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相場展望6月15日 米国: 今後の見通し、株式市場は「楽観」・債券市場は「悲観」2極化 日本: 現物株買いに資金が流入、短期筋の外国人先物買いを跳ね返す
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)6/12、NYダウ+189ドル高、34,066ドル(日経新聞より抜粋)
・米連邦準備制度理事会(FRB)が6/13~14に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの見方が多い。引き締め継続による米経済の下振れ懸念が後退し、景気敏感株などが買われた。
・ニューヨーク連銀が6/12公表した5月消費者調査によれば、1年先の期待インフレ率は+4.1%と2021年5月以来の低水準だった。期待インフレの上振れ懸念が薄れ、FRBが6/13~14のFOMCで政策金利を据え置くとの観測が一段と強まった。6/13発表の5月米消費者物価指数(CPI)も上昇率が4月に比べて減速すると予想されている。
・利上げ継続で景気が冷え込むとの警戒感は和らいでおり、航空機のボーイングや工業製品・事務用品のスリーエムなどの景気敏感株の上昇が目立った。半導体のインテル、スマホのアップルとソフトウェアのマイクロソフトも上昇。交流サイトのメタも上昇し、電気自動車のテスラは続伸した。
・多くの機関投資家が運用目標とするSP500は、2022年4月以来の高値となった。
2)6/13、NYダウ+145ドル高、34,212ドル(日経新聞より抜粋)
・NYダウは3日続伸し、2/14以来の4カ月ぶりの高値。朝発表の5月米消費者物価指数(CPI)を受け、物価上昇圧力は和らぎつつあるとの見方が広がった。
・米連邦準備制度理事会(FRB)が6/13~14に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くとの見方が改めて強まり、株式相場を支えた。
・CPIの上昇率は、前年同月比+4.0%と4月+4.9%から鈍化し、市場予想と一致。伸び率は2年2カ月ぶりの低水準となった。食品とエネルギーを除くコア指数も市場予想なみの+5.3%上昇となり、前月の+5.5%から伸びが鈍った。「FRBは6月の会合で利上げを見送る。株式市場に優しい内容だった」と受け止められ、NYダウの上げ幅は一時+200ドルを超えた。
・米国の利上げ停止は近いとの見方が広がり、米景気の先行きに対する懸念が後退。中国の景気刺激策への期待もあって、景気敏感株に買いが入りやすかった。建機のキャタピラーが+3%高、化学のダウや工業製品・事務用品のスリーエムも高く、米原油先物が上昇し、石油のシェブロンも上昇した。
・NYダウは買い一巡後は伸び悩んだ。前日までの5営業日で+500ドルあまり上昇しており、主力株の一部には利益確定売りも出やすかった。6/14のFOMC後に公表される参加者らの政策金利見通しやパウエルFRB議長の会見で、今後の金融政策を探りたい投資家も多く、積極的な買いは見送られた面もあった。
・個別銘柄では、顧客管理のセールスフォースやクレジットカードのビザが安い。電気自動車のテスラは続伸、画像処理半導体のエヌビディアや動画配信のネットフリックスの上昇が目立った。
3)6/14、NYダウ▲232ドル安、33,979ドル(日経新聞より抜粋)
・米連邦準備制度理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した2023年の政策金利見通しは市場の予想を上回る水準に上方修正され、米利上げの長期化が意識された。
・FRBはFOMCで11会合ぶりに政策金利の据え置きを決めた。一方、FOMCの参加者の2023年の政策金利見通しは年内に+0.25%の利上げを2回織り込む水準に切りあがった。市場では+0.25%の利上げを1回と織り込むとの予想が多かった。FOMC後にNYダウは▲400ドル余り下げる場面があった。
・パウエル議長もFMC後の記者会見で、「ほぼすべての参加者が年末までにいくらか利上げするのが適切になるだろうと考えている」と説明した。「インフレ低下のために必要な経済の条件がそろいつつあると、ほぼ言えるだろう」と米景気や労働市場の過熱が解消しつつあるとの見解も示した。
・「パウエル議長の発言内容は、政策金利見通しが示すほどタカ派寄りに聞こえなかった」との声があり、NYダウは議長会見中に下げ幅を縮小した。
・医療保険のユナイテッドヘルスは▲6%超安となり、NYダウを▲200ドルあまり押し下げた。6/13の投資家向け説明会で経済正常化に伴って高齢者の手術件数が回復しており、保険金支払いが増加するとの見通しを示したことが業績不透明感につながった。
