相場展望2月13日号 米国株: 新しい主役の銘柄に注目、2月中旬は売り場探しか 中国株: 上海総合は当局の介入で反発、本格上昇には経済回復が必須 日本株: 日銀・副総裁の発言で急騰も、「いびつ」な急伸

2024年2月13日 09:11

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)2/8、NYダウ+48ドル高、38,726ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは3日続伸し、連日で過去最高値を更新した。前日に四半期決算を発表した映画・娯楽のディズニーが急騰し、NYダウを支えた。半面、高値更新が続く中で、主力株の一部には目先の利益を確定する売りも出やすかった。米長期金利の上昇も上値を抑えた。

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  ・ディズニーは+11%高で終えた。前日夕に発表した2023年10~12月期決算で1株利益が市場予想を上回り、自社株買い計画や増配なども好感された。1銘柄でNYダウを+75ドルほど押し上げた。

  ・NYダウの構成銘柄ではないが、英半導体設計のアームも前日夕発表の四半期決算が市場予想を上回り、+48%近く上昇した。

  ・人工知能(AI)需要による米企業業績の押し上げを示したと受け止められ、投資家心理を支えた。米経済指標や企業決算が予想から上振れすることで引続き株買いを誘うとの見方もあった。

  ・多くの機関投資家が運用指標とするSP500種株価指数は4,997と過去最高値で終えた。一時は5,000.40と心理的な節目として意識される5,000を初めて上回った。相場上昇に乗り遅れまいと買いを入れる動きも、相場を支えた。

  ・もっとも、相場の上値は重かった。足元の相場上昇を受けて目先の利益を確定する売りが出やすい。市場では「米連邦準備理事会(FRB)高官らの、金融緩和に前向きなハト派姿勢が後退しているほか、中東情勢を巡る地政学リスクの高まりも積極的な買いを手控えさせている」との声があった。

  ・朝発表の週間の新規失業保険申請件数は21.8万件と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想の22万件を下回った。米労働需給は引続き引き締まっているとの見方から、米長期金利は前日終値4.11%を上回る4.1%台半ばで推移する時間帯が長かった。金利の上昇で株式の相対的な割高感が意識されやすい面があった。NYダウは一時▲100ドル超下げる場面があった。

  ・NYダウの構成銘柄では、外食のマクドナルドやIT(情報技術)のIBM、顧客情報管理のセールスフォースが買われた。原油高を受け、石油のシェブロンも高い。一方、通信のベライゾンや航空機のボーイング、クレジットカードのビザは売られた。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は3日続伸し、2022年1月以来の高値で終えた。半導体関連株の一角が買われたほか、電気自動車のテスラやネット検索のアルファベットが上昇した。

 2)2/9、NYダウ▲54ドル安、38,671ドル(日経新聞より抜粋
  ・前日にかけて連日で過去最高値を更新しており、主力株の一角に利益確定売りが出た。半面、ハイテク株の上昇が続いており、NYダウの下値を支えた。

  ・米長期金利が一時、前日比+0.04%高い(債券価格は安い)4.19%を付けたのも、株式の相対的な割高感につながった。決算を手掛かりに前日に大幅高となった映画・娯楽のディズニーなど幅広い銘柄に売りが広がり、NYダウは▲160ドル近く下げる場面があった。

  ・一方、人工知能(AI)需要で業績への追い風が強まるとの見方からハイテクや半導体株への買いが続いた。2/9午後にはロイター通信が、画像処理半導体のエヌビディアがクラウド業者などのカスタム半導体の設計を手掛ける部門の設立に動いていると報じた。NYダウ構成銘柄では、ソフトウェアのマイクロソフトや半導体のインテル、IT(情報技術)のIBMなどが買われた。

  ・NYダウは寄り付き直後には小幅に上げる場面もあった。米労働省が2/9に発表した米消費者物価指数(CPI)の年次改定結果で、2023年12月の上昇率が+0.3%から+0.2%に下方修正された。インフレが再加速するとの警戒感が和らいだ。

  ・多くの機関投資家が運用指標とするSP500種株価指数は4日続伸し、5,026と過去最高値で終えた。終日、節目の5,000を上回って推移し、相場上昇に乗り遅れまいとする投資家の買いを誘った面があった。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸した。前日比+196高の15,990と、2021年11月以来の高値で終えた。エヌビディアを中心に半導体の上昇が目立った。ネット通販のアマゾンも高かった。

