相場展望1月15日号 米国株: 米国リスク浮上、FRB議長訴追で広がる「ドル」「米国債」の下落 日本株: 衆議院解散・選挙報道で1/13・14で、日経平均+2,402円高、指標は高値警戒を示唆

2026年1月15日 14:27

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)1/12、NYダウ+86ドル高、49,590ドル
 2)1/13、NYダウ▲398ドル安、49,191ドル
 3)1/14、NYダウ▲42ドル安、49,149ドル

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●2.米国株:米国リスクが浮上、FRB議長訴追で広がる「ドル」「米国債」の下落

 1)米国リスクが浮上、FRB議長訴追で広がる「ドル」「米国債」の下落
  ・トランプ大統領によるパウエルFRB議長への攻撃が続いている。パウエルFRB議長の訴追で、トランプ政権とFRBの緊張が高まっている。

  ・中央銀行であるFRBの独立性について、信頼性が揺らぎ疑義が深まり始めた。米国FRBの独立性は「極めて重要」だと、ECBなど主要中央銀行首脳がFRB議長に連帯を表明したぐらいだ。

  ・FRBの独立性危機が、基軸通貨「ドル」と米国債券への信認が揺らがせる材料となってきている。

  ・トランプ氏が選んだ新FRB議長が「政策金利低下」を強引に主導するリスク。新FRB議長が引き起こすリスク。
    ・利上げすべき局面にもかかわらず、利上げしない。
    ・利下げしない局面においても、利下げする。
   そのような場合、市場は強く警戒する可能性があり、新FRB議長に対するリスクが高まる可能性をはらんでいる。

  ・結果として、トランプ大統領は「米国の強みを破壊するドル安・債券安」を招く恐れがある。トランプ氏のMAGA(米国ファースト)とは、「基軸通貨・米国ドル」の価値をおとしめ、西側諸国との同盟を棄損し、「米国の覇権を破壊」するのが真の目的だったのか?

 2)米国株1/14、株価ハイテク株や銀行株が売られ、ハイテク主導で下落
  ・米国ハイテク株は市場の一部から「買われ過ぎ」との警告が出された。中国の関税当局がエヌビディアの製品「H200」の輸入を認めないと報じられたことも重なってハイテク株が1/14、軒並み売られた。

  ・銀行株も、ウェルス・ファーゴの決算発表を受け、総じて売られた。ウェルス・ファーゴが売上高・1株当たり利益ともに市場予想を下回り1/14、▲4.6%安となった。バンク・オブ・アメリカも▲4%下落した。シティも安い

  ・ハイテク株の高値警戒を意識した売り圧力や、銀行株は業績が好調ながら、株価高値維持に不透明感が増し売られた。

  ・この流れが1/15、高値圏にある東京株式市場にも波及すると思われる。

 3)1月のNYダウは、1/5⇒1/14間では「ほぼ横ばい」
  ・NYダウの推移
           NYダウ
      1/05   48,977ドル
      1/14   49,149
      上昇幅  +172ドル高
      上昇率  +0.35%高

  ・NYダウは11/20に45,752ドルを底に上昇し、1/12に49,590ドルと最高値を更新した。しかし、株高を牽引してきたハイテク株、底上げしてきた銀行株の一服を受け1月に入ってからのNYダウは横ばいとなっている。

  ・注目したいのは、ハイテク株の株価上昇が頭を打ったか否か?の行方だろう。そのためにも、米国中央銀行・「FRBの独立性」が重要なファクターとなる。強い米国株は「基軸通貨・米国ドル」の上で成り立っている。その強さは「FRBの独立性」で担保されている。その基盤が、トランプ大統領によって崩されるリスクが生じている。米国株式市場にとって、それだけ「FRBの独立性」は重大なことなのである。

●3.米国政権、FRB議長を刑事捜査、FRBの独立性維持が重大局面に(時事通信)

 1)パウエル米国連邦準備制度理事会(FRB)議長は1/11、自身の昨年の議会証言を巡り、司法省が刑事捜査に関する召喚状を出したことを明らかにした。
  ・トランプ政権はFRB本部改修工事のコスト膨張を問題視した。パウエル氏は昨年6月、上院銀行委員会の公聴会で、華美な改修工事が行われているとの見方を否定した。トランプ氏は7月、パウエル氏とともに工事現場を視察していた。

 2)パウエル氏は声明で「FRBが証拠と経済状況に基づいた金利決定を続けられるか、金融政策や政治的圧力や脅しに指図されているかが問われている」と訴えた。刑事捜査は大幅利下げという「トランプ氏の好み」に従わなかったためだと断じた。

 3)基軸通貨ドルの「番人」であるFRBの金融政策は、世界経済への影響力が大きい。信認が損なわれば、市場の変動を招く恐れがある。パウエル氏捜査の報道を受け、一時ドルは売られた。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)1/12、上海総合+44高、4,165
 2)1/13、上海総合▲26安、4,138
 3)1/14、上海総合▲12安、4,126

●2.中国自動車販売、2026年は+1%増の予想=汽車工業協会(ロイター)

