相場展望3月7日号 米国株: 新牽引役「MaN」4銘柄の株価伸び悩みが目立つ 日本株: 高値警戒と先高観の綱引き続くが、米国株の軟化に注意

2024年3月7日 12:27

印刷

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)3/4、NYダウ▲97ドル安、38,989ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは3営業日ぶりに反落して終えた。前週末に主要な株価指数が最高値を付けた後で、主力株を中心に利益確定売りが出た。もっとも、米経済が底堅さを維持するとの見方から下値で押し目買いも入った。

【前回は】相場展望3月4日号 米国株: 人工知能(AI)関連銘柄が、米国株高を牽引 日本株: 大幅高も、一部値がさハイテク株が主導

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数と多くの機関投資家が運用指標にするSP500株価指数は前週末に過去最高値を更新した。米長期金利が上昇し株式の相対的な割高感が意識される中、主力株には目先の利益を確定する売りが出た。

  ・アップルは▲2.5%安で終え、米株相場の重荷となった。欧州委員会は3/4、アップルに対し18億ユーロの制裁金を科すと発表した。音楽ストリーミング配信市場で支配的地位の乱用があったと判断したという。

  ・もっとも、NYダウの下値は堅かった。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待から相場の先高観は根強く、下げたところでは主力株に買いが入った。バンク・オブ・アメリカはSP500指数の年末予想を5,000から5,400に引上げた。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は3営業日ぶりに反落した。中国販売の不振が伝わったテスラが▲7%安で終えた。一方、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)といった半導体の上昇が目立った。

 2)3/5、NYダウ▲404ドル安、38,585ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは大幅に続落して終えた。1日としての下げ幅は2/13の▲524ドル安以来の大きさだった。中国でのスマートフォンの販売減少が伝わったアップルが下落。ハイテク株を中心に売りが優勢だった。NYダウの下げ幅は▲500ドルを超えた場面があった。

  ・3/6、7にはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米上下両院で議会証言に臨む。市場では「利下げに慎重な姿勢は変わらず、株価の重荷となるだろう」との見方がある。FRB議長の議会証言を前に、これまで積み上げた株式の持ち高を減らす動きが出やすかった。

  ・前週末にハイテク株比率の高いナスダック総合指数と多くの機関投資家が運用指標とするSP500株価指数が最高値を更新した。NYダウは今年に入り、3/4までに+1,300ドル上げ、最高値圏にある。高値警戒感から持ち高調整や利益確定の売りが出て、株式相場を押し下げた。

  ・午前発表の2月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業(サービス業)景況感指数は52.6と前月53.4から悪化し、市場予想53.0も下回った。3/8には2月の米雇用統計の発表がある。FRBの金融政策の先行きを探るうえで、重要な経済指標の内容を見極めたいとの雰囲気もあった。

  ・アップルが▲3%弱安で終えた。調査会社が3/5に公表したリポートで年初からの6週間に、中国でのスマートフォンの販売台数が前年同期に比べて▲24%減ったと指摘し、売りを誘った。大型ハイテク株のマイクロソフトとアマゾンも下げた。

  ・その他個別銘柄では、インテルとセールスフォースの下げが目立った。半面、スリーエムが上げた。小売りのターゲットが3/5発表の決算を受けて急伸し、同業のウォルマートが連れ高した。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数も大幅に続落した。交流サイトのメタプラットフォームズなどが売られた。停電でドイツ工場の操業を停止したと伝わったテスラは▲4%弱下げた。

 3)3/6、NYダウ+75ドル高、38,661ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは3営業日ぶりに反発した。前日までの2日間で▲500ドル余り下げた後で、値ごろ感からの買いが先行した。午前のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言は、市場の想定の範囲内だったとの受け止めも買い安心感につながった。

  ・朝発表の2月のADP全米雇用リポートでは、非農業部門の雇用者数が前月比+14万人増え、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想+15万人増を下回った。同日発表の1月の全米雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人件数が+886万件となり、前月+888万件からわずかに減少した。米債券市場では長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が薄れたことも支えとなった。NYダウの上げ幅は一時+270ドルを上回る場面があった。

