相場展望5月10日 米投資ファンドの中間決算を巡る「売り」に注目 日本企業の決算発表後の下落リスクにも注意

2021年5月10日 08:26

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)5/6、NYダウ+318ドル高、34,548ドル(日経新聞)
  ・NYダウは、連日の最高値更新。
  ・米・新規失業保険申請件数が市場予想より少なく、雇用回復の期待が高まった。金融や消費関連など景気敏感株が買われ、相場を押し上げた。
  ・ハイテク株の多いナスダック総合指数も、5営業日ぶりに反発し、+51高の13,632となった。
  ・インフレを警戒した売りに押され、マイナス圏に沈む場面もあった。(共同通信)

【前回は】相場展望5月6日 日銀ETF購入抑制で、日経平均嵩上げ4,000円の行方?外資系が『日本株を買わない理由としては充分』、売り注意

 2)5/7、NYダウ+229ドル高、34,777ドル(NHK)
  ・NYダウは3日連続で最高値を更新した。
  ・雇用統計が市場の予想を大きく下回ったことで、今の金融緩和が当面続くという見方が広がり、買い注文につながった。
  ・さらに雇用統計を受けて長期金利が大きく下がったため、IT関連銘柄を買い戻す動きも出て、こうした銘柄の多いナスダックも値上がりした。

●2.米運用ファンドの中間決算の多くが6月末に迎えるため、売り圧力が増す可能性を予想

 1)中間期末は解約申し込みのタイミングであり、解約資金調達のための売りが5月半ばから出やすい時期となる。

 2)年後半に向けたポートフォリオ組み替えのための売りも出やすい。

●3.米国株は、企業の堅調な利益と、金融緩和維持もあり、当面は堅調な推移が見込まれる

 1)消費・自動車・住宅などで好調な個人・企業活動
  (1)ワクチン接種普及で経済活動の再開による好調な売上の伸び
  (2)製造業・非製造業が共に高水準を記録
  (3)企業業績は市場予想を上回る好調な利益

 2)懸念材料は、コスト増とコロナ制御の見通しが立つこと
  (1)国際商品価格の上昇
  (2)コロナ禍での供給網の乱れ
  (3)主要部品である半導体の不足による価格上昇と生産減少
  (4)輸送コストの上昇
  (5)ワクチン接種の進展で、新型コロナウイルス制御の見通しが立つ
    ⇒ 金融緩和の段階的縮小、財政政策規模の縮小につながる可能性がある

●4.FRB金融安定報告、「リスク選好低下なら、資産価格急落の恐れ」(ブルームバーグより抜粋

 1)米連邦準備制度理事会(FRB)は5/6、金融安定化報告を公表した。リスク選好の高まりがバリュエーションを押し上げて、米金融システムに脆弱性が生じている、と指摘した。

 2)バリュエーションの伸長と、「極めて高水準の企業債務が重なり、資産価格の『大幅下落』が起りかねない」と指摘し、注視が必要だと説明した。

 3)アルケゴス巨額損失問題で露呈したヘッジファンドを含むノンバンクの運用実態について、金融当局が規制強化を検討すべきとの認識を示した。(時事通信)

●5.ジャンク債をヘッジファンドが「大幅ショート(売り)」、2008年以来の規模(ブルームバーグより抜粋

 1)インフレ見通しの上昇で国債利回りが上昇傾向をたどるなかで、長期物を中心に債券市場が新たな売りに見舞われている、と投機筋はみている。

 2)最もリスクの高い「CCC」格付けの価格水準について、市場の専門家は「行き過ぎ」だと警告を発している。高リスクのCCC格付け債は、金融危機とドットコム・バブル崩壊前の水準にある。

 3)IHSマークイットによると、トレーダーがショート(売り建て)するために借り入れたハイイールド債は550億ドル(約6兆円)相当に上る。この額は2008年の水準に迫る規模で、今年初めの約350億ドルから急増した。

 4)ユーロ建て投資適格級債券でのネットショートは約300億ドルと、2014年初め以来の高水準にある。

 5)ジャナス・ヘンダーソンは、このショートが「さらに膨らむ」とみている。米国の債券投資家の一部は最近、債券に対する強気ポジションを縮小している。

●6.バイデン大統領、法人税率を現行21%⇒25~28%へ引き上げることが好ましい(フィスコ)

●7.ダラス連銀総裁、「来年には利上げ条件整う」として早めの金融緩和縮小の議論を(ロイターより抜粋

 1)新型コロナワクチン接種が進展し、政府の財政出動も拡大していることから、「経済活動は今後ますます健全になる見込み」として、政策が後手に回るのは避けたい、とバード大学の講演で語った。利上げの条件が整うのは「2022年中」とした。

 2)2021年の国内総生産(GDP)成長率は6.5%を予想。失業率は年内に4%を下回る可能性がある、と指摘した。個人消費支出(PCE)価格指数の伸びは2021年度末時点で2.25%になる見通しで、非常に注視している、と述べた。

