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相場展望6月2日 米株式相場「下落⇒反発⇒下落」の過程にある 「売られすぎ局面で拾い」⇒「跳ねたら売り」展開を予想
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)5/30、祝日「メモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日)」で休場
【前回は】相場展望5月30日 米株式の最近の上昇は「大幅下落の戻り」で一時的 依然として、インフレ率は高く、FRBの引締め強化へ
2)5/31、NYダウ▲222ドル安、32,990ドル(日経新聞より抜粋)
・欧州連合(EU)が5/30にロシア産原油の禁輸で合意し、需給の引締めが意識され、米原油先物相場が5/31に1バレル119ドル台後半まで上昇、高インフレが長引いて企業収益を圧迫するとの懸念が強まり、ディフェンシブ含む銘柄が売り優勢となった。
・NYダウは一時▲460ドル安を付けた後、下げ渋った。
・また、米長期金利上昇を受けて金融が買われ、NYダウは高くなる場面もあった。
・NYダウは前週に+1,951ドルと大きく上げており、利益確定する売りが出やすかった。
・コカコーラ・ホームデポがともに▲2%下げたが、中国経済正常化期待でナイキが上昇。
3)6/01、NYダウ▲176ドル安、32,813ドル(日経新聞より抜粋)
・インフレ懸念や米連邦制度理事会(FRB)の金融引締めへの警戒感が意識され、米長期金利がほぼ2週間ぶりに2.9%台に上昇し、NYダウは一時▲405ドル安となった。
・6/1発表の米サプイマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が市場予想に反して上昇し、米景気の強さを示したと受けとめられ、FRBが9月以降も通常の倍の+0.5%の利上げを継続するとの見方が強まった。
・ISM指数の発表後に米長期金利が一時2.95%(前日2.84%)と、5月半ば以来の水準に上昇し、幅広い銘柄で売りを誘った。
・ウォルマート、アメックス、ディズニーなど消費関連銘柄の下げが目立った。
●2.米国株:米株式相場は、「下落⇒反発⇒下落」を繰り返しながらの底値模索とみる
1)NYダウは、8週連続下落の後、5/18~5/27に+1,959ドル上昇と反発した。反発の持続力については懐疑的な見方が根強く、5/31~6/1は▲399ドルと反動安した。
2)米長期金利は低下していたが、2.9%台へと上昇に転じた。金利低下した要因としては、相対的に安全資産と言われる米債券に株式市場から資金流出したことによる債券買いにより金利が低下したと考えられる。したがって、この金利低下は、経済の構造上からのものでなく、一時的現象とみている。
3)FRBの利上げ動向に注目が集まっているが、それは夏以降の利上げペースについてだ。直近のNYダウ上昇時には、FRBは「様子見で利上げ停止」期待が広がっていた。ただ、ISM製造業景況感指数や求人数の強さで分かるように、米経済に不安はなく、インフレも高水準に留まっている。したがって、FRBの夏以降の利上げ問題は、
(1)「利上げ停止し、景気後退・インフレ低下を確認する」ということではなく、
(2)利上げ幅が、「0.25%」か「0.50%」なのかに焦点がくると思われる。
4) FRBの政策決定タイミングは、『遅すぎる』という習性があり、早期の政策転換はできないとみている。さらに、『インフレ水準は極めて高く』かつ『インフレ抑制策は始まったばかりであり、その効果もまだ確認できていない』状況下にある。株式市場の片想い的な期待通りにはならないだろう。
5)したがって、米国株式相場は「反発を織り交ぜながら、下落基調は続く」とみている。
●3.米4月JOLT求人件数は1,140万件、予想1,135万件を上回る(フィスコ)
●4.米5月ISM製造業景況指数は56.1と、予想54.5に反し強い結果(DZHフィナンシャル)
1)モノの需要は引続き力強く、景気後退が迫っているとの懸念を和らげる可能性がある。
2)米製造業は、米経済の12%を占める。
●5.米3月20都市住宅価格指数は前年比+21.2%上昇、4カ月連続で伸び加速(ブルームバーグより抜粋)
1)市場予想は+20.0%上昇、前月の+20.3%上昇を上回った。
2)20都市全てで2桁の伸び、上昇率が最も高かったのはフロリダ州タンパで+34.8%。
●6.米5月消費者信頼感指数は106.4、予想103.6を上回る、4月107.3(フィスコ)
1)インフレの高止まりが、消費者マインドの重石となり、家計を圧迫している様子を示唆した。(ブルームバーグ)
・こうした状況下で、貯金の取崩しや消費支出を支えるためのクレジットカードの利用拡大を余儀なくされるケースが増えている。
・自動車や住宅・家電製品について、購入計画があるとの回答比率が低下した。