  ・パウエル議長は米連邦議会下院の金融サービス委員会での議会証言で、政策運営について「インフレが持続的に政策目標の+2%に向かっていることを裏付け、我々に確信を与えてくれる指標をみたい」と説明した。早期の利下げに慎重な姿勢を示した。物価目標の達成に向けては、「いくらかの自信があるが、もう少し見極めたい」などと述べた。

  ・市場では、「サプライズはほとんどなく、底堅い経済と労働市場とともにインフレの鎮静化が続いているという前向きなトーンを維持したい」との受け止めがあった。FRBが年内に利下げするという市場の見方を変えるほどではなく、株式市場への影響は限られた。

  ・買いが一巡した後は、NYダウは伸び悩んだ。3/8には2月の米雇用統計の発表がある。1月が想定より強い内容だったため、2月の結果を見極めたいという雰囲気がある。積極的に買いを入れる動きは限られ、主力銘柄の一部には売りが出た。午後にはNYダウが小幅な下げに転じる場面もあった。

  ・FRBが午後に発表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)は、経済活動が前回1月の報告時点から「全体としてわずかに拡大した」と総括した。物価上昇の勢いは緩和しているとの報告もあり、米景気の減速を改めて意識させた。

  ・個別銘柄では、インテルやメルク、ビザなどが買われた。一方、シェブロンやナイキ、アップルは下落した。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は3営業日ぶりに反発した。サイバーセキュリティのクラウドストライクが+11%弱高となった。前日夕に発表した四半期決算と見通しを受け、アナリストからの目標株価引上げが相次いだ。半面、アナリストの目標株価引下げがあったテスラは下げた。

●2.米国株:新牽引役「MaN」4銘柄に株価伸び悩みが目立つ

 1)主力銘柄だったアップル、テスラは輝き失い、株価急落
  ・アップル・中国販売低下。
  ・EV(電気自動車)事業から撤退、AI(人工知能)事業参入遅れ。
  ・株価が下落に転換
   2023年12月14日終値 198ドル
   2024年03月06日   169 高値からの下落率▲14.6%

  ・テスラ・中国では競争激化で大幅値引き。
  ・独環境保護団体からの抗議活動活発化、独工場が火災で稼働停止。
  ・EV車の市場成長率の伸び低下、期待外れ。
  ・株価は大幅下落
   2021年11月高値 414ドル
   2023年12月末  248
   2024年03月06日 176 最高値比▲57.5%安
   2024年下落率 ▲29.0%安

 2)株価上昇の新主導役に陰り
  ・エヌビディア  2023年12月29日 495ドル
           2024年03月06日 887 12/29比+79.2%上昇率
  ・マイクロソフト 2024年02月09日 420ドル
           2024年03月06日 402
  ・メタ      2024年03月01日 502ドル
           2024年03月06日 496

 3)米国株の上昇が一服する懸念増す
  ・米国株の上昇を牽引してきた「マグニフィセント7」の7銘柄から、「MaN」の4銘柄に新主導役が移った。しかし、その新主導役も株価上昇の伸び悩みが見受けられる。
  ・慎重な運用も大事になってきたと思われる。

●3.パウエルFRB議長の議会証言原稿(DZHフィナンシャルリサーチ)

 1)年内利下げを想定も、インフレ進展は「保障されず」。

 2)利下げには、インフレに関するさらなる確信が必要。

 3)年内のいずれかの時点で、利下げが適切になる可能性が高い。

●4.米1月JOLT求人件数は886.3万件と、予想885.0万件を小幅上回る(フィスコ)

 1)12月は902.6万件だった。

●5.米2月ISM非製造業景況指数は52.6、前月53.4から▲0.8と予想外に低下(ブルームバーグ)

●6.EU、アップルに約3,000億円の罰金支払命令、音楽配信で競争阻害(株式新聞)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)3/4、上海総合+12高、3,039(亜州リサーチより抜粋
  ・中国経済対策への期待感が相場を支える流れとなり、3日続伸した。

