相場展望3月14日号 米国株: 米金利が上昇し、株価は割高感を意識、主力株に息切れ 日本株: 日銀のマイナス金利解除、円高、政権与党混迷が重荷

2024年3月14日 11:43

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)3/11、 NYダウ+46ドル高、38,769ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは反発し、前週末比+46ドル高で終えた。 3/12の2月の米消費者物価指数(CPI)発表を控えて、市場参加者が売り買いともに手控えたため、方向感に乏しい展開だった。相場上昇に出遅れていたディフェンシブ株や一部の消費関連銘柄が買われた。半面、前週末に続き半導体やハイテク株の一角は売られ、相場の重荷となった。

【前回は】相場展望3月11日号 米国株: 米株式相場を主導してきたエヌビディアに異変?の兆候 日本株: 日経平均高騰の主導役(値がさハイテク株、買い筋)に変化か?

  ・NYダウは下げて始まった後、主力株への売り一巡後に下げ渋り、上昇に転じた。今週は2月のCPIや米卸売物価指数(PPI)、同小売売上高などが発表される。1月分の指標と同様に根強いインフレ圧力や消費減速を示すとの警戒感があった。一方、インフレ鈍化や消費の底堅さが確認されて投資家心理を支える可能性も意識された。

  ・NYダウでは、ユナイテッドヘルスやナイキ、ディズニーなど業績不透明感から下げていた銘柄や相場上昇に出遅れ感のある銘柄が買われた。アップルやインテルも高かった。

  ・NYダウの下げ幅は一時▲240ドルに迫った。高値更新が続いた半導体やハイテク株に利益確定や持ち高調整の売りが出た。NYダウの構成銘柄ではないが、エヌビディアが一時▲4%弱下げた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やメタプラットフォームズも売られた。NYダウの構成銘柄では、IBMやアマゾンなどの下げが目立った。

  ・ボーイングの下落もNYダウの重荷となった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが3/9、1月に起こったアラスカ航空の運航するボーイング機の事故を巡って米司法省が捜査を開始したと報じた。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。メタとAMDが共に▲4%あまり下落した。一方、アルファベットとテスラは上げた。

 2)3/12、NYダウ+235ドル高、39,005ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは続伸して終えた。このところ下げが目立っていた半導体株が上昇し、投資家心理が改善した。半面、2月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、米長期金利が上昇したのが株式相場の重荷となった。

  ・NYダウの構成銘柄ではないが、エヌビディアが+7%あまり上昇した。エヌビディアは前日までの2日間で利益確定売りで▲7%下落し、相場を押し下げていた。売りが続くことへの懸念が広がっていただけに、押し目買いが入ったことで市場には安心感が広がった。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やクアルコムも上昇した。

  ・半導体株高を受け、主力のハイテク株にも買いが及んだ。NYダウの構成銘柄ではマイクロソフトやアマゾン、アップルが上昇した。

  ・もっとも、NYダウは下げる場面もあった。3/12発表の2月のCPI上昇率は前年同月比+3.2%と、ダウ・ジョーンズ通信が集計した市場予想の+3.1%を上回った。1月分に続いてインフレ圧力の根強さを示す結果となり、市場では「米連邦準備理事会(FRB)が利下げ開始への自信を深める内容ではなかった」との見方があった。米長期金利が4.15%前後に上昇(前日終値は4.10%)し、株式の相対的な割高感が意識された。

  ・個別銘柄では、スリーエムやIBM、ウォルマートが上昇した。半面、航空機の納入遅れへの懸念からボーイングが大きく下げた。ナイキやハネウェルにも売りが出た。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前日比246ポイント(+1.53%)高の16,265で終えた。メタプラットフォームズやネットフリックスが上昇した。

  ・多くの機関投資家が運用指標にするSP500種株価指数は3営業日ぶりに反発した。前日比+57ポイント(+1.12%)高の5,175と過去最高値で終えた。

 3)3/13、NYダウ+37ドル高、39,043ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは小幅に3日続伸して終えた。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの見方が支えとなり、相対的に出遅れていた景気敏感株の一角に買いが入った。ただ、米長期金利の上昇が投資家心理の重荷となり、NYダウは次第に伸び悩んだ。