2)今後に関しては、物価高騰と追加利上げが引続き年内の個人消費の下方リスクになると予想すべきとした。
3)雇用が「十分にある」との回答比率は51.8%に低下し、仕事が見つけにくいとの回答比率は上昇した。
●7.ウォール街のストラテジスト、米株式相場の反発は「短命」の公算大と予想(ブルームバーグ)
1)モルガンS SP500は8月半ばまでに3,400を付け、5/27から▲18%下落余地。
2)BTIG SP500は「夏の後半は初秋に」3,400~3,500への下落を見込む。
●8.米モルガンS、成長リスクが蔓延し、米国株の上昇余地は限定的(ブルームバーグより抜粋)
1)先週の米国株高は結局のところ、弱気相場での上昇だったということが分かるだろう。今注目している重要事項は、(1)成長減速 (2)業績見通しが高すぎる、ことだ。
2)モルガンS予測では、SP500指数の上限は4,250~4,300だ。
●9.欧州のエネルギー供給不足問題の事態は深刻か?(フィスコ)
1)国際エネルギー機関(IEA)ビロル事務局長
・欧州は今夏に燃料不足に陥る可能性がある。欧州と米国でホリデーシーズンが始まると燃料需要が高まり、ディーゼル・ガソリン・灯油の不足が見込まれ、特に欧州で深刻な事態になる。
・現在のエネルギー危機は1970年代のオイルショックよりも深刻で、長期にわたって続く可能性がある。
●10.独5月CPIは前年同月比+8.7%、約50年ぶり高水準、利上げ観測に拍車(ロイター)
1)独5月CPI(消費者物価指数)は前年比+8.7%上昇し、4月+7.8%から伸びが加速。アナリスト予測+8.0%も上回った。ウクライナ戦争勃発も背景に、5月エネルギー価格は前年比+38.3%上昇、食料品価格も+11.1%上昇。
2)これを受け、欧州中央銀行(ECB)が7月に+0.5%の大幅利上げ実施の可能性高まる。
●11.ユーロ圏の5月物価上昇率+8.1%と最高値 (NHK)
1)5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)は前年比+8.1%、4月+7.4%から拡大し、予想+7.7%も上回った。(ロイター)
●12.ロシアvsウクライナ関連
1)ロシアのデフォルト認定を5/31に持ち越し、金融国際組織が協議継続(時事通信より抜粋)
・デフォルトと認定されると、国際資本市場での資金調達が困難になる。ただ、ロシアは既にウクライナ侵攻に伴う制裁で、市場から締め出されており、大きな混乱を招く可能性は低いとみられている。
2)EU、ロシア産原油禁輸で海上輸送に限定で合意、ハンガリー除外(毎日新聞)
・年末▲9割削減目指す。禁輸対象から陸上パイプライン除外(時事通信)
3)ウクライナ産小麦、今夏から来年にかけて輸出量▲47%減少の見込み(NHK)
4)OPEC、石油生産協定からロシアの一時除外を検討(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)5/30、上海総合+18高、3,149(亜州リサーチより抜粋)
・中国の経済活動再開に加え、景気刺激策も追い風となり、相場を支える流れとなる。
・中国本土では、新型コロナの1日当たり感染者数が減少しつつある。中国最大の経済都市・上海市では副市長が5/29の記者会見で、感染対策の徹底などを条件に、6/12以降、企業活動の全面再開を認める方針を明らかにした。また、首都・北京市は5/29、制限措置を一部緩和した。
・上海市は5/29、産業支援や消費刺激など8分野50項目の措置を打ち出した。
・ただ、上値は重く、直近の株価上昇を受けて売り圧力を意識されたほか、明日5/31公表の5月製造業PMI(国家統計局)の内容を見極めたいというスタンスも漂った。
・主要銘柄では上海拠点の銘柄群が急伸し、ハイテク産業団地の上海市北高新、インフラ建設の浦東建設、化学品の上海華誼が揃ってストップ高となった。
2)5/31、上海総合+37高、3,186(亜州リサーチより抜粋)
・中国の経済活動再開や景気刺激策の期待感が引続き手がかりとなった。
・中国本土で新型コロナ新規感染者数は減少傾向にあり、一部では「ピークを過ぎた」との声も聞かれる。
・また、国務院が5/31に景気対策33項目の詳細を発表したことも好感された。
・5月製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.6と、前月47.4・予想49.0を上回る。景況判断の分かれ目となる50は3カ月連続で割込んだものの、21業種のうち12業種が50を超え、前月比で3業種増えた。
・業種別では、ITハイテク・医薬品・農業関連が上げ、反面、不動産・空運が下落。
3)6/01、総合▲4安、3,182(亜州リサーチより抜粋)
・上海総合指数は前日まで急ピッチに5日続伸し、足元で約1カ月半ぶりの高値水準を回復していた反動で、売り圧力が意識される流れとなった。
・5月財新中国製造業PMI(民間集計)は48.1に留まり、市場予想に届かなかった。中国景気の鈍化懸念がくすぶる。