  ・国政助言機関の全国政治協商会議(政協)が今日3/4、向こう1年間の政策運営方針を決定する全国人民代表大会(全人代)が明日3/5に開幕する。経済成長の安定に向け、新たな景気刺激策が打ち出されると予測された。ただ、上値は限定的。

  ・指数はこのところの上昇ピッチが速いだけに、売り圧力も強まっている。また、上述した全人代に関し、首相による閉幕後の記者会見が予定されないと伝わったこともマイナス。記者会見は1993年以降、昨年までは毎回実施されてきた。情報へのアクセスが制限されると懸念されている。

  ・業種別では、石油・石炭などエネルギー関連の上げが目立つ。発電も高く、薬品も物色された。ハイテク・メディア・娯楽なども買われた。半面、不動産は安く、消費関連・金融・素材が売られた。

 2)3/5、上海総合+8高、3,047(亜州リサーチより抜粋
  ・中国の政策動向が好感される流れとなり、昨年11/23以来、約3ヵ月ぶりの高値水準を切り上げた。

  ・全国人民代表大会(全人代)が開幕し、冒頭で読み上げられた「政府活動報告」では、今年のGDP成長目標を2023年と同水準の「+5.0%前後」とする方針が示された。また、2024年の基本スタンスとして、「財政政策を適度に強化し、質と効率を向上させる」と説明している。ほか、内需の拡大など各種の方針が明らかにされた。ただ、市場の一部からは、「成長目標が物足りない」との声も聞かれ、買い進む動きは限定されている。

  ・業種別では、銀行が上げを主導し、軍事関連も高い。上述の全人代では、国防費の予算が前年比で+7.2%増の1兆6,655億人民元(約34兆8,180億円)に設定されている。2024年の予算は経済成長率+5%前後を上回るペースだ。発電もしっかり、産金・エネルギー・消費関連なども買われた。半面、医薬は安く、ハイテク・不動産・メディア・娯楽も売られた。

 3)3/6、上海総合▲7安、3,039(亜州リサーチより抜粋
  ・利益確定売りが優勢となる流れとなり、5日ぶりに反落した。

  ・上海総合指数はこのところの上昇で、約3ヵ月ぶりの高値水準を切り上げていた。指数発表も買い手控え要因で、中国では明日3/7に2月の貿易統計、3/8に同月の物価統計が公表される。ただ、下値は限定的。

  ・向こう1年間の政策運営方針を決定する全国人民代表大会(全人代)が開催中とあって(会期は3/11まで)、これから関係各所が公表する具体的な政策に対する期待感が続いている。

  ・指数はプラス圏で推移する場面もみられた。

  ・業種別では、銀行・保険が下げを主導し、医薬も冴えず、不動産・ハイテク・運輸・メディア・娯楽・食品・酒造なども売られた。半面、太陽光や風力など再生可能エネルギー発電の関連銘柄が物色された。産金・証券・自動車・エネルギー・素材も買われた。

●2.中国不動産開発2位の万科の債務リスクについて、複数の保険会社が注意喚起(ブルームバーグより抜粋

 1)中国当局は低迷する不動産市場へのテコ入れ策を強化したものの、住宅の販売不振は今年に入り加速している。

●3.中国保険会社設立のファンド、株式投資の準備整う、70億ドル規模(ロイターより抜粋

 1)金融規制当局は、株価対策の一環として、長期資金を株式市場に誘導する方針を繰り返し示している。

 2)証券時報によると、中国の上場投資信託(ETF)には今年、約3,300億元の資金が流入している。

●4.中国、1兆元(約21兆円)の超長期特別国債発行計画=景気浮揚狙う(ブルームバーグ)

●5.中国人民銀行、元の安定維持へ、預金準備率に引下げ余地=総裁(ロイター)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)3/4、日経平均+198円高、40,109円(日経新聞より抜粋
  ・日経平均は続伸し、初めて心理的な節目の40,000円台に乗せ、3/1に付けた史上最高値39,910円を連日で更新した。前週末の米ハイテク株高の流れを引き継ぎ、東京市場でも値がさの半導体関連株などが買われて相場上昇を牽引した。