  ・NYダウの上げ幅は+200ドルに迫り、2/23に付けた最高値39,131ドルを上回る場面があった。前日発表の2月の消費者物価指数(CPI)を巡って、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げに動くとの市場の見方を変えるほどではないと受け止められた。米経済が軟着陸できるとの観測は根強く、景気敏感株の一部に買いが入った。NYダウの構成銘柄では、スリーエムやキャタピラー、ナイキが上昇した。

  ・市場では「3/13は中小型株にも買いが広がっており、これまでのハイテク株中心から物色の裾野が広がっている」との声が聞かれた。

  ・米債券市場では長期金利が上昇(債券価格は下落)し、先日終値の4.15%を上回る4.1%台後半を中心に推移した。金利の上昇で株式の相対的な割高感が意識され、ハイテク株を中心に売られた。最近の相場上昇を牽引してきたエヌビディアの下げも市場心理を冷やした面があった。

  ・3/14には2月の卸売物価指数(PPI)と小売売上高の発表がある。来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えており、今後の金融政策の判断にも影響する経済指標の判断にも影響する経済指標の内容を見極めたいとの雰囲気もあった。午後に入り、主力株への売りが広がると、NYダウの下げ幅は一時▲60ドルほどに達した。

  ・個別銘柄では、シェブロン、ホームデポ、ゴールドマン・サックスが上昇した。半面、経営陣が低所得層の動向に懸念を示したマクドナルドが売られた。米国防総省が先端半導体の生産を目的とする補助金を取りやめたと伝わったインテルは▲4%安だった。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は反落して終えた。アナリストが投資判断を引下げたテスラが▲5%弱下げた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株が全般に売られた。

●2.米国株:米金利は上昇に転換し、株式は意識する展開へ、主力牽引株は息切れへ

 1)FRBの利下げ期待が後退する可能性が増える
  ・米労働省が発表した2月消費者物価指数(CPI)は前年比で+3.2%と、予想+3.1%から伸びが拡大した。ガソリン価格が+3.8%、住居費や航空運賃、自動車保険、医療コストも上昇。
  ・食料と燃料を除いたコアCPIは、前月比+0.4%と伸び縮小の予想に反した。前年同月比では+3.8%となり、予想ほどは低下しなかった。
  ・米金利は低下基調から上昇に転換してきている。

 2)米国株の上昇を牽引してきたハイテク株の下げが目立つ
  ・3/13の米主要株価指数は前日比で、NYダウは上昇も、他の指数は下落
   NYダウ     +0.10%高
   ナスダック総合 ▲0.54%安
   SP500     ▲0.19
   半導体株(SOX)▲2.47
  ・フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の下げが際立っている。
  ・なお、NYダウは3/13に小幅上昇したが、株価に勢いは感じられない。

 3)上昇株価をリードしてきた銘柄に一服感が強まり、調整基調に入った可能性
  ・3/13の主要銘柄の動向(前日比)
   エヌビディア  ▲1.12%安
   マイクロソフト ▲0.04
   メタ      ▲0.84
   アップル    ▲1.21
   AMD      ▲3.93
   テスラ     ▲4.54
   アマゾン    +0.66%高

 4)フィラデルフィア半導体株指数(SOX)のチャートは、下落基調を示唆
  ・SOX指数の推移
         3/7高値 3/13  下げ幅   下落率
   SOX指数  5,165  4,868 ▲297下落 ▲5.75%安
  ・4営業日で▲5.75%の下落率は目立っている。

 5)米国株は高値圏にあり、利益確定売り・持ち高調整されやすい位置にいる
  ・米国株を牽引してきた銘柄に、上昇するエネルギーが弱くなってきたかも。
  ・特に、エヌビディアの株価上昇を演じてきたのは、レバレッジ型上場投資信託(ETF)である。そのレバレッジ型ETFに大量の資金が流れ込んだ結果として、エヌビディアの高株価がある。レバレッジ型ETFの資金は、逃げ足が速い。このレバ型ETFが流入して時間が経過しているだけに、警戒したい。彼らは、利益で腹一杯になっている。

