相場展望10月29日号 バイデン勝利は、増税回避で株式は売られやすい 日経平均にも異変の兆し

2020年10月29日 08:33

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■I.米国株式市場

●1.米株式市況の推移

 1)10/26、NYダウ▲650ドル安の27,685ドル
  ・(1)欧米で新型コロナ感染急拡大 (2)追加経済対策合意の後退、を嫌気して大幅安。システム売買もあり、下げ幅は一時▲965ドルに達する局面があった。
  ・1日当たりの感染者数が米で8万人を超え過去最高で、経済再開の阻害を強く懸念。

【前回は】相場展望10月26日号 米大統領選投票率60⇒70%でないと、トランプ勝利? 日経平均はハイテク成長株⇒景気敏感株の兆し?

 2)10/27、NYダウ▲222ドル安の27,463ドル
  ・新型コロナ感染再拡大と、欧州のロックダウン(都市封鎖)再開による株安もあり、米景気の先行きの懸念が強まった。

 3)10/28、NYダウ▲943ドル安の26,519ドル
  ・欧州で、新型コロナ感染再拡大で都市封鎖実施可能性高まり、リスク資産売る動きが広がった。
  ・欧州株大幅安が波及し、米国でも新型コロナ再流行を懸念して急落した。
  ・NYダウは4日続けての値下がりで、合計▲1,844ドルの大幅下落となった。

●2.VIX恐怖指数が、10/28に40.49(10/22、28.11)に急上昇したので要警戒

●3.米国株式市場は、行き詰まりの様相をみせており、厳しい状況になるか?

 1)株式市場は、景気刺激策をめぐる共和・民主党の交渉に振り回され、行き詰まりの様相を示している。

 2)
  (1)VIX恐怖指数の急上昇
  (2)好決算発表にもかかわらず銘柄によって下落
  株式市場は限界に達してしまった可能性がある。

 3)このため、追加経済刺激策が成立せず、好企業業績に対する株価の反応が弱いことを考えると、今後の株式市場が厳しい状況になることを示唆しているかもしれない。

●4.今年10~12月の株式市場は厳しい上に、バイデン勝利の増税回避で高株価のうちに売られ易い

 1)景気後退となる可能性が出てきた  要因は、
  (1)新型コロナ感染3波拡大による経済の再停滞 
  (2)個人消費の減退で年末商戦不振(前年同期比▲10%程度を予想) (UBS)
  (3)バイデン候補勝利による企業増税で、1株利益低下を予想⇒株価にマイナス
    特に、国民総生産(GDP)の7割を占める消費抑制で、小売業の減速は大きいと思われる。

 2)加えて、バイデン勝利となると、富裕層に対するキャピタルゲイン課税が強化される。
  ・課税強化の内容は、
   (1)最高税率の引き上げ 37%⇒39.6%
   (2)年間100万ドル超える高額所得者には、上記(1)ではなく通常の所得税率を適用
    ・通常、年末にかけて投資成績の悪い株式の損失確定のための売却をして節税する。
    ・その売却シーズン前に、増税を見越した富裕層は、株価が高いうちに含み益のある株式含めて大量の株式売却する可能性が出てきた。バイデン候補の勝利を見込んだ、株式の売りが高まりそうだ。

●5.運用会社ブラックロックは、民主党政権で財政拡大を予想し、米国債の投資評価を引き下げ

 1)民主党政権では大規模な財政拡大に踏み切り、市場はインフレ上昇を前倒しで織り込む
だろうと、予想した。(ブルームバーグ)

●6.トランプ勝利なら、(1)米国株とドルに追い風、(2)アジアに逆風=JPモルガン(ブルームバーグより抜粋

 1)JPモルガンは、トランプ氏が再選されば、
  (1)米国株を選好する動きと、ドル高になる
  (2)アジア株とアジア通貨が下落する
    と4年前と同様の市場の反応がある、と指摘している。

 2)アジア資産(株・通貨)の下落に影響するのは、米中のさらなる対立を意味する公算が大きいため。

 3)金融機関の一部で最近、バイデン氏勝利の想定に慎重な見方を示している。

●7.米AMDは10/27、米ザイリンクスを350億ドル(約3.6兆円)で買収合意と発表(ロイターより抜粋

 1)米半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は同業のザイリンクスとの買収合意をした。ザイリンクスの半導体は、人工知能(AI)や次世代通信規格「5G」の基地局でも採用されている。

 2)新会社の株主構成は、AMD株主が74%、ザイリンクス株主26%。買収額は1株当たり143ドルで、ザイリンクス株主は1株当たりAMD普通株1.7株を受け取る。買収手続き完了は2021年末を予定。

 3)買収後の技術者は13,000人を擁する。半導体生産は台湾積体電路製造(TSMC)に大きく依存する見通し。競合会社であるインテルとはさらに差が付く。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)10/26、▲26安の3,251
  ・アリババ傘下で『アリペイ』運営のアント社の大型IPOを控え需給悪化懸念で下落。

