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相場展望10月27日号 10/27のアップル、アマゾンの決算発表に警戒 中国、イデオロギー主導の経済立て直しに課題
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)10/24、NYダウ+417ドル高、31,499ドル(日経新聞より抜粋)
・米連邦準備理事会(FRB)が12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げ幅縮小を協議すると先週末に伝わったが、その見方が引続き買いを誘い一時+520ドルに達した。
・英国でスナク元財務相が次期首相に就任する見通しとなり、英国の財政運営が安定するとの見方から欧州株式相場が軒並み上昇したのも投資家心理の改善につながった。
・先週末は景気敏感株への買いが相場を押し上げたが、10/24はディフェンシブ株のバイオ製薬のアムジェン、飲料のコカコーラの上昇が目立った。
・今週はアップル、マイクロソフトなど大手ハイテク銘柄の7~9月決算発表を控える。これまでの決算発表を受けて企業業績を巡る過度な不安は和らいでいる。決算発表後の株高への期待も相場を支えた。
・ハイテク比率が高いナスダック総合は続伸し、アルファベットやエヌビディアが上昇。
【前回は】相場展望10月24日号 NYダウの目標は32,078ドル、上昇余地+996ドル 日経平均は一時的連れ高も、下落基調は変わらず
2)10/25、NYダウ+337ドル、31,836ドル(日経新聞より抜粋)
・米長期金利が低下し、相対的な割高感が薄れたと見た買いがハイテク株などに入った。
・米長期金利は10/25、一時4.05%と前日4.24%から大きく低下した。米連邦準備理事会(FRB)が12月以降に利上げペースを緩めるとの見方から長期金利は低下傾向にある。
・金利上昇局面で割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテクなどが買われ顧客情報管理のセールスフォースとスマホのアップルが上げた。
・決算発表が佳境を迎えている米企業の7~9月決算が警戒したほど悪くないとの見方も買いを促した。市場予想を上回る増収増益決算を発表した飲料のコカコーラが堅調。通期の業績見通しを据え置いた自動車のゼネラルモーターズと物流のUPSも買われた。
・2日続伸で+1,100ドル超上昇した後であり、目先の利益確定目的の売りが出た。
・ハイテク株比率の高いナスダック総合は3日続伸し、メタとテスラが大きく上昇した。
3)10/26、NYダウ+2ドル高、31,839ドル(読売新聞、株式新聞)
・カナダ銀行(中央銀行)は政策金利を+0.50%引上げ3.75%とした。市場予想の+0.75%引上げを下回ったことから、米FRB(連邦準備制度理事会)も利上げペースを緩めるとの期待感が高まり、米長期金利が一時3.9%台に低下した。NYダウは一時+330ドルを超える上昇を見せる場面があった。
・一方、10/25の取引終了後発表のIT大手グーグルの親会社アルファベットの決算が市場予想を下回ったことを受け下落したほか、ボーイングやアップルなども冴えず上げ幅を縮小した。IT企業の銘柄が多いナスダック総合は▲228安の10,970だった。
・原油先物の上昇を背景に石油大手シェブロンや、クレジットカード大手のビザが上げた。
●2.米国株:IT大手の7~9月決算が予想を下回る可能性があり、警戒したい
1)NYダウは直近の下げ幅の61.8%(32,078ドル)を、10/26に一時上回る32,160ドル超となり、目標を達成した。
2)10/25の取引終了後に7~9月決算を発表したアルファベットが市場予想を下回り、不透明感が浮上し、上げ幅を縮小した。ボーイングは増収・赤字転落。10/26のメタ、10/27にアップルとアマゾンの決算発表が予定されている。
3)この度の米国株式の相場を牽引してきた「GAFAM」の決算が市場予想を下回れば、今後の「業績相場」に影響すると思われるので、10/27の決算発表に注目したい。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)10/24、上海総合▲61安、2,977(亜州リサーチより抜粋)
・中国政策運営の不透明感が、相場を重くする流れとなった。
・中国最高指導部の人事を巡り、経済通と言われる李克強・首相の指導部入りはなく、中国人民銀行(中央銀行)の易綱・総裁は中央委員会メンバーに選出されなかったことにより退任する可能性が高まっている。
