相場展望6月28日 (1) 株主総会後~7月上旬は、株価軟調を予想(拾い場) (2) 7月中旬以降は、四半期決算発表を材料に上昇予想

2021年6月28日 07:52

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)6/24、NYダウ+322ドル、34,196ドル(日経新聞)
  ・バイデン大統領が上院の超党派議員グループとインフラ投資法案で合意したと表明しインフラ支出拡大への期待が強まった。建設投資拡大の恩恵を受ける建機のキャタピラーが一段高となった。
  ・米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6/22の議会証言で、インフレ率の高まりを警戒しつつも「一時的な要因が和らげれば低下していく」と述べ、性急な利上げを否定した。
  ・市場では金融引き締めへの警戒感が薄れ、景気回復や企業収益の伸びを背景に楽観論が広がったことも買い安心感につながった。
  ・SP500指数は史上最高値を更新し、長期金利の低下でナスダック総合も上げた。

【前回は】相場展望6月24日 今回の下落は『不安心理のガス抜き』で、 『正常化に向かって徐々に慣れさせる』FRBの手法か?

 2)6/25、NYダウ+237ドル高、34,433ドル(日本証券新聞)
  ・FRBが大手金融機関のストレステスト(健全性審査)の結果、大手銀行に対する配当金や自社株買の一時的な制限を6/30に解除すると発表した。これを受けて、大手銀行株が買われた。
  ・ナイキが好決算を発表し、約+15%値上がりした。
  ・ナスダック総合は▲0.06%安と小反落した。

●2.米国株:カネ余り相場と低金利が続く

 1)株式市場の状況は、「適温相場」が続く
  (1)パウエルFRB議長発言で、FRBの金融政策変更への警戒心が後退、市場は落ち着く。
  (2)雇用統計の発表(7/2)まで材料がなく、相場の方向性が出にくいと思われる。
  (3)FRBは毎月1,200億ドル(約13.2兆円)を市場に供給継続しており、過剰マネーの増加が続いている。

 2)長期金利の低下が続く
  (1)米投機的格付企業が過去最低水準という好条件で起債(ブルームバーグより抜粋
   ・投資家のリスク志向が強まり、米ジャンク債利回りが3.89%と過去最低を更新。

 3)インフレ率は落ち着いてくる可能性がある
  (1)消費者物価指数で大きな影響を与える、中古車価格と住宅価格が5月当たりから下落傾向にあり、インフレ上昇は「一時的」とみなされる可能性が出てきた。
  (2)その評価が定着するかどうかは、価格低下で再び需要が増加するか否かにかかっている。

 4)次の株価上昇材料は、4~6月期決算発表で、7月中旬から始まる。

 5)パウエルFRB議長の、「リップサービスの終わり」にも今後は注目したい。

●3.米大統領、上院超党派とインフラ投資計画1兆2,090億ドル/8年間で6/24合意(日テレ)

 1)目的   雇用を生み出し、中国などと21世紀に競争を行うため。
 2)規模   8年間で1兆2,090億ドル(約134兆円)、内、当初5年では9,730億ドル。
 3)内容   交通機関や道路、橋、空港の整備、電気自動車や通信網などに投資。
 4)原計画比 原計画2兆2,500億ドル規模に対して、53%の達成率と規模が縮小。
 5)課題   上院ならびに下院に法案提出し議決・承認が必要。

●4.米金融当局のインフレリスクへの対応に関する6/21発言(ブルームバーグより抜粋

 1)ダラス連銀のカプラン総裁
  ・債券購入のテーパリング(段階的縮小)は、「すぐに」開始することを支持する。

 2)セントルイス連銀のブラード総裁
  ・米金融当局がテーパリングの議論を始めるとの意見は「適切」だとの認識を示した。

 3)ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁
  ・インフレ率の最近の上昇を一時的なものとして受け止めている。
 
 4)世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォ―ター」のダリオ氏
  ・米金融当局は引き締めに動くべきだと、と私は思う。

 5)元財務長官のサマーズ氏
  ・インフレ率が市場予想2%を超えており、大きく外れた誤った分析を考えるべき。

●5.米・週次新規失業保険申請件数が41.1万人と、予想38万人から悪化した(フィスコ)

 1)失業保険継続受給者数は339万人と、前回353.4万人から改善し、昨年4月来で最小。

●6.米議会下院の司法委員会6/24、GAFA規制法案を可決、自社サービス優遇を禁止(共同通信)

 1)巨大な市場支配力による弊害を防ぐ狙いがあり、違反すれば、企業分割を迫られる可能性もある厳しい内容。

 2)ただし、議会内では規制強化への反対論も根強く、法案が議会で成立するかどうかは見通せない。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)6/24、上海総合指数▲1安、3,565(亜州リサーチ) 
  ・中国人民銀行(中央銀行)は資金供給を増やしたが、市場では買い進む動きは見られなかった。
  ・米国は、ウイグルの人権侵害問題や香港の自治などを巡り、対中圧力を強めている。米商務省は6/23、太陽電池部材に関連した中国5社を輸入禁止措置リストに追加すると発表した。
  ・業種別では、銀行株の上昇が目立った。半面、医薬品株は安い。