 3)2/12、NYダウ+125ドル高、38,797ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは反発した。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が相場を押し上げている。半面、ハイテク株を中心に利益確定売りが出たことが相場の重荷となった。

  ・前週にかけて、米景気の底堅さを示す指標が相次ぎ、経済が想定ほど減速しないとの見方が投資家の買いを誘った。市場では「人工知能(AI)関連など、企業収益が良好であることが投資家心理を強気に傾けている」との指摘があった。

  ・NYダウの構成銘柄ではないが、先週に好決算を発表した英半導体設計のアームは一時+4割高と大幅に上昇した。他の半導体株も買われ、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は午前に一時16,080と、2021年11月に付けた最高値を上回った。その後は主力株に利益確定売りが出て下げに転じた。半導体のエヌビディアや同業のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は午後になって上値が重くなった。

  ・2/13には、1月の消費者物価指数(CPI)が発表される。米連邦準備理事会(FRB)による早期の利下げ観測が後退する中、利下げ転換のタイミングを探る上で重要な指標となる。そにため、内容を見極めようと積極的な買いが手控えられやすい面があった。

  ・NYダウの構成銘柄では、金融のゴールドマン・サックスや化学のダウ、工業製品・事務用品のスリーエムなど景気敏感株の上昇が目立つ。半面、ソフトウェアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォース、スマートフォンのアップルは下げた。

  ・ナスダック総合指数は5営業日ぶりに反落した。

●2.米国株:米国を代表する主役銘柄の新旧交代

 2月中旬が売り場探しとなる可能性
  1)米国を代表する銘柄に、新旧の主役交代の波が訪れる
   ・時価総額首位 アップル⇒マイクロソフト
    売買代金首位 テスラ⇒メタ(1位)、エヌビディア(2位)
    年初からの上昇率
     エヌビディア+46%高
     メタ+32%高
     テスラ▲22%安

   ・時価総額トップ10位(2/9時点、149円/ドル)
    1位 マイクロソフト 458兆円
    2位 アップル 433
    3位 アマゾン 262
    4位 エヌビディア 256:3位浮上は時間の問題
    5位 アルファベット 252
    6位 メタ 154
    7位 バークシャー・ハザウェイ 128
    8位 イーライリリー 104
    9位 テスラ 84
    10位 ブロードコム 88

  ・新しい主役となった3銘柄の動向に注目したい。GAFAM⇒「MNM」へ
   ・マイクロソフト
   ・エヌビディア
   ・メタ・プラットフォームズ

 2)1月の米消費者物価指数(CPI)の発表が2/13朝にある
  ・米連邦準備理事会(FRB)による早期の利下げ観測が後退する中、利下げ転換の時期を探る上で重要な指標と位置付けられる。

 3)今週の相場予想:「売り場探し」か
  ・堅調な株式相場が続くとの見方がある。
  ・米経済が予想ほど後退しないと予想。
  ・人工知能(AI)需要が半導体関連銘柄を軸に企業業績を押し上げるとの期待。
  ・連日で高値更新を続けて高値圏にあるため、利益確定や持ち高調整の売りも交錯すると想定できる。
  ・エヌビディアの決算発表が2/21にあるため、それまでは堅調に推移すると思われる。そのため、2月中旬は売り場探しが賢明となる可能性がある。

●3.米・先週分新規失業保険申請件数は21.8万件、予想22.0万件・前回22.4万件(フィスコ)

 1)予想を下回る減少で、労働市場はなお堅調。(ロイター)

●4.最近の好調な雇用指標に、慎重な見方=リッチモンド連銀バーキン総裁(ロイター)

●5.各国中銀は、利下げに慎重になるべき=IMF筆頭副専務理事(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)2/8、上海総合+36高、2,865(亜州リサーチより抜粋
  ・マーケット支援策の期待感が継続する流れとなった。

  ・中国の関係部局は低迷する相場をテコ入れするため、「国家隊」と呼ばれる中国政府系投資会社による買い支えや、空売り規制の強化、上場企業の投資価値向上を支援するなどの施策を集中的に打ち出している。

