相場展望4月16日号 米国株: トランプ氏、イランとの勝ち目ない戦いをいつまで続けるのか? 日本株: 日経平均は、NYダウと比べて高値圏にあるため、慎重さも必要

2026年4月16日 16:37

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)4/13、NYダウ+301ドル高、48,218ドル
 2)4/14、NYダウ+317ドル高、48,535ドル
 3)4/15、NYダウ▲72ドル安、48,463ドル

【前回は】相場展望4月13日号 米国株: トランプ氏はイラン攻撃で「強い米国大統領」を浸透できるか? 日本株: イラン攻撃以降、日経平均は大幅上昇・NYダウは下落と大きな相違に注目

●2.米国株:トランプ氏、イランとの勝ち目ない戦いをいつまで続けるのか?

 1)トランプ氏、イランとの勝ち目ない戦いをいつまで続けるのか?
  ・トランプ米国大統領の最近の言動やSNS投稿をみると、戦闘終結をしたがっているようだ。
    ・弾薬の在庫も大幅に減らし、米国軍の戦闘継続に支障がある(報道)。
    ・イランによる湾岸諸国の石油施設への攻撃。
    ・米軍基地への攻撃で米軍機の被害大。
    ・ホルムズ海峡封鎖による米国内ガソリン価格高騰での厭戦気分の高まり。
    ・米国内ガソリン価格の急伸が、米国のインフレ加速に波及し、中間選挙ではトランプ共和党に逆風。
    ・トランプ氏は、イラン戦闘が短期間で終結すると思い込んでいた。トランプ氏の思考は短期型で衝動的。そのため、イラン戦闘が7週間を超え、飽きてきている。

  ・イランとの戦闘手打ちは、むしろ、トランプ氏の方が望んでいると思われる。

 2)米国株は、イランとの戦闘終結協議の観測を材料として上昇
  ・4/13 NYダウ+301ドル高 米国・イラン協議決裂も緊張緩和に望みつなぐ。
  ・4/14 NYダウ+317ドル高 米国・イラン戦闘に向けた協議継続観測で買い。
  ・4/15 NYダウ▲72ドル安  米国・イラン協議前進に期待。
                 ただし、S&Pとナスダックは最高値を更新。

 3)米国は「四重の危険」に陥るが、トランプ氏は抜け出せるか?
  (1)イラン戦闘で深みにはまる。
    ・イランは攻撃で恐れおののき短期終結を望んでくると読んでいた。
    ・トランプ氏にとってイラン戦闘長期化は予想だにしなかった。
  (2)原油高で米国内ガソリン価格が高値維持し、インフレが加速。
  (3)原油高で企業コストは高くなり、物価高で消費は減速、米国経済は後退懸念。
  (4)トランプ支持の上昇を狙ったが、むしろ不信を招き中間選挙で不利に傾く。問題は、トランプ氏は上記(1)(2)(3)をイラン戦闘前に予想していなかったこと。トランプ氏の手法は「圧力をかける」一辺倒で、外交力などを駆使した総合戦略は期待できない。よって、トランプ氏ではスムーズな問題解決することは厳しいと思われる。

●3.4/16に米国・イラン停戦協議再開の可能性=関係筋(フィスコ)

●4.米国・イランは協議を継続、合意への取り組みで前進中=米国当局者4/13(ロイター)

●5.米国軍、イランへの海上封鎖を開始、トランプ大統領「イランが石油販売できないようにする」

 1)米国中央軍は日本時間4/13午後11時からイランの港に出入りする全ての船舶に対し、海上封鎖を始めた。(FNN)
  一方、「イラン以外の港を往来する船舶がホルムズ海峡を通過する航行の自由は妨げない」としている。

 2)イラン軍の報道官は4/13、米国が国際水域で船舶を制限することは違法で「海賊行為に等しい」と批判した。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)4/13、上海総合+2高、3,988
 2)4/14、上海総合+38高、4,026
 3)4/15、上海総合+0.58高、4,027

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)4/13、日経平均▲421円安、56,502円 
 2)4/14、日経平均+1,374円高、57,877円
 3)4/15、日経平均+256円高、58,134円 

●2.日本株:日経平均は、NYダウと比べて高値圏にあるため、慎重さも必要

 1)原油・天然ガス価格の上昇は、日本経済・家計にとって打撃
  ・原油・天然ガス価格の上昇⇒コスト高で値上げ⇒インフレを加速⇒経済成長を抑制する。
   ・原油高を背景に企業業績の下振れと国民生活にとってリスク
    ・住宅建設、自動車、タイヤなどで生産に支障。
    ・サランラップ値上げ不可避(旭化成)。
    ・ペットボルトも供給不安と値上げ。
    ・食品トレーも同様。
    ・医療器具、医療手袋、人工透析治療資材の供給危機。

