相場展望9月18日号 米国株: FRBの利下げ継続期待で、株価上昇 日本株: 日経平均は堅調に上昇するが、過熱感も膨らんでいる

2025年9月18日 13:57

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)9/15、NYダウ+49ドル高、45,883ドル
 2)9/16、NYダウ▲125ドル安、45,757ドル
 3)9/17、NYダウ+260ドル高、46,018ドル

【前回は】相場展望9月15日号 米国株: 米国株にオラクルという新星が現れる 日本株: 日経平均は、海外短期投機筋の「独壇場」が続く SQ値決定後と自民党総裁選日前後の急落に注意

●2.米国株:FRBの利下げ継続期待で、株価上昇

 1)米国株が堅調に上昇
  ・上昇要因
    ・ハイテク株が牽引。
       アルファベットは時価総額3兆ドル乗せ。
    ・利下げ継続への期待。
    ・米国・中国通商協議の進捗を好感。

 2)米国8月関税収入は295億ドルと前年比4倍以上、米国財政収支の改善に貢献
  ・295億ドル(約4兆3,000億円)で、昨年8月の70億ドル(約1兆円)と比べて4倍以上となった。

 3)米国FRBは9/17、▲0.25%の利下げを決定
  ・FOMCで▲0.25%利下げ⇒利下げ続くとの期待感でNYダウ+500ドル超上昇
   ⇒終値+260ドル高と伸び悩む。
  ・雇用の悪化に対応するとしながらも、インフレ・リスクも懸念し、今回の利下げは▲0.25%引下げとした。
  ・年内の金利見通しは、年内にあと2回・各▲0.25%金利引下げの見込み。
  ・FOMCメンバーで1人を除き▲0.25%利下げに賛成。▲0.50%引下げを主張し反対したのは、トランプ氏指名のミラン新FRB理事の1人であった。

●3.FRBクック理事の住宅ローン申請は適切だった可能性、ロイターが文書確認

 トランプ氏の指摘と矛盾(ロイター)

●4.トランプ氏、3カ月企業決算の見直し要請、SECに半年ごとの報告を提案(ロイター)

 1)3カ月企業決算は、よくない。6カ月決算報告に変更すれば、時間とコストが削減され、経営者は自社の適切な運営に集中できるようになる。中国は企業経営を50年から100年の視点で考えているが、我々は3カ月ベースで企業を運営している。「これは良くない!」と主張した。

●5.「トランプ高関税の代償」、米国製造・小売・エネルギー分野の雇用に打撃(kangnamtimes)

 1)これは、トランプ米国大統領の大幅な輸入関税引上げでコストが上昇し、不確実性の中で事業拡大が困難なため、雇用削減していると企業関係者が指摘する。突然の関税課税が雇用と成長を阻害している。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)9/15、上海総合▲10安、3,860
 2)9/16、上海総合+1高、3,861
 3)9/17、上海総合+14高、3,876

●2.中国政府、エヌビディアのAIチップの購入停止を中国テック企業に求める(ブルームバーグ)

●3.中国、米国半導体大手エヌビディアを独占禁止法違反と発表(NHK)

 1)エヌビディアがどのような形で法律に違反したかは明らかにしていない。
 2)米国が半導体分野の輸出規制を強化するのに対抗する姿勢を示した形。

●4.中国8月の経済統計、消費や生産の伸び鈍化、景気減速傾向強まる(NHK)

 1)8月鉱工業生産、前年比+5.2%、予想+5.6%、7月+5.7%から伸び率が縮小。
 2)8月小売売上高、前年比+3.4%、予想+3.8%、7月+3.7%から伸び率が縮小。

●5.中国不動産投資1~8月は前年同期比▲12.9%減、1~7月は▲12%減だった(ロイター)

●6.中国の中古住宅価格、8月は下落幅拡大、大規模支援の必要性浮き彫り(ブルームバーグ)

 1)国家統計局が9/15発表、8月の中古住宅価格は前月比▲0.58%下げ、7月の▲0.55%下落からマイナス幅が拡大した。また、新築住宅価格(主要70都市、政府支援住宅を除く)は前月比▲0.3%下落。7月は▲0.31%値下がりだった。

