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相場展望2月3日号 米国株: トランプ関税に「しっぺ返し」の恐れ⇒米国経済の後退リスク 日本株: トランプ関税実施で、38~40千円のボックス圏相場も終盤
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)1/30、NYダウ+168ドル高、44,882ドル
2)1/31、NYダウ▲337ドル安、44,544ドル
【こちらも】相場展望1月30日号 米国株: 中国DeepSeekショック、FRBは金利を据え置き 日本株: 日経平均の先行きも安心してはおれない
●2.米国株 : トランプ関税に「しっぺ返し」の恐れ ⇒ 米国経済の後退リスク
1)カナダ・メキシコへの関税引上げの実行が伝わり1/31、▲300ドル超の下落
・輸入コストの上昇で企業業績への影響が見込まれる製造業などを中心に株売りが広がった。
・関税引上げがもう少し先になるという見方がある中、予定通り2/1に実施すると伝わった。
2)半導体・医薬品・鉄鋼・アルミニウム・銅・石油・ガスも今後、関税を課す
・トランプ氏は1/31、幅広い輸入品に今後数カ月のうちに関税を課すと表明した。
・この発言を受け、(1)原油先物が上昇(2)為替市場でドル高に転じた。WTI原油先物は1バレル=73.33ドルに上昇。銅先物価格はこの日の下げの一部を取り戻す。ドル高・円安の進行で155.22円。
・追加関税の目的
・サプライチェーン(供給網)の再構築と製造業の米国内への回帰促進。
・合成麻薬フェンタニルなど違法薬物や不法移民に流入を防ぐ。
・アメリカ・ファーストのため、競合するコモディティーや技術分野での優位確保。
・米国の貿易赤字削減。
・追加関税が米国にもたらすもの。
・輸入コスト高による物価高。
・インフレ率の上昇。
・米国経済成長率への負の影響。
・ただし、トランプ氏は「関税はインフレを引き起こさない」と発言し、エコノミストの警告を否定した。だが、トランプ氏は「何故、インフレを引き起こさない」のか根拠を論理的に明示するべきである。だが、この「根拠を示さない否定」はトランプ氏固有の特色である。
・なお、2/1からカナダ・メキシコに+25%関税、中国には+10%の関税を賦課するとホワイトハウス報道官は説明した。米国の総輸入額に占める上記3ヶ国の割合は43%である。この43%もの輸入品の米国での流通価格は+25%も上昇することになる。徴収した関税を輸入業者に還元しないかぎり、国内物価は必然的に上昇することになる。追加関税を輸入業者負担とすれば、企業業績悪化する。しかし、トランプ氏は徴収した関税の具体的な還元策について一切触れていない。
3)トランプ氏、関税が「金融市場に及ぼす影響はない」と発言
・大幅な関税引上げは、間違いなく米国経済に影響を与える。物価上昇圧力になる。そうなれば、米国のインフレ圧力が増すことになる。
・FRBの金利据え置き措置は、将来の金利引上げをにらんだ踊り場になると思われる。
・大幅関税引上げは、「金融市場に影響を及ぼす」とみている。
4)トランプ関税に「しっぺ返し」の恐れ ⇒米国経済の後退リスク
・トランプ氏が発動した関税に対し、相手国から相当の反撃が予想される。米国産品に関税を引上げる結果、米国の輸出が減速する可能性がある。
・米国の輸出減退に伴う米国経済の落ち込みの恐れがある。
・米国で物価高となり、米国民から不満が高まり、反トランプ勢力が勢い付く。
●3.トランプ氏、数ヵ月内に鉄鋼や石油へ関税賦課と表明、EUも標的(NHK)
●4.カナダ、報復関税を2/4から順次発動、16.5兆円相当の米国産品に25%関税(毎日新聞)
1)対象は、オレンジジュース・ビール・バーボンウィスキー・材木。2/4発動は300億カナダドル、残る1,250億カナダドルは3週間後に発動。
2)2023年のカナダの総輸出額の77%が米国向けであった。
3)米国にとってカナダは最大の原油供給国で、原油輸入の6割を占める。
4)トランプ政権は、カナダとメキシコからの輸入品に一律25%、カナダ産原油には10%の関税を2/4から発動する。
●5.カナダとメキシコ、中国への関税引上げを2/1開始へ=ホワイトハウス報道官(ブルームバーグ)
●6.米国GDP、2024年10~12月期速報値は+2.3%に減速、個人消費は堅調(ロイター)
1)7~9月期の+3.1%から減速し、市場予想の+2.6%増を下回った。
2)ただ、経済の3分の2以上を占める個人消費は+4.2%増と、伸びは堅調な賃金上昇を生み出している労働市場の強さに支えられている。
●7.FOMCの金利据え置き観測が、再び8割を超す、FRBは「急がず」(Moneyworld)