●3.米・2月消費者物価指数は前年同月比+3.2%上昇、市場予想+3.1%を上回る(NHK)

●4.米下院、TikTokの米国内事業を売却しなければ利用禁止する法案を可決(NHKより抜粋

 1)この法案は、中国の企業バイトダンスが運営するTikTokについて、「敵対国からの安全保障上の脅威」だとして、180日以内に米国内での事業を売却しなければ、アプリの配信を禁止するもの。

 2)米議会下院は3/13、この法案の採決を行い、352対65の超党派で可決した。

 3)バイデン大統領はこの法案を成立させる考えだが、トランプ氏は反対に転じた。

 4)米国は、中国がTikTokを利用して今年秋の米大統領選挙へ干渉を試みる可能性があるとして警戒感を強めている。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数

 1)3/11、上海総合+22高、3,068(亜州リサーチより抜粋
  ・経済活動の持ち直しが期待される流れとなり、昨年11/15以来、約4カ月ぶりの高値水準を終値で回復した。

  ・中国政府は追加の金融緩和や消費刺激などを通じ、国内経済を支える方針だ。これまでに報告された主要企業の決算報告では、増益や黒字転換など業績改善が相次いでいる。ただ、上値は限定的。

  ・米中対立の警戒感が依然としてくすぶっている。

  ・中国で3/5に開幕した向こう1年間の政策運営方針を決定する全国人民代表大会(全人代)は、今日3/11に閉幕した。恒例だった閉幕後の首相記者会見は、今年から中止となった。

  ・業種別では、消費関連の上げが目立ち、不動産も高い。住宅都市農村建設部の倪虹・部長は3/9の記者会見で、基本的な制度を改革・改善し、在庫住宅の販売を強力に推進する方針を示す一方、経営不安の著しい不動産企業について「破産すべきものは破産し、債務再編すべきものは再編すべき」と発言している。現時点ではポジティブな反応となっているようだ。医薬も物色された。太陽光発電関連・ハイテク・素材・インフラ関連・証券・運輸なども買われた。半面、石油・石炭のエネルギーは安く、銀行・公益なども売られた。

 2)3/12、上海総合▲12安、3,055(亜州リサーチより抜粋
  ・利益確定売りが先行する流れとなり、3日ぶりに反落した。

  ・上海総合指数はこのところの急ピッチな上昇で、終値で約4カ月ぶりの水準を回復していた。

  ・また、米国の対中国圧力が高まっていることも不安視されている。もっとも、下値を叩くような売りはみられない。

  ・国内景気の持ち直し期待が支えだ。中国政府は追加の金融緩和や消費刺激策、産業支援策などを通じ、国内経済を支える方針とされる。政策で恩恵を受けやすい銘柄を物色する動きは続いた。

  ・業種別では、石油・石炭などエネルギー関連の下げが目立つ。発電も安く、素材・海運・銀行・メディア・娯楽なども売られた。半面、消費関連は高く、医薬・不動産・証券・保険・半導体・軍事関連も買われた。

 3)3/13、上海総合▲12安、3,043(亜州リサーチより抜粋
  ・戻り売りが継続する流れとなって、続落した。

  ・上海総合指数は依然として昨年11月以来、約4カ月ぶりの高値水準で推移している。また、地方政府や不動産デベロッペーの債務問題、米中対立の激化など不安材料もくすぶる状況だ。ただ、下値は限定的。

  ・中国景気の持ち直し期待は根強く、指数はプラス圏で推移する場面もみられた。

  ・業種別では、不動産の下げが目立ち、保険も安く、酒造・食品・医薬・運輸・銀行・証券・太陽光発電関連なども売られた。半面、自動車はしっかり、素材・メディア・娯楽・軍事関連・ハイテクの一角も買われた。

