相場展望4月14日号 3月決算発表をイベントと捉えた買い仕掛け始まる 金融引き締め(金利引き上げ、B/S縮小)には注意

2022年4月14日 09:00

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)4/11、NYダウ▲413ドル安、34,308ドル(日経新聞より抜粋
  ・米長期金利が上昇し、相対的な割高感が意識されやすい高PERのハイテクを中心に売りが膨らんだ。
  ・新型コロナの感染拡大に伴う中国の景気減速を警戒する売りも出て、取引終了にかけて下げ幅を広げる展開となった。
  ・インフレ抑制の米連邦制度理事会(FRB)が金融引き締めペースを加速させるとの見方が広がっており、週明けも金利の上昇基調が続いた。
  ・長期金利上昇で割高感が増すハイテクのマイクロソフト▲4%、アップル▲3%安、アメックス▲3%下げた。
  ・足元で上昇が目立っていたディフェンシブ株も利益確定売りに押され、J&Jも安い。
  ・ハイテク株の多いナスダックは▲299安の13,411で、1カ月ぶりの安値となった。

【前回は】相場展望4月11日号 米国、ハイテク売られ、相場の流れ変わる可能性 日銀に、「円安」による悪性インフレ退治を期待する

 2)4/12、NYダウ▲87ドル安、34,220ドル(日経新聞より抜粋
  ・米3月消費者物価指数(CPI)で変動の激しいエネルギー・食品を除くコア指数が市場予想0.5%を下回ったのを受け、金利が低下し、ハイテクなどの買いが先行し、一時+261ドル高まで上昇する場面があった。
  ・買い一巡後は、ブレイナードFRB理事が「インフレ抑制が最も重要な仕事だ」と
述べ、インフレの高止まりに伴い、米連邦制度理事会(FRB)が金融引き締めを積極的に進める状況は変わらずとの見方の姿勢が広がり、景気後退への警戒から幅広い
売りに押された。
  ・マイクロソフト・セールスフォースは大幅上昇後、売りに押され安値で終えた。
  ・長期金利の低下を受け金融株が売られたが、原油先物上昇で石油株が上昇した。

 3)4/13、NYダウ+344ドル、34,564ドル(日経新聞より抜粋
  ・NYダウは前日に1カ月ぶり安値で終え、短期的な自律反発を見込む買いが入った。
  ・4/13から本格化する米主要企業2022年1~3月期決算への期待で相場を押し上げた。ボーイング・ハネウェル・アメックスなど、下げが目立っていた景気敏感株が上昇。
  ・米長期金利が低下し、割高感が意識された高PERのハイテクも高く、マイクロソフト・アップルも買われた。
  ・デルタ航空は旅客需要の増加から4~6月期の業績回復の見通しを示した。デルタ航空の上昇で、投資家心理が改善し、その他の旅行・レジャー関連に波及した。
  ・JPモルガンチェースは4/13発表の四半期決算が大幅減益だったため売られた。
  ・エヌビディアなど半導体関連銘柄も総じて上昇した。

●2.米国株:

 (1)1~3月期決算発表が4/13から本格化⇒イベントで上昇も短期か?

 (2)5月米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定事項が重荷材料なるので注目
  1)2022年1~3月期決算発表が4/13から本格化する。
   例年、決算発表シーズンは、好業績銘柄の株価が上昇しやすく、投機筋もイベント化する傾向が強い。
   ・原油価格上昇で石油関連銘柄が上がったが、ロシア事業撤退損失の発生に留意。
   ・金融銘柄も金利上昇の利ざや期待で買われたが、貸倒れ発生に注意。

  2)米FRBの金融政策決定会合のFOMCが5月3~4日に開催される。
   (1)金利引き上げは、大幅引き上げの+0.5%と予想する。
   (2)FRBの保有資産縮小(バランスシート縮小:QT)の開始時期と縮小規模に注目したい。
    ・前回のQTより、縮小規模が大きく、1,000億ドル単位との予想がある。QTの影響は、株式市場では織り込まれていないと思われるだけに、インパクト効果は大きいと予想する。
    ・QT実施は、FRBが市場に供給してきた過剰通貨量を縮小させるだけに、株式市場や景気動向に大きなインパクトを与えると思われる。利上げは、投資家のコスト上昇をさせるが、QTは過剰マネー縮小させるだけに
FRBはより慎重になると思うが、インフレ抑制の意思が強いだけに強力なQT実施は避けられないとみる。3月インフレ率は+8.5%(前年同月比)。インフレの高まりで、バイデン政権の支持率は低下し、今年11月中間選挙を見越してインフレ抑制し挽回したいところ。

●3.米3月消費物価指数(CPI)は前年同月比+8.5%、約40年ぶり、記録的インフレ(NHKより抜粋

 1)項目別では、ガソリン+4.8%、電気代+11.1%、食品+8.8%上昇。

 2)中央銀行FRBは、5月会合で通常の2倍の+0.5%の利上げ、金融引き締め加速を予想。

●4.ブレイナード米FRB理事、「B/S縮小は5月決定、6月開始する可能性」(フィスコ)

●5.独、主要金融研究所、2022年経済成長率+2.7%に下方修正、ウクライナ戦争響く(ロイター)