  ・3/1発表の米景気指標が市場予想を下回り、景気減速懸念を背景に米連邦準備理事会(FRB)の利下げへの期待が再び強まった。3/1の米株式市場ではハイテク株比率の高いナスダック総合指数が最高値を更新したほか、半導体株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が+4%以上上昇した。東京市場でも半導体関連株への買いが集まり、東エレクとアドテストの2銘柄で+150円ほど日経平均を押し上げた。

  ・日経平均の上げ幅は+400円を超える場面もあった。今週は3/8に株価指数先物とオプション3月物の特別清算指数(SQ)の算出を控えている。日経平均が取引時間中に40,000円台を付けたことをきっかけに売り方が損失回避(デルタヘッジ)の先物買いを入れたことで騰勢を強めた面があるとの指摘もあった。

  ・もっとも、東証プライムの値上がり銘柄数は、全体の25%ほどに当たる425銘柄にとどまった。値下がり銘柄数は1,195だった。

  ・業種別では、銀行や海運、空運など景気敏感株の一角には売りが目立った。

  ・東証株価指数(TOPIX)で反落した。JPXプライム150指数は続伸した。

  ・個別銘柄では、ファナックやダイキン、リクルートが上昇した。安川電の上昇も目立った。一方、川崎汽船が大幅安、OLCやJALが下げた。ソニー、トヨタも下落した。

 2)3/5、日経平均▲11円安、40,097円(日経新聞より抜粋
  ・日経平均は3営業日ぶりに小幅に反落した。日経平均は前日に初めて40,000円台に乗せるなど急ピッチな上昇で短期的な過熱が高まっていた。足元で上昇が目立った半導体関連などの利益確定売りが優勢だった。半面、海外投資家を中心に相場の先高観は強く、建設や銀行、証券といった割安株への買いは続いた。日経平均は午後に上昇する場面もあった。

  ・足元で上昇が目立っていたアドテストや信越化など半導体関連への一角に売りが強まると、日経平均は10時半ごろに▲270円ほど下げる場面があった。ただ、朝方の売り一巡後は割安株が上昇する形で、相場を下支えした。3/4に株主還元の強化策を発表した大林組が大幅高となり、午後には一時、制限値幅の上限(ストップ高水準)まで買われた。同業他社にも株主還元策の強化の動きが広がるとの思惑から、大成建設や鹿島など建設株が軒並み急騰。三菱UFJなどメガバンクも上昇するなど、割安株を物色する動きが引続き活発だった。

  ・日経平均は午後に上昇に転じると、上げ幅を+120円近くまで広げる場面があった。目立った新規の買い材料は観測されなかったが、「上昇相場に取り残される恐怖心から海外投資家や一部国内勢が買いを強めた」との見方があった。ファストリやソフトバンクG、トヨタ、TDKなど主力株の一角が上げ幅を広げ、日経平均を押し上げた。

  ・東証株価指数(TOPIX)は反発し、1990年2月以来、約34年ぶりの高値を更新。JPXプライム150指数は3日続伸し、算出来の高値で終えた。

  ・個別銘柄では、ダイキン、京セラ、アステラスが下落した。一方、豊田通商、デンソー、ニトリが上昇した。

 3)3/6、日経平均▲6円安、40,090円(日経新聞より抜粋
  ・日経平均は小幅に続落して終えた。前日の米株式市場で主要3指数がそろって大幅に下落し、リスク回避目的の売りが出た。ただ、売り一巡後は下げ幅を縮め、午後には上昇に転じる場面もあった。前日の米株式市場で半導体大手のエヌビディアが逆行高となり、アドテストなど半導体関連の一角が上昇して指数を下支えした。3/6の取引で香港ハンセン指数などアジア各国・地域の株価指数が総じて堅調だったのも投資家心理を支えた。

  ・朝方の寄り付き直後には、日経平均の下げ幅が▲300円強に達した。前日の米株式市場でNYダウは前日比▲404ドル安(▲1.03%安)の38,585ドルで終えた。中国でのiPhoneの販売減少が伝わったアップルが下落するなど、ハイテク株を中心に売られた。3/6の東京市場では米株安を手掛かりにした売りが出た。