 2)住宅市場の低迷は4年余り続いており、第2四半期以降は販売がさらに落ち込んでいる。8月後半には中国経済全体の勢いも一段と弱まったとみられ、住宅市況の回復はなお見通せない状況だ。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/15、祝日「敬老の日」で休場
 2)9/16、日経平均+134円高、44,902円
 3)9/17、日経平均▲111円安、44,790円

●2.日本株 : 日経平均は堅調に上昇するが、過熱感も膨らんでいる

 1)日経平均は堅調
  ・日経平均堅調の要因
    ・米国株高。
    ・自動車関税27.5%⇒15%への引下げを好感。
    ・海外短期筋の株価先物買いが続いている。
    ・日経平均の寄与度が高い、アドバンテストや東エレク、ソフトバンクGなど半導体・人工知能(AI)関連の値がさ株に買い人気が続いている。

 2)暗雲も膨らむ
  ・円相場の円高・ドル安
    ・自動車など輸出関連株などが売られ、株式相場のとって負の要因が増える可能性がある。
    ・一方、輸入物価は下がる要因となる。
    ・全体として株式相場をみるとマイナス要因。
  ・日経平均寄与度の高い少数の値がさ株に買いが集中し、多くの銘柄が売られている。
    ・9/17日経平均は▲111円安であるが、日経平均寄与度の高い3銘柄が+179円高と買い支えする中での下落であった。買い支えした3銘柄の日経平均寄与高
        東エレク   +125円高
        TDK     + 36
        ソフトバンクG + 18
 合計   + 179円高
     このような相場は長続きしない。

 3)過熱感が静かに膨らんでいる
  (1)新高値・安値銘柄数は、新高値銘柄数が減少傾向
         9/9  9/12  9/16  9/17
    新高値  356  186   162   59
    新安値   1    5    3    3
    ・買い方の勢いが減少、ただ売り方の勢いは付かない傾向となっている。

  (2)PER(株価収益率)は、1株当たり企業利益の18倍を超え、買われ過ぎを示唆
         9/3  9/16  9/17
    PER   17.41  18.17  18.06

  (3)テクニカル分析で、ストキャスティクスが高値圏に入り、天井接近を示唆
         9/1   9/17
    FAST   32   94
    SLOW   29   94

  (4)日経平均はNYダウより買われている
          8/29    9/17    上げ幅
    日経平均 42,718円  44,790  +2,072円高 ・+4.85%上昇
    NYダウ  45,544ドル 46,018  + 474ドル高・+1.04%上昇
    ・日経平均の過熱感が意識される段階となってきた。

●3.日本8月の輸出▲0.1%減、減少率は予想より小幅、対米国向けは5カ月連続減(ブルームバーグ)

 1)日本の輸出は前年比で4カ月連続のマイナスとなった。関税措置の影響が続く米国向けは、自動車を中心に5カ月連続で減少した。アジアと欧州連合(EU)向けが増加に転じ、マイナス幅は市場予想よりも小さかった。

 2)財務省9/17発表で、輸出は前年同月比▲0.1%減少、市場予想は▲2.0%だった。自動車や鉄鋼、自動車部品が振るわなかった。米国向けは▲13.8%減で、そのうち自動車が▲28.4%減、建設用・鉱山用機械が▲26.1%減、半導体製造装置が▲38.9%減った。米国以外の地域別輸出は、アジア向けが+1.7%増、EU向けが+5.5%増。中国向けは▲0.5%減と6カ月連続のマイナスだった。

●4.米国政府決定、対日本の自動車関税を9/16から27.5%⇒15%に引下げ (朝日新聞)

 1)関税率が15%を超えていたものについては、新たな関税を課さず、従来通りの税率とするとした。

●5.西武・プリンスホテル、米国ホテル運営会社エースホテルを130億円で買収 (時事通信)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

  ・4443 Sansan    業績好調
  ・6869 シスメックス  業績堅調
  ・7224 新明和     業績堅調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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