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相場展望3月4日号 米国株: 人工知能(AI)関連銘柄が、米国株高を牽引 日本株: 大幅高も、一部値がさハイテク株が主導
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)2/29、NYダウ+47ドル高、38,996(日経新聞より抜粋)
・NYダウは4営業日ぶりに反発して終えた。2/29発表の1月の米個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率が市場予想より上振れしなかったことで、インフレに対する過度な警戒が和らいだ。ハイテク株を中心に買われ、相場を支えた。
・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は反発し、2021年11月以来となる過去最高値を更新した。多くの機関投資家が運用指標とするSP500指数も反発し、ほぼ1週間ぶりに最高値を更新した。
・1月のPCE物価指数はエネルギーと食品を除くコア指数が前年同月比+2.8%上昇した。伸び率は前の月+2.9%から小幅に縮小した。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想と同じだった。前月比の上昇率も+0.4%と市場予想に並んだ。1月の消費者物価異数(CPI)など物価指数が予想から上振れしていたため、過度なインフレ懸念が和らいだ。
・市場では「インフレが再加速し米連邦準備理事会(FRB)が利下げを大幅に先送りしかねないと懸念していた投資家に安心感を与えた」との見方があった。米長期金利は低下し、相対的な割高感が薄れるとみてハイテク株に買いが入りやすくなった。
・個別銘柄では、2/28夕に四半期決算を発表した顧客情報管理のセールスフォースが+3%高となった。半導体のインテルやネット通販のアマゾン、ソフトウェアのマイクロソフトといったハイテク関連の上昇が目立った。化学のダウや建機のキャタピラーも買われた。
・NYダウは▲100ドル超下げる場面もあった。前日に上げが目立った航空機のボーイングや金融のゴールドマン・サックスが安い。米司法省が反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで調査を始めたと今週伝わった医療保険のユナイテッドヘルスに売りが続いたことも、NYダウの重荷となる。
・NYダウは2月の月間では+846ドル(+2.21%)上げた。4カ月連続で上昇し、2021年2~5月以来の連続月間上昇記録となった。
・ナスダック総合指数は月間では+6.11%高、SP500指数は月間で+5.17%高と
なり、ともに4ヵ月連続で上昇した。上昇率はそれぞれ2023年11月以来の大きさとなった。
2)3/01、NYダウ+90ドル高、39,087ドル(日経新聞より抜粋)
・米長期金利の低下(債券価格は上昇)を追い風に大型ハイテク株に買いが入り、相場を支えた。
・NYダウの構成銘柄では、半導体のインテルや顧客情報管理のセールスフォース、ソフトウェアのマイクロソフトといったハイテク株が買われた。市場では「2/21に半導体のエヌビディアが好決算を発表してから、人工知能(AI)需要に支えられているハイテク株に勢いがある」との見方があった。
・午前発表の2月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は47.8と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想49.5を下回った。個別項目では「新規受注」や「雇用」が落ち込んだ。緩やかな景気減速を示す内容だったとの受け止めから、指標発表後には米債券市場で長期金利が低下した。前日終値4.25%を下回り、4.1%台を付ける場面があった。株式の相対的な割高感が薄れたとみた買いが入りやすかった。
・米株式相場が最高値圏にあるなか、取引開始直後には主力株の一角に持ち高調整の売りが出て、NYダウは下げる場面があった。
・NYダウの構成銘柄ではないが、地銀のニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)が前日に比べ▲26%弱安で終えた。前日に最高経営責任者(CEO)の交代を発表。米証券取引委員会(SEC)への提出資料で社内のローン審査について、「内部統制の重大な脆弱性を特定した」と指摘し、経営先行きへの不安につながった。
・NYダウの構成銘柄では、バイオ製薬のアムジェンや建機のキャタピラー、クレジットカードのビザが高かった。原油価格の上昇で石油のシェブロンも上げた。一方、スポーツ用品のナイキや化学のダウは売られた。航空機部品のスプリット・エアロシステムズの買収に向けて交渉していると伝わった航空機のボーイングは▲2%弱下げた。米司法省が反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで調査を始めたと、今週伝わった医療保険のユナイテッドヘルスに売りが続き、▲1%弱下げた。