●8.米国新規失業保険申請件数は20.7万件と▲1.6万件減、予想22万件を下回る(ロイター)
1)就職の機会が減る半面、一時解雇(レイオフ)が低水準にとどまった。
●9.イタリア当局、ディープシークの利用制限を実施、個人情報扱いが不十分(ロイター)
●10.フランス当局、ディープシークにプライバシー保護巡り質問へ(ロイター)
●11.インテル、38年ぶり通期赤字、AI向け半導体で出遅れが響く(朝日新聞)
1)2024年12月通期純損失▲188億ドル(▲約2.9兆円)。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)1/30、祝日「春節(旧正月)」のため休場
2)1/31、祝日「春節(旧正月)」のため休場
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)1/30、日経平均+99円高、39,513円
2)1/31、日経平均+58円高、39,572円
●2.日本株:トランプ関税実施で、38,000~40,000円のボックス圏相場も終盤
1)トランプ関税に身構え、関税への懸念が重荷に
・大幅な関税の適用が、米国含む世界経済にどのような影響を及ぼすのか読み切れない。
・ただ、今までの経済秩序が影響を受けることに間違いはない。
・物価、インフレ、金利、企業業績などの動向に注目したい。
2)1/31、日経平均は+58円高だが、内容は弱い
・値下がり銘柄数が多く、一部の値がさ株の上昇で日経平均はプラスを確保
値上がり銘柄数 606
値下がり銘柄数 976
・騰落レシオ(6日)は167.71と、高値リスク圏にある。
・空売り比率は38.4と低く、売り手不在の中でやっとプラスに浮上。
・短期海外筋の断続的な先物買いを支えにプラスで終えたもの、本格的な先物買いではないため、日経平均が上値追いに転じたとは判定できない。短期海外勢の買いは、急落スピード調整程度と思われる。
・ただ、4~12月期決算発表で、好業績銘柄への買いが目立った。
3)トランプ米国大統領の「関税を2/4から実施」の報道を受け、警戒感高まる
・1/31の東京株式市場では積極的な上値追いとならず上昇は限定的だった。
・円相場は円高基調への転換をみていたが、報道を受け円安・ドル高に振れ戻る傾向が強まっている。
・米国の関税引上げ実施が避けられなくなり、米国金利の下げが一服となり、やや上昇に転じようとしている。
・米国株の軟化や米国金利が再上昇する気配から、「関税2/4引上げ実施」を受けて、米国金融市場に警戒感が高まる気配となってきたようだ。
4)短期筋の海外勢は買いのちょっかいを出すが、本格的な買いはまだまだ先
・日経平均の短期的な大幅下落で、短期海外勢は株式先物に買いを入れた。しかし、短期筋の行動は「38,000円近辺で買い、40,000円突破で売り」のスタンスを保持している。
・このため、急落に対しては若干の買いは入れるものの、本気ではない。急落へのスピード調整に過ぎない。
5)今回の下落底値は、いったんは日経平均38,000円近辺とみるが?
・それまでは、短期海外投資家の売り崩しが続きそうだ。
・ただ、米国株式市場の動向をみると、NYダウが史上最高値に1/30再チャレンジした後に上げ幅を縮め、翌日1/31に反落した。
・この米国株相場の状況から、日経平均が38,000円底値とならない可能性がありそうな雰囲気がある。
・最近の業種別騰落をみると、「今後2週間は下落」を示唆している。38,000~40,000円のボックス圏相場も終盤にきているかもしれない。
●3.日本・米国首脳会談を2/7、トランプ氏が石破首相の訪米を発表(ロイター)
●4.米国関税発動、日本車メーカーの供給網に「圧力」、営業利益▲4割減試算も(産経新聞)
1)人件費の安いメキシコ、自動車集積の厚いカナダを米国への生産供給基地として位置付けてきた。
2)関税を価格転嫁できなければ、米国での営業利益がマツダ▲44%減・ホンダ▲28%減・トヨタ▲17%減と下がる恐れがある。
●5.トヨタ、5年連続で販売世界一、前年比▲3.7%減の1,082万台、VWに大差(共同通信)
1)ハイブリッド車(HV)などの販売が好調だったが、認証不正による一部工場での生産停止や中国での競争激化が響き、前年を下回った。
●6.セブン&アイ創業家、自社買収でタイ財閥チャロン・ポカパンに出資要請(共同通信)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・6101 ツガミ 業績好調
・6856 堀場製作所 業績底上げ期待
・7309 シマノ 業績底上げ期待
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