相場展望4月28日 好決算でも売られる銘柄が相次ぎ、膠着感が強い展開に

2021年4月29日 12:30

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)4/26、NYダウ▲61ドル安、33,981ドル(日経新聞)
  ・商品価格の上昇を背景に消費関連株の一角が売られた。銅が9年9カ月ぶりの高値を付け、トウモロコシや大豆など穀物も大幅高となるなど商品高が原材料価格の上昇につながり、企業収益を圧迫するとの見方が出た。
  ・今週に決算発表が集中する主力ハイテク株に業績期待の買いが入り、ナスダックは過去最高値を付けた。

【前回は】相場展望4月26日 バイデン増税実現なら、今年末まで増税前の株売りに注意 日本株、業績相場で煽る「4月上昇の特異月」は空振り?

 2)4/27、NYダウ+3ドル高、33,984ドル(日経新聞)
  ・米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表を前に、持ち高調整の債券の売りで長期金利が上昇した。
  ・長期金利の上昇で、利ザヤ拡大が期待できる銀行株が買われた。一方、ハイテク株には売り圧力が強まった。
  ・今週はバイデン政権の第3弾の経済対策と増税、ハイテク企業の決算発表がある。重要イベントを見極めたいとの姿勢から、相場は方向感に欠けた。

 3)4/28、NYダウ▲164ドル安、33,820ドル(日経新聞より抜粋
  ・FOMCでは政策変更は予想されていないが、会合後のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見で、「テーパリング(量的緩和の縮小)」に関する何らかの言及があるとの警戒感がある。
  ・決算発表を受けた個別銘柄への売りが重荷となった。マイクロソフトの決算内容は市場予想を上回ったが、材料出尽くしで売りが優勢となった。バイオ製薬のアムジェンは1~3月期決算が市場予想に反して減収決算となり、▲8%下げる場面があった。ボーイングも市場予想以上に赤字幅が拡大し安い。
  ・バイデン大統領は4/28、富裕層への増税を財源にした育児や教育を支援する経済政策「米国家族計画」を公表した。10年で総額1.8兆ドル(増税1.5兆ドル)の規模となる。もっとも、内容は事前に報道されていたため、市場の反応は限られている。

●2.米金融政策は『何が何でも現状維持』だが、

 1. FOMC結果発表内容とパウエルFRB議長会見発言(フィスコ)
  1)FOMC結果
   (1)政策金利据え置きを決定
   (2)米経済判断を引上げ
   (3)(経済と雇用の)さらなる著しい進展が見られるまで、国債購入ペースを維持
   (4)ウイルスによるリスクは存続
   (5)雇用は強まった
   (6)インフレの上昇は一時的

  2)パウエルFRB議長のFOMC終了後の記者会見発言
   (1)テーパリングに関し、協議する時期ではない

  3)米株式市場の反応は限定的だった。


●3.FOMCでも夏にかけてテーパリング協議が過熱するとの見方(フィスコ

 1)ブルームバーグの調査によれば、市場エコノミストの3分の2は、FOMCが予想よりも早く、年内に金融緩和縮小の初期の警告をする、ことになるとみていることが明らかになった。
  ・FRBが資産購入ベースを鈍化させる時期の予想
    2021年07~09月  14%
    2021年10~12月  45
    2022年01~03月  16
    2022年04~06月  10
    2022年07~09月   6
    2022年10~12月   8

 2)一部のエコノミストは、早くて7月から9月にテーパリング計画が示唆される可能性を織り込み始めた。欧州中銀(ECB)と同様に夏にかけて、テーパリングを巡る協議が過熱する可能性がある。FRBやパウエル議長がこういった憶測を完全に払拭するかどうかも鍵になる。

 3)FRBが資産購入ベースを鈍化させる時期の予想
   2021年07~09月  14%
   2021年10~12月  45
   2022年01~03月  16
   2022年04~06月  10
   2022年07~09月   6
   2022年10~12月   8

