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相場展望7月28日 米、利上げ+0.75%で安心感、QTの織込み不足に懸念 日本株は、外国人買いが1カ月超続き「買われ過ぎ」
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)7/25、NYダウ+90ドル高、31,990ドル(日経新聞より抜粋)
・米連邦準備理事会(FRB)の急激な利上げへの警戒が薄れ、株が買われた先週までの流れを引き継いだ。
・今週はハイテク大手の決算発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)などが予定される。市場の関心は会合後のパウエル議長の記者会見に集まっている。9月以降の利上げペースや、景気認識が焦点になる。
・足元で景気下振れを示す米経済指標が相次ぎ、秋以降にFRBが利上げペースを緩めるとの期待が相場を支えている。
・買い控えムードが強まり、NYダウは下げに転じる場面もあり、方向感は乏しかった。
・原油相場の反発を受けて、石油のシェブロンが上昇、キャタピラー・ダウも高い。決算内容を見極めたい投資家が多く、ハイテクは総じて売られ、相場の重荷になった。
【前回は】相場展望7月25日 米インフレ退治には、景気後退と失業率増加は不可避 中国経済は目標を大きく低下 日本株は転換に注意
2)7/26、NYダウ▲228ドル安、31,761ドル(日経新聞より抜粋)
・小売大手のウォルマートが7/25に業績見通しの引下げを発表し、消費を巡る懸念から消費関連銘柄に売りが広がった。さらに、上昇していたハイテクにも売りが出て、相場は午後に下げ幅を広げた。
・ウォルマートは2022年5~7月期の特別項目を除く1株利益が前年同期比で「▲8~▲9%減になる」との見通しを示し、従来予想の「横ばい~微増」から引下げた。インフレの影響で顧客が生活必需品以外を買い控え、衣料品等の在庫処分も重荷になる。
・ウォルマート株価は▲8%下げ、NYダウを▲66ドル押し下げた。消費減速への懸念が高まり、ナイキやホームデポ、アメックスなど消費関連が売られた。
・今週本格化するハイテク大手の決算発表や、7/27のFOMCの結果発表を前に、ハイテクの持ち高調整や、利益確定の売りも出た。
・FOMCでは通常の3倍となる+0.75%の利上げが見込まれる。会合後のパウエルFRB議長の記者会見で、どのような景気や物価認識を示すのか見極めたい市場関係者が多い。
・一方、売上高や1株利益が市場予想を上回った銘柄は買われ、NYダウを支えた。スリーエム+5%高、通期売上げ見通しを引上げたコカコーラも上げた。
3)7/27、NYダウ+436ドル高、32,197ドル(日経新聞より抜粋)
・米連邦公開市場委員会(FOMC)後の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見を受け、先行きの利上げ減速を見込んだ買いが入った。
・決算発表を好感した買いがハイテクを中心に入ったことも相場を押し上げた。ハイテクが多いナスダック総合指数は+4.1%高と今年最大の上昇率になった。
・FRBは7/27のFOMCで、市場の予想通り通常の3倍に当たる+0.75%の利上げ決定
・インフレ抑制を優先させるため今後も利上げを継続する見通しを示した。ただ、記者会見でパウエル議長は「金融引締め効果が経済とインフレにどう影響しているかを評価しながら、利上げペースを緩めることが適切になるだろう」と述べた。秋以降の利上げ幅縮小を期待した買いが広がった。
・決算を好材料視した買いも入った。マイクロソフト+7%高、アルファベット+8%高。
・急速な米金融引締めが景気を冷やすとの観測が後退し、景気敏感も買い優勢となった。
●2.米国株:米FRBは7/27に、利上げ+0.75%引上げ
QT進展による(1)資金吸収(2)市場金利上昇による経済への影響にも注意
1)FRBは今後も「利上げ」を続ける方針
・直近の6月消費者物価指数(CPI)は+9.1%と高水準にあり、雇用統計もまだ過熱が続いている。
・したがって、現時点ではFRBはタカ派スタンスを継続し、9月時点でのハト派への転換はないと見込まれる。
2)FRBのQT(資産縮小)は6月に始まったばかりで、9月には475⇒950億ドル/月に増額
・QTの進展は、市場から資金吸収を図るため、市場金利は上昇圧力がかかることになる。
3)市場金利上昇要因は、(1)政策金利引上げ (2)資金需給 の2点
・7/27の米株式市場は、大幅利上げ継続の見方が後退したとして、NYダウは+436ドル高と急伸した。
・株式市場は、FRBの政策金利引上げだけでなく、FRBによるQT進展による金利上昇の影響については無関心のように見受けられる。