・また、閉幕した党大会で新型コロナ感染防疫措置の緩和や、不動産業の支援策などに言及がなかった点も失望された。
・香港・本土相互取引(ストックコネクト)スキームの売買では、本土株の売越しが179億人民元に上り、過去最大を記録したと伝わった。
・寄り付き直後に、中国経済指標が公表され、注目の7~9月国内総生産(GDP)成長率は大幅に上振れたが、好感する買いは限定された。
・9月小売売上高は前年比+2.5%増と、増加率は予想+3.0%・8月実績+5.4%下回る。
・全国不動産開発投資は、中国全体で前年比▲8.0%減少、6カ月連続の減、減少率は1~8月の▲7.4%から拡大した。
・習近平・国家主席の政権3期目が発足し、中国指導部の8割が習派で占められるなか、軍備増強の思惑が改めて広がった。
・業種別では、消費関連の下げが目立ち、不動産・金融が冴えない。軍事関連はしっかり。
2)10/25、上海総合▲1安、2,976(亜州リサーチより抜粋)
・投資家の慎重スタンスが継続する流れとなった。
・人民元安の進行が重石となっている。2010年以来の安値を7.36と再び更新した。
・前日に急落した反動もあり、値ごろ感に着目された。
・中国新指導部に対する過度な不安も薄らいだ。
・中国政府は近く、新型コロナ感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を緩和するとの見通しを、アリアンツなど中国ファンドマネジャーが示した。
・業種別では、不動産の下げが目立ったが、旅行関連の空運・空港・ホテルが上げた。
3)10/26、上海総合+23高、2,999(亜州リサーチより抜粋)
・中国当局の経済安定化スタンスが好感される流れとなった。
・中国人民銀行(中央銀行)などは10/25、マクロ経済を安定させるべきとする声明を発表した。株式・債券・不動産市場の健全な発展を維持する方針を示した。
・足下で売り材料視されてきた人民元安の一服も好材料となった。急落した人民元相場を下支えするため、中国の国有銀行が10/25、米ドル売りを実施した模様と報じられた。
・業種別では、ITハイテク関連の上げが目立ち、医薬品も高い。石炭・不動産は安い。
●2.中国株:異例の3期目となる習近平、西側諸国から孤立を深めながら経済立て直しが課題
1)中国が抱える「活力がなくなる」経済問題
(1)ゼロコロナ政策:行動規制強化で生産・消費・供給が低迷し、経済を直撃。
(2)不動産業界締め付け:中国GDPの25%を占める中国経済の牽引力、融資規制による業界の運転資金枯渇から住宅建設低迷。住宅ローン不払い運動。
(3)成長著しいIT業界の締め付け、行政の介入
(4)教育業界への締め付け、塾の排除
(5)共同富裕の思想展開
(6)銀行に対する取り付け騒ぎ
(7)半導体産業育成に対する米国の規制強化
(8)一帯一路政策のつまずき
(9)人民元安:資金流出の加速
(10)ロシア・プーチン大統領支持と台湾問題の緊張で、西側諸国との関係悪化
(11)大学卒業者の就職難と16~24歳の若者失業率の高さ
(12)人口減少と出産率の低下、高齢化の進展が急
2)習・国家主席は、社会主義志向が強く、さらなるイデオロギー政策強化の可能性が高い
・中国共産党・政府による、経済・産業・企業に対する管理強化が進展すると予想。
・すでに、アリババ・テンセントなど民間企業に対する規制強化が実施され、不動産業界も金融の総量規制で青息吐息となっている。民間企業は法人税歳入の6割を占めるとされるが、規制強化で歳入欠落を招く。地方政府財政の4割を占める不動産取引も縮小し、財政悪化が予想される。これでは、中国経済や企業の活力が失われ、閉塞感が強まると思われる。
・習主席の異例の3期目以降は、文化大革命への逆戻りの可能性が高まりそうだ。
2)中国経済の立て直しが課題だが、新指導部は経済テクノクラートが不在
・今までは李克強・首相など経済テクノクラートが中国経済の舵取りをしてきた。それだけに、経済に精通した要人が不在となる中国経済の運営に注目したい。
・日本の工作機械は中国向けが多かったが、今や、マレーシア・インドネシアなど東南アジア向け受注が取って代わってきている。中国が世界の工場と言われて久しいが、インド・東南アジアが世界の工場の一角に食い込んでいくと見られる。中国は「脱世界の工場」と衰退化の可能性がある。
3)中国を取り巻く国際環境は悪化している。
・中国はロシア支持で、西側諸国から距離を置かれる
・一帯一路政策も、スリランカ・パキスタンなど新興国債務問題発生、西欧などから警戒され始めた。
●3.中国7~9月GDP(国内総生産)は前年比+3.9%(NHK)
1)新型コロナ感染拡大を抑え込む「ゼロコロナ政策」の影響や、不動産市場など低迷で、中国経済の回復は鈍く力強さを欠く状況となっている。