●4.主力ハイテク株に決算発表先回りの買い(日経)

 1)期待値が強まって高値更新しているだけに、今週の決算発表後の株価動向が重要。

●5.米4月消費者信頼感指数は121.7と、予想113.0を上回る、3月109.0(フィスコ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)4/26、上海総合指数▲33安、3,441(亜州リサーチ)
  ・中国発の新規買い材料が乏しい中、金融引き締め懸念が蒸し返された。
  ・銀行の融資が増加し、3月の新築住宅相場も上昇し不動産価格が強まっている。経済の正常化が進展しており、緩和的な金融政策が後退すると不安視された。
  ・また、共産党政治局会議が開催されることも、気懸り材料として意識された。
  ・銀行株が下げを主導し、不動産株も下落した。

 2)4/27、上海総合指数+1高、3,442(亜州リサーチ)
  ・メーデー連休(5/1~5)で消費活動が活発化するとの期待が大きい。
  ・保険株が上げを主導し、酒造や小売りなどの消費関連株も物色された。反面、石炭株や空運株・半導体株は冴えない。

 3)4/28、上海総合指数+14高、3,457(亜州リサーチ)
  ・全国工業企業の利益大幅増と、企業決算報告で業績改善を明らかにする企業が多い。
  ・ただ、上値は重い。
  ・医薬品、発電株が高い。反面、食品飲料株の一部、銀行・証券・海運株が売られた。

●2.中国工業部門企業利益3月、前年同月比+93.2%増(ロイター)

 1)景気回復に伴う原材料、化学・金属・石油などの加工業の利益が大きく寄与した。比較対象となる前年同月はコロナで利益減少していたため大幅増益。

 2)企業の負債は対前年比+9.0%増。

●3.中国・製造業PMIと生産者物価指数(PPI)は予想を上回る伸び。

●4.格付け会社フィッチは、中国・華融資産管理を「A」⇒「BBB」に格下げ (ブルームバーグ)

 1)華融資産は、国有の不良債権受け皿会社である。

 2)今回3段階引き下げたが、中国政府が支援を控えるならば、さらなる格下げもあり得る。

 3)華融問題は、デフォルトの可能性もあるとの観測が、アジアのクレジット市場を動揺させている。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)4/26、日経平均+105円高、29,126円
  ・米国株高を受け、一時+200円超えた。
  ・主要企業の決算発表が本格化する中、発表後の株価下落への警戒から、日経平均は上げ幅を縮小した。

 2)4/27、日経平均▲134円安、28,991円(日経新聞)
  ・日米の主要企業の決算発表を前に、持ち高調整の売りが優勢となった。
  ・新型コロナの感染拡大を巡って変異ウイルスへの警戒が広がり内需関連株の一角に売りが出た。
  ・今週は米国の主要ハイテク企業の決算発表があることから、手仕舞う動きがある。

 3)4/28、日経平均+62円高、29,053円(日経新聞)
  ・好決算を発表した一部主力銘柄に買いが入り、上げ幅が+100円を超えた。
  ・後場は、バイデン大統領の施政方針演説や米FOMCの結果公表を控え、膠着感が強まった。

●2.好決算でも売られる個別銘柄が相次ぎ、決算発表への警戒感が強い

 1)好決算発表でも注目企業が売られ、相場全体の地合いを冷やしている
  ・エムスリー  11年連続の最高益となったが売られ、株安となった。
  ・安川電機   好決算発表でも、想定内として売られた。
  ・日本電産   好決算だったが、サプライズ無しで売られた。
  ・マネックス  純利益が前期比4.8倍でも、材料出尽くしで売られて下落。
  ・積水化学   今期純利益が+44%増でも、「インパクトに欠ける」と▲7.1%急落。
  ・京セラ    通期見通しの営業利益が前年比+65.6%と発表も市場予想を下回った。
  ・アンリツ   2022年業績が小幅増にとどまるとして年初来安値。自社株取得枠設定なども同時に発表したが、業績見通しが物足りなさを嫌気され売先行。
  ・オムロン   今期純利益+11%増も期待届かず売りが膨らみ、5カ月ぶり安値。