 1)昨年2025年の+9.4%増から、鈍化すると予想。国内の需要は依然として不十分で、在庫を増大させると予想した。
 2)自動車輸出は前年の+21.1%増から、+4.2%増に減速すると予想した。輸出は地政的不確実性で貿易の緊張が輸出に下押し圧力がかかるとした。

●3.EU、中国製EVに販売条件「販売最低価格」導入、関税の代替措置(ロイター)

 1)EUが最大35.3%を課している関税を軽減するための代替措置で、中国外務省も概ね歓迎する意向を示した。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)1/12、祝日・成人の日で、休場
 2)1/13、日経平均+1,609円高、53,549円
 3)1/14、日経平均+792円高、54,341円

●2.日本株 : 衆議院解散・選挙報道で1/13・14で、日経平均+2,402円高、指標は高値警戒

 1)衆議院解散・選挙報道で1/13~14で、日経平均+2,402円高、諸指標は高値警戒
  (1)日経平均の推移
     1/09  51,939円
     1/14  54,341
     上昇幅 +2,402円高 +4.62%高
   ・NYダウと日経平均の推移
           NYダウ     日経平均
      1/05   48,977ドル   51,832円
      1/14   49,149     54,341
      上昇幅  +172ドル高  +2,509円高
      上昇率  +0.35%高   +4.84%高
     ・NYダウに比べ、上昇率の高さが際立っている。それだけに、日経平均の下落余地が増している。

  (2)騰落レシオが上昇、特に騰落レシオ(6日)の高騰が下落リスクを示唆
          25日     6日
     1/05   111     111
     1/08   117     126
     1/09   125     133
     1/13   133     184
     1/14   132     199

  (3)値上がり・値下がり銘柄数の推移
        値上がり数 値下がり数  日経平均の動き
     1/05   994   564    +1,493円高
     1/08   632   905    ▲844円安
     1/09   1,110  429     +822円高
     1/13   1,063  486     +1,609円高
     1/14   1,156  395     +792円高
   ・値上がり数は3分の2を占め、相場の底堅さを示している。

  (4)空売り比率
   ・日経平均が上昇する時は、空売り比率が低い。
          空売り比率  日経平均の動き
     1/05    36.5    +1,493円高
     1/08    42.2    ▲844円安
     1/09    41.1    +822円高
     1/13    34.1    +1,609円高
     1/14    34.1    +792円高

  (5)円相場1/13、一時159円台に、1年半ぶり
   ・高市首相の積極財政策が、政府債務が増加し財政リスクが増すとして円安進行し、1/13には159円台となった。その後、為替介入発言もあり、158円台と円高に振れている。
   ・しかし、日本・米国の10年債利回りは縮小している。これは、明らかに円高要因である。
     ・日米金利差の推移   1/08    1/14
       日本債10年金利  2.079%  2.185%   
       米国債10年金利  4.167   4.132  
        差異     ▲2.088% ▲1.947%

     ・現状は、高市・財政拡張策に対する海外為替投機筋の円売りで円安となっている。為替変動の基軸は「金利差」である。このため、現在は一時的に「円安」に向かっているが、日銀の金利高・FRBの金利低下策で日本・米国の金利差は縮小していくと予測される。この予測からすると、「円安⇒円高」方向に為替は動くと予想する。

     ・なお、日本の債務は、GDP比でみると低下方向にあり、改善されている。海外為替投機筋の思惑に惑わされることのないようにしたい。

 2)日経平均寄与上位5銘柄の推移
  (1)1/13、日経平均+1,609円高、寄与上位5銘柄で+1,065円高・占有率+66.19%
   ・寄与上位5銘柄     上げ寄与額    株価上げ幅
     アドバンテスト    +463円高   +1,730円高
     東京エレクトロン   +313     +3,120
     ソフトバンクG     +148     +184
     ファーストリテイ   +86      +1,070
     信越化学       +55      +330
      合計        +1,065

  (2)1/14、日経平均+792円高、寄与上位銘柄で+597円高・占有率+75.37%
   ・寄与上位5銘柄     上げ寄与額    株価上げ幅
     アドバンテスト    +287円高   +1,075円高
     東京エレクトロン   +128     +1,280
     ファーストリテイ   +108     +1,340
     ファナック      +51     +305
     レーザーテック    +23     +1,720
      合計        +597
   ・両日ともに寄与上位5銘柄のうち4銘柄が半導体関連銘柄が占めた。米国の半導体株指数(SOX)の好調が波及している。

●3.世界銀行、2026年世界成長率+2.6%と予測、日本は+0.8%に減速   (共同通信)

 1)世界銀行の成長率見通し
           2025年     2026年     2027年
   世界全体            +2.6%     +2.7%
   日本      +1.3     +0.8      +0.8
   米国              +2.2      +1.9
   ユーロ圏            +0.9      +1.2
   中国 +4.4      +4.2

●4.ファーストリテイリング、1/13に時価総額20.3兆円(ロイター)

●5.安川電機、9~11月期営業利益+98.6億円と前年同期比▲13.4%減(フィスコ)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6503 三菱電機    防衛装備品
 ・7011 三菱重工    防衛装備品
 ・7013 IHI       ジェットエンジン

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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