相場展望11月14日号 日本株: 「トランプ・トレード後に」備えよう、米国は金利高・インフレ再燃へ

2024年11月14日 10:01

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)11/11、NYダウ+304ドル、44,293ドル
 2)11/12、NYダウ▲382ドル安、43,910ドル
 3)11/13、NYダウ+47ドル高、43,958ドル

【前回は】相場展望11月11日号 米国株: トランプ氏の関税引上げ策が引き起こす、貿易戦争に警戒 中国株: デフレ懸念が続く中国国内経済、デフレを輸出し嫌われる中国へ

●2.米国10月消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.6%上昇(NHK)

 1)上昇率は市場予想と同じ水準、9月から+0.2%上回った。
 2)市場では、大統領選で勝利したトランプ氏の政策によって再燃するのではないかという懸念も出ていて、FRB(連邦準備理事会)が今後どのようなペースで利下げを進めていくかが注目される。

●3.独連銀総裁、トランプ氏の関税策を導入ならドイツのGDPは▲1%減も(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)11/11、上海総合+17高、3,470
 2)11/12、上海総合▲48安、3,421
 3)11/13、上海総合+17高、3,439

●2.中国10月新規融資、5,000億元に減少、景気対策しても需要伸びず(ロイター)

 1)前月は1兆5,900億元で、前月比3分の1まで減少した。
 2)中国人民銀行はまた、国内のマネーサプライの実態をより良く反映するため、マネーサプライ統計の調査を改定すると発表した。

●3.中国株ETFから資金流出、トランプ関税を警戒、景気刺激策に失望(ブルームバーグ)

 1)投資家は先週、中国株に投資する上場投資信託(ETF)から資金を引き揚げた。
  ・トランプ前大統領の大統領選勝利を受け、関税強化のリスクが高まりを嫌気。
  ・一方、中国当局が発表した景気刺激策は、中国が今後の嵐を乗り切れると投資家を安心させることができなかった。
  ・95億ドル(約1兆4,600億円)規模の「iシェアーズ中国大型株ETF」から先週、▲3.15億ドルが流出。10月上旬に大量の資金が流入した後、4週連続の流出となった。
  ・「iシェアーズMSCIチャイナETF」からは▲2.8億ドルが流出した。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)11/11、日経平均+32円高、39,533円
 2)11/12、日経平均▲157円安、39,376円
 3)11/13、日経平均▲654円安、38,721円

●2.日本株:「トランプ・トレード後に」備えよう、米国は金利高・インフレ再燃へ

 1)日経平均の上昇・下落の主役は、「海外短期筋」
  ・最近の日経平均は、
    上値は40,000円に迫ると「売り」
    下値は38,000円台で「買い」
   となっている。
  ・その主役は海外短期筋で、株価指数先物で株式相場をリードしている。

 2)円安でも売り
  ・今までの法則は、「円安⇒輸出関連を主体に株高」だった。ところが11/13は、円安でも日経平均は下落した。
  ・11/13の下落は、それだけ海外短期筋の売り攻勢が強かったと思われる。

 3)日本株の「トランプ・トレード」終わった感じ
  ・日経平均は「トランプ・トレード」を期待して、米国株の上昇も追い風となり日経平均は11/1以降+1,480円上昇してきた。
  ・ところが、この2営業日で▲812円下落した。日本株のトランプ・トレードは終わった様相を呈している。
  ・日経平均の推移  11/1   11/11    11/13
    日経平均  38,053円  39,533    38,721 
              +1,480円高 ▲812円安

 4)決算発表シーズンは間も無く終了
  ・好決算銘柄に買いが入り、大幅高となった銘柄が目立った。
  ・決算発表も今週末ごろでピークを迎えるため、今後は好材料が乏しくなる。株式相場はフォローの風が止むため今後は注意が必要。

 5)「トランプ・トレード後に」備えよう
  ・11/13米国市場で円相場は155.50円に円安が進行し、本日は日経平均にとって追い風となろう。また、前日の日経平均▲654円と大幅安だったことと、39,000円割れのため、自律反発狙いの買いが入ると予想される。輸出関連株を中心に買われると思われる。ただ、米国株式市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が▲2.0%下落しているため、半導体関連株は弱含みとなろう。

  ・チャートからは、トランプ・トレードは終わった模様。むしろ、トランプ氏の関税10~20%引き上げと規制緩和方針の悪影響に眼が行く可能性がある。また、米国長期金利は10年物で11/13に4.453%と9月半ばから大幅に上昇している点に注目したい。トランプ次期政権の政策が、米国ドル高・インフレを引き起こす可能性がある。10月の米国消費者物価指数(CPI)も9月比で+0.2%上昇して+2.6%と反発した。米国と日本の株式相場はトランプ勝利を織り込み済みとなり、今後はトランプ・リスクを見極める展開となりそうだ。「トランプ・トレード後」の株式相場に備えたい。

●3.セブン&アイ、創業家の買収提案を特別委で検討、史上最大のバイアウト案件に(ロイター)

●4.ソフトバンクG、4~9月期最終利益は1兆53億円黒字、3年ぶり黒字(NHK)

●5.シャープ、中間決算の営業利益は昨年の58億円赤字から4.8億円の黒字(NHK)

●6.楽天、1~9月決算の最終損益は1,503億円の赤字、6年連続赤字も幅は縮小(NHK)

 1)7~9月期の営業損益は5億円の黒字、前年同期は544億円の赤字だった(ロイター)

●7.三越伊勢丹、4~9月期営業利益は前年同期比72.8%増の348億円(ロイター)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・7832 バンダイナムコ    業績好調
 ・9514 エフオン       業績好調
 ・9616 共立メンテナンス   業績回復期待 

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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