  ・そうした中、中国証券監督管理委員会は2/7夜、トップ交代の人事を発表。市場の一部からは、「追加の株価対策が打ち出される」との観測も流れている。

  ・ただ、上値は限定的。足元の急ピッチな上昇を受けて売り圧力が意識されているほか、明日からの連休も積極的な売買を手控えさせる一因となった。春節(旧正月)連休に伴い、本土市場は明日2/9~18が休場となる。

  ・なお、朝方公表された1月の中国物価統計は、「消費者物価指数(CPI)が前年同月比でマイナス0.8%(市場予想はマイナス0.5%)、生産者物価指数(PPI)がマイナス2.5%」(市場予想はマイナス2.6%)という結果だった。

  ・業種別では、証券の上げが目立ち、市場の活性化の期待が続いている。不動産も高く、ハイテクもしっかり。素材・インフラ関連・自動車・空運なども買われた。半面、銀行は冴えず、エネルギー・食品・酒造も売られた。

 2)2/9、祝日「春節(旧正月)」で休場

 3)2/12、祝日「春節(旧正月)」で休場

●2.中国株:上海総合が介入で反発も、当局の支援策に敬意を表しただけ

 中国経済の再飛躍には「規制緩和」が必須⇒その後、上海株価は浮上

 1)上海総合指数は反発も、当局の介入で敬意を表しただけ⇒いずれ下落圧力に
  ・中国当局の施策は、問題の周辺策を小出し。
  ・証券監督管理委員会のトップを更迭
  ・「空売り規制」を強化
  ・政府系企業が金融商品を買増す方針を打ち出す
  ・上場企業に対し自社株買いを要求
  ・政府系投資会社「国家隊」による買い支え

 2)本格的な株価回復には、中国経済の本質的で強力な経済対策が必要
  ・中国経済の悪い要因。
  ・不動産市場の下落が止まらない。
  ・家計の資産の7割が不動産であり、価格下落で財布を締める。
  ・雇用環境も悪化一方で、失業者増・給与不支給・賃金カットが続く。
  ・生活収入は減り、消費支出を抑える。
  ・公務員でさえ給料が▲25~▲50%下がっているケースがある。人民解放軍の給料のうち手当は地方政府負担であるが、地方政府の歳入欠落で不払いが起きているケースがある。
  ・当局の介入で反発するも一時的であり、株価復活のエネルギーにはならず。
  ・中国経済の基礎的条件の回復が必要。
  ・内需拡大(消費拡大)
  ・国有企業の改革(生産性向上)
  ・規制緩和
  ・イノベーション(技術の模倣からの脱出)
  ・輸出回復
   米国(高関税・規制強化)・EU(中国企業に貿易制限措置)と交渉
  ・世界からの資金流入と新規投資(中国から逃避したマネーの回帰含む)
  ・デフレ経済からの脱却(委縮した心理から解放)

 3)中国共産党による一党独裁の政治体制に求められる柔軟性
  ・共産党による建国74年で、制度疲労から抜け出せるか。
  ・ソ連は建国70年で崩壊し、ソ連共産党は下野した。
  ・中国は、鄧小平による改革開放路線で世界2位の経済大国へ成長した。その後、習近平は中国共産党による一党独裁体制を強め、監視と戦狼外交を強化し覇権主義を押し進めた。
  ・経済運営は、硬直性が目立つようになり、経済は委縮する方向に。
  ・国内経済の不振を糊塗するプロパガンダが増大(大本営発表化)する。

 4)中国は習近平による「一人独裁体制」が確立され、国内での権力は最強となった

 5)中国経済は現状では「失われた30年の日本」を上回る「停滞に陥る」の可能性が濃厚
  ・中国の再飛躍には、「柔軟性」を取り戻すことが必須と思われる。
  ・中国指導部に、強力な経済再生指導者の登用が必要。
  ・現指導部に、経済閣僚は不在の状況が続く。

●3.中国・1月の消費者物価指数は前年同月比▲0.8%、4カ月連続でマイナス(テレ朝)

 1)内需の低迷などからデフレへの懸念が強まっている。

●4.米国の輸入先順位で、中国は15年ぶりに首位陥落(朝日新聞)

 1)米国の2023年輸入国割合は、1位メキシコ15.4%、2位中国13.8%。

●5.中国・乗用車販売、1月は前月比▲14.1%減、バッテリーEVが不信(ロイター)