●2.中国共産党が政府掌握、全人代が「国務院」の改革承認し閉幕(ブルームバーグ)

 1)中国共産党の総書記でもある習近平・国家主席が政府の役割を縮小させた。

 2)国務院はまた、共産党員で占められる全人代からの監視も強化されることになる。

●3.鉄鉱石先物、シンガポール市場で急落、中国での需要が期待外れ(ブルームバーグ)

 1)3/11、1トン=106.95ドルと▲7.2%下落。昨年8月以来の安値に向かっている。

●4.中国不動産開発の万科をジャンク級に、一段の格下げも=ムーディーズ(ブルームバーグ)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)3/11、日経平均▲868円安、38,820円(日経新聞より抜粋
  ・日経平均株価は急反落し、終値は前週末比▲868円安だった。2/21以来の安値水準。
下げ幅は2021年6/21以来の大きさだった。前週末の3/8の米株安や外国為替市場での円高・ドル安の進行を警戒した売りが朝方から膨らんだ。下げ幅は一時▲1,100円を超えた。

  ・3/8の米株式市場で半導体株が大幅に下落した流れを引き継ぎ、東京市場でも東エレクやアドテストといった値がさの半導体関連株が大幅安となった。半導体関連株は年初から急ピッチで上昇してきたこともあり、利益確定目的の売りも重荷となった。円相場が1ドル=146円台半ばまで上昇し、トヨタやホンダなど輸出関連株が広く売られた。

  ・日経平均は午後に下げ幅を一段と拡大し、38,400円台後半まで下落する場面があった。
海外短期筋とみられる株価指数先物の売りも膨らみ、相場を下押しした。日銀が3月にもマイナス金利政策を解除するとの見方が引続き株式相場の重荷となった。相場が午後に入っても下げ渋る様子を見せないなか、市場では「海外勢を中心に売りが売りを呼ぶ展開となった」との見方があった。

  ・東証株価指数(TOPIX)は大幅に反落した。JPXプライム150指数も反落した。

  ・個別銘柄では、三井金や豊田通商、INPEXが下げた。一方、大日本印刷や帝人、住友ファーマは上げた。

 2)3/12、日経平均▲22円安、38,797円(日経新聞より抜粋
  ・東京市場で日経平均株価は小幅に続落した。前日の米ハイテク株安を受け、東京市場でも値がさのハイテク株の一角に売りが先行し、日経平均の下げ幅は一時▲500円を超える場面があった。もっとも下値は堅かった。外国為替市場での円安・ドル高を受け、輸出関連銘柄を中心に押し目買いが入った。値がさのファストリが大きく上昇したこともあり、日経平均は取引終了直前に上昇に転じる場面があった。

  ・前日の米株式市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の下げが目立ち、日本株との連動性が高まっているエヌビディアも▲2%安となった。東京市場では東エレクなどに売りが波及した。日銀は3/11、上場投資信託(ETF)の買い入れを見送った。東証株価指数(TOPIX)の3/11午前終了時点の下落率はETF買い発動の基準とみられる「▲2%」を上回っていた。日銀のETF買いという需給の支えがなくなるという懸念も重荷として意識された。

  ・売り一巡後は下げ幅を縮小し、日経平均は大引け間際には上げに転じる場面があった。日銀の植田和夫・総裁が3/12午前の参院財政金融委員会に出席し、3月の政策修正の可能性について肯定する姿勢を示さなかった。同日の東京外国為替市場で円相場は円安方向に振れ、輸出採算の悪化懸念が和らいだことが相場を下支えした。相場の先高観は強く、チャート上では25日移動平均(38,500円前後)を下値支持とみた個人などから買いも入った。

  ・東証株価指数(TOPIX)は続落した。JPXプライム150指数も続落して終えた。

  ・個別株では、ソフトバンクGやKDDI、中外薬が下落した。三井物産やルネサスの下げも目立った。一方、ダイキンやアドテスト、ソニーは堅調に推移した。

 3)3/13、日経平均▲101円安、38,695円(日経新聞より抜粋
  ・日経平均株価は3日続落して終えた。大企業を中心とした賃上げを背景に、来週の金融政策決定会合でマイナス金利の解除に動くとの観測から売りが優勢だった。東エレクなど半導体関連の一角には買いが入り、相場の下値を支えた。

