢の再緊迫化でホルムズ封鎖が再開され、原油先物価格が80ドル台に急伸している。このため、7月以降の消費者物価指数の上昇が見込まれる。

●2)スペースXの株価は公募価格割れ寸前、IBMは歴史的暴落と、ハイテク株相場に暗雲

⑴スペースXの上場来の株価推移
6/12       160.95ドル  新規上場、公募価格135ドル比で+19.2%高
6/15   190.50        前日比+19.6%高
6/16 201.80          +4.8%、株価上昇に勢い弱まる
6/17   191.82        ▲ 4.9%安
6/18    185.00       ▲ 3.5%安
6/22        154.60    ▲16.4%安
7/07         149.47   ナスダック100に採用日、前日比▲6.83%安
7/15         135.27   公募価格135ドル付近まで下落

⑵ナスダック100に採用は、株高要因であったにもかかわらず、下落が続く。しかも、7/15には公募価格割れ寸前。
⑶ハイテク株牽引期待が大きかっただけに、投資家のマイナス反応に注意したい。

●3)IBM株価が7/14、歴史的暴落で▲25%安、AIが既存のソフトウェアを代替すると深刻化

⑴IBM株価推移
7/13  290.23ドル
7/14         217.11   7/13比▲25.19%安
7/15          211.33  7/13比▲27.18%安

⑵人工知能(AI)のあおりをモロに受けるか?注目銘柄となる。

●4)トランプ・ホルムズ海峡通航料20%は、法外に高く日本経済に悪影響大⇒20時間後に撤回

⑴ホルムズ海峡通航料
トランプ通航料  貨物の価値の20%
イラン通航料   1.25%  (1バレル=1ドル、原油価格80ドルだと1.25%)
⑵戦争危険保険料では現在5%前後
⑶日本は原油輸入の93%をホルムズ海峡経由して調達しているため、トランプ通航料では日本経済への悪影響が大きい。日本のガソリン価格は1リットル=+12~+14円高が見込まれる。
⑷トランプ氏は、湾岸諸国からの投資提案を受け、発表後20時間で撤回した。


●3.ウォーシュ米国FRB議長、下院金融サービス委員会で「高止まりするインフレを容認しない」と表明(時事通信)


●4.6月米国消費者物価(CPI)+3.5%上昇、原油下落で3年ぶり大幅減速       (時事通信)

1)米国・イランの停戦合意の覚書署名に伴う原油価格下落を受け、伸び率は前月+4.2%から鈍化、市場予想を下回った。減速幅は2023年6月以来、3年ぶりの大きさだった。
2)変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は+2.6%と、前月+2.9%から鈍化、市場予想も下回った。

●5.トランプ氏7/14、ホルムズ海峡「通航料20%」を事実上撤回、湾岸諸国との協定で代替(ロイター)

1)ホルムズ海峡の通航料の代わりに、湾岸諸国による米国への投資という提案があったため。
2)ホルムズ海峡はイランを除く全ての船舶に開放。全面的な封鎖は、イランの港に出入りする船舶とイラン関連の貨物を運搬する船舶に限る。

●6.米国6月財政赤字▲1,200億ドル、前年黒字+270億ドルから反転、違法関税の還付増で(ロイター)

1)6月歳入総額   4,960億ドル   前年同月比▲6%減
6月歳出総額   6,160      前年同月比+23%増
差引・財政赤字▲1,200億ドル
2)2025年10月~2026年6月の財政赤字は▲1兆3,700億ドル(約223兆円)となり、前年同期比で財政赤字は2%拡大した。                             (TBS)

●7.ウォラーFRB理事、インフレ高止まりなら「近い将来」利上げの可能性         (ロイター)


■Ⅱ.中国株式市場


●1.上海総合指数の推移

●1)7/13、上海総合▲82安、3,913                   (亜州リサーチ)