 2)商いは閑散取引で、出来高が1日当たり9億株・売買高は2兆円程度が続き、市場のエネルギーは低調。

 3)米国株式市場でも、決算発表を受け個別銘柄への売りがみられ、相場の重荷になり始めた。

 4)日経平均は、一部株が買われ維持しているように見えるが、実体は弱含み。
           3/29   4/9  4/22    4/26   4/27   4/28
  日経平均    +207円 +59円高  +679円高 +105円高 ▲134円安 +62円高
  値上がり銘柄数 1,225  1,293   1,822    942    749  628
  値下がり銘柄数  900    792    287   1,139    1,338  1,481
  新高値銘柄数  119   99     37     36     38 26
  新安値銘柄数    0 41     39     95     123 195
 
  典型的に、良く表れているのが『4/28』で、日経平均は上昇しているが、全体的には値下がり銘柄数と新安値銘柄数の方が多い点だ。

●3.野村証券の米アルケゴス関連損失は合計3,073億円(ロイター)

 1)損失は2期に分けて計上する、2021年3月期▲2,457億円・2022年3月期▲616億円。野村は当初、約20億ドル(約▲2,200億円)と公表していた。

 2)当局の規制が緩いファミリーオフィスであるアルケゴスは、不透明で複雑なデリバティブ取引と、高いレバレッジを活用していたと言われている。

 3)アルケゴスを巡って、クレディ・スイスが▲44億フラン(約▲5,190億円)、モルガン・スタンレーが▲9.11億ドル(約▲1,100億円)の損失を出した。一方、ゴールドマン・サックスやウェルズ・ファーゴは業績への影響を軽微に抑えた。

●4.アルケゴス関連損失の各社

 1)三菱UFJ証券    約▲300億円。
 2)みずほ証券      約▲100億円。

●5.企業動向

 1)ANA     CO2排出量「2050年実質ゼロ」に新目標(朝日新聞)
 2)トヨタ    米配車大手リフトの自動運転部門を590億円で買収(共同通信)
         米インディアナ工場に875億円投資、電動SUV生産(ブルームバーグ)
 3)日立製作所  日立金属を日米投資ファンドに約3,800億円で売却(NHK)
 4)日本郵政   IT関連事業に5年間で約4,300億円を投資へ(NHK)
 5)スズキ    インドの3工場は、新型コロナ感染で生産停止(NHK)
 6)三井住友FG ベトナムのノンバンク大手FEクレジットに1,500億円出資(日経新聞)

●6.企業業績

 1)キャノン   1~3月決算は在宅需要で前年同期比、利益2倍超の444億円(NHK)
 2)日本航空   21/3月期最終赤字▲3,000⇒▲2,870億円に改善(NHK)
 3)ヤマト    21/3月期最終利益+567億円と前年の2.5倍、ネット通販増(NHK)
 4)日通     21/3月期最終利益+561億円と前年の3.2倍、ネット通販で(NHK)
 5)JR東日本   21/3月期最終赤字▲5,779億円、民営化後初の赤字(NHK)
 6)オリエンタルランド 21/3月期最終赤字▲541億円、1996年上場以来初の赤字(NHK)
 7)日立製作所  21/3月期最終利益+5,000億円、IT事業好調・子会社売却で(NHK)
          22/3月期最終利益+5,500億円と過去最高更新の見通し
 8)ソニー    21/3月期最終利益+1兆1,717億円と前年比2倍(NHK)
 9)富士通    21/3月期最終利益+2,027億円と前年比+26.7%増(NHK)
 10)TDK     21/3月期最終利益+793億円と前年比+37.3%増(NHK)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・8766 東京海上   損保で首位級。長期金利上昇は追風。
 ・7915 NISSHA   電子関係の特殊印刷。業績堅調。
 ・7518 ネットワン  ITインフラ構築。業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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