 2)10/27、+3高の3,254
  ・中国政府の政策期待が下支えた。

 3)10/28、+14高の3,254
  ・内需政策期待も、限定された。

●2.中国の10月景気回復は、世界的感染再拡大で輸出に影響し、まだら模様(ブルームバーグより抜粋

 1)堅調は維持されるが、自動車販売が増えるが、不動産・中小企業は警戒感を強める。

●3.中国、ガソリン車を2035年に全廃し、全て環境車に(朝日新聞より抜粋

 1)中国工業情報化省などは10/27、2035年に新車販売の全てを電気自動車(EV)などの新エネルギー車(NEV)やハイブリッド車(HV)にする方針を明らかにした。

 2)ガソリンエンジン車は市場から排除されることになる。

 3)各国が環境対応車の優遇を勧める中、中国はさらに1歩踏み込む。

●4.中国は10/26、台湾への武器売却めぐり、米防衛企業などを制裁へ(TBS NEWS)

 1)対象の米企業:ロッキード・マーチン、ボーイング、レイセオン・テクノロジーなど
 2)武器売却額 :トランプ政権で、台湾への武器売却は8度(合計148億ドル)(朝日新聞)
 3)制裁内容  :制裁の内容については言及していない。(時事通信)

●5.『アリペイ』運用するアント社は、上海と香港に新規上場し、史上最高の3.6兆円調達の見通し(共同通信)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)10/26、日経平均は▲22円安の23,494円
  ・(1)米大統領選挙の行方 (2)米追加経済対策成立不透明 (3)中国・上海総合指数の軟調(4)企業決算発表 (5)市場の薄商いもあり、様子見が強く方向性を出しにくい状況の中で小幅反落した。

 2)10/27、日経平均は▲8円安の23,485円
  ・NYダウの大幅下落を受け、朝は一時▲200円超下落、その後、好業績株に買いが入り戻した。

 3)10/28、日経平均は▲67円安の23,418円
  ・欧米の新型コロナ感染再拡大で景気回復遅れの懸念が重荷となった。

●2.日経平均に異変の兆し

 1)NYダウと日経平均の単純差異が、異常に縮小し、日経平均は大きく売られる可能性あり
  ・10/22、4,889 ⇒ 10/28、3,101

 2)ドル安・円高が進行 10/29、104.32円/ドル

 3)恐怖指数が米国株で上昇、日本への波及を警戒
  ・米株式のVIX恐怖指数は、10/28に40.49(10/22、28.11)にまで急上昇した。
  ・日経平均の恐怖指数は、10/22、23.58⇒10/28、24.20と小康だったが、警戒を要す。

 4)日本株堅調で下支えしているのは(1)日銀ETF買い・GPIF買い、(2)新型コロナ感染者数は世界と比べて落ち着いているための模様。
  ・ただ、日本株式市場は「官製相場」と見られている点に注意が必要。日銀31兆円、GPIF(公的年金基金)36兆円と日本株式を大量に保有している。「官」による保有は東証時価総額の12%と巨大化している。
  ・加えて、日経平均の下落時に日銀はETF買いで、相場を買い支えしている。
  ・優良な外国人投資家は、この状況を見て「長期的に日本株を保有するリスクがある」として距離を取っている。むしろ、日銀等の「官」による買い支えがある高値のうちに、外人投資家にとって現金化できる状況を作り出している、と言える。
  ・現在、日本に参入し活躍しているのは短期筋の外国人投資家である。

 5)外資系先物22万枚(10/27)の買い残枚数は膨大で、本格売りに回ると「官」の買い支えは破られ、株価は急落している。

●3.企業動向

 1)村田製作所 7~9月期業績を上方修正、税前利益980⇒1,330億円。部品需要の回復急。
 2)信越化学  7~9月期営業利益は前年同期比▲12.5%減の+1,843億円黒字。通期は同▲7.2%減の+3,770億円見込む。
 3)日本電子  2021年3月期の営業利益40⇒51億円に上方修正。(フィスコ)
 4)JR東海   2021年3月期中間決算で最終利益▲1,135億円と初の赤字。(NHK)
 5)ソニー  2020年9月中間決算は純利益が前年同期比の約2倍、+6,928億円となり、上半期として2年ぶりに最高益を更新。巣ごもり需要とゲーム事業が貢献。2021年3月期の純利益を前期比+37.4%増の8,000億円に上方修正。(時事)
 6)JR東日本  2020年9月中間決算は純損益が▲2,643億円の赤字、コロナ禍で。(時事)
 7)SBI    2020年9月中間決算は前年同期比+18.7%増の+331億円の黒字。(NHK)

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

 ・9519 レノバ    再生エネルギー、秋田県沖で大型洋上風力発電を開発中。
 ・7807 幸和製作所  歩行者・介護分野で利益成長見込む。
 ・5406 神戸製鋼   自動車向け鋼板需要回復、鋼材輸出価格戻り。建機も中国回復期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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