相場展望11月13日号 米国株: 11月は経験則では「上昇月」、懸念材料は「新つなぎ予算」 日本株: 7~9月期決算発表シーズンは今週前半まで

2023年11月13日 08:57

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)11/09、NYダウ▲220ドル安、33,891ドル(日経新聞より抜粋
  ・米長期金利が再び上昇し、相対的な割高感が強まったと見られた株式に売りが出た。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言を受け、金融引締めの長期化観測が改めて意識されたことも、株式相場の重荷となった。
  ・米長期金利は4.6%台半ば(前週終値は4.47%)に上昇する場面があった。米財務省が午後に結果を公表した30年物国債入札の結果が「低調」と受け止められ、米国債の需給懸念が強まった。市場では「米株相場は長期金利の動きに敏感に反応する地合いが続いている」との声が聞かれ、金利上昇をきっかけに下げ幅を広げた。
  ・パウエル議長は11/9午後に国際通貨基金(IMF)のパネル討議に参加した。公開した講演発言草稿では、インフレを2%の目標に戻すために金融政策が十分に景気抑制的な水準に達したか「確信に至っていない」と述べた。インフレ次第では一段の引締めをためらわないとの姿勢を示した。市場では「足元で米株相場の連騰が続いた後で、タカ派寄りな発言との受け止めが利益確定売りを誘いやすかった」との見方があった。
  ・午前にはNYダウは小幅に上昇する場面もあった。足元では米景気減速や労働需給の緩和を示す経済指標を受け、FRBによる追加利上げ観測は後退している。11/9朝発表の週間の新規失業保険申請件数はダウジョーンズ通信がまとめた市場予想をやや下回ったものの、前週分は上方修正された。労働需給の引締りへの警戒を高める内容ではないと受け止められた。
  ・個別銘柄では、バイオ製薬のアムジェンやホームセンターのホームデポ、ドラッグストアのウォルグリーンズの下げが目立った。このところ相場上昇を支えていたハイテク株は売られ、ソフトウェアのマイクロソフトとスマートフォンのアップルが反落した。半面、映画・娯楽のディズニーは+7%弱上昇した。11/8夕発表の7~9月期決算で1株利益が市場予想を上回ったほか、コスト削減の目標額の引上げが好感された。航空機のボーイングも高い。

【前回は】相場展望11月09日号 米国株: NYダウは下落線の上限34,200にタッチ、転換点のため注意 日本株: 政治の混迷が「日本株にとってリスク」

 2)11/10、NYダウ+391ドル高、34,283ドル(日経新聞より抜粋
  ・金利の上昇を背景に前日に進んだ株売りが落ち着き、買い直す動きが優勢となり9月下旬以来の高値で終えた。週末を控えた持ち高調整の買いも入りやすかった。
  ・足元で米景気減速や労働需給の緩和を示す経済指標が相次いでおり、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測は後退している。市場では「インフレが鈍化していることが引き続き相場の支えになっている」との声が聞かれた。
  ・11/9にはパウエルFRB議長が国際通貨基金(IMF)のパネル討議で、「さらなる引締めが適切になれば、ためらいなくそうする」と述べた。金融引締めに積極的な「タカ派」的な発言との見方があったものの、政策スタンスは大きく変わっていないとの受け止めが広がり、11/10には株を買い直す動きが出やすかった。
  ・午後にはサンフランシスコ連銀のデイリー総裁が米CNBCの番組で、「このところのインフレに関するニュースはまずまずの内容だ」と述べた。一方で、「(インフレとの闘いに)勝利を宣言するには早すぎる」とも語り、引き続きデータ次第で政策判断をする姿勢を見せた。
  ・個別株では、ソフトウェアのマイクロソフトやスマートフォンのアップル、顧客情報管理のセールスフォースといったハイテク株が買われた。航空機のボーイングや金融のJPモルガンチェースなども上げた。原油価格の上昇を受け、石油のシェブロンも高かった。画像処理半導体のエヌビディアや電気自動車のテスラの上げが目立った。半面、映画・娯楽のディズニーや医薬品・医療機器のJ&J、スポーツ用品のナイキは下落した。

●2.米国株:11月は経験則では「上昇月」、懸念材料は「新つなぎ予算」の動向

 1)NYダウは、チャートの節目34,200ドルを11/10に突破、次の節目は35,400ドル
  ・NYダウは11/10に+391ドル高で34,283ドルとなり、節目34,200ドルを突破した。
  ・次の節目は、チャートで見ると35,400ドル。
   8/1高値からの下落▲3,213ドルの76%戻しでは34,900ドルが節目。
  ・11月の経験則は「上昇しやすい」月となる。7~9月期の決算発表シーズンでもあり、好材料銘柄が相場を引上げる構図。米大統領選挙の前年は株価上昇の確率が高い。
  ・懸念材料は、「新つなぎ予算」の動向である。