  ・日経平均は朝高後に伸び悩み、売りに押される展開となった。後場には▲340円程度下げる場面もあった。トヨタは3/13、2024年の春季労使交渉で労働組合の要求に満額回答した。同社に続いて高い賃上げが相次げば、日銀が金融政策の修正に一段と動きやすくなるとの見方から株価指数先物に海外投資家からとみられる売りが増えた。年度末が近づき、国内年金がリバランスの売りを出しているとの見方もあった。

  ・外国為替市場では対ドルの円相場が10時過ぎに1ドル=148円台前半と、前日17時時点からやや円高方向に振れた。日銀の金融政策の修正を意識した円買い・ドル売りが入り、株式市場でも自動車など輸出関連株の売りを促した。もっとも、そこから円相場は上値を試す展開とはならず、日経平均も売り一巡後は下値は堅かった。東エレクや信越化、アドテストなど半導体関連は買いが優勢だった。

  ・東証株価指数(TOPIX)は3日続落した。JPXプライム150指数も3日続落して終えた。

  ・個別銘柄では、ファストリ、中外薬、ダイキン、第一三共、TDKが下落した。一方、日東電、ソニー、レーザーテク、スクリン、アサヒが上昇した。

●2.日本株:日銀のマイナス金利解除、円高、政権与党混迷が懸念材料

 1)円高へ短期間に急激に転換
  ・CFTC(商品先物取引委員会)の投機筋の円売りは一時13万枚以上に急増した。このため、円売りのリスクが増し、持ち高整理で円高に傾きやすい。
  ・円の推移(1ドル=円)
        3/1    3/5  3/11  3/12  3/13
   円の推移 150.39円 150.50 146.97 147.50 147.65
  ・今回の円高は、投機筋の円の買い戻しが要因とみる。CFTCの円売枚数が膨大なことから、しばらくは円高進行するだろう。

 2)日銀の金融政策決定会合を控えて、市場はナーバスになるとみる。
  ・マイナス金利の解除はまじかに迫っている。
  ・日本の春闘での賃上は「満額回答」が多く、昨年の+3.6%を上回る3.9%に近づいている模様。
  ・日銀は、日本の賃上げ率を重視しており、昨年よりも高い賃上げとなれば、上田・日銀総裁は「マイナス金利解除」に向かう確率が高いと予想できる。

 3)インフレで物価上昇しており、実質賃金は1年以上マイナスとなっている。
  ・日本の消費支出はマイナスに転じており、国内総生産(GDP)成長率に赤点滅信号となっていると思われる。

 4)岸田政権もダッチロールしており、政治が日本の経済の重荷になっている
  ・中国経済も中国共産党による運営となり、中国経済の依存度が高い日本経済に暗雲が垂れ込めてきた。
  ・中国発のデフレ輸出の影響を避けられない。
  ・それだけに日本経済の舵取りとなる、日本の政治の「しっかり」さ加減が重要となる。日本の政治の正常化が望まれる。「言い訳」だけの政治はいらない。日本国民を食べさせて活かす政治の確立を期待する。

 5)日本株は、低迷時期を迎える可能性がある
  ・当面の課題は「円高」「金利高」「消費支出の拡大」である。
  ・海外投資家の現物買いは、例年「4月」に期待できるが、今年の春相場は今までの景色と変わるリスクがある。現金比率を高めたいところである。

●3.トヨタ、春闘で4年連続の満額回答、ボーナスは過去最高額に(NHK)

●4.半導体大手ルネサス、定期昇給を半年延期、人員削減、投資優先(共同通信)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1812 鹿島     期末配当に期待。
 ・2685 アダストリア 業績好調と増配期待。
 ・9602 東宝     業績期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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