・航空機のボーイングや建機のキャタピラーも売られた。一方、スポーツ用品のナイキや半導体のインテルは大幅に上昇し、NYダウを支えた。半導体のAMDやエヌビディアが高く、電気自動車のテスラは反落した。
●2.米国株:
・今後の見通しは、株式市場は楽観的・債券市場は悲観的と2極化
1)米株式市場は、米経済の将来に対して「楽観的」
・NYダウは、6/1~14の期間で+1,304ドル上昇・上昇率+3.96%高と好調だった。5/31終値32,908ドル⇒6/14終値34,212ドル
2)米債券市場は、米経済の見通しについて、景気後退の懸念を強め「悲観的」
・米債券市場の2年債と10年債の利回り差は、逆転幅が▲0.917%に拡大、悲観的。
・正常な金利差は、2年物金利より10年物金利の方が高いのが普通である。しかし、現在は金利が逆転し、異常な状況となり、しかも拡大している。
・2年物金利と10年物金利差「逆転」の推移
1/3 5/1 6/1 6/14
▲0.631% ▲0.573 ▲0.746 ▲0.917
債券市場は、景気減速ではなく、景気後退(リセッション)を強く意識していることを示唆している。
3)米5月消費者物価指数、総合指数は低下傾向も、コア指数は高水準で警戒圏内
・米国の5月消費者物価指数は前年比+4.0%増と、4月の+4.9%増から低下した。インフレはピークだった2022年6月の+9.1%から11カ月連続で低下傾向。2021年3月以来の低い水準になった。上昇率低下の要因は、ガソリン価格▲19.7%下落、中古車販売価格▲4.2%。一方、賃金上昇の影響で、輸送費+10.2%・外食+8.3%上昇するなど、人手不足が続く業種では賃金上昇分の価格転嫁の影響が収まっていない。
・CPIの低下に、ガソリン価格の下落が大きく寄与したが、原油価格変動が要因となっており一時的なものとも見れる。
・むしろ、コアCPIが+5.3%と高水準に留まっていることを忘れてはいけない。
4)今回のFOMCで利上げ据え置きの理由
・利上げ据え置きの理由
・インフレが低下傾向にあること。
・銀行の経営破綻が相次いだため、信用収縮が起きたこと。
・景気後退懸念が増したこと。
・金融の量的縮小は継続する。
・つまり、米国債と住宅ローン担保証券の削減は今までと同じぺースで継続。
5)NYダウは6/14に反落したが、前日までの大幅上昇に対して一服の可能性
・NYダウは6/14に反落したが、米利上げの長期化を警戒したものとの見方がある。
・ただし、ナスダックは上昇しており、この反落は一時的となる可能性がある。
●3.米FRBは6月利上げを見送り決定も、年内にあと2回の利上げを想定(NHK)
1)米国では5月の消費者物価指数が前年比+4.0%上昇、上昇率が11カ月連続で前の月を下回っている。一方、インフレの要因となる人手不足は続いており、賃金の上昇分を物価に転嫁する動きが収まらないなど、インフレの根強さを示す経済指標が発表されている。
2)年内にあと2回の利上げで、+0.5%の上昇が見込まれる。
●4.パウエルFRB議長の記者会見(NHK)
1)インフレ圧力は引き続き高く、物価目標である2%までの道のり遠い。
2)年内にさらなる利上げを予想しているが、今回の会合ではさらなる政策が必要かどうかを決定するために、追加の経済データと金融政策の影響を評価できるよう金利据え置きの判断をした。
●5.FRB、今回は利上げ休止の公算大、7月再開の選択肢を維持の見通し(ブルームバーグ)
●6.米5月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.0%、4月の+4.9%から大きく鈍化(ロイター)
●7.米5月生産者物価指数(PPI)は前月比▲0.3%、予想▲0.1%・4月+0.2%(フィスコ)
1)予想以上に伸び鈍化で、利上げ休止を正当化。
・ガソリンや食料品価格の下落が奏功した。
2)変動の激しい燃料や食料品を除いた5月のコア指数は前月比+0.2%と予想と一致、4月と同水準となった。
●8.株式市場は「嵐の前の静けさ」、JPモルガンが警告(Forbes)
1)今後の数カ月が嵐の前の静けさになる。4つの銀行が破綻したにも関らず株高となった今年の状況が、2008年の短命な株高に至ったプロセスに似ている。
2)米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を20年ぶりの高水準に引上げ、国内総生産(GDP)や企業収益が停滞しているにも関わらず、株高が続いている。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)6/12、上海総合▲2安、3,228(亜州リサーチより抜粋)
・人民元安の進行への警戒感が再燃する流れとなった。
