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相場展望12月15日号 米国株: 人工知能・半導体株に不透明感⇒景気・消費株に移れるか? 日本株: AI・半導体に一極集中⇒分散化の兆し 日銀の利上げ⇒円高傾向⇒物価上昇(インフレ)抑制となるか?
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)12/11、NYダウ+646ドル高、48,704ドル
2)12/12、NYダウ▲245 ドル安、48,458ドル
【前回は】相場展望12月11日号 米国株: 金利引下げで次期FRB議長人事が焦点、物価上昇の懸念増す 日本株: 海外短期筋のパワーに変調、日経平均の流れに変化か?
●2.米国株:人工知能(AI)・半導体関連株に不透明感⇒景気・消費株に移れるか?
1)人工知能(AI)・半導体関連株の投資を巡って不透明感
・データセンターへの巨額投資で関連銘柄の株価が急伸した。
・しかし、ここにきて、データセンター投資の先送り見通しが報じられ始めた。さらに、オラクルなど関連株の収益見通しが予想を下回った発表が見受けられるようになってきている。
・言えることは、米国株を牽引してきた人工知能(AI)・半導体関連銘柄に変調が見られることだ。オラクル、ブロードコム、エヌビディア、アマゾン、AMDなどの株価下落が目立つようになってきた。人工知能(AI)・半導体株関連株を巡る情報の先食いが終焉に近づいてきたとも言える。それが不透明感を誘っているのではないか。
2)FRBによる政策金利引下げで、景気敏感株や消費関連株に買いが入る
・FRBの金利引下げが、米国景気を押し上げるとの思惑から、景気敏感株や消費関連株が買われるという展開が強まった。
・来年5月には新たなFRB議長が就任する。トランプ大統領は新FRB議長の選任に「利下げ」を条件にしている。トランプ氏が描く政策金利は「1%」だという。
・政策金利が低下すると、(1)米国景気が上昇 (2)雇用環境が好転し消費支出の増加につながるとの見方が出てきた点に注目したい。
・米国株高を主導してきた「人工知能(AI)・半導体関連株」⇒「米国景気・企業収益拡大」に視点が移る可能性が出てきた。
・ただ、「金利低下」⇒「物価上昇(インフレ)」につながりやすい。現状でも、米国はインフレ率を「目標の2%」を達成できず、3%弱にとどまっている。トランプ氏の「1%金利」の実現可能性だが、「政治的目標」と見て実現可能性は低いと思われる。来年の中間選挙で、トランプ共和党の劣勢が伝えられるなかでの、政治的気球ではないか。
・したがって、金利低下による景気敏感株・消費関連株ブームは長続きしないとの見方を取る。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)12/11、上海総合▲27安、3,873
2)12/12、上海総合+16高、3,889
●2.メキシコ、中国などに最大50%関税、中国猛反発(AFPBB)
1)メキシコ議会は12/10、自動車・繊維・衣料・プラスチック・家電製品などの輸入品に対する関税を引上げる法案を可決。この措置は、主に中国製品に影響を及ぼすため、中国政府は猛反発した。関税引上げは、韓国・インド・インドネシア・ロシア・タイ・トルコ・台湾・ブラジルにも影響を及ぼす。
2)法案はシェインバウム大統領の署名によって成立し、2026年1/1に発効する予定。
●3.中国不動産開発大手・万科、社債債権者が社債償還延期を拒否、デフォルト高まる(ロイター)
1)12/15に期限を迎える社債の償還を1年間延長する提案があった。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)12/11、日経平均▲453円安、50,148円
2)12/12、日経平均+687円高、50,836円
●2.日本株:AI・半導体に一極集中⇒分散化の兆し
日銀の利上げ⇒円高傾向⇒物価上昇(インフレ)抑制となるか?
