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相場展望9月12日 米国株: リスクの過小評価、楽観が継続 日本株: 欧米株に対して底堅い動き
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)9/8、NYダウ+193ドル高、31,774ドル(日経新聞より抜粋)
・直近高値から▲3,000ドル強下落し、短期的な戻りを見込んだ買いが優勢だった。
・ただ、世界的な金融引締めへの警戒感は根強く、NYダウは下げる場面もあった。
・長期金利上昇でJPモルガンやゴールドマンSなど金融株が買われ、医療保険のユナイテッドヘルスや製薬のメルクなどヘルスケアの上げも目立った。
・しかし、世界的な金融引締めが景気を冷やすとの懸念がくすぶり、上値は重かった。
・欧州中央銀行(ECB)は9/8、通常の3倍となる+0.75%の利上げを決めた。パウエルFRB議長は講演で、利上げは「仕事が終わるまでやり続ける」と述べた。
・市場では「値ごろ感が出てきたとはいえ、相場底入れの確信は持てず、9/13の消費者物価指数(CPI)までは買いも売りも動きにくい」との指摘があった。
【前回は】相場展望9月8日 米国株: 9/7は一時的反発、依然として警戒は変わらず 日本株: ▲1800円安の自律反発期待、ただし短期か
2) 9/9、NYダウ+377ドル高、32,151ドル(日経新聞より抜粋)
・米連邦準備理事会(FRB)による大幅利上げ観測の織込みがある程度進み、米債券市場では長期金利の上昇も一服した。投資家心理の悪化にひとまず歯止めが掛かり、8月中旬移行の調整局面で下げがきつかったハイテクや景気敏感株を中心に買われた。
・市場では、9/20~21開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の+0.75%の利上げが決まるとの見方が大勢だ。
・週初めに急上昇した長期金利は9/9に3.3%前後と、前日から横ばいで推移し、株の買い安心感から、NYダウは直近3営業日で+1,006ドル上昇、下落幅の3分の1戻り。
・機関投資家が運用の参考指標とするSP500指数は、3,900近辺まで下げていたが、「前日に4,000台に戻したことで投資家心理が改善し、持ち高調整の買いが強まった」との指摘もあった。
・長期金利の上昇で売られていた高PER(株価収益率)のハイテク株が買い直された。原油高で石油のシェブロンが上げ、キャタピラーの上昇も目立った。
●2 .米国株:リスクを過小評価し、楽観的にみる傾向が続いている
1)NYダウなどの推移
・ 6/17 ⇒ 8/16 ⇒ 9/6 ⇒ 9/9
29,888ドル 34,152 31,145 32,151
+4,264ドル高 ▲3,007安 +1,006高
上げ幅の▲70.5%安 下げ幅の+33.5%戻し
2)懸念材料
・高インフレ:インフレ率が+8.3%は、1ヶ月分の給料が減少することを意味する。
・利上げ:9月は通常の3倍に当たる+0.75%の引上げ3連続が濃厚。
・QTの過小評価:FRBの過剰流動性引上げであり、金利引上げと同等の影響。
・企業業績悪化:需要減速、原油・借入コスト高の影響。
・欧州・中国の景気後退の波及効果。
・SPR放出終了:SPR(戦略石油備蓄)放出が10月に終了後のガソリン価格に注目。
・米中間選挙 :11月選挙。共和党勝利の場合はバイデン政権のレームダック化。
3)9~10月株式相場は、夏の上昇相場が異常であった可能性を占う
・債券相場の長短金利逆転「逆イールド」が長期化しており、債券市場の慎重さと株式市場の楽観との違いが際立っている。
・米国の賃金上昇率が前年同月比+5.2%と高く、求人の多さから賃金インフレが長期化する恐れがある。
●3.ドイツ銀行:米国株はリセッション入りなら▲25%下落(ブルームバーグ)
●4.パウエルFRB議長の講演、最大雇用とインフレ安定へ力強い行動継続すると公言(フィスコ)
●5.米国政府資金を受ける企業は、中国での「先端技術」施設の建設を禁止(BBCより抜粋)
1)バイデン大統領は8月、ハイテク製造と科学研究に2,800億ドル(38億円)支出する法案に署名し、成立した。
2)これは、米国内で事業する製造工場を建設する企業に対する減税措置も含まれる。
3)米国は現在、世界の半導体供給の10%を占めるが、1990年の40%から減少している。
4)中国向け販売停止を命じられたエヌビディア、AMDは大打撃を受けている。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)9/8、上海総合▲10安、3,235(亜州リサーチより抜粋)
・中国の行動抑制継続が嫌気される流れとなった。