 1)独消費者物価指数は+6%超、2021年10月時点の見通し+2.5%から引き上げた。

 2)ただし、ロシアの原油・ガス輸入停止の場合、独経済は▲2%以上縮小し、深刻な不況に陥る可能性を排除できない。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)4/11、上海総合▲84安、3,167(亜州リサーチより抜粋
  ・中国の景気鈍化が警戒される流れとなった。
  ・新型コロナ感染再拡大に歯止めがかからず、行動抑制が長期化すると不安視された。上海市政府によれば、4/10の新規感染者数は26,087人に拡大し、事実上の都市封鎖を実施しているにも関わらず、過去最多を連日で更新。
  ・物流が混乱する中で、すでに複数の工場が操業停止を余儀なくされている。
  ・中国のインフレ懸念も改めて意識され、公表された3月消費者物価指数(CPI)の上昇率が予想をさらに上回った。
  ・業種別では、ITハイテクの下げが目立ち、自動車も安く、金融も冴えない。

 2)4/12、上海総合+46高、3,213(亜州リサーチより抜粋
  ・中国政府の経済対策への期待感が相場を支える流れとなった。
  ・新型コロナ感染拡大から景気下振れが懸念される中、中国で地方債の発行ペースが加速している。発行規模は1兆2,900億元に達し、コロナ禍で景気が悪化した2020年同期の記録を上回った。
  ・業種別では、消費関連の上げが目立ち、保険・証券・インフラ関連もしっかり。反面、不動産は冴えなかった。
 
 3)4/13、上海総合▲26安、3,186(亜州リサーチより抜粋
  ・行動抑制の長期化を警戒する流れとなった。
  ・上海市では4/12に新型コロナ感染者数が26,330人に上り、再び過去最多を更新した。
  ・中国輸出の上振れを好感して、指数は一時プラス圏に浮上したが、買いの勢いは続かず再びマイナスに転じた。
  ・3月貿易統計は、輸入が人民元ベースで▲1.7%減少(予想は+6.3%増)の一方、輸出は予想+12.1%増を上回る+12.6%に拡大した。
  ・業種別では、ITハイテクの下げが目立ち、医薬品・インフラ・メディアが売られた。反面、エネルギーが物色され、非鉄・産金・食品飲料・銀行が買われた。

●2.スリランカ、対外債務5兆円を債務不履行(デフォルト)に(AFP)

  1)スリランカは、中国・インドに対して、債務返済の軽減を求めた。

  2)しかし、両国は逆に自国製品の輸入増につながる信用供与枠の拡大を提案している。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)4/11、日経平均▲164円安、26,821円(日経新聞より抜粋
  ・米金融政策に対する警戒感からハイテクが売られ、東京市場でも流れを引き継ぎ下げ幅を一時▲260円まで拡大し、3/17以来の3週間ぶりの安値水準となった。
  ・東エレク・アドテストなど半導体関連や値嵩ハイテク株に広く売りが出た。
  ・上海株や香港株が大幅安に沈んだことも投資家心理を弱気に傾かせた。
  ・市場では「新型コロナ感染拡大による中国の都市封鎖は、日本企業への悪影響を意識されやすい」との見方があった。
  ・4/12の米消費者物価指数の公表を控え、買いは続かなかった。
  ・エムスリー・ソニーが大幅安、ダイキン・安川電機も安い。反面、東電・中部電・三菱重・川重・横河電機が買われた。

 2)4/12、日経平均▲486円安、26,334円(日経新聞より抜粋
  ・米株式相場の下落した流れを引き継ぎ、終日軟調な展開だった。
  ・新型コロナ感染拡大が続く中国経済の先行き不透明感が意識され、景気敏感株が大幅に下落し一時▲500円を超える場面もあった。
  ・米国の金融引き締めを背景に、長期金利の上昇が続期、節目の2.8%を超えて2018年12月以来の高水準を付けた。
  ・今晩の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、米金利が一段と上昇する可能性も警戒され、多くの投資家が様子見姿勢を強め、買い手は少なく下げ幅を拡大。
  ・中国の景気減速懸念から、中国関連銘柄のファナック・コマツなどが大幅下落。
  ・エーザイ・TOTO・キーエンス・ダイキンが安く、高島屋は上昇した。

 3)4/13、日経平均+508円高、26,843円(日経新聞より抜粋
  ・米長期金利の上昇に一服感が出たことで、グロース(成長)株を中心に買われた。
  ・中国では新型コロナの感染が広がる上海で都市封鎖が一部で緩和され、中国経済を巡る過度な警戒が後退との見方から、海運や機械など景気敏感株の主力が買われた。
  ・4/12発表の米3月消費者物価指数(CPI)は食品・エネルギーを除くコア指数の伸び率が市場予想を下回ったのを受け、米債券市場では長期金利が低下した。
  ・日経平均先物に短期筋の買いが入り、日経平均は上げ幅を広げた。 
  ・東宝+8%超高、エムスリー・東エレク・リクルート・海運株が買われた。一方、塩野義▲11%安・Jフロント・三菱UFJは下落した。

●2.日本株:

 (1)2021年8月以降の相場の牽引役バークレイズが、決算発表イベントで買い転換

 (2)米金融引き締め決定のFOMCまでのため、イベント期間は短いとみる

 (3)中国の新型コロナ感染は拡大・長期化でサプライチェーン混乱波及もあり得る
  ・NYダウと日経平均との乖離幅拡大のタイミング
  ・4/13は空売り比率が41.3%と売りが低調の中、短期筋の買いにアルゴの買いが加わったため、真空を駆け上がったような上昇となった。
  ・米FOMCが5/3~4と日程が迫っているため、イベント期間は10日間程度と短くなる可能性があるので、注意したい。
  ・中国ではゼロコロナ政策にもかかわらず、感染者数は最多更新中であり、経済損失拡大と日本にもマイナス効果が波及すると想定しておくべきと思われる。

●3.企業動向

 1)ローソン  成城石井を上場へ、時価総額2,000億円超も(ブルームバーグ)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・7518 ネットワン    好業績。
 ・9201 JAL       業績回復期待。
 ・2412 ベネフィットワン 業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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