・ハイテク株比率が高いナスダック総合指数は続伸し、連日で過去最高値を更新。交流サイトのメタなどが買われた。半導体のエヌビディアは+4%高となり、終値ベースで初めて時価総額が2兆ドルを超えた。
・多くの機関投資家が運用指標とするSP500指数は続伸し、連日で過去最高値を更新した。
●2.米国株:人工知能(AI)関連銘柄が米国株高のエンジン
1)人工知能(AI)関連銘柄の買いが続き、米国株高のエンジンとなる
・主なAI関連銘柄
エヌビディア
メタ・プラットフォームズ
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)
・フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の上昇推移
SOX指数は、2022年10/14を底に上昇が開始し、約1年半で2.28倍となった。
2022/10/14 ⇒ 2024/3/1上 昇率
2,162 4,929 228%上昇
特に、この4ヵ月間の急騰は目を見張るものがある。
2023/10/30 ⇒ 2024/3/1 上昇率
3,185 4,929 155%上昇
2)米国債利回りの低下も株価押し上げ要因
・米金利の推移2/27⇒3/1低下幅
10年物金利 4.303% 4.186 ▲0.117%低下
2年物金利 4.693 4.533 ▲0.160%低下
3)パウエルFRB議長「利下げ急がない」
・パウエル議長は、「データがそろってから」と利下げには慎重姿勢を続ける。
・過去、景気後退とみて利下げしたたが、インフレが再加速して「利下げ失敗」したことがある。再加速したインフレを抑え込むために、過度な金融引締めに陥り、景気後退を招いたという「苦い経験」が、FRBにはある。パウエル議長は、その失敗を繰り返したくないのだろう。
4)米経済が好調で、インフレ率が高止まりするなか、FRBの利下げ開始は遅れる
・米経済は、雇用の逼迫状況が続き、賃金上昇が継続するなか、けっこう強い。
・原油先物は3/1に80ドル/バレルに手が届くまで上昇し、エネルギー価格の高騰につながるおそれが出てきた。
・インフレ率が鈍化したといっても、FRBの物価目標である+2%からみるとまだ高い水準にある。
・米大統領選挙を前にして、インフレの再加速は何としても避けたいだろう。できれば、FRBは「株高で堅調な米経済」の現状のままで選挙日を迎えたいと思っているのではないか。
・つまり、利下げ開始は市場予想から遅れるとみる。
5)今週の注目イベント
3/5 2月サービス業PMI
2月ISM非製造業景況指数
3/6 パウエルFRB議長の下院金融サービス委員会での証言
1月卸売売上高
1月JOLT求人
3/7 パウエルFRB議長の上院銀行委員会での証言
●3.米1月個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+2.4%高、3年ぶりの低水準(NHK)
1)価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた指数は+2.8%で、前月比▲0.1%低下。
●4.FRBは「夏ごろ」利下げ、物価の道筋は一様でない=アトランタ連銀総裁(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)2/29、上海総合+57高、3,015(亜州リサーチより抜粋)
・投資家のリスク選好が高まる流れとなった。
・中国経済対策の期待感や、当局の相場支援スタンスが改めて材料視された。向こう1年間の政策運営方針を決定する全国人民代表大会(全人代)は、来週3/5に北京で開幕する。新たな経済対策が打ち出されるとの期待も広がった。当局が人工知能(AI)などハイテク産業の振興に注力するなか、関連銘柄に買いが先行している。
・朝方は上値の重い場面がみられたものの、指数は上げ幅を徐々に広げた。
・業種別では、ハイテク関連の上げが目立ち、消費関連も高く、不動産も物色。インフラ関連・素材・医薬・金融・運輸・メディア・娯楽も買われた。半面、石炭は冴えず、発電の一角も売られた。
2)3/01、上海総合+11高、3,027(亜州リサーチより抜粋)
・前日の好地合いを継ぐ流れとなり、昨年12/1ぶり、3カ月ぶりに高値水準を回復
した。
・中国経済対策の期待感や、当局の相場支援スタンスが材料視された。「両会」(全国政治協商会議と全国人民代表大会)の開幕を来週に控え、追加の景気刺激方針が打ち出されるとの期待が広がった。ただ、上値は重い。
・中国経済の先行き不安がくすぶっている。朝方公表された今年2月の中国製造業PMI(国家統計局)は49.1となり、前月の49.2から低下した。景況判断の境目となる50を5ヵ月連続で割り込んでいる。
・業種別では、ハイテク関連の上げが目立つ。中国当局は人工知能(AI)を中心にハイテク産業の振興に注力している。政策支援の動きが期待された。軍事関連もしっかり。素材・自動車・インフラ関連・メディア・娯楽・金融なども買われた。半面、不動産は冴えない。エネルギー・医薬・公益・空運も売られた。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)2/29、日経平均▲41円安、39,166円(日経新聞より抜粋)