1)日経平均と寄与上位の状況・・AI・半導体の一極集中⇒分散化の兆し
(1)12/11 、日経平均▲453円安、寄与上位5銘柄は▲459円安
・寄与上位5銘柄 寄与度 株価
ソフトバンクG ▲288円安 ▲1,435円安
東京エレクトロン ▲ 52 ▲520
TDK ▲44 ▲87
ファーストリテイ ▲43 ▲530
信越化 ▲32 ▲189
合計 ▲459
・ソフトバンクGの1銘柄で日経平均を▲288円押し下げた。
(2)12/12 、日経平均+687円高、寄与上位5銘柄は+383円高で占有率は55.7%
・寄与上位5銘柄 寄与度 株価
ソフトバンクG +134円高 +670円高
ファーストリテイ +126 +1,570
ファナック +53 +319
信越化学 +38 +226
TDK +32 + 64
合計 +383
・相場の流れが、AI・半導体の一極集中⇒分散化の兆しが見られる。
2)日銀、利上げ姿勢
・日本銀行は12/18~19に開く金融政策決定会合で政策金利の引上げが想定できる。日本の金利水準は欧米と比べまだ低く、利上げ継続姿勢がなければ、円安が進み物価高につながる。
・ただ、金利上昇は日本景気を冷やすリスクが増す。
3)日銀の利上げは、円高方向に
・実質賃金のプラス化には、円高による物価上昇(インフレ)の抑制が必要。
・円の安値圏が続くと食料含む輸入物価上昇を招き、引いては物価上昇(インフレ)への警戒心が高まる。
4)円高は、実質賃金上昇にプラス
・岸田・元首相、石破・前首相の時代は「円安・ドル高、家計苦」政策だった。そのため、輸入物価は上昇し、食料の輸入依存の高い日本の物価は上昇した。両首相時代は、物価上昇(インフレ)の対抗策として、賃金を上昇でカバーしようとした。つまり、インフレ抑制策は打たなかったのである。賃金上昇は、大企業で働く雇用者には恩恵があったが、利益の少ない中小企業では少額の賃金アップしかできず。
・追打ちを掛けたのは、物流改善政策で、運転手不足と運送費の高騰が、物流費の高騰を招いた。企業の値上げ理由の1つに、物流費の高騰が上げられた。政府は、物流の生産性向上策と同時並行で実施しなかったため、値上げに直結した。岸田・石破政権の「国民の家計に対する無策」の結果である。選挙に負けるはずである。
・これでは実質賃金はマイナスにしかならなかった。庶民の家計は「切り詰めの生活」に追い込まれた。岸田・石破氏が首相の時代は、「実質賃金がマイナス」の時代であった。ところが、国庫収入は増税や値上げに伴う消費税の事前増で、大幅に増えた。大幅な税金等の収入で、政府は補正予算などで大盤振る舞いを続けた。つまり、実質的な増税をした。
・これでは、国民の家計収入は目減りし、苦しい生活を強いるばかりとなる。
・日銀は早ければ12月の金融政策決定会合で「政策金利の引上げる」方向にある。これで、日本・米国の金利差が縮小することになる。そうなれば、「金利縮小⇒円高・ドル安」の流れとなり、輸入物価は抑えられる方向になる。
・つまり、「円高は物価上昇の抑制に働く」⇒「実質賃金のプラスに作用」することになる。阻害要因は、トランプ米国大統領の「FRB議長選任」である。トランプ氏は「米国政策金利の大幅引下げ」を条件に、来年5月のFRB議長を選ぶ条件にしている。彼は「政策金利は1%」まで下げろ、と言っている。そうなると、日本・米国の金利差は拡大する可能性があり、「円安」要因となる。高市・首相は、最近、植田・日銀総裁と会談したが、金利水準について注文はつけなかったようだ。このため、日銀は政策金利を段階的に引上げる可能性がある。日本・米国との金利差の推移に注目したい。それは、庶民の家計に直結する「実質賃金のプラス」につながるからである。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・5713 住友金属鉱山 業績絶好調
・6141 DGM森精機 業績向上期待
・6473 ジェイテクト 業績好調
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