・中国人民銀行(中央銀行)は6/12朝方、人民元レートの対米基準値を2日ぶりに元安方向に設定した。6/12の外国為替市場では人民元安・米ドル高が進み、年初来の元安水準で推移。
・また今週は、5月中国経済指標がまとめて公表されることも気懸り材料として意識された。(6/15に小売売上高や鉱工業生産など。6/15までに金融統計)
・ただ、下値は限定的。
・中国経済対策の期待感が強まる中、指数は小高く推移する場面もあった。
・政府系メディアの証券日報は6/12、中信証券エコノミストの分析を引用して、「中国人民銀行(中央銀行)は今後数カ月内に利下げを実施する公算が高い。早ければ今月の中期貸出ファシリティ(MLF)金利が引き下げられる」などと報じた。MLF金利は今週6/15に発表される。
・業種別では、金融が下げを主導し、発電が安く、医薬品・不動産が売られた。半面、消費関連がしっかり、ハイテク・素材・石炭・空運が買われた。
2)6/13、上海総合+4高、3,233(フィスコより抜粋)
・中国経済対策への期待感が相場を支える流れとなった。
・中国人民銀行(中央銀行)は6/13、公開市場操作(オペ)で7日物リバースレポを実施し、総額20億人民元(約390億円)を市場に供給した。オペ金利は2.00⇒1.90%に引き下げた。
・また、一部外電は6/13、「中国は景気浮揚のため、幅広い刺激策を検討していると複数関係者が明らかにした」などと報じた。ただ、上値は重い。
・人民元安の進行が不安視されたほか、週内に公表される5月経済指標を見極めたいとする見方が広がり、指数は安く推移する場面があった。
・業種別では、ICT関連の上げが目立ち、証券もしっかり、銀行・保険も買われた。半面、石油・石炭は冴えず、公益・医薬品・不動産・素材が売られた。
3)6/14、上海総合▲4安、3,228(フィスコより抜粋)
・中国人民元安が重しとなる流れとなった。
・中国人民銀行(中央銀行)は6/14朝、人民元レートの対米ドル基準値を3日連続して元安で設定した。外国為替市場では人民元安・米ドル高に歯止めがかからず、昨年11月以来の元安水準で推移している。
・また、6/14は米連邦市場公開委員会(FOMC)の結果や、6/15に5月中国経済指標がまとめて公表される(小売売上高や鉱工業生産など)ことも買い手控え要因として意識された。
・ただ、下値は限界的。中国経済対策への期待感が持続する中、指数はプラス圏で推移する場面がみられた。
・中国国家発展改革委員会、中国人民銀行(中央銀行)など4部門は6/13、企業のコスト低減に向けた22項目の措置を発表した。金融緩和の期待が高まる。人民銀行は6/13、7日物リバースレポ金利と常設貸出ファシリティ(SLF)金利を引き下げた。これを踏まえ、今週6/15に公表される今月の中期貸出ファシリティ(MLF)金利や、6/20公表の最優遇貸出金利に関しても、引き下げ観測が流れている。
・業種別では、銀行が下げを主導し、不動産も冴えず、公共・半導体が売られた。半面、消費関連はしっかり、素材・エネルギー・医薬品・証券が買われた。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)6/12、日経平均+168円高、32,434円(日経新聞より抜粋)
・前週末の米株式相場が堅調に推移し、東京市場でも買いが優勢だった。前週末の株価指数先物6月物の特別清算指数(SQ)算出を無難に通過したのも引き続き買いを誘った。
・前週末の米株式市場でハイテク株が買われた流れを引き継ぎ、東京市場では値がさの成長(グロース)株の上昇が目立った。
・日経平均は前場には上げ幅を一時+250円超に広げ、6/6に付けた年初来高値32,506円を上回った。後場には先物主導で上げ幅を急速に縮小する場面があった。特に悪材料は観測されなかったものの、日経平均は約33年ぶりの高値圏とあって高値警戒感から利益確定売りも出やすかった。今週内に日米の金融政策を決める会合を控え、次第に様子見姿勢が強まった。
・第一三共・エーザイ・アドテスト・太平洋セメント・日本紙が上昇した。半面、郵船など海運株の下げが目立ち、東電・ファストリが売られた。
2)6/13、日経平均+584円高、33,018円(日経新聞より抜粋)
・日経平均は心理的節目の33,000円を回復し、1990年以来およそ33年ぶりの高値を更新した。
・前日の米ハイテク株高を背景に、東京市場では半導体関連銘柄など値がさの主力株を中心に買いが入った。
・前日の米株式市場では主要な半導体関連銘柄で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅に上昇し、東京市場でも値がさの東エレクやアドテストなどが買われた。ソフトバンクGやトヨタはいずれも+5%超上昇し、年初来高値を更新した。
