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相場展望4月21日号 5月格言「セル・イン・メイ」、決算イベントで資金化 FRBのQT、悪い円安の織込みは、これから
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)4/18、NYダウ▲39ドル安、34,411ドル(日経新聞より抜粋)
・原油が一時109ドル後半と上昇し、ガソリン高が消費の冷え込みにつながるとの見方から消費関連が売られ、ディズニー▲2%・ナイキ、景気敏感のボーイングが売られた。
・米長期金利が一時2.88%と2018年以来の高水準を付け、利ざや改善を見込んで金融が買われて、相場を下支えした。
・米金利高を受けてナスダック総合指数は続落し、バイオ医薬・医療機器が売られた。反面、半導体の上げが目立ち、テスラ・アマゾンが高い。
【前回は】相場展望4月18日号 日経平均は分岐点、3月決算発表イベント攻防開始
2)4/19、NYダウ+499ドル高、34,911ドル(日経新聞より抜粋)
・米連邦制度理事会(FRB)が米金融引締めを進めても米景気は底堅さを保つとの見方から、好決算発表の銘柄のほか、出遅れていた消費関連や景気敏感株に買いが入った。ナイキ+4%高、ボーイング+3%高、ディズニーやスリーエムの上昇も目立った。金利上昇で利ざや拡大を見込んで金融も買われ、ハイテクも買い直された。
・決算発表が進むにつれて、高インフレが米企業収益を急速に圧迫するとの過度の懸念は和らぎつつある。
3)4/20、NYダウ+249ドル高、35,160ドル(日経新聞より抜粋)
・IT(情報技術)大手のIBMなど市場予想を上回る1~3月期決算を発表した銘柄が買われ、P&Gの2銘柄でNYダウを+88ドル高と寄与し、相場の上昇を牽引した。
・インフレ高止まり、米金融引締めのなか景気や企業業績は底堅いとの見方も後押しした。
・一方、ネットフリックスが契約者減で▲35%安と暴落、連想売りでディズニー▲6%安。
・ハイテクの多いナスダック総合指数は▲1.2%安、テスラ・エヌビディアが下落した。
●2.米国株:株式市場はQTを控えており、5月格言「セル・イン・メイ」に従うのも一案
1)3月米輸入物価指数は前年同月比+12.5%上昇と大幅な伸びとなった。前月比でも+2.5%上昇。楽観と悲観が交互に入れ替わる、方向感に欠けた捉えにくい上下を繰り返している。米株式市場が、気迷い状況に入ったのが気になるところ。
2) 米FRBは、FF金利の誘導目標をやっと3月に+0.25%引き上げたが、最終的に+3%あるいは+4%まで引き上げられても驚かない。ただ、FRBの膨れ上がったバランスシート8兆9,000億ドルの縮小(QT)はまだ始まっていないし、QTの株式市場への織り込みはこれからだろう。つまり、実際の金融環境は非常に緩和的な状態が継続し、過剰マネー相場は続いている、ということだ。
3)米債券市場は、FRBの金利引き上げを折り込み始めており、年初からの債券価格は▲8%下落となっている。NYダウは年初からの下落率は▲3.2%で、債券の方が金融引締めを多く織込んでいる。債券市場の参加者は、株式市場の参加者よりもプロが多い。そのため、債券市場の動向の方が、先行き見通しが冷静で正確といわれるので参考にしたい。
4)4/20の米株式市場は好決算でNYダウは上昇、ハイテクの多いナスダック総合は▲166安・▲1.2%安と、マチマチの展開となった。特に、動画配信のネットフリックスが契約者減で大幅に売られ▲35%安と暴落するなど荒っぽい乱高下が気になる動きが目についた。
5)5月の格言に「セル・イン・メイ」があるが、今年は格言に従った方が良さそうだ。1~3月の株価が下落した年の、5月の過去事例は下落する確率が高くなっている。4/18の週から四半期決算発表が本格化している。米企業業績は好調で、株価は素直に好反応し始めている。翌週がピークを迎えるが、この「決算発表イベント」を捉えて資金化することが賢明と思われる。
●3.米世帯、今後1年間で住宅価格7%、家賃11.5%の大幅上昇を想定=NY連銀調査(ロイター)
1)昨年調査では、住宅価格5.7%、家賃6.6%の上昇見込みだった。
●4.世界銀行、「2022年の世界経済成長率+4.1%⇒+3.2%へ引下げ」(フィスコ)
●5.国際通貨基金(IMF)、世界経済見通しを大幅下方修正、物価高・利上げ響く(毎日新聞)
1)経済見通し: 2022年(1月見通し比)