 2)中国経済の日本経済への跳ね返り
  ・中国の石油消費量は、米国に次ぐ2位の1,700万バレル。そのうち、輸入は1,250万バレルで世界最大の輸入国となっている。ホルムズ海峡を通過するのは550万バレルで、輸入の44%を占める。
  ・つまり、ホルムズ海峡封鎖に伴い、中国経済も影響を受けている。原油輸入は73.5%を占め、原油高が直撃する。中国経済にとって、原油高はマイナスとなる。
  ・中国経済の変調は、当然、日本経済にとっても打撃となる。

 3)日経平均寄与度上位5銘柄
  (1)4/13、日経平均▲421円安、寄与上位5銘柄▲282円安、占有率66.98%
    銘柄       寄与度    前日比伸び率
    東京エレクトロン ▲159円安   ▲3.58%安
    ファーストリテイ ▲ 39     ▲0.64
    イビデン     ▲ 34     ▲0.34
    アドバンテスト  ▲ 27     ▲0.44
    豊田通商     ▲ 23     ▲3.38
     合計      ▲282

  (2)4/14 、日経平均下落+1,374円高、上昇寄与額は+1,158円高、占有率84.27%
    銘柄       寄与度    前日比伸び率
    アドバンテスト  +512円高  + 8.52%高
    ソフトバンクG   +385 +12.70
    東京エレクトロン +125    + 2.92
    キオクシア    + 88    +11.93
    フジクラ     + 48    + 4.16
     合計      +1,158円高
   ・日経平均は前日比+1,374円高・上昇率+2.43%高と急伸したが、上昇寄与5銘柄で+1,158円高と、日経平均の押し上げの84.27%を占めた。
   ・東証プライムの値上がり銘柄数は900に対し、値下がりは638もあり、全面高とは評価できない。
   ・わずか数銘柄の上昇で、日経平均が大幅上昇となっている。このため、日経平均は「強い」とは言えない。それは、他の株価指数をみても明らかである。
      4/13  日経平均   +2.43%高
           TOPIX    +  0.87    
           JPX日経400  +   0.97
           東証プライム +   0.87

   ・米国・イラン和平協議継続に期待感で、日経平均は上昇。
   ・イラン情勢の改善期待を軸に、米国株高と、海外短期筋を中心とした投機的な買いが、相場の大幅高を主導したようだ。

 4)日経平均は、NYダウと比べて高値圏にあるため、慎重さも必要
  ・最近の日経平均は大幅高と続けている。しかし、その大幅高を主導しているのは「海外短期筋」の株価先物買いと値がさハイテク株の現物株買いを組み合わせた取り組みとなっている。
  ・ただ、NYダウの上昇率に比べ、日経平均の上昇が大きく勝っている。こうなった要因は、海外短期筋の強烈な買い主導の賜物である。
  ・過去の動きをみると、日経平均とNYダウの差異が大きくなると、日経平均が一方的に売られる展開がある。そこに、海外短期筋の売りがあった。
  ・東証プライムの値下がり銘柄数が日経平均の大幅高にもかかわらず多いという点が気にかかる。原油高で
   (1)家計を値上げが直撃。エンゲル係数は急伸し、家計は火の車で消費支出は抑制せざるを得ない。
   (2)農業・漁業はじめ企業コストを直撃。肥料は高値となり、農機・漁船は燃料価格上昇で支障が出始めた。企業はコスト高や原料獲得に支障が出て製造に悪影響が及び始めた。
   (3)石油由来の製品が製造できなくなり、企業業績に打撃を与え始めている。
   (4)日本の医療・住宅・自動車など幅広い経済活動に支障が生じてきた。このため、国民の生活に支障が生じ始めている。つまり、日本経済と国民生活に悪影響を及ぼし始めている。このため、海外短期筋主導の株式相場に対し、慎重さも必要と思われる。

●3.ダイキン、米国の物言う株主・エリオットが大株主に浮上、改善求めた「3つの要求」(日経新聞)

●4.サントリー、第一三共ヘルスケアを2,465億円で買収(読売新聞)

 1)人口減や若者層の酒離れで国内酒類市場は伸び悩み、成長見込める医薬品事業に進出し、健康関連事業の強化につなげる狙いがある。

●5.東宝、2月期決算で純利益+517億円・前年比+19.4%増で過去最高(朝日新聞)

 1)鬼滅の刃、国宝、コナンなど100億円超えの作品が続々。

●6.豊田章夫氏がデンソー取締役退任へ、トヨタグループの変革などで尽力のため(ブルームバーグ)

●7.積水化学、雨トイなど建材製品15~30%値上げへ、中東情勢受け    (ロイター)

 1)石油・ナフサに由来する塩化ビニール、ポリエチレン原料の調達環境が急速に悪化し、原料価格やエネルギーコストも急騰しているため。
 2)値上げ時期は5/20出荷分から。排水管をつなぐカラー継手は15%以上、雨トイ製品や、バルコニーやベランダに使われる塩ビデッキ材などを20%以上、排水用カラーパイプ本体は30%以上価格を引上げる。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6501 日立製作所    業績順調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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