 2)米2年債利回り再び5%試す、10年債利回り前日から0.15%上昇、30年債入札不調
  長期金利(10年)の推移
  11/1  11/8  11/10
  4.734  4.646 4.646:11/8比+0.153%上昇

  ・30 年債の入札不調の意味するところは、市場はさらなる「金利上昇」を見ているため不調に終わったと思われる。
  ・金利上昇、特に10年債利回りの上昇は、株価にとって相対的割高感を強める。そのため、長期金利の再上昇に対して、注視して見ていきたい。

 3)米FRBの利下げ時期は、2024年終盤と見る。
  ・パウエルFRB議長発言後、米短期金融市場は利下げ時期を来年6月⇒7月に先送りした動きを示している。
  ・だが、FRBの政策金利は+0.25%引上げを1~2回あると見ている。インフレ動向を見ると、政策金利引上げざるを得ない。
  ・したがって、利下げ時期は2024年終盤と想定した。

 4)NY金価格は、中東情勢の緊迫化で急伸したが、状況の織り込みが進み、下落
  ・NY金価格の推移 9/21   10/5 10/27 11/10
           1,969ドル 1,831 2,016 1,942
  ・地政学リスクで資産の安全志向が高まったが、状況把握が進み、下落に転じた。

 5)米「つなぎ予算」の期限が11/17で終了、次の「つなぎ予算」成立に注目
  ・米「つなぎ予算」の期限が迫っており、11/17までに「新たなつなぎ予算」などの合意が必要となる。合意できなければ政府機関一部閉鎖やイスラエルやウクライナ支援などに支障が出る。
  ・だが、下院議長は共和党の無名に近い議員であり、共和党の保守強硬派を抱えるなか、政権与党の下院民主党との合意形成が出来なければ法案成立にいたらない。したがって、予断を許さない状況が続いている。
  ・「つなぎ予算」成立しなければ、株式市場にとって悪材料となるため注目。

●3.パウエルFRB議長(ロイターより抜粋

 1)FRBが十分制限的スタンスを達成したとは確信していない。

 2)さらなる政策引締めが適切となった場合は躊躇しない。

 3)我々は引き続き慎重に動き、会合ごとに決定する。

 4)経済成長率の上昇がインフレ鎮静化の進展を弱める可能性があり、金融政策上の対応が必要となる可能性があるリスクに留意。

 5)インフレ率は低下したが、依然として目標の2%を大きく上回っている。

 6)インフレ鎮静化の進展に感謝しているが、まだ「道のりは長い」。

 7)労働市場は依然タイトだが、よりよい均衡に向かっている。

 8)今後、四半期のGDP成長率は緩やかになると予想。

 9)今後のインフレ率沈静化の大部分は、供給サイドの改善だけでなく、金融引締めからもたらされなければならない可能性。

 10)FRBは2024年後半に次のフレームワークの見直しを開始する。

●4.追加利上げが必要かなお不明、FRBの仕事終わっていない=リッチモンド連銀総裁(ロイター)

●5.米国債格付け見通し「ネガティブ」に引下げ=ムーディーズ(ロイター)

 1)米財政赤字の高止まりが継続する、見通しとした。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)11/09、上海総合+1高、3,953(亜州リサーチより抜粋
  ・中国経済対策の期待感が相場を支える流れとなった。足元で公表された経済指標が景気の弱さを示す内容となるなか、当局は景気支援策を強めるとの見方が広がった。
  ・寄り付き直後に公表された10月の中国物価統計は、消費者物価指数(CPI)が前年同月比で▲0.2%、市場予想の▲0.1%と前月実績の(横ばい)を下回った。一方、生産者物価指数(PPI)は▲2.6%、下落率は市場予想の▲2.7%ほどではないが、前月実績の▲2.5%から拡大している。
  ・また、米中関係の改善期待が高まっていることもプラス。今月11/15~17に米サンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、中国の習近平・国家主席とバイデン米大統領は、首脳会談する見込みだ。
  ・もっとも、中国経済の鈍化懸念が払しょくされたわけではなく、指数は安く推移する場面も見られた。
  ・業種別では、石炭の上げが目立ち、銀行もしっかり、公益・インフラ建設関連・素材・運輸なども買われた。半面、医薬は下げが目立ち、消費関連・ハイテク・不動産・軍事関連も売られた。

 2)11/10、上海総合▲14安、3,038(亜州リサーチより抜粋
  ・前日の米株安が嫌気される流れとなった。
  ・米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が追加利上げに言及したことで、米金融引締めの長期化懸念が再燃した。この日の香港含むアジア市場の株安も重しとなった。
  ・また、重要経済指数の発表(11/15に10月小売売上高、鉱工業生産など)を来週に控え、様子見ムードも漂った。
  ・業種別では、印刷・包装・メディア・娯楽の下げが目立つ。セラミック・自動車・金融などが売られた。半面、水・ガス供給株は物色された。百貨店・石炭も買われた。