  ・だが、売り圧力はすぐ弱まり、日経平均は下げ幅を縮小する展開。午後には上昇に転じ、3/4に付けた史上最高値40,109円を上回る場面があった。プライム市場全体では値上がり銘柄数が7割を占め、値下がり銘柄数を大きく上回った。業種別では、不動産、銀行、電気、ガスなど内需系の上げも目立った。

  ・市場では「資本効率の改善期待を背景に株価の先高観は強い。海外投資家などが割安株に資金を振り向ける動きが広がっている」との声が聞かれた。PBR(株価純資産倍率)が相対的に低い銘柄で構成する東証株価指数(TOPIX)バリュー指数は+0.71%高で終え、TOPIXグロース指数の上昇率+0.07%高を上回った。

  ・TOPIXは続伸し、連日で1990年2月以来、34年1ヵ月ぶりの高値を更新した。JPXプライム150指数は4営業日ぶりに▲0.66(▲0.06%)反落して終えた。

  ・個別銘柄では、ファストリやソフトバンクG、TDKなど値がさ株が安い。テルモやキッコーマンが下落した。日立やファナック、川崎汽船も売られた。一方、東エレクやスクリンが高い。トヨタやホンダ、SUBARUが上昇した。横河電や荏原のほか、中外薬やアサヒも買われた。

●2.日本株:高値警戒と先高観の綱引き続くが、米国株軟化に注意

 1)高値警戒と先高観の綱引き続く
  ・新高値・新安値銘柄数と日経平均の推移
            3/1    3/4  3/5   3/6
   新高値銘柄数   143    156  111   163
   新安値銘柄数   9     21   43    23
   日経平均の値動き +744円高 +198 ▲11円安 ▲6
  ・新安値銘柄数が徐々に増加しているのが、気懸り材料。
  ・ただ、新高値銘柄数が多く、地合いの強さは維持している。

 2)物色の広がり
  ・日経平均を牽引してきた値がさ半導体株だが、銘柄ごとにみるとバラバラ感が出てきた。
  ・一方、割安株の小型株に元気な銘柄が出てきた。

 3)円高に注意
  ・パウエルFRB議長の議会証言で、「年内にも利下げ」が意識され、米国金利が低下した。
  ・米国金利低下で、日米金利格差が縮小する方向が明らかになると、今までの「円安」⇒「円高」に転換する可能性が濃くなる。
  ・円高基調が定着するとなると、今まで円安効果で業績下押しするとみられてきた商社・自動車銘柄に下方圧力が加わると思われる。

 4)米国株の変調にも注意したい
  ・米国株は、「マグニフィセント7」の主導で株高⇒「MaN」4銘柄に主役交代して株高となっていた。
  ・しかし、その新主役の株価も、銘柄によっては伸び悩みが見受けられるようになってきた。
  ・米国株に連動してきた日本株だけに、米国株の動向を注視したい。

 5)日経平均は、既にNYダウに比べて「割高」感が出ている
  ・海外投資家(現物)は、2月3週には「売り越し」に転換している。年初からの日本株の買い主体であった海外投資家(現物)の売り転換に注目。
  ・日経平均は史上最高値を付けて高値圏にあるだけに、警戒したい。

●3.総務省、LINEヤフーを行政指導、再発防止と利用者保護を要請(テレビ朝日)

●4.伊藤忠、ビッグモーター再建へ、株式分割方式で主要事業を継承(ロイター)

●5.NTTドコモ、「オリックス・クレジット」を子会社化(NHK)

 1)NTTドコモは、オリックス傘下のオリックス・クレジットの株式の66%を取得し、今月下旬に子会社化する。

 2)ドコモとしては、2022年から手掛けるスマホのアプリを使った個人向け無担保ローン事業など金融サービス事業を強化する方針。

 3)ドコモは、今年1月にマネックス証券を子会社化するなど、金融事業の強化を急いでいる。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1861 熊谷組   期末配当期待。
 ・4544 HU     業績向上期待。
 ・8316 三井住友FG 利ザヤ拡大期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

記事の先頭に戻る

関連キーワード

関連記事