なぜNVIDIAは好決算でも株価が下落するのか

2025年11月19日 19:39

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引用:Yahoo ファイナンス

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 「一生一緒にNVIDIA」。昔の流行曲に載せてNVIDIAのホールドを表現するこの言葉は、現在の株式相場において同社の存在感を的確に示している。2025年10月19日、決算を翌日に控えたNVIDIAの日足は2.8%安となった。好決算の可能性も十分にあるのに、である。

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■NVIDIAに期待されるバリュエーション

 その理由は、世界の投資家からNVIDIAが「期待される内容」にある。目先の決算は理解したが、同社はハイテク株の代表企業としてどこを目指すのか。

 その証拠として、同社は最近の決算が報道されると株価が上昇するが、半日ほど経過すると「時間外」で株価が落ちる。高いバリュエーション(企業価値)が設定されており、進捗度が芳しくないのではと評価されているためだ。

■NVIDIAをテクニカル分析で見てみる

 バリュエーションに関しては投資家の期待値のため、予測が難しい。では株価はどうだろうか。株価の適正値を分析する「テクニカル分析」で、同社の株価を分析してみよう。


引用:Yahoo ファイナンス

●(1)ローソク足・移動平均線

 11月上旬から下落を示すローソク足である陰線(青)の登場が多い。テクニカル分析として売買の基準とされる25日MA(移動平均線:上記エメラルドの線)を下回っており、ここからも下落水準と分析できるだろう。更に長期的な傾向を示す75日MA(移動平均線:上記黄色の線)を割るのも時間の問題といえる。

●(2)RSI

 RSIはその銘柄が過熱感を持っているかを示す指標だ。0から100の範囲で表示される。11月中旬現在、NVIDIAのRSIは40~50前後を推移している。一般的にRSIは70なら「買われ過ぎ」、30以下なら「売られ過ぎ」を示す。現在のNVIDIAは売られ過ぎとまではいかないまでも、株価上昇の可能性を残しているといえる。

●(3)MACD

 MACDの解釈ポイントはいくつかあるが、代表的なものは「MACD・MACDシグナル」の交差状況だ。上記NVIDIAはMACDがMACDシグナルを「上から下へ」通過していることがわかる。この場合はデットクロスと呼ばれ、売りのタイミングとされる。現時点へ向かって両者の差は更に広がっているため、「売り」の気配が強いといえる。

 「一生一緒にNVIDIA」だが、テクニカル分析では売りの傾向が強くなった。当然、周囲が売るときに「買い」を入れられるかどうかは投資家の腕だ。日本時間の20日朝、これらの根拠をひっくり返す印象的な決算の登場に期待したい。(記事:株式会社FP-MYS 工藤 崇・記事一覧を見る

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