●2.11/11の「独身の日」、ネット通販各社が大規模値引きセール(NHK)

 1)中国では、不動産市場の低迷の長期化で景気の先行きに不透明感が広がり、厳しい雇用情勢が続いていることから、消費者の間で節約志向が強まっている。セールスの動向は経済の行方を占う上で注目される。

●3.中国における外国系私立学校に逆風、政府の公立重視政策と内向き志向で(ロイター)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)11/09、日経平均+479円高、32,646円(日経新聞より抜粋
  ・前日の米ハイテク株高や外国為替市場で一時1ドル=151円まで進んだ円安・ドル高を受けた買いが先行し、日経平均は3日ぶりに反発した。その後も海外短期筋と見られる株価指数先物への断続的な買いで一方的な上昇が続き、午後は上げ幅を+500円超まで拡大する場面があった。
  ・前日の米株式市場では、長期金利の低下を受けてハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が小幅ながら9日続伸。東京市場でも主力の半導体関連などグロース(成長)株の一角に買いが入った。
  ・明日に株価指数オプション日経平均先物11月物の特別清算指数(SQ)の算出を控える。午後の一段高について、市場では「投機筋による、オプションの権利行使価格などを意識した思惑的な買い」との見方が多かった。国内の機関投資家による現物株の買い意欲が強かったとの声もあった。
  ・個別株では、日経平均への寄与度が高いファストリ・東エレクが買われた。レーザーテクは年初来高値を付けた。商社株の一角も上昇した。一方、前日に決算発表をしたルくルートは下落した。ソニー・アドテストも冴えなかった。

 2)11/10、日経平均▲73円安、32,568円(日経新聞より抜粋
  ・米長期金利の上昇に伴う米株式相場の下落を受け、日本株にも利益確定売りが優勢となった。ソフトバンクGが急落して日経平均を押し下げた。
  ・ハイテク株を中心に売りが先行して日経平均は午前に一時下げ幅を▲400円近くまで広げた後は下げ渋り、大引けにかけては下げ幅を縮小する展開だった。市場では目立った買い材料は指摘されていないが、日経平均の底堅さに目を付けた海外短期筋と見られる打診買いが株価指数先物に入っているとの観測もある。午前から堅調だった商社や海運、銀行など割安株が多く含まれるセクターが午後に一段と強含み、指数を下支えした。
  ・決算を受けた個別銘柄の売買も活発だった。11/9発表の4~9月期連結最終損益が大幅赤字だったSBGは急落した。SBGは大引けで前日比▲515円(▲8.16%)安の5,790円となり、1銘柄で日経平均を▲100円強押し下げた。決算結果が市場予想には届かなかったホンダとソニーも売りに押された。一方、株主還元が評価されたトレンドは急伸した。・個別名型では、ファストリ・リクルート・ダイキン・任天堂が下落した。一方、東エレク・TDK・セコム・コムシスが上昇した。

●2.日本株:7~9月期決算発表シーズンは今週前半で終了、次の節目は33,100円

 1)11/9の日経平均はSQ前の思惑もあり、大幅高
  ・特別清算指数(SQ)の算出が11/10にあり、その週の水・木曜日は思惑で大幅に荒れるケースがある。11/9の日経平均+479円高は典型的な事例である。

 2)7~9月期の決算発表シーズンは、今週前半で概ね一巡する
  ・銘柄を見ると、決算発表の好悪材料への反応で振幅が激しくなっている。
  ・決算発表ラリーを今週前半で終えるため、週後半から好材料が乏しくなる傾向。そのため、週後半から、上げ相場に一服感が出る可能性がある。
  ・ただ、来年から始まる新NISA(少額投資非課税制度)へのアプローチが始まる可能性があり、好業績が期待できる銘柄に注目したい。

 3)日経平均の次の節目は33,100円で、後+532円上昇で到達する。
  ・NYダウの上昇を背景に、日経平均は上昇が期待できる。
  ・しかし、NYダウと比較すると、相対的に割安感が小さい点に注意したい。

●3.財務省発表、9月経常収支+2兆7,236億円黒字、4~9月期+12兆7,064億円(読売新聞)

●4.ソニー、4~9月期純利益+4,176億円黒字、前年同期比▲23.1%減(読売新聞)

●5.ソフトバンクG、4~9月期純損失▲1兆4,087億円赤字、前年同期▲1,290億円赤字(毎日新聞)

●6.楽天、1~9月期純損失▲2,084億円、契約者数が伸び悩む携帯事業の不振続く(時事通信)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・2326 デジタルアーツ 業績堅調。
 ・2685 アダストリア  業績好調
 ・2914 JT       12月末配当期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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