・岸田首相は6/13夕、少子化対策について記者会見に臨む。株式市場では衆院解散・総選挙への思惑も強まり、買いが集まった。日経平均の上げ幅は一時+700円に迫る場面があったが、33,000円を超えたことで上値では利益確定目的の売りもでやすかった。
・日立造船・スクリーン・GSユアサ・ファストリが上昇した。一方、エーザイ・住友ファーマ・大ガスが下落した。
3)6/14、日経平均+483円高、33,502円(日経新聞より抜粋)
・心理的節目の33,500円台を回復し、1990年3月以来およそ33年ぶり高値を更新。米連邦準備制度理事会(FRB)が6/14まで開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの観測や、衆議院解散を巡る思惑など国内外で株高を刺激する材料が重なり、海外投資家の買いが強まった。個人投資家などからの利益確定売りで上げ幅を縮小する場面もあったが、午後に入ってからも海外勢の買いは続き、日経平均の上げ幅は一時+600円を超えた。
・6/13発表の5月米消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化し、物価上昇圧力が和らいだとの見方から、FRBは今週のFOMCで政策金利を据え置くとの見方が改めて強まった。前日の米株式相場が上昇し、東京市場でも幅広い銘柄に買いが先行した。
・海外勢の買いは午後に入って加速した。FNNプライムオンラインが昼間に「岸田首相は内閣不信任決議案が6/16に提出されれば、同日中に衆院解散を表明することを検討していることが分かった」と複数の政府・与党関係者の話を基に報じた。6/21の今国会も会期末を前に仮に衆院解散となれば、「選挙=株高」という過去の経験則で株高が一段と加速するとの思惑が買いを誘ったとの見方がでた。
・ファストリが約2年3カ月ぶりに株式分割考慮後の上場来高値を更新した。トヨタが+6%高と、連日で年初来高値を更新した。6/14に開いた株主総会で、会社提案の役員選任議案はすべて承認された。ホンダの上昇も目立った。半面、これまで買いを集めてきたアドテストなど一部半導体関連などには利益確定の売りが出た。ソフトバンクG・信越化・ファナック・リクルートが上昇。一方、第一三共・エーザイ・スクリーン・任天堂・シャープが下落した。
●2.日本株:
・現物株買いに資金が流入、短期筋の外国人の先物売りを跳ね返す
1)現物株買い優勢、短期筋の外人の先物売り基調は変わらず⇒現物株買いの勢い次第
・資金流入の考えられる要因は、
・低金利政策継続の日銀に注目した、高金利リスクの欧米からの資金流入。
・原油高で潤沢となったオイルマネーの流入。
・高成長で資金余裕のできたアジア資金の流入。
・中国投資の引き上げ資金の流入。
2)外国人の先物売りは継続も、負けが続く
・株式先物の外国人の売り状況
6/6 6/7 6/8 6/9 6/12 6/13 6/14
▲117,196 ▲14,549 ▲11,630 +2,776買 +1,084 ▲631 ▲5,706
・日経平均の動向
+693円高 +289 ▲593円安 ▲272 +623 +584 +483
・外国人の先物売りに対し、豊富な資金による現物株買いの勢いが優勢。
3)テクニカル指標は「過熱感」を示すが、資金流入の勢いが勝る。
・PERは、6/14に20.30と高度圏に突入。
1/4 5/1 6/1 6/14
14.95倍 18.28 18.89 20.30 人気に依存した株価上昇
・EPS(1株当たり利益)は増加せず
1,720円 1,593 1,648 1,650
4)一部値がさ株で世界的に名の知れた銘柄に買いが集中、他の銘柄は売られやすい
・ 6/12 6/13 6/14
値上がり銘柄数 1,440 1,066 1,195
値下がり 336 695 579
日経平均 +168円高 +584 +483
・ただ、高値圏にある主力株は材料難になりやすく、短期的には他銘柄に向かう可能性がある。
5)「空売り比率が低い」ため、真空状態の中を値がさ現物株買いで日経平均は上昇。PER(株価収益率)20倍を超えており、軟弱相場になれば飛び降りも考慮したい。
●2.ブラックロックの日本株ETF、今月10億ドル流入、日経平均ラリーで(ブルームバーグ)
1)ブラックロックは年初からの資金純流入が18億ドルと、米国に上場する他の日本関連ETFの中で最大級。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・4301 アミューズ 業績回復期待。
・7033 マネジメントソリューション 業績好調。
・9519 レノバ 業績好調。
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