週明け7/13の中国本土マーケットで上海総合指数は、前週末の軟調な地合いを継ぐ流れとなり、前営業日比で▲2.06%安と続落した。4/7以来、約3ヵ月ぶりの安値水準に落ち込んだ。
中国経済動向を見極めたいとするスタンスが引き続き重しとなった。中国では今週、6月の月次経済統計が集中して公表される予定。7/14に貿易統計、7/15に小売売上高や鉱工業生産などのほか、4~6月期のGDP成長率など。金融統計も7/15までに報告される。注目のGDP成長率に関しては、伸び率が前年同期比+4.5%増にとどまり、前四半期の+5.0%増から縮小する見通しだ。
そのほか、中東情勢の不透明感も逆風となっている。イランメディアは7/12、イラン精鋭部隊「革命防衛隊」がオイルロードの要衝ホルムズ海峡を無許可で通航しようとした船舶を攻撃し、海峡を封鎖したと報道した。米国中央軍はその後、イランへの報復措置として、約140ヵ所のイラン軍事施設を攻撃したことを明らかにした。7/13の原油相場を大幅に上昇している。
韓国の半導体株安もネガティブ材料だ。先週末の米国市場で米国預託証券(ADR)を上場し、好スタートを切った世界最大級の半導体メーカー・SKハイニックス株が今日の韓国市場で一時▲16%超下落した。
業種別では、ハイテクの下げが目立つ。宇宙・軍需産業も急落した。素材、自動車、インフラ建設、不動産、空運、医薬なども売られた。半面、石油・石炭は高い。銀行・保険、海運、食品飲料も買われた。

●2)7/14、上海総合+53高、3,967                   (亜州リサーチ)

7/14の中国本土マーケットで上海総合指数は、投資家心理が上向く流れとなり、前日比+1.36%高と3日ぶりに反発した。
中国景気の過度な減速懸念が薄らいでいる。取引時間中に発表された6月の貿易統計では、米国ドル建て輸出が+27.0%増と減速予想+19.0%増に反し、前月+19.4%増から加速した。米国ドル建て輸入も+36.0%増と、増加率が前月実績+27.4%増から拡大し、市場予想+26.1%増を上回った。
商品市況高も追い風。7/14の上海期貨交易所(上海商品先物取引所)では、アルミや銅など主要な非鉄金属の先物が高く推移している。そのほか、NY金先物は7/14の時間外取引で反発した。WTI原油先物は大幅上昇した。
中東情勢の緊迫化や、中国経済動向を見極めたいとするスタンスなどで、株価指数は安く推移していたものの、後場に入りプラスとなった。
中国では明日7/15、6月の月次経済統計や4~6月のDGP成長率が公表される予定だ。
業種別では、非鉄や産金、石油など資源関連の上げが目立つ。ハイテクも物色された。医薬も急伸した。不動産、消費、運輸、公益、自動車、保険・証券なども買われた。半面、銀行の一角は冴えない。宇宙・軍需産業の一角も売られた。

●3)7/15、上海総合▲11安、3,955                   (亜州リサーチ)

7/15の中国本土マーケットで上海総合指数は、中国経済を巡る不透明感が重しとなる流れで、前日比▲0.29%安と反落した。
取引時間中に公表された中国の4~6月期のGDP成長率は+4.3%にとどまり、市場予想+4.5%以上に前四半期(1~3月)の+5.0%から減速した。中国政府が設定した成長率目標「+4.5~+5.0%」も下回っている。ほか、月次経済統計では、6月の小売や鉱工業生産は予想を上回ったものの、1~6月期の固定資産投資や不動産開発投資は予想以上に縮小した。
もっとも、株価指数は下値を叩くような売りはみられない。中国経済対策の期待感が支えだ。
中国政府は足元で、消費拡大を促す政策を打ち出すなど、景気重視のスタンスを示している。
業種別では、ハイテクの下げが目立つ。非鉄・レアアース、産金も安い。軍需産業、電設なども売られた。半面、消費関連は高い。医薬、自動車、不動産、金融、エネルギー、運輸も買われた。


●2.中国株 : 輸出は強いが、内需・不動産は悪化・中東情勢で原油高が追打ち ⇒ 構造改革必要


⑴中国経済を、牽引する輸出
➀過剰生産・内需不振による国内競争激化のため、強烈な輸出攻勢。
②しかし、EUなど輸出国の不満が高まり、規制強化がすすむ。

⑵中国景気悪化要因
➀不動産不況が約3年続き、冷え込みが目立つ。
②家計消費は低迷が継続。
③米国・イラン紛争に伴う原油高で、コスト・物価高。
④国内内需減・価格競争激化で国内企業は利益激減。

⑶中国の構造改革は必要だが、立ちはだかる過去政策の見直し
➀民退・国進
②不動産
③過度な補助金
④トップダウン方式


●3.中国不動産投資、1~6月は前年比▲18%と減少続く、1~5月は▲16.2%減少していた(ロイター)