世界 先進国 新興国 米国 ユーロ圏 日本 中国 インド ロシア ウクライナ
3.6% 3.3 3.8 3.7 2.8 2.4 4.4 8.2 ▲8.5 ▲35.0
▲0.8% ▲0.6 ▲1.0 ▲0.3 ▲1.1 ▲0.9 ▲0.4 ▲0.8 ― ―
2)インフレ率見通し: 2022年(1月見通し比)
先進国 新興国
5.7% 8.7
+1.8% +2.8
●6.ロシア、ウクライナ関連
1)ロシア進出の日系企業168社の約4割の60社が事業停止(レスポンス)
2)モスクワ市長、外国企業撤退で20万人が失職も(ロイター)
3)ロシア物価上昇率、この1カ月半で+7.5%上昇、年率換算+17.5%、20年ぶり(TBS)
4)プーチン大統領、ウクライナのブチャに侵攻した部隊に名誉称号を授与(テレ朝)
5)外国銀行のロシア向け債権15兆円、IMFが市場混乱リスクと警鐘(読売新聞)
・ウクライナ向け債権は1.4兆円。
●7.台湾TSMC、半導体3nm量産体制2022年後半に、2nm生産は2025年頃(GAZINE)
●8.リビアが最大油田閉鎖、原油生産は日量▲53.5万バレル減少、首相退陣要求デモ(ブルームバーグ)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)4/18、上海総合▲15安、3,195(亜州リサーチより抜粋)
・徐々に売りの勢いが強まったが、中国経済対策への期待感に支えられ下値は限定的。
・中央銀行の中国人民銀行は4/15、銀行の預金準備率を▲0.25%引下げを発表した。地方銀行には▲0.50%を適用し、景気下支えの効果が期待されている。
・業種別では、金融・石炭・不動産の下げが目立ち、印刷・包装・石油も売られた。反面、電子部品・プラスチック製品などは買われた。
2)4/19、上海総合▲1安、3,194(亜州リサーチより抜粋)
・中国景気の先行き不安が重石となる流れだった。
・中国の3月経済指標を受け、主要証券会社が中国の経済成長見通しを相次いで下方修正しているが、経済対策に対する期待感の高まりもあり、下値は限定的。
・中国人民銀行(中央銀行)と国家外貨管理局は4/18、新型コロナ渦で苦戦する企業・産業の支援、経済循環の促進、輸出の発展を目標とした措置23項目を発表した。
・業異種別では、ITハイテク関連の下げが目立ち、医薬品・空運・金融が売られた。反面、石油・石炭は高く、素材・不動産・メディア・ゼネコン・発電設備が買われた。
3)4/20、上海総合▲42安、3,151(亜州リサーチより抜粋)
・中国政府の金融政策に失望した流れとなった。
・中国人民銀行(中央銀行)公表、4月最優遇貸出金利が市場予想に反し3カ月連続で据え置かれ、預金準備率も▲0.25%引下げと、過去最小幅にとどまった。
・中国の新型コロナ新規感染者数は減少に向かい、上海市では工場操業再開し始めた。
・業種別では、不動産・エネルギー・ハイテク・医薬が下落、観光・空運が買われた。
●2.中国GDPは1~3月期+4.8%成長も、政府目標「+5.5%前後」を下回る(時事通信)
1)要因は、(1)新型コロナ感染再拡大 (2)ウクライナ情勢。
2)政府目標を下回っており、政府は金融緩和やインフラ投資で景気下支えを図る。
●3.中国の預金準備率引下げは「保守的」で、利下げ余地少ない(ロイターより抜粋)
1)中国人民銀行は4/15、預金準備率を▲0.25%引下げ発表したが、下げ幅が小幅なのはインフレや米金融引締めを懸念している可能性があると指摘。
2)人民銀行が中国からの資本流出という波及効果を懸念しており、利下げを実施すれば、波及効果が増幅するとの懸念があるとも指摘。
3)人民銀行は今後、利下げではなく、与信の拡大を優先するとの見方をシティは示した。
●4.中国では西安市や河南省鄭州市など45都市で何らかの封鎖措置がとられている(ZAKZAK)
●5.上海の日系企業、約7割が物流停止(NNA)
●6.中国テクノロジー株、香港市場で4/19急落、規制強化や米上場廃止巡り懸念(ブルームバーグ)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)4/18、日経平均▲293円安、26,799円(日経新聞より抜粋)
・米長期金利が2.8%に上昇、中国経済の減速懸念に加え、ウクライナ情勢を巡る不安が根強く市場参加者が少なく閑散相場のため値動きが激しくなりやすいなか、幅広い銘柄に売りが出て、一時▲500円超の下落場面があった。
