相場展望1月4日号 昨年終盤の状況と、2021年日経平均シナリオ予想

2021年1月4日 08:40

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)12/31、NYダウ+196ドル高、30,606ドル
  ・新型コロナのワクチン普及で、2021年景気回復に向かうとの期待から買い直された。NYダウは史上最高値を更新した。(DZHフィナンシャルリサーチ)

【前回は】相場展望12月31日号 年末のお化粧買いは成功、新年は『つまずき』に注意

●2.米大統領が拒否権行使した国防権限法について、上院が再可決し覆す(ロイターより抜粋

 1)共和党も3分の2以上が賛成にまわり、トランプ大統領の拒否権が初めて覆された。下院は民主党が多数派で12/28に再可決していた。
 2)この余波で、個人向け現金給付を2,000ドルに引き上げる法案を巡る討議も終了した。

●3.FRBは2021年、追加緩和に踏み切るか?(ロイターより抜粋

 1)米経済は回復してきているが、失業者はいまだに1,000万人もいる。
 2)米経済は2021年前半に下振れリスクが大きい。
 3)追加緩和の内容は、資産購入拡大(資金の市場への注入)の可能性が高い。

●4.ビットコイン、初の3万ドル突破、金融緩和で投資マネーの流入加速(共同通信より

 1)昨年12月16日に2万ドルの大台に達したばかりで、約半月で1.5倍の値上がり。1/2午前9時現在、31,488ドル(約325万円)を付けた。

●5.米市場のIPOブームは2021年も衰える兆しなし、2020年は過去最高(ブルームバーグより

 1)米IPOの調達資金は2020年1,800億ドル(約18兆5,500億円)と、前年の2倍超。
 2)10億ドル以上調達したのは30社余りで、エアビーアンドビーやドアダッシュなど。
 3)2021年は食品配送の米インスタカートなどが準備を進めている。

●6.欧州

 1)英国はEUから12/31に「完全離脱」、半世紀近い歴史に幕(AFP、時事通信)
 2)英国はコロナ変異種感染拡大で都市封鎖拡大、イングランド人口8割弱が対象(毎日新聞)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)12/31、上海総合指数+58高、3,473
  ・(1)欧州連合(EU)と中国が投資協定の締結で合意したことや、(2)中国当局による株式市場への政策支援を好感して上昇。(ロイター)

●2.中国2021年経済方針 (中央経済工作会議で重要8項目)(東方新報12/30)

 1)国家の戦略的科学技術力の強化
 2)サプライチェーンの自主管理能力の向上
 3)内需拡大の戦略的基点の堅持
 4)TPPへの参加を積極的に検討
 5)食料安全保障の強化
 6)独占禁止の強化と無秩序な資本の拡大防止
 7)大都市の住宅問題解決
 8)二酸化炭素排出実質ゼロに向けた取り組み

●3.中国は12/30、EUと投資協定締結(ロイターより抜粋

 1)投資協定は、相互の企業の進出ルールを定めたもの。
 2)この協定により、EU企業の中国市場へのアクセスが拡大され、欧州が不均衡と指摘していた経済関係の改善につながると期待されている。

●4.中国当局が12/30発表した、株式市場支援策(ロイター)

 1)年金基金から株式投資できる比率を引き上げるもの。
 2)これにより、株式市場に3,000億元(約4兆7,500億円)が流入する可能性がある。

●5.習主席、12/31国民向け演説で「世界の主要国で初のプラス成長」と実績強調(日テレNEWS24より抜粋

 1)(1)新型ウイルスと、(2)経済回復を両立させた実績を強調した。
 2)中国は2021年が共産党結成100年の歴史的節目を迎えるが、習主席はこうした実績を背景に、権力の集中を更に進めるものと見られる。

●6.ニューヨーク証券取引所は12/31、中国の通信大手3社を上場廃止と発表(ブルームバーグ)

 1)中国人民解放軍と関係があると認定された企業への投資を制限する米大統領令に対応した。
 2)対象企業 :チャイナ・モバイル(中国移動)、チャイナ・テレコム(中国電信)、チャイナ・ユニコム(中国聯通)。
 3)上場廃止日:1/7~1/11.

■III.日本株式市場

●1.日本経済は2021年、回復に向かうも「感染拡大前の水準」は困難か(NHK)

 1)感染拡大の防止と、経済活動をいかに両立させるか、政府は難しい判断を迫られる。
 2)日本経済研究センターの予測によると、日本経済成長率は2020年▲5.37%に落ち込むが、2021年は+3.42%に回復するとしている。
  ・これは、経済活動の制約が徐々に緩和され、「個人消費」が上向くほか、中国向けの電子部品や米国向け自動車を中心に「輸出」も拡大すると見ている。

●2.2020年終盤の米国株と日経平均の状況

 1)米国株
  (1)FRBの量的金融緩和で生じた余剰マネーが、株式市場に流入。
  (2)債券市場は株価上昇に比べ、利回り確保難から、債券から株式市場に乗り換え。
  (3)追加経済対策とワクチン接種普及を材料に、「景気回復期待」で株式相場が上昇。
  (4)ただし、これはすでに織り込んだ好材料の使いまわしであり、今後は、今まで通りの株価上昇は困難となってきている可能性がある。
  (5)NYダウの12/31のPER(株価収益率)は30.11倍と高水準にある。過去、30倍を超えると、その後しばらくして急落しているという事実がある。
    NYダウの2020年のPER推移
    1/02    2/12  3/23  12/31 
    21.47倍  23.01  14.45  30.11