・とりわけ、今回の株式市場の上昇は、FRBによる膨大な資金供給が大きなインパクトを与えてきた。QTは、多数のゾンビ企業が淘汰される局面に入ったと言うことでもある。また、株式市場から資金が流出することに直結する。その特大の「資金膨張」が減少し、「正常化」する過程で株式相場に及ぼす影響はこれから発生することに注意を喚起したい。
●3.パウエルFRB議長の記者会見要旨
1)FOMCは物価引下げを強く公約。
2)さらなる異例な大幅な利上げはデータ次第
3)米経済は弾力性がある。
4)インフレは目標水準を大幅に上回る。
5)経済は、利上げを完全に織込んでいない。
6)10月にインフレの基調が変わったら、速やかに対応へ。
●4.FRBは7/27、通常の3倍の+0.75%利上げ、記録的なインフレ抑制を優先(毎日新聞より抜粋)
1)6月消費者物価指数(CPI)は前年同月比+9.1%上昇と40年7カ月ぶりの高い水準を記録。一方、同月の雇用統計は市場予想を上回る堅調ぶりで、市場では「FRBが大幅な利上げを続ける」との見方が支配的だった。「上げ幅を1%に拡大」との見方も浮上したが、行き過ぎた金融引締めは経済を急激に悪化させる恐れがあり、見送られた。
●5.IMF、2022年世界経済成長率の予測を、+3.6⇒+3.2%に下方修正(日テレ)
1)2022年国別
米国 ▲1.4%下方修正幅 : 記録的なインフレによる購買力の低下
中国 ▲1.1%下方修正幅 : 「ゼロコロナ政策」による都市封鎖
2)また、2023年の経済成長率の見通しも、4月時点の+3.2%⇒+2.9%に下方修正した。
3)世界経済は、新型コロナによる落込みから、去年一時的に回復したが、再び停滞へ。
●6.ゴールドマンS、インフレの高止まりでFRBのタカ派姿勢は長期化へ(ブルームバーグより抜粋)
1)投資家は、FRBがタカ派政策を逆転させると楽観を強めている。
2)だが、「インフレ圧力が続くリスクを、市場は過小評価している」とし、欧米でも企業の利益見通しが悪化する可能性がある、とした。
●7.企業業績
1)ウォルマート 2023/1月通期の1株当たり利益が最大▲13%減少見込み(ブルームバーグ)
消費者がインフレ高進で大型商品の購入を控え、利益率の低い食料雑貨を優先するため。 7/26にウォルマート株価は▲7.6%下落した。
●8.米7月消費者信頼感指数、6月新築住宅販売件数、予想以上に悪化(フィスコ)
1)7月消費者信頼感指数は95.7、6月98.4から予想以上に低下し、昨年2月来で最低。
2)6月新築住宅販売件数は59万戸、5月64.2万戸から▲8.1%減と予想以上に減少。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)7/25、上海総合▲19安、3,250(亜州リサーチより抜粋)
・中国景気の先行き不安がくすぶる流れとなった。
・新型コロナ新規感染者数が高止まりする中、行動規制強化の影響が不安視されている。深圳市当局は7/24、市内にある工業団地の防疫措置を強化すると関連業者に通知した。国家衛生健康委員会が7/25発表したところによれば、7/24に確認されたコロナの新規市中感染(症状あり)は101人となり、再び100人の大台にのせた。
・また、欧州や米国の景況感指数悪化もマイナス材料だ。
・業種別では、ハイテク関連が安く、自動車の下げが目立つ。不動産は高い。
2)7/26、上海総合+27高、3,277(亜州リサーチより抜粋)
・中国当局の産業支援スタンスが好感される流れとなった。
・資金繰り難に直面する不動産デベロッパーを支援するため、中国政府が2,000~3,000億人民元(約4~6兆円)規模のファンド創設を計画している模様、などと報じられた。
・中国人民銀行(中央銀行)などは、旅行業界を救済するためのファンドを設立すると発表している。
・また、「金融機関も交え不動産団体は、デベロッパー救済に向けた会議を開く模様」とも伝わった。
・新型コロナ新規感染者数が高止まりしている中、中国の薬品管理当局が7/25、コロナ感染症の経口治療薬を条件付きで販売承認したこともプラス。社会活動の正常化も速まると期待された。
・業種別では、不動産の上げが目立ち、旅行関連もしっかり、ITハイテクも物色された。
3)7/27、上海総合▲1安、3,275(亜州リサーチより抜粋)
・中国経済の先行きが不安視される流れとなった。
・国際通貨基金(IMF)は7/26に発表した最新の世界経済見通しで、中国の2022年GDP成長率予想を4.4⇒3.3%に下方修正した。新型コロナ禍に加え、不動産市場の問題が中国経済の下振れリスクを指摘している。
・ただ、下値は限定的。中国当局が産業支援策を相次いで打ち出していることが支えになっている。工業企業の業績回復も期待される。中国国家統計局が公表した工業企業利益は前年同月比で+0.8%増となり、5月の▲6.5%減からプラス成長に回復した。