・業種別では、消費関連の下げが目立ち、発電も冴えない。反面、自動車は急伸。
●2.テスラ上海工場、週間生産台数がロックダウン前の7割に回復(ロイター)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)5/30、日経平均+587円高、27,369円(日経新聞より抜粋)
・前週末の米株式相場がインフレ加速への警戒感の後退で大幅上昇したのを受け、東京市場でも運用リスクをとる動きが優勢となり、上げ幅は一時+610円を超え、4/21以来およそ1カ月ぶりの高値水準となった。
・4月米個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比の伸びが前月に比べ鈍化した。インフレ懸念が和らぎ、ナスダック総合が+3%上昇するなど主要3指数が大幅高。東京市場でも値嵩グロース(成長)や景気敏感銘柄を中心に、幅広く買いが入った。
・岸田政権が6月にまとめる「新しい資本主義」実行計画の原案について、将来の成長を見据えた戦略との評価も支援材料となった。
・中国で6月から新型コロナ対策規制緩和されることも、投資家心理の支えとなった。
・リクルート・サイバー・エムスリー・安川電が高く、郵船・Jフロントが売られた。
2)5/30、日経平均▲89円安、27,279円(日経新聞より抜粋)
・EUがロシア産原油の禁輸で合意したことを受け、原油価格が一時119ドルに上昇、INPEXは年初来高値を更新、日本経済への悪影響を警戒する売り優勢で小反落。
・資源価格の上昇が国内企業の企業収益や家計を圧迫し、景気減速につながるとの懸念が相場全体の重荷となった。
・日経平均が前日までの2営業日で+750円超上昇したことで、短期筋の戻り売りや利益確定売りが出て、上値は重かった。
・一方、中国経済指標で景気悪化ペースに鈍化がみられたことが支援材料となった。
・株価指数を算出するMSCIの採用銘柄変更に伴う売買が膨らんだ。
・住友不・川崎汽・商船三井の下げが目立ち、SUBARU・富士フイルムが上昇した。
3)6/01、日経平均+178円高、27,457円(日経新聞より抜粋)
・米株価指数先物が堅調に推移し、投資家心理が上向き、日経平均は一時+200円を超え、4/21以来の高値となった。
・円安・ドル高が進み、自動車・機械など輸出関連銘柄に買いが入った。
・中国の財新と、米S&Pグローバルが6/1発表した5月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は好不況の境目となる50を下回ったが、前月からは改善した。中国・上海市は6/1から新型コロナ感染拡大を防ぐ目的の都市封鎖を解除した。「中国経済に対する不安感は日本株の上値を重くする一因だったが、上海市の都市封鎖解除などで不透明感はかなり後退した」との指摘があった。
・トヨタ・日産・ホンダ・ダイキン・KDDIが上昇し、東エレク・ソフバンGが下落。
●2.日本株:「高値で素早く売り」・「売られすぎ局面で拾う」方針が良さそうな展開続く
1)日本株は、参議院選挙というイベントを迎える。
・ロシアのウクライナ侵攻で、政府は防衛関連費の増額方針を出した。防衛関連銘柄は、三菱重工・川崎重工・IHI・三菱電機・富士通などが挙げられる。
・岸田政権は、「新しい資本主義」を6月末までに実行計画をとりまとめる。それ以外にも、(1)金融所得課税の強化 (2)自社株買い規制 (3)所得倍増計画などを掲げているが、社会主義的発想が色濃いと言わざるを得ない。また、(4)資産倍増計画もあるが、矛盾点が散見される。
・参議院選挙の論戦と獲得議席予想が、日本株に影響を与えることが考えられるので慎重に対処したい。
2)日本株を取り巻く環境は、楽観的になりにくく、積極的な外人買いは期待できない。
・そのため、「売られすぎ局面で拾い」⇒「跳ねたら、売り」の短期的売買が良さそう。
●3.企業動向
1)マルハニチロ 冷凍食品134品目、2月に続き8/1から5~28%の再値上げ(FNN)
2)愛知製鋼 特殊鋼を最大2.5万円値上げ、6月契約分から(時事通信)
3)テーブルマーク 家庭用冷凍食品87品目を8/1出荷分から4~19%値上げ(日テレ)
4)川崎重工 世界初「船舶用水素ボイラ」の基本設計完了(Merkmal)
5)キリン 生茶など清涼飲料水127品目一律+20円、10/1値上げ(日経新聞)
6)全農 肥料、最大+94%値上げ(時事通信)
7)パナソニック 電池事業の売上高1兆円規模へ、2024年(時事通信)
8)食品主要105社 年内「値上げ」1万品目を突破、値上げ率平均+13%(帝国データ)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・4970 東洋合成 業績堅調。
・6367 ダイキン 業績堅調。
・7012 川崎重工 業績好調。
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