1)               1~6月    1~5月
不動産販売(床面積ベース) ▲11.6%減  ▲10.8%減
新規着工(床面積ベース)  ▲23.4    ▲22.6
不動産ディベロパー調達資金 ▲20.2    ▲19.0

●4.中国4~6月のGDP成長率+4.3%に減速、通年目標を下回る             (TBS)

1)前3ヵ月の成長率問い比べ伸び率が▲0.7%縮小し、景気の減速傾向が示された。
2)中国政府は通年での経済成長率の目標を「+4.5%から+5%」と設定していたが、この目標も下回った。

■Ⅲ.日本株式市場

●1.日経平均の推移

●1)7/13、日経平均▲1,315円安、67,242円                 (日経新聞)

7/13の東京株式市場で日経平均は前週末比▲1.92%安と、3営業日ぶりに反落した。韓国株が大幅に下落し、東京市場でも人工知能(AI)・半導体関連株などに売りが波及した。中東情勢の緊迫も重荷となり、海外勢などによる日経平均先物への断続的な売りに押れて、日経平均の下げ幅は▲1,900円を超える場面があった。

7/13午後の韓国株式市場で半導体株の比重が大きい韓国総合株価指数(KOSPI)が一段安となり、取引を一時中断する「サーキットブレーカー」が発動された。半導体のSKハイニックスの米国預託証券(ADR)が7/10、米国ナスダック市場に上場した。同社の韓国上場株はADR上場期待でこれまで上昇してきた面もあり、イベントを通過したことによる利益確定売りが膨らんだ。韓国株の下落に歩調を合わせ、東京市場でもキオクシアのほか東京エレクトロンやアドバンテストなどのAI・半導体関連株が一段安となり、日経平均を下押しした。

イランメディアは現地時間7/12、イランの革命防衛隊がホルムズ海峡を再封鎖し、いかなる船舶の通航も認めないと宣言した、と伝えた。米国もイラン側への攻撃を実施するなど両国の攻撃応酬が続く。原油価格の上昇による景気や企業業績の悪化への懸念も日本株の売りを促した。

半導体受託生産の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)は日本時間午後、6月の月次売上高を発表した。売上高は前年同月を30か月連続で上回った。堅調な売上高推移を好感したとみられる買いが日本株にも波及し、日経平均は大引けにかけて下げ渋った。「韓国株の大幅安で悪化していた地合いの改善につながった。もっとも、TSMCは週内に四半期決算の発表を控えているので、内容を確認する必要はある」との指摘があった。

朝方は前週末の米国株式相場の上昇を引き継いだ買いが先行し、日経平均は+500円あまり上昇する場面があった。銀行株が堅調に推移し、金利の先高観が強まるなかで三菱UFJは上場来高値を更新し、時価総額は初めてトヨタやキオクシアを抜いて首位となった。

東証株価指数(TOPIX)は▲0.70%安と、3営業日ぶりに反落した。JPXプライム150指数も▲0.55%安と、3営業日ぶりに反落して終えた。

東証プライムの売買代金は概算で10兆127億円、売買株数は19億7,558万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は941、値上がりは571、横ばいは46だった。
個別銘柄では、イビデンや太陽誘電、TDKが下げた。一方、良品計画やリクルート、テルモは上げた。

●2)7/14、日経平均+500円高、67,743円                  (日経新聞)

7/14の東京株式市場で日経平均は前日比+0.74%高と反発して終えた。前日の米国ハイテク株安を受けて、朝方に▲1,000円近く下げた後は、目先の反発を狙った海外短期筋による株価指数先物などへの打診買いが入った。後場は韓国総合株価指数(KOSPI)の持ち直しや原油高の一服を支えに上げ幅を広げた。

前日の米国株式市場で半導体関連に持ち高調整売りが膨らんだ流れで、7/14の東京市場でも売りが先行した。しかし、SKハイニックスやサムスン電子の上昇を支えにKOSPIが持ち直したことや、日本時間7/14の時間外取引で米国ナスダック100指数先物が一時上昇に転じたことを支えに日本株にも買いが向かった。このところ調整色を強めていた日本株だが、短期的な自律反発を狙った打診買いが先物などに優勢となった。

今週はオランダのASML、台湾積体電路製造(TSMC)の四半期決算の発表を控えている。半導体の成長期待は根強く、7/14の東京市場ではアドバンテストやキオクシアが朝安後に上昇に転じ、後場は上げ幅を拡大する展開だった。

