相場展望8月26日号 米国株: 9月▲0.25%の利下げ実施を予想、大統領選挙後の株高期待 日本株: 衆議院解散総選挙で株高の経験則に注目、相場は夏枯れ状態

2024年8月26日 10:19

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)8/22、NYダウ▲177ドル安、40,712ドル
 2)8/23、NYダウ+462ドル高、41,175ドル

●2.米国株: 9月に▲0.25%の利下げ実施を予想、米大統領選挙後の株高期待

 1)米国の9月利下げは「▲0.25%」を予想
  ・米国の労働市場は緩やかな軟化をしており、9月に▲0.25%の利下げを実施すると予想する。
  ・株式市場が期待する▲0.5%の利下げは必要としていない。

 2)米国大統領選挙後の株価動向に注目
  ・民主党のハリス候補の経済・外交政策が明らかになると、株式市場も反応してくると思われる。現在では、踏み込んだ内容の発表とはなっていない。
   ・対中国政策には触れず。副大統領候補に親中国派を起用。
   ・同盟国との関係についてもノータッチ。
   ・ウクライナ対応も不明。
   ・バラマキ政策は方針を掲げたが、財源など具体策は述べず。
   ・共和党のトランプ候補の政策は、環境規制の緩和で原油増産・関税引上げなど。(対中国の関税は60%、その他の国には関税を一律10%)
   ・米国の大統領選挙後の株高は経験則では期待できる
   ・選挙では、投票を得たいために利益誘導型のバラマキ政策が主になる。これはインフレを伴い、後始末に苦労することになる。しかし、聞こえの良い話が多く、株高テーマとしては打ってつけだ。

●3.米国総合PMI、8月は54.1とやや低下、製造業が8カ月ぶり低水準(ロイター)

 1)米国総合購買者景気指数鵜(PMI)は54.1と、7月の54.3からやや低下した。
 2)向こう数ヵ月にわたりインフレ下降傾向が続く可能性が高まった。インフレの正常化を示すもので、金利引下げを後押しする。
 3)製造業PMIは48.0と、前月49.6から低下し、8ヶ月ぶりの低水準となった。

●4.米国失業保険申請件数は前週比0.4万件増の23.2万件と増加に転じる(ロイター)

 1)労働市場の冷え込みは依然として緩やかであることを示す水準にある。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)8/22、上海総合▲7安、2,848
 2)8/23、上海総合+5高、2,854

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)8/22、日経平均+259円高、38,211円  
 2)8/23、日経平均+153円高、38,364円  

●2.日本株 :衆議院解散総選挙で株高の経験則に注目、相場は夏枯れ状態

 1)円高リスクが日本企業に影
  ・日経平均は8/1・2・5の3日間で▲7,643円の暴落をしたが、8/6~23で+6,906円高と90%取り戻した。
  ・ただ、円相場は145円近辺で推移しているため、日経平均の反発は限られている。
  ・日本は貿易立国であるため円高は輸出関連を中心に企業業績にマイナスに働く。
  ・米国FRBは9月にも「政策金利引下げ」確率が高まっている。このため米国サイドの要因で、「日米長期金利差が縮小」することになる。この結果、為替市場は「円高・ドル安」に動くことになる。為替が円高を指向するならば、日経平均の上昇圧力は弱まる可能性が高くなる。

 2)海外投資家の動向は、最近、3週連続で買い越しに転じたもよう
  ・短期海外勢は、7月3週から8月2週にかけて株価先物を▲3兆4,801億円も売り越した。そして、日経平均は8月初旬に暴落した。
  ・暴落を主導した海外短期筋は、その後、買い越しに転じている。日経平均の反発にも一役買っている。
  ・最近の短期海外勢は3~4週間ごとに、買い越し・売り越しを繰り返している。そのリズムからすると、そろそろ売り越しに転じるリスクが考えられるため、注意深く見守っていきたい。

 3)東証プライムの売買代金が4日連続で4兆円割れ
  ・売買代金が縮小している。
    ・8/1と8/2は、6兆円台。
     8/5~7は、8兆円近辺。
     8/13~19は、4兆円台。
     8/20~23は、3兆円台。
  ・株式市場の取引規模が縮んできた。
  ・株式市場のエネルギーが低下傾向にあり、日経平均株価は7/11の42,224円を狙うには力不足。4~9月期の決算発表も終え、材料が乏しくなっており、しばらくは新規の材料待ちの状況。

 4)8月初旬に暴落し8/16で戻り高値となり、あと調整中の銘柄が多い
  ・8/16に戻り高値で、その後、調整している主要な銘柄。
   トヨタ、ホンダ、東京エレクロトロン、アドバンテスト、三井物産、三菱商事、日立、三菱重工、村田製作所、デンソー、川崎汽船など。
  ・円相場は「円高」基調にあり、輸出関連銘柄にとっては負の相関にある。
  ・株式市場の変動の大きさを示す日経平均VI(恐怖指数)は低下したものの、
    今なお高い水準にある。
    ・日経VIの推移  7/11   7/31   8/5    8/6   8/23 
      日経VI     18    21   76     51  25
      日経平均株価+392円高 +571  ▲4,451円安+3,207  +153
    ・8/23の日経VIは25であり、株式市場はなお警戒感が残っているとみる。
  ・主力株の多くが8/16に戻り高値以降、調整しているのは「警戒感」が払拭されていないためと思われる。

 5)衆議院解散総選挙時と米国大統領選挙後の「株高」が経験則としてある
  ・選挙での公約と討議の目玉の1つに、「経済活性化」がテーマとして挙がるのが常である。市場の期待も高まり、株式相場にとってプラスに働くという経験則がある。テーマを先取りした動きも出てくるため、議論の行方に注視したい。

●3.キオクシア、10月にも上場、時価総額1兆5,000億円超か(共同通信)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・5706 三井金属   業績好調。
 ・6702 富士通    業績好調。
 ・7012 川崎重工   業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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