●8.クリーブランド連銀総裁は、「FRB金融政策は、当面、非常に緩和的」と慎重姿勢(フィスコ)

●9.バイデン政権は、中国企業による米投資制限を継続する公算が大(関係筋)(フィスコ)

●10.IBM、2ナノ半導体を開発したと発表(CNNより抜粋

 1)7ナノに比べて、性能が45%向上、エネルギー消費量は約75%減る。携帯電話のバッテリー持ち時間は4倍になり、ノートパソコンが大幅に高速化し、データセンターの炭素排出量を減少させる可能性がある。

 2)2ナノ半導体の生産は、2024年後半から2025年に始まるとみられる。

 3)生産はIBMでなく、半導体メーカーにライセンス供与されるとみられる。

●11.テスラ、温暖化ガス排出枠の販売先の1つを失い、業績への打撃必死(ブルームバーグ)

●12.米・4月失業率は6.1%と、予想5.8%・3月6.0%から悪化した(フィスコ)

●13.米・非農業部門雇用者数は26.6万人と、予想100万人・3月91.6万人を大幅に下回った(DZH)

●14.米・新規失業保険申請件数49.8万件、先週59万件から予想外に減少(フィスコ)

 1)50万件割れは、パンデミック以来で初めて。

●15.企業業績

 1)GM  1~3月期純利益30億ドル(約3,300億円)と前同期比10倍(日経新聞)

●16.欧州関連

 1)欧州中央銀行(ECB)高官が早期テーパリング示唆(DZHフィナンシャル)
  ・ECB副総裁に続き、ラトビア中銀総裁が早期テーパリング(資産購入の段階的縮小)について言及した。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)5/6、上海総合指数▲5安、3,441(亜州リサーチ)
  ・インフレ高進への警戒感がくすぶる流れ。
  ・経済活動の再開を背景に、金属・原油・穀物などの商品市場で先高観が強まるなか、コスト上昇のマイナス面が意識された。商品市況高が追い風となる銘柄が物色されたため、下値は限定的だった。

 2)5/7、上海総合指数▲22安、3,418
  ・コストアップによるインフレのマイナス面が意識された。
  ・米中関係の改善期待も後退し、ハイテク関連の下げが目立った。消費関連は大型連休という好材料も出尽くしとなった。

●2.中国・4月財新製造業購買担当者指数(PMI)は51.9で、3月比+1.3上昇(NNA)

●3.中国・4月財新サービス業PMIは56.3で、予想54.2を上回る(フィスコ)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)5/6、日経平均+518円高、29,331円
  ・NYダウ最高値更新の流れを受け、世界の景気回復期待から景気敏感株を中心に買われた。
  ・連休前の先物売りの買い戻しもあり、一時+600円超となったが、利益確定売りで上げ幅を縮小した。

 2)5/7、日経平均+26円高、29,357円
  ・米株式が上昇した流れを背景に、景気敏感株を中心に上げ幅は一時+100円超となったが、戻り待ちの売りと様子見姿勢に押された。

●2.日本株の決算発表ピークを今週迎えるが、市場期待値が高いだけに、下落リスクに注意したい

 1)下落理由
  (1)市場予想を下回った場合。
  (2)材料出尽くしとみられた場合。
  (3)来期業績が市場予想に比べて期待外れの場合。

 2)企業の来期業績見通しが慎重になりやすい理由
  (1)ワクチン接種率の進展が見通しにくいことから、経済回復の先行き不安がある。
  (2)企業側の体質として、達成を意識した堅めの発表となりやすい傾向がある。
  (3)国際商品市況の急騰や、半導体等の供給不安と価格上昇によるコストの読みづらさ。

 3)下落した事例
  安川電機、日本電産、ソニーなど。

 4)今週、注目の決算発表
  ホンダ、日産、トヨタなど。

●3.企業業績

 1)ワールド  21/3月期決算純損益+80.8⇒▲171.5億円赤字、過去最大(神戸新聞)
 2)任天堂   21/3月期決算最終利益+4,803億円と前年比+85.7%増(NHK)
        22/3月期予想純利益+3,400億円と予想+4,257億円を下回る(日経新聞)
 3)ワークマン  4月売上既存店が前年同月比+24.5%増(日経新聞)
 4)大戸屋   22/3月期予想純利益+8.4億円と黒字転換の見通し(日経新聞)
 5)JR四国   21/3月期純損失▲80億円、前年は+12億円の黒字(朝日新聞)
        22/3月期予想純損失▲57億円
 6)住友商事  21/3月期純損失▲1,530億円、ニッケル・電力等で減損計上(時事通信)
        22/3月期予想利益+2,300億円の黒字

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・9045 京阪      関西の私鉄。利益急回復期待。
 ・6962 大真空     水晶デバイス大手。業績好調。
 ・6619 ダブルスコープ リチウム電池関連。黒字転換。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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