ホルムズ海峡の航行不安を背景にニューヨーク原油先物は日本時間7/14の時間外取引で1バレル=80ドル台まで上昇する場面があった。インフレによる世界景気の先行き懸念は投資家心理の重荷になった。ただ、原油先物は伸び悩む展開となり、株売りを急ぐ要因にはならなかった。

東証株価指数(TOPIX)は前日比+0.79%高と反発した。JPXプライム150指数も+0.95%高と、反発して終えた。
東証プライムの売買代金は概算で10兆7,628億円、売買株数は24億22万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1,185と全体の76%だった。値下がりは327、横ばいは46だった。

個別銘柄では、ソフトバンクG(SBG)、リクルート、TDK、日東電工が上昇した。一方、ファーストリテイ、イビデン、フジクラ、ファナックが下落した。

●3)7/15、日経平均+1,008円高、68,751円                 (日経新聞)

7/15の東京株式市場で日経平均は前日比+1.49%高と、続伸した。前日の米国ハイテク株高を手掛かりにした人工知能(AI)・半導体関連株が買われ、日経平均を押し上げた。7/15のアジア市場でハイテク株比率が高い台湾や韓国の株価指数が上昇したほか、オランダの半導体製造装置会社・ASLMが好決算を発表したのも追い風となった。

ASLMは日本時間7/15午後、2026年12月期通期の売上高見通しの上限を400億ユーロから450億ユーロに引上げたと明らかにした。併せて公表した2026年4~6月期決算では、売上高などが市場予想を上回り、7~9ヶ月の売上高見通しも市場予想を超えた。

ASLMのクリストフ・フーケ最高経営責任者(CEO)は声明で、AIの急速な進化に伴って先端半導体の需要が高まるなか受注は好調で「長期的な需要に対する可視性を高めている」と説明した。半導体製造装置の需要が旺盛だとしてレーザーテクや東京エレクトロンが午後に一段高となり、日経平均も上げ幅を広げた。

7/14の米国市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が+2%あまり上昇するなど、ハイテク株の上げが目立った。7/15は台湾加権指数が堅調に推移したほか、半導体株の比重が大きい韓国総合株価指数(KOSPI)の上昇率は+8%を超える場面もあった。過剰投資への懸念から売り込まれていたAI・半導体関連株には見直し買いが入った。

東証プライム市場の値上がり銘柄数は1,152と全体の7割強を占めた。7/14に好決算を発表した米国金融大手・ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースの株価が上昇し、東京市場では三菱UFJや野村が買われるなど、銀行や証券の上げも目立った。プライム市場では値下がり銘柄数が371、横ばいが35にとどまり、幅広い銘柄に資金が流入した。

日経平均は上げ幅を+90円ほどに縮める場面があった。7/14は顧客企業がIT関連予算をAIインフラに絡むハードウェアに優先して振り向けている傾向があると明かした米国IBMの株価が急落し、富士通やNEC、野村総研などソフトウエア関連銘柄が軒並み下げた。「日本でもソフトウェア投資が鈍るとの連想が働きやすかった点は投資家心理の重荷になった」との声が聞かれた。

東証株価指数(TOPIX)は続伸し、終値は+1.22%高の4,088だった。JPXプライム150指数も続伸し、+0.85%高と1,709で終えた。
東証プライムの売買代金は概算で9兆5,675 億円、売買株数は21億1,839万株だった。

個別銘柄では、アドバンテストやキオクシアが高い。イビデンやフジクラ、太陽誘電も上昇した。一方、ソフトバンクG(SBG)やファーストリテイが安い。コナミやベイカレント、ニチレイが下落した。

●2.日本株 : 日経平均は荒い動きを示し、不透明感が増す

●1)日経平均の日中の動き

⑴7/13の日経平均
前日終値  (68,557円)
始値   ▲147
高値 +521         米国株高を背景に買いが波及
安値       ▲1,904 海外勢の先物売り、韓国株の下落でAI半導体株売り   
終値      ▲1,315   台湾TSMCの売上好調が波及し、下げ渋った 
(67,242円)

⑵7/14の日経平均
前日終値   (67,242円)
始値       ▲240   中東情勢悪化・米国株安を受け下落
安値         ▲956 トランプ・ホルムズ海峡の高額通航料で下落
高値   +558       韓国株の切り返しを受け反発、海外筋の先物買い
終値    +500       孫SBG会長のAIインフラ投資予測を好感
(67,743円)