・日経平均は小幅に続落した。前日の米株安を受けて株価指数先物に売りが先行し、値がさの主力株に売りが波及すると下げ幅は一時▲300円を超えた。後場に入ると、トヨタやソニーなど大型株に買いが入って日経平均は上昇に転じ最高値39,239円を上回る場面もあったが、続かなかった。
・2/28の米株式市場でNYダウは小幅ながら3日続落した。2/29発表の米株価指標への警戒感から、買いを手控える投資家が多かった。これを受けて朝方は、株価指数先物に売りが出て、主力のファストリやソフトバンクGが下げて相場の重荷となった。
・日経平均は午後に入ると急速に下げ幅を縮めた。海外投資家に選好されやすい日本を代表する大型株に買いが入り、東証株価指数(TOPIX)は上昇に転じた。
・日銀の金融政策正常化を巡る思惑も、方向感を欠く相場展開につながった。高田創・審議委員は2/29午前に滋賀県で講演し、+2%の物価安定の目標の実現について「ようやく見通せる状況になってきた」と発言した。政策の早期の正常化が意識されて円高・ドル安が進行し、輸出関連株への売りを促した。一方、午後の記者会見では「どんどん利上げするというようなことではない」と述べ、株価指数先物への買いにつながった。
・JPXプライム150指数は3日続落して終えた。
・個別銘柄では、ファナックやダイキン、リクルートが下げた。一方、東エレクやセブン&アイ、川崎汽船は上げた。
2)3/01、日経平均+744円高、39,910円(日経新聞より抜粋)
・日経平均は3日ぶりに大幅反発し、2/27に付けた過去最高値39,239円を上回り、最高値を更新した。前日の米株式市場でハイテク株比率が高いナスダック総合指数が約2年3ヵ月ぶりに過去最高値を更新したことを受けた買いが先行した。その後も日経平均は一貫して上げ幅を拡大し、大引け間際には心理的節目の4万円にあと+10円程度まで迫る場面があった。
・前日の米株式市場では半導体関連株への買いが目立ち、ナスダック総合指数の終値は16,091と過去最高値を更新した。東京市場では朝方から東エレクやアドテストなど主力の半導体関連株が軒並み高となった。海外短期筋による株価指数先物への買い戻しが一段高に弾みを付けたとの見方も多く、ファストリやソフトバンクGなど日経平均の寄与度が大きい銘柄の上昇も目立った。日経平均先物3月物は3月物は午後、節目の40,000円を上回る場面があった。
・日経平均の2月の上昇幅は+2,879円と月間での上昇幅として2020年11月以来、3年3ヵ月ぶりの大きさだったが、半導体関連株の急伸や外国為替市場での円安基調などを背景とした日本株の先高観は根強く、高値の「達成感」を意識する投資家は少ないとの見方があった。月末のリバランス(資産の再配分)を通過した買い安心感も支えとなっているとの声も聞かれた。
・東証株価指数(TOPIX)は続伸した。1990年2月以来、約34年1カ月ぶりの高値を付けた。JPXプライム150指数は4日ぶりに反発し、高値を更新した。
・個別銘柄では、信越化やリクルート、TDKが買われた。中外薬やトヨタも上昇した。一方、セブン&アイやイオン、サッポロは売りが優勢だった。
●2.日本株:大幅高も、一部値がさハイテク株が主導
1)日経平均3/1に+744円高
・株価の大幅上昇にもかかわらず、値下がり銘柄数が805と多いのが目立つ。なお、値上がり数は同数の805。
・「値上がり・値下がり銘柄数」をみると、よくわからない+744円高である。
・半導体関連を軸にした「値がさハイテク株」が主導した株高といえる。
2)まだまだ根強い上昇機運
・3/1は、新高値銘柄数143と多く、新安値はわずか9銘柄数。一部値がさハイテク株が主導する株高の基調は変わらない、とみる。
3)投資主体者別にみると、証券会社(自己)が大口の買いに浮上
・年初からの買い主体は、海外投資家による現物株買いが主導してきた。ところが、2月2週と3週は証券会社(自己)の買い越しが目立った。
証券(自己) 2月2週 +6,346億円
2月3週 +5,078
そして、海外投資家(現物株)は引っ込みはじめている。
・年初からみると、年金と個人(現金)は一貫して、売り越しを継続している。
・日本株の投資主体が、海外投資家(現物株)⇒証券(自己)に流れが移るとなると点滅の赤信号として備えたい。
・年初~2月3週(~2/22)の主な投資主体者別売買
海外投資家(現物株) +2兆6,584億円買い越し、2月3週は▲787億円売
証券(自己) +1兆6,043億円買い越し
年金 ▲1兆7,795億円売り越し
個人(現金) ▲1兆8,871億円売り越し
●3.三菱電機、ルネサス株売却益+1,093億円(時事通信)
●4.日野自、三菱ふそうとの経営統合を延期、認証問題への対応などで(ロイター)
●5.日産自、米新興EVのフィスカーへの出資を協議、4億ドル超か=関係者(ロイター)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・2413 エムスリー 業績堅調。
・2607 不二製油 業績堅調。
・2801 キッコーマン 業績堅調。
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