2)当初の発表は10/18の予定だったが、共産党大会閉幕後の10/24の公表とした。
●4.中国・香港金融市場で10/24記録的な売り、習氏への権力集中に警戒感(ブルームバーグより抜粋)
1)中国本土株、外国勢の売越額が▲3,680億円相当と過去最大。
2)人民元は、1ドル=7.3069元と、10年の取引開始後初の7.3元を超える元安水準。
3)習氏への権力集中、ブレーキ役不在で混乱が世界に一段のリスクに、株と人民元下落。
●5.香港株10/24急落、13年半ぶり安値、中国新指導部に経済先行き警戒感(時事通信)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)10/24、日経平均+84円高、26,974円(日経新聞より抜粋)
・前週末、FRBが12月FOMCで利上げ減速を議論するとの米紙報道を受け、米国株は大幅高となり、東京市場でも主力株を中心に買い先行、上げ幅は一時+400円を超えた。
・一方、中国共産党の習近平・総書記(国家主席)が10/23、3期目の最高指導部を発足。指導部の大多数が習氏の側近らで占められる、統制強化などに対する思惑から、中国の経済運営を巡る不透明感から香港株が急落したことも、日経平均の上値を抑えた。
・市場では「報道は、金融引締めへの行き過ぎた懸念が修正されただけで、FRBが利上げを進める方針は変わらない」など慎重な見方も多かった。
・米株価指数先物が上げ幅を縮めると、日経平均も伸び悩んだ。
・川崎汽・エムスリー・東エレクが上昇、百貨店・JR東海・三井不が売られた。
2)10/25、日経平均+275円高、27,250円(日経新聞より抜粋)
・前日の米株高や10/25の中国・香港のハイテク株高を好感し、ソフトバンクGに連想買いが入ったこともあり、日経平均は上げ幅を一時+360円超に広げた。
・好決算を発表した日本電産が買われるなど、業績を手掛かりにした物色も目立った。これから本格化する主要企業の4~9月決算発表に向けて「円安が日本企業の業績を押し上げるという安心感が株式相場の支えとなるだろう」との声があった。
・中国共産党の新指導部による経済対策に対する不透明感や、米長期金利の高止まりの警戒感が上値を抑える要因となった。
・市場では「世界的なインフレは続いており、売り方の買い戻しによる上昇に留まる」との慎重な見方があった。
・エーザイ・アステラス・第一三共・海運株が上げ、資生堂・花王・中外薬が安い。
3)10/26、日経平均+181円高、27,431円(日経新聞より抜粋)
・米長期金利の低下を好感し、10/25の米株式相場が上昇したのを受け、東京市場でも成長株を中心に買いが入り、+300円超の場面もあり9/20以来の高値水準となった。
・香港市場でハンセン指数が上昇したことが追い風となった。
・日経平均は9/20~21の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表前の水準を回復。
・だが、米株式先物が軟調となり、日経平均は引けにかけて伸び悩んだ。7~9月決算発表を受け、アルファベットやマイクロソフトが時間外取引で下落し、10/26の米国株相場が下げるのではないかとの警戒が重荷になった。
・ソフトバンクGが年初来高値を更新し、エムスリー・テルモ・リクルートが上げ、東エレク・日本電産・TDKが下げた。
●2.日本株:4~9月決算発表シーズン本格化も、模様眺めに注意
1)4~9月決算発表が本格化するが、中国・米国・欧州の景気の先行き不透明感と、 円安が一服する可能性も予想され、決算内容を見極めたいと模様眺めムードが広がることもあり得る。
2)米長期金利の低下で米株式相場は上昇し、日本株も連れ高した。しかし、米インフレの高止まりは継続し、米金利は5%を超えると見ている。したがって、米株式の割高感から株価低下懸念があり、日本株の連動性に注意したい。
●3.サマーズ元米財務長官、世界は日本から資金買入、日本金利の変化は重大事件(ブルームバーグ)
1)世界的な市場リスクの高まりは、2007年8月を想起させる。
・2007年夏は米住宅市場の崩壊(サブプライム問題)を巡る最初の緊張の兆候が表れ、それが翌年には世界大恐慌以来最悪の金融危機へと発展した。
2)日本の為替介入と金融緩和の同時進行は「異例の事態」で、日銀の動向が世界のリスク。
■IV.注目銘柄(投資は、ご自身の責任でお願いします)
・3086 Jフロント 業績好調。
・3776 ブロードバンド 業績堅調。
・4307 野村総研 業績堅調。
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