 2)6/25、上海総合指数+40高、3,607(亜州リサーチ)
  ・中国人民銀行(中央銀行)の資金供給継続がプラス材料となり、金融株が相場を牽引した。
  ・中国10年利回りの低下が好材料となり、ハイテク株など成長株に買いが入った。
  ・当局の太陽光発電振興策が材料視された。

●2.米国は、中国・新疆ウイグルでの強制労働の疑いで太陽光パネル部材を輸入禁止(時事通信)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)6/24、日経平均+0円、28,875円(日経新聞)
  ・前日比での騰落幅としては、2017年10月31日以来の小ささとなった。
  ・円安・ドル高の進行局面で、自動車・鉄鋼・銀行などが買われた。
  ・一方、新型コロナは感染力の強い変異型に置き換わりつつあり、再び感染拡大懸念もありワクチン接種拡大で買われた銘柄に売りが出た。
  ・米国の金融政策を巡っては、早期利上げ観測は和らいだものの、なお政策運営に不透明な要素が多い。積極的に運用リスクをとるムードに傾きにくく、上値の重さが目立った。

 2)6/25、日経平均+190円高、29,066円(日経新聞)
  ・米インフラ支出拡大への期待で米国株が上昇した流れを受け、日本市場でも鉄鋼・機械株などの景気敏感株を中心に買いが優勢となり一時+300円近く上昇した。
  ・しかし、日本国内の材料は乏しく、買い一巡後は上げ幅を縮小した。
  ・東京都でコロナ感染者数が増加傾向にあることが、投資家心理の重荷になっているとの見方もあった。

●2.日本株:

 (1)株主総会後から7月上旬にかけて黄色点滅信号か?(拾い場となりそう)

 (2)7月中旬から始まる、4~6月期決算発表を材料に上昇への転換を予想
  1)日経平均は2/16を頂点に上値を切り下げている ⇒ チャート的には黄色信号
           2/16   3/18  6/15  6/25
    日経平均  30,467円 30,216 29,441 29,066

  2)出来高・売買金額が減少傾向にあり、市場エネルギーが縮小している
            2/16      3/18    6/15   6/25
    出来高   14億0,970万株 15億9,934 9億7,279 9億0,426
    売買額    3兆0,252億円  3兆3,554 2兆3,725 2兆1,422

  3)過剰マネーは、米国で増加継続中・日本は停止
     米国: FRBが毎月1,200億ドル(13.2兆円)増加は継続中で変化なし。
     日本: ETF買入 4月0.07兆円、6月0.07兆円と事実上の増加停止。

  4)日本市場における外資系のシェアは3分の2と高い。過剰マネーが増加する国は株価上昇する確率は高く、投資資金の流入は当然。一方、増加が止まった国はボラティリティが高まるので、投資資金は慎重になる傾向。

  5)株主総会後の株価変調に注意したい
  (1)経験則では、7月上旬は下落リスクが高い。
  (2)企業の自社株買は、株主総会前までの実施が多く、総会後は手控えられやすい。
  (3)ファンドは6月末が中間決算で、7月初旬はポートフォリオ入れ替えで売られやすい。

  6)企業決算4~6月の企業業績好調を予想、7月中盤以降から始まる決算発表を材料に上昇局面となりやすい。

●3.企業動向

 1)パナソニック 保有するテスラ株をすべて売却。(FNN)
          売却額約4,000億円(簿価24億円)は、米ソフトウェア会社「ブルーヨンダー」の買収原資に充てる。
 2)東芝    株主総会で取締役の続投否決、異例事態。(日テレ)
 3)中外製薬  関節リウマチ治療薬が、米FDA(食品医薬品局)から新型コロナウイルス治療薬として緊急使用が承認。(日テレ)
 4)セブン&アイ 米コンビニ「スピードウェイ」買収承認の見通し。(NHK)
 5)デンソー   工場のCO2回収し、水素と合成したメタンで燃料化実験。(朝日新聞)
 6)ルネサス   半導体生産能力は火災前に回復、出荷復帰は7月3週に。(レスポンス)
 7)塩野義    国産コロナワクチン、年明け6,000万人分の供給可能。(産経新聞)
 8)島津製作所  血液で判定できるアルツハイマー分析機器を発売。(時事通信)
 9)大日本印刷  キオクシア、キヤノンと半導体製造の消費電力を10分の1にする「NIL」量産技術の確立へ。(日刊工業新聞)
         NILはシンプルな半導体製造プロセスで、EUV露光のように大容量の電力を消費することもない。技術開発用設備では回路線幅5ナノまで対応可能。量産化には課題も多く、3社で量産技術の開発を目指している。
 10)村田製作所  全固体電池が複数の産業機械会社に採用された。(日刊工業新聞)
          一般的な酸化物全固体電池の100倍と高容量。工作機械の中で70~80度という高温環境下での特殊用途向けとなる。生産は、年内に滋賀県野洲事業所で月産10万個体制で供給を始める。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・4519 中外製薬   新型コロナ治療薬として米FDAが承認。業績好調。
 ・4716 日本オラクル 成長期待。業績堅調。
 ・2685 アダストリア コロナ後に期待。好業績。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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