・中国では新型コロナ感染拡大で、上海市など主要都市で都市封鎖や移動制限の感染対策がとられ、消費や生産にも影響が出て、機械・化学などの景気敏感株が売られた。
・ロシアのウクライナ攻撃のなか、穀物や石油など資源価格の上昇への警戒は根強い。主要企業決算発表を前に業績に悪影響が出ることへの懸も意識された。
・売り一巡後、主力銘柄に売り方の買い戻しが入り、大引けにかけて下げ幅を縮めた。
2)4/19、日経平均+185円高、26,985円(日経新聞より抜粋)
・前日の米半導体が+1.9%上昇した流れを受け、東エレクやアドテストが上げ、円安で128円前半になりトヨタ・日産・マツダなど輸出関連が物色され、ジェイテクト・住友鉱などが買われ、上げ幅は一時+300円を超えた。
・米金融政策など不透明要因も多いなか、27,000円を超える水準では、ファストリ・ソフトバンクG・エムスリーなどに戻り待ちや利益確定売りが出て上値を抑えた。
・ロシア軍がウクラキナ東部への攻勢を強め、停戦合意に向けた見通しが立たないことも相場の重荷になった。
3)4/20、日経平均+232円高、27,217円(日経新聞より抜粋)
・前日の米国株相場の上昇を背景に、ファストリなど主力株に買いが集まり、円安進行もありトヨタなど輸出株にとって追い風となり、上げ幅は一時+400円超となった。
・円安・ドル高は、輸入物価の高騰につながる側面もあり、供給網混乱の影響が長期化する懸念も根強いなか、決算シーズンで企業が示す業績見通しは慎重な内容になるとの見方が多く、様子見ムードから日経平均は上げ幅を縮めた。東エレク・アドテスト・NTTデータ・TDKが下落した。
●2.日本株:米FRBのQT、悪い円安の市場織り込みは、これから
1)米国動向では(1)利上げ (2)QT(量的緩和縮小)への警戒感を意識される局面があろう。
2)閑散取引 4/18、売買金額1兆8,721億円(8億3,481万株)
3)日米金利差拡大はますます広がるので、「悪い円安」傾向が強まりそう。日本株は「円安」で輸出関連株買いに向かっているが、「円安は、今や日本全体にとって悪影響を及ぼす」に気がつき始め、これから日本株に織り込んでくるはず。円安は、トータルでみると、物価高・企業業績悪化・貿易収支悪化を招く。日銀・政府の円安阻止への具体策の動きは見当たらず、口先介入にとどまっている。特に、日銀の黒田総裁の「円安は日本経済にとってプラス」発言は、市場は覚えている。日銀に対する、市場の信頼は薄らいでいるのが気がかり。
●3.急な円安に警戒感、財務相「悪い円安」、日銀総裁「マイナスにも考慮」(朝日新聞より抜粋)
1)輸入する原材料の値段は上がり、家計の負担が増え、企業利益を押し下げる影響が心配。
2)賃上げが不十分のため家計に打撃、消費支出が減少し、企業収益にマイナス影響が懸念。
3)20年ぶりの円安を導いた日銀総裁、次の円安誘発発言を市場は警戒(ブルームバーグ)
(注)黒田・日銀総裁3/18記者会見での「円安の容認」に関した発言 (テレ東)
「現在の円安は、経済・物価を押し上げており、日本経済やGDPにプラスだ」
●4.経団連会長、円安で経済が好転する時代でない、中国景気は回復に注視が必要(ロイターより抜粋)
1)昔は円安になれば、貿易収支も経常収支も経済も良かったが、今は単純なものではない。
2)現在は資源高や原材料高と同時進行しているなかで、急速な円安進行に警戒感を示した。貿易収支が赤字で、経常収支も赤字になる時に、円の値打ちが落ちる円安が悪循環になるモメンタムは良くない。
●5.貿易赤字2021年▲5兆3,749億円、資源高で輸入額最高(時事通信)
●6.首都圏マンション平均価格はバブル期超え過去最高、1990年6,214万円⇒2021年6,360(TBS)
●7.企業動向
1)森永製菓 アイスクリーム11品目、6/1出荷から6.1~10.0%値上げ(共同通信)
2)日清ヨーク 乳酸菌飲料17品目、6/5出荷から5~14%値上げ(共同通信)
3)オハヨー乳業 アイスクリーム21品目、6/1出荷から値上げ(FNN)
4)旭化成 米バイオ医薬品CDMOを買収、数百億円規模(時事通信)
5)豊田通商 船にバイオ燃料供給実験(時事通信)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・6806 ヒロセ電機
・6965 ホトニクス
・8439 東京センチュリー
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