海外短期筋による目先の自律反発を狙って株価指数先物に買いが入った。
ソフトバンクG(SBG)の孫会長兼社長は、2040年の世界のAIインフラ投資が年5兆ドル(約800兆円)になるとの見方を示したことで、日経平均は好感して上昇。
SBG、キオクシア、アドバンテストが買われ、日経平均を押し上げた。

⑶7/15の日経平均
前日終値    (67,743円)
始値      +246      米国ハイテク株高が波及
高値  +1,055         AI・半導体株上昇、蘭ASML好決算が支え
安値          +90
終値  +1,008
(68,751円)

安川電機株が業績悪化で7/13・14と一時ストップ安水準と急落する 
安川電機株価の推移
7/03   7,479円
7/14       5,436   7/3比▲27.31%安
7/15        5,490
基幹システムの移行による一時的な操業度低下を受けて、製品出荷が後ろ倒しになっただけ。本業の稼ぐ力が低下したわけではない。

●2)日経平均を動かす、寄与上位5銘柄の状況

⑴7/13、日経平均▲1,315円安に占める上位寄与銘柄の寄与額▲844円安、占有率64.18%
銘柄         寄与額    下落率     株価下落幅
アドバンテスト    ▲244円安  ▲ 3.39%安   ▲1,010円安     
キオクシア      ▲232    ▲12.86     ▲9,900
東京エレクトロン   ▲165    ▲ 2.25     ▲1,640
イビデン       ▲108    ▲ 7.93     ▲1,610
太陽誘電       ▲ 95    ▲18.21     ▲2,830
合計        ▲844円安

マイナス寄与上位6~10位は、TDK▲94円、ファーストリテイ▲71円、村田製作所▲64円、安川電機▲34円、ファナック▲33円。
プラス寄与は、良品計画+41円、リクルート+11円、HOYA+8円、KDDI+8円。

⑵7/14、日経平均+500円高に占める上位寄与銘柄の寄与額+500円高、占有率100.00%
銘柄         寄与額    上昇率     株価上昇幅
アドバンテスト    +231円高  + 3.31%高   + 955円高     
ソフトバンクG     +169    + 3.30     + 210
キオクシア      + 47    + 2.98     +2,000
リクルート      + 31    + 2.51 + 310
信越化学       + 22    + 1.78     + 131
合計        +500円高

⑶7/15、日経平均+1,008円高に占める上位寄与銘柄の寄与額+986円高、占有率97.81%
銘柄         寄与額    上昇率     株価上昇幅
アドバンテスト    +419円高  + 5.83%高   +1,735円高     
東京エレクトロン   +313    + 4.37     +3,110
キオクシア      + 94    + 5.79     +4,000
イビデン       + 91    + 7.56     +1,360
フジクラ       + 69    + 7.19     + 345
合計        +986

プラス寄与銘柄6~10位は、レーザーテック+62円、信越化学+37円、ファナック+28円、太陽誘電+25円、SCREEN+21円。
プラス寄与銘柄でオンパレードの展開。
マイナス寄与は、ソフトバンクG▲172円、ファーストリテイ▲77円、ベイカレント▲16円、コナミ▲15円、テルモ▲14円。

●3)韓国総合(KOSPI)は年初から急騰し約2倍高も、6/22高値から7/13は▲25.32%急落

⑴KOSPIの推移
1/02       4,309
6/22  9,114        1/2⇒6/22まで+4,805高
7/13    6,806     6/22⇒7/13まで▲2,308安・▲25.32%安
年初からの上昇幅の▲48.03%を食いつぶした
7/14     6,856
7/15    7,284      急落も小康を保つ

⑵SKハイニックスの米国預託証券(ADR)の上場期待で株価急騰していたため、上場という事実で利益確定売りが膨らんだ。

●4)日経平均は荒い動きを示し、不透明感が増す

⑴日経平均の強弱の推移
6/23~24        ▲3,179円安
6/25     + 3,191円高
6/26          ▲3,005円安
6/29~7/01    +1,114円高
7/02         ▲1,741円安
7/03       +1,010円高
7/06~08        ▲2,925円安
7/09~10    +1,738円高
7/13         ▲1,315円安
7/14~15    +1,508円高

⑵短期間、それも1~2日間で、激しく大幅に日経平均が動くリズムとなっている。しかも、AI・半導体関連株で。
⑶このリズムなら、本日7/16、下げが小さければ7/17まで大きく下げる可能性がある。

■Ⅳ.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

・4385 メルカリ     業績絶好調
・6506 安川電機     業績好調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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