 2)日本株
  (1)11月は米国株高に連動した動きの外資系の買いで、日本株上昇。
  (2)12月の日本株は上昇率で、米NYダウを上回った。日本株のこれ以上の上昇には、米国株の上昇と外資系投資家の買いが必要。
              11/30    12/31  上昇率
       NYダウ   29,638ドル 30,606  +2.23%
       日経平均   26,433円  27,444  +3.82 (注)日経平均は12/30
 
  (3)外資系先物買い残枚数は減少傾向
           11/30    12/30(推測)減少率
    外資系買い残 274,383枚  270,847  ▲1.29%

  (4)1株当たり利益(EPS)の改善度は、NYダウに比べ日経平均は低い。株価収益率(PER)の伸びは、NYダウに比べて日経平均は高く買われている。そのため外資系投資家が日経平均を買う妥当性がない。
           11/30    12/30   上昇率
    NYダウEPS 1,007    1,016   +0.89%
    日経平均EPS 1,090円   1,086   ▲0.37
    NYダウPER 29.69    30.11   +1.41
    日経平均PER 24.24倍   25.26   +4.21

  (5)したがって理論的には、12月の日経平均は、NYダウに比べて買われ過ぎの状況にある。日経平均の上昇は、NYダウ以上に過剰マネーの効果が大きかったと言える。

●3.2021年日経平均のシナリオを予想

 1)1/20まで
  (1)金融相場で堅調またはBOX相場を予想。
  (2)1/5米ジョージア州の上院議員決選投票結果でネジレ議会発生
   ・共和党勝てばネジレ議会で、増税と財政拡大に歯止め
   ・民主党2議席獲得なら、増税・財政拡大・金融とIT業界規制強化
    ⇒ 共和党勝てば株式市場は上昇、民主党なら下落リスク。
    ⇒ 日本株は、米株連動で動く外資系投資家の動向次第。

 2)1/20から
  (1)ウォール街とのハネムーン期間終了。
  (2)バイデン新大統領就任式で、好材料出尽くしとなり、日米共に株価は高値圏にあり、過熱感から調整期入り。
  (3)米国のネジレ議会前提の株式相場は、良いところ取りを織り込み済み。だが、上院での民主党勝利については未消化のためリスクがある。
  (4)新型コロナ第3波による緊急事態宣言等で経済活動が下折れし、市場の視点が悪材料に向く可能性がある。
  (5)東京オリンピック・パラリンピック開催再延期等なら新悪材料。
  (6)ドル安・円高が、日本輸出企業業績にマイナスに働く。
    ⇒ 日本株は、「彼岸」までは調整、「彼岸底」で反転上昇か。

 3)3月下旬から
  (1)新型コロナ第3波による経済停滞で、金融支援・財政出動が続く
   ・FRBによる追加金融緩和(更なる余剰資金が株式に流入)。
   ・米政府による追加財政拡大。
    ⇒ 過剰流動性による米株価上昇に連動して日本株も連れ高。

 4)5~7月上旬
  (1)過熱感から調整入り。
  (2)新型コロナのワクチン接種普及により景気回復安心感が浮上すれば調整幅は小さくなる可能性がある。

 5)7月中旬から
  (1)日本は衆議院解散・総選挙を材料にした株価上昇の経験則がある。

 6)10月以降
  (1)本格調整入りのリスク高まる。
  (2)米景気回復と雇用改善により、FRBの無制限の量的金融緩和と、財政出動に打ち止め感が出て、金融相場に動揺が走る可能性。
  (3)特にイエレン新財務長官は労働経済学を重視して、雇用改善が進むと金融政策を反転させた実績がFRB議長時代にある。
   ・余剰マネーの市場から吸い上げ
   ・金利上昇
   ・長短金利が接近または逆転
  (4)企業・個人向け支援策の平常化で、追加の経済刺激策が無くなる
  (5)米中対立の再燃は重荷になる
  (6)NYダウPER30倍を超えると、過去に急落した事績がある。金融緩和による余剰マネーと財政支出の垂れ流しで急騰したバブル株式相場は、急落となる可能性がある。そうなった場合、日銀によるETF買いは下支えできず、むしろ巨額の日銀ETF残高の含み損失が問題化し、市場が疑心暗鬼になるおそれもある。

●4.2021年の注目株:菅政権の「グリーンとデジタル」の政策が主要テーマになる

 (1)7203 トヨタ自  環境問題の中核としてEV(電気自動車)、FCV(水素燃料自動車)、全固体電池搭載車の2020年代前半の販売
 (2)6981 村田製   全固体電池
 (3)5706 三井金属  全固体電池
 (4)6762 TDK   全固体電池
 (5)4471 三洋化成  全樹脂電池
 (6)7012 川崎重工  液化水素(製造設備、運搬船)、手術支援ロボット
 (7)8088 岩谷産業  水素事業
 (8)9519 レノバ   洋上風力発電
 (9)8015 豊田通商  洋上風力発電
 (10)5021 コスモエネ 洋上風力発電
 (11)1893 五洋建設  洋上風力発電
 (12)9020 JR東日本  新型コロナワクチン効果で旅客数回復
 (13)9005 東急    新型コロナワクチン効果で旅客数回復
 (14)9201 日本航空  新型コロナワクチン効果で旅客数回復
 (15)9603 エイチ・アイ・エス 新型コロナワクチン効果で旅客数回復

●5.首都圏の1都3県は、緊急事態宣言の発出を政府に要請(NHK)

 1)1都3県は、飲食店の営業時間を午後8時までに時短前倒しを合意。(テレ東NEWS)

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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