●6.ヤクルト、中国法人で▲800人削減、従業員の2割、販売不振で(時事通信)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)2/8、日経平均+743円高、36,863円(日経新聞より抜粋
  ・日経平均は3日ぶりに反発し、1990年2月20日以来、34年ぶりの高値を更新。前日の米株高を受けて朝方から一部の値がさ株に買いが先行した。日銀がマイナス金利政策の解除後も金融緩和的な姿勢を続けるとの観測が強まると、株価指数先物に短期筋の買いが入り一段高となった。日経平均の上げ幅は一時+800円を超え、心理的な節目の37,000円に接近する場面があった。

  ・2/7の米株式市場でNYダウは最高値を更新した。画像処理半導体のエヌビディア株などハイテク株が牽引し、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も上昇した。東京市場でも東エレクやアドテストが買いを集めた。英半導体設計大手アームが米国時間2/7夕に発表した決算が市場予想を上回り同社株が米時間外取引で急騰する中、アームを傘下に抱えるソフトバンクG株も物色が活発になった。

  ・日経平均は後場にかけて上げ幅を広げた。日銀の内田真一・副総裁が2/8午前に奈良県金融経済懇談会で挨拶し、マイナス金利解除後について「どんどん利上げをしていくようなパス(道筋)は考えにくく、緩和的な金融環境を維持していくことになる」との認識を示した。株価指数先物の売り方の買い戻しを伴って、買いが買いを呼ぶ展開となった。

  ・東証株価指数(TOPIX)は続伸し、1990年2月28日以来、約34年ぶりの高値を更新した。JPXプライム150指数は3日ぶりに反発した。

  ・個別銘柄では、ファストリやトヨタ、協和キリンが上げた。一方、KDDIやスズキ、花王は下げた。

 2)2/9、日経平均+34円高、36,897円(日経新聞)
  ・日経平均は続伸し、1990年2月19日以来、約34年ぶりの高値となった。前日の米株高を受けた買いが先行。ソフトバンクGの急伸も日経平均を押し上げ、上げ幅は一時+400円強に達した。取引時間中として34年ぶりに37,000円台を付ける場面もあったが、午後は利益確定目的の売りに押されて次第に伸び悩んだ。

  ・連日で上昇している米株式相場が投資家心理を一段と上向かせた。米半導体株高を受けて、東京市場でも東エレクなどの半導体関連株が買われたほか、英半導体設計大手アームが米株式市場で急伸した流れを受けて、アーム株の大株主であるソフトバンクGが急伸した。日経平均を1銘柄で+128円押し上げた。ただ、その他の主力株は下げが目立った。市場では「一部の大型株が主導した面が大きく、今日の相場全体の地合いが強かったとはいえない」との見方があった。

  ・日経平均は前日に+734円高と大幅に上昇していたため、短期的な過熱感が意識されやすかった。37,000円に到達した達成感から、いったん売りを出す動きも目立った。ただ、日本株の先高観自体は根強く、年初からの上昇に乗り遅れていた投資家が買いを入れているとの見方もあり、日経平均は上げを維持して終えた。

  ・東証株価指数(TOPIX)は3日ぶりに反落し、JPXプライム150指数も反落して終えた。

  ・個別銘柄では、ニトリやルネサス、クラレが上げた。一方、ネクソンや日産自、帝人は下げた。

 3)2/12、祝日「建国記念日」の休日振替のため休場

●2.日本株:日銀副総裁発言で日経平均が急騰も、「いびつ」につき注視したい

 短期筋の海外投資家の「売りスタンス」の継続にも注目したい

 1)いびつな2/8の相場、跛行が強まる
  ・株価指数別に見ると、強弱に明暗
   日経平均+743円高・+2.06%高
   TOPIX+ 12高・+0.50%高
   グロース250 ▲0安・▲0.11%安
   JPX日経400 +150高・+0.65%高
  ・大型株のみが上昇
   東証大型株指数+22高・+0.9%高
   東証中型株▲7 ・▲0.3%安
   東証小型株▲10安・▲0.2%安
  ・日経平均が大幅高にも関わらず、値下がり銘柄数が多数を占める
   2/8は、値上がり数584に対し、値下がり数が1,013と多数。
   2/9は、値上がり数565に対し、値下がり数は1,048と多数。
   2/8~9はともに利益確定売りが多数現われた。