・中国南西部の中核都市・成都市は9/8に新型コロナ感染拡大リスクが収まらないと説明したうえで、市内全域で事実上のロックダウン(都市封鎖)をさらに延長した。ロックダウンは中国各地で実施している。
・5年に1度の中国共産党大会が10/16に北京で開催されるだけに、閉幕するまでコロナ防疫措置が緩和されることはないと悲観された。
・足元の軟調な経済指標を受け、中国当局が景気対策を強めるとの思惑が続いた。
・また、人民元安の一服もプラスとなり、米ドルに対して上昇に転じた。
・業種別では、半導体関連の下げが目立ち、薬品も安く、発電・電力設備は高い。
2)9/9、上海総合+26高、3,262(亜州リサーチより抜粋)
・景気テコ入れ策に対する期待感が強まる流れとなった。
・国務院が先ごろ策定した新たな経済対策パッケージ19項目に関しては、詳細が近く発表される見通しだ。
・中国のインフレ懸念もやや後退。中国8月物価統計は、消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の上昇率が予想を下回り、前月実績から鈍化した。
・人民元安の切り返しもプラス。人民元は米ドルに対して2日連続で上昇しており、資金流出懸念も薄らぐ状況。
・業種別では、不動産の上げが目立ち、金融も高い。自動車関連・半導体は冴えない。
●2.中国8月生産者物価指数は前年比+2.3%で、市場予想+3.2%を下回る(フィスコ)
●3.中国8月消費者物価指数は前年比+2.5%で、市場予想+2.8%を下回った(フィスコ)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)9/8、日経平均+634円高、28,065円(日経新聞より抜粋)
・米国でインフレ懸念が和らぐとの思惑から、前日の米国株式相場が上昇した流れを引き継ぎ、朝方から株価指数先物に断続的な買いが入り、8/31以来の28,000円を回復。
・9/9に株価先物9月物の特別清算指数(SQ)の算出を控え、思惑的な買いを誘った。
・前日に200日移動平均(9/7時点27,467円)を割込み、短期的な反発を見込んだ買いも入りやすかった。
・欧州中央銀行(ECB)も利上げを決める予想があり、金融引締めによる世界的な景気減速への懸念がくすぶっている。
・市場では「積極的に株を買う状況になく、投機筋の先物買いで株価が押し上がった」と冷静な声も聞かれた。
・円安が追い風となりSUBARUが年初来高値を更新、ファストリ・東エレクが買われた。
2)9/9、日経平均+149円高、28,214円(日経新聞より抜粋)
・前日の米国株高を背景に値嵩のハイテク株などが買われ押し上げた。これまでの円安基調に加え、9/9のアジア株が総じて上昇したことも日本株の買い安心感につながり一時+200円超高も、利益確定売りも出て、伸び悩む場面もあった。
・正午過ぎに黒田日銀総裁は岸田首相と会談し「急激な円安は好ましくない」と述べたが、株式市場での反応は限られた。
・東エレク・アドテストなど半導体関連が買われ、エムスリー・京セラ・ファストリ・KDDI・中外薬・塩野義・バンナム・リクルートが上昇、ダイキン・ソニーは下げた。
●2.日本株:米欧に比べ底堅い日本株だが、戻り高値まで後+310円高?
1)日経平均の推移
・ 6/20 ⇒ 8/7 ⇒ 9/7 ⇒ 9/9
25,771円 29,222 27,630 28,314
+3,451円高 ▲1,592円安 +684円高
上昇幅の▲51.9%下落 下落幅の+42.9%戻し
2)今回の9/8以降の反転相場の上限予想
・下落幅▲1,592円安に対する巻き戻し率を61.8%とすると、+983円高を予想。つまり、9/12以降の戻り幅予想は後、+299円高(日経平均28,613円)となる。
・上限は25日移動平均線28,269円を、下限は200日移動平均27,450円を意識した 展開を予想する。
3)懸念材料
・欧米の景気減速・景気後退。
・欧州は天然ガス高騰による景気悪化、特にドイツ。
・米国は金利引上げによる需要後退。
・中国不動産バブル崩壊の足音。
4)支援材料
・日銀の超緩和策の継続。
・円安傾向が、輸出企業業績にとって追い風。
5)日本株は、欧米株に比べ、しばらくは底堅い展開を予想
・自律反発の範囲で、大きなトレンドが転換したとはみられないが、 売り疲れていたところに米国株高が加わり、比較的強い買戻しとなった。
・国の力を表わす通貨が「円安」と安くなる国の株価は下がっても、高くなることは異常であり、いずれ修正が入ることに留意したい。
・ヘッジファンド等の海外投資家の大幅買越しに対する巻き戻しにも注意したい。
■IV.注目銘柄(投資はご自身の責任でお願いします)
・4661 オリエンタルランド 業績回復期待
・6701 NEC 業績回復期待
・6902 デンソー 業績好調
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