相場展望12月22日号 米国株: 1月利下げ観測強まる、クリスマス・損益通算の売り圧力に注意 中国株: 上海総合指数は当局により監督管理、「国家隊」の買い支えも 日本株: 相場は底堅く、「W型」で推移継続か

2025年12月22日 12:55

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)12/18、NYダウ+65ドル高、47,951ドル
 2)12/19、NYダウ+183ドル高、48,134ドル

【前回は】相場展望12月18日号 米国株: 人工知能(AI)・半導体関連株に「たそがれ」到来か 中国株: 景気先行き懸念高まり⇒解決は、住宅価格下げ止まり策が第一 日本株: ハウテク株売りに、個人投資家の税金対策の売りが重なる

●2.米国株:CPI改善で1月利下げ観測強まる、クリスマス・損益通算の売り圧力に注意

 1)米国消費者物価指数(CPI)改善で、1月利下げ観測が強まる⇒株高要因
  ・11月消費者物価指数(CPI)は、前年比+2.7%と、予想+3.1%を下回った。
  ・このため、2026年も追加利下げ期待が強まり、米国株にとって追い風が吹くとの見方が優勢。
  ・WTI原油先物市場が値下がり基調であることも、物価上昇に抑制的に働くと思われる。

 2)年間損益通算の売り圧力が増す時期にある
  ・例年、年末になると含み損を抱えた銘柄に売りが出る傾向がある。2025年の税務申告に当たり、株式売却益を減らして税金納付額を減らしたいという投資家心理が働くためだ。
  ・ただ、その動きも今週で終了するだろう。
  ・来週は、年末の株式運用評価をよくするためのお化粧買いがみられそうだ。

 3)クリスマス休暇入りが今週後半から始まる
  ・市場参加者数が減少するため、商いは薄く、株価の値動きが大きくなりやすい。
  ・クリスマス休暇のため、持ち高調整の売りが出やすい。

●3.米国11月CPIが予想以上に鈍化、1月利下げ観測強まる、ドル売り強まる(フィスコ)

 ・米国労働局が発表した11月消費者物価指数(CPI)は、前年比+2.7%と、予想+3.1%を下回った。伸びは9月+3.0%から鈍化し、7月来の低水準となった。
 ・米国連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している変動の激しい燃料や食品を除いたコア指数は前年比+2.6%と、予想+3.0%を下回った。9月+3.0%から鈍化し2021年3月以来の最低の伸びを記録した。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)12/18、上海総合+6高、3,876
 2)12/19、上海総合+14高、3,890

●2.中国株:上海総合は中国共産党・政府筋に監督管理されており、「国家隊」の買い支えあり

 1)中国本土マーケットの上海総合指数は、中国共産党・政府により強力に管理監督されている
  ・空売りは相場終了30分前から規制。
  ・相場が軟弱になると、「国家隊」と呼ばれるファンドや国有企業からに買い支えがある。その資金は、国有銀行が供給している。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)12/18、日経平均▲510円安、49,001円
 2)12/19、日経平均+505円高、49,507円 

●2.日本株 : 相場は底堅く、「W型」で推移継続か

 1)日経平均は「W型」での推移が続く
  ・日経平均の推移
     11/19   48,537円
     11/20   49,823     +1,286円高
     11/26   48,625    ▲1,198円安
     11/28   50,253     +1,623円高
     12/01   49,303    ▲ 950円安
     12/04   51,028     +1,725円高
     12/18   49,001    ▲2,027円安
     12/19   49,507     506円高

  ・日経平均は「W型」で推移しており、12/22の大幅高を示唆している。

 2)日経平均は大幅高と大幅安を繰り返すという周期にあり、しばらく継続と予想
  ・日経平均は大幅安の日でも、項目別内容はプラスが続く。

  ・新高・新安値、値上がり・値下がり銘柄数の推移と、日経平均の状況。
        12/01  12/05  12/11  12/15  12/17  12/18  12/19
   新高値   206   46    94   209   27    51   113
   新安値    10   17    34    11   23     9    7
   値上がり  299   312    207   1,218   662   1,051   1,161
   値下がり  1,268  1,245   1,361   346   882    503   385

   日経平均 ▲950  ▲536   ▲453  ▲668  +128   ▲510  +505

  ・新高安値、値上がり・下がり銘柄数の状況をみると、株式相場の勢いは強さを失っていない。当面は「W型」が続くと思われる。
  ・ただ、騰落レシオ(6日)は12/19に155.93と高値圏入りのため->急落リスクには注意したい。

 3)日銀は12/19に政策金利を+0.25%引上げ⇒追加利上げの可能性は高い
  ・「日銀は利上げを急がない」との観測が強まり、日本・米国の金利差は当面大きく縮まらないとの見方が広がり、円相場は1ドル=157円台と約1カ月ぶりの円安方向に進展した。
  ・円安は輸入物価の値上がりから物価上昇につながるため、日銀は追加利上げの判断をする可能性がある。

 4)日経平均と寄与上位の状況・・AI・半導体に一極集中の流れ
  (1)12/18、日経平均▲510 円安、寄与上位5銘柄は▲451円安で▲88.43%占める
   ・寄与上位5銘柄       寄与度     株価
      アドバンテスト    ▲172円安   ▲645円安
      ソフトバンクG    ▲126     ▲630
      東京エレクトロン   ▲101     ▲1,010
      ファナック      ▲ 26    ▲154
      ファーストリテイ   ▲ 26    ▲320
       合計        ▲451

  (2)12/19、日経平均+505 円高、寄与上位5銘柄は+433円高で+85.74%占める
   ・寄与上位5銘柄       寄与度     株価
      ソフトバンクG    +199円高   +990円高
      アドバンテスト   +104     +390
      東京エレクトロン  +89     +890
      フジクラ      +22     +670
      豊田通商      +19     +187
       合計       +433

   ・海外短期筋は、前日の米国株高を買いの好材料とみて株式先物を買い進んだ。日経平均の上昇には、海外短期筋の買いが必要な状況は変わらない。

 5)海外筋はクリスマス休暇入り
  ・クリスマス休暇入りが今週後半から始まり、市場参加者が減少する。そのため、今週前半がかき入れ時となり、市場は活況となりそうだ。
  ・クリスマス前から商いは閑散となるため、値動きが大きくなることに注意。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6594 ニデック     創業者退任で効果期待
 ・6857 アドバンテスト  業績好調
 ・9984 ソフトバンクG   AI関連投資期待

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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