 2)業種別週間騰落率は2月1週(2/2~8)で今年初の「売り優勢」となった
  ・年初から4 週は買い業種が過半数を占めていたが、2月1週で売り業種が増加と逆転した。
  ・全業種36業種のうち、買いは17業種、売りは19業種。
  ・相場の流れに変化の兆しの可能性があり、今後の動向に注目したい。

 3)海外投資家は、現物株買いと短期筋による先物売りで、2極化
  ・日経平均の上昇主導は、外人の現物株買で+1兆1,751億円(年初~2/2)。
  ・特筆すべきは、短期筋の外人の先物売りが多く、外人の2極化が進行。

 4)投資主体別で見ると、海外(現物株)買vs個人(現金)と年金の売の構図
  ・投資主体別売買の状況(1月1週~2月1週(年初~2/2))
   海外投資家(現物株)+1兆1,751億円買
   事業会社(自社株買)+ 3,788億円買
   計+2兆4,481億円買
   海外投資家(先物)▲ 4,448億円売
   年金基金▲ 7,085億円売
   個人(現金)▲1兆3,630億円売
   計▲2兆5,163億円売

 5)海外投資家の現物株買いの資金がいつまで続くのか?注視したい
  ・中国投資からの逃避マネーが日本株買いに洪水的流入していると思われるが、買われているのは半導体関連や優良株のうち値がさ株と大型株の一角にとどまっている。
  ・したがって、中型・小型株は下げた。また、一部銘柄に買いが集中しており、日経平均は上昇したものの値下がり銘柄数が多くを占めた。
  ・日経平均は37,000円超えするなど優勢に進めているが、内容を見ると危なっかしい状況になっていると見る。
  ・2/12の日経平均は大幅上昇で始まると見られるが、決算発表イベントもピークを付けたため、この上昇は格好の「売り場」となる可能性がある。なお、日経平均はNYダウと比べ、「割安」とは言い難い位置にある。

●3.金融庁は損保4社に政策株の売却加を要求(時事通信)

 ・保険サービスの内容ではなく、政策株の多寡で契約の獲得・維持が決まる暗黙のルールが価格調整の温床になったと問題視していた。
 ・顧客企業と良好な関係を維持するための株式の持ち合いが、公正な競争をゆがめた恐れがあるとして、不透明な商慣行の抜本的な是正を求める。
 ・業務改善命令を発出したのは、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社。

●4.2/8、3日ぶりに反発、SBG株高と緩和継続思惑が支援(ロイター)

 ・ソフトバンクGは、アームの好決算を受け大幅上昇、1銘柄で+148円超日経平均を押し上げた。
 ・内田・日銀副総裁が2/8の講演で「マイナス金利解除しても緩和的な金融環境を維持する」と述べ、「マイナス金利解除後の利上げへの過度な警戒感が後退」した。

●5.上場企業、過去最高益へ、+20%増、円安で自動車・機械が堅調(共同通信)

 1)今後は不動産不況の低迷などに伴う中国景気の減速が足かせになる懸念がある。

●6.ソフトバンクG、10~12月期5四半期ぶり黒字、ファンド利益+6,007億円に拡大(ロイター)

 1)4~12月期最終利益▲4,587億円赤字、前年同期は▲9,125億円赤字。

●7.SUBARU、今年3月期営業利益4,200⇒4,500億円上方修正、前年比+68.2%増(ロイター)

●8.キオクシア、4~12月期最終赤字▲2,540億円、過去最大の赤字、メモリー不振(日経新聞)

 1)NAND型フラッシュメモリーの価格が前年同期比▲23%安と採算が悪化。企業のIT(情報技術)投資が減り、データセンター向けの需要も落ち込んだ。

 2)前年同期は▲72億円の赤字。

●9.マツダ、4~12月期最終利益+1,654億円、前年同期比+59.8%増、SUV好調(読売新聞)

●10.ルネサス、2023年12月通期当期利益+3,370億円過去最高、前年比+31.4%増(日刊工業新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・2607 不二製油 業績好調
 ・4443 Sansan 黒字化期待
 ・4911 資生堂 業績回復期待

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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