・業種別では、酒造の下げが目立ち、不動産も安い、半面、ハイテクが高い。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)7/25、日経平均▲215円安、27,699円(日経新聞より抜粋)
・米欧景気の悪化懸念から、前週末の米株式相場が下落。この流れを受け、東京市場でも機械や自動車、値嵩の半導体関連、電気機器など景気敏感銘柄を中心に売りが出た。円高が進んだとことも輸出関連の売りにつながった。
・日経平均は7営業日で+1,500円超上がった後で、短期的な利益確定売りが出た。
・半面、下値の堅さも目立ち、内需関連を中心に物色する動きも観測された。
・安川電・ファナック・トヨタ・信越化・東エレクが安く、明治・高島屋が高かった。
2)7/26、日経平均▲44円安、27,655円(日経新聞より抜粋)
・世界景気の減速懸念を背景に運用リスクを回避する売りが先行したが、間もなく下げ渋り、上げる場面もあった。
・米連邦公開市場委員会(FOMC)などのイベントを控え相場の方向感が出にくかった。
・内閣府は7/25、2022年度の実質成長率見通しについて、中国・上海のロックダウン(都市封鎖)やウクライナ危機に伴う物価上昇などを背景に大幅に引下げた。これから発表が本格化する国内の企業決算への警戒も残り、相場の重荷になった。
・国内で新型コロナ感染が急拡大していることや、7/25に国内で初めてウイルス感染症「サル痘」の感染者が確認されたことも、投資家心理を下向かせた。
・日経平均の下げ幅は一時▲160円を超えたが、200日移動平均線(27,570円)を下回ると下げ渋った。イベント前に持ち高を一方に傾けにくく様子見気分が一段と強まった。
・「200日移動平均線を上回る中での薄商いは、戻り売り圧力の弱さの表れ」という見方。
・川崎汽船・郵船・京王・小田急が下落、出光興産・INPEX・コマツ・NTNが上昇。
3)7/27、日経平均+60円高、27,715円(日経新聞より抜粋)
・米株価先物が上昇し、日本株の買い安心感につながった。
・値嵩の半導体関連や医薬品などの上昇が目立ち、日経平均を押し上げた面もある。
・米株式市場が時間外で決算発表をしたマイクロソフトやアルファベットが買われ、その流れを受けて、東京市場でもグロース(成長)を中心に買いが入った。
・米議会上院で半導体産業支援の動議が可決された伝わり、東エレクやアドテストなど半導体関連の支援材料になり、医薬品などディフェンシブや鉄道など内需も上げた。
●2.日本株:「買われ過ぎ」サイン点灯、外人短期筋のスタンス転換に注目
1)外国人買い攻勢は6/22から始まり、7/27まで1カ月超の買い継続。
これは、米国相場の反転を見込んだ外人シナリオによる、日本株強気となったものと想像。つまり、米国株上昇基調を読んだ、日本株の連れ高を読んだ短期筋の買いによるものと思われる。
2)NYダウは、6/17底値29,888ドル⇒7/27終値32,197ドル、+2,309ドル高・+7.7%高。企業業績への懸念以上に良い決算が多く、好材料として買われた側面がある。米金利引上げも、秋以降は緩むとの観測が出て、買いを支えた。
3)ただし、それは米株式市場の中での見方である。米債券相場は、金利が上下しながらも長短金利差が逆転する「逆イールド」が7/5から7/27まで17日間連続で続いている。(米10年債・2年債の金利動向)これは長期スタンスの債券市場が、「景気後退」を見ているためであろう。材料に対して短期的に反応する「株式相場」との違いに注目したい。
4)日本株のテクニカル指標であるストキャスティクスは7/27時点でも「買われ過ぎ」のサインを出している。短期筋の外国人も、6/22からの上昇相場が1カ月を超え、疲れが出てくると思われる。
5)商いが薄い中での、日経平均の上昇である。東証1部売買代金が1日当たり2兆円~2.6兆円と薄商いの中での閑散相場が続く状況下にある。米利上げは9月に+0.5%の引上げ観測で引上げ幅が緩むとの観測で7/27は大幅上昇。+0.5%と言っても通常の2倍の利上げである点に注目したい。今年3月時点では想定できなかった金利上昇幅である。慎重なスタンスで臨みたい。
●3.内閣府、今年度のGDPは大幅引下げで見直し、+3.2%⇒+2.0%程度へ(TBSより抜粋)
1)ロシアの軍事侵攻の影響で、海外経済が減速したことなどが理由。
2)実質GDPはコロナ前の2019年度の水準に届かない見通し。
●4.企業動向
1)キオクシア 政府はキオクシアに最大929億円助成、最先端半導体製造支援(TBS)
■IV.注目銘柄(投資はご自身の責任でお願いします)
・2685 アダストリア 業績好調
・4680 ラウンドワン 業績回復期待
・4452 花王 値上げ浸透・原材料低下に期待
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