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相場展望4月6日号 米国株: 「出口を用意しない」でイラン攻撃、トランプ手法は「脅し」のみ 日本株: オイルショックに巻き込まれた日本経済
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)4/2、NYダウ▲61ドル安、46,504ドル
2)4/3、祝日「Good Friday(聖金曜日)」で休場
【前回は】相場展望4月2日号 米国株: 原油高が米国インフレ加速・米国経済の後退へ 日本株: イラン撤収でも日本は苦境、海外勢の日本株買い->売り注意
●2.米国株:「出口を用意しない」でイラン攻撃開始、トランプ手法は「脅し」のみ
1)トランプ大統領4/1午後9時、米国民向け演説
(1)演説の内容は「独りよがりの成果誇示」に過ぎない
・さらに2~3週間で、イランを徹底的に破壊する。イランへの軍事作戦の終結が近い。
・イランは壊滅状態で、もはや石器時代に戻った。
・イラン海軍は壊滅した。
・イランのミサイルは壊滅した。
・米国はホルムズ海峡からの石油を必要としない。
(2)イランの反応(タスニム通信)
・イラン海軍は壊滅したというが、ホルムズ海峡の封鎖が続いている。火星人が海峡を支配しているのか?
・イランのミサイルは壊滅したというが、昨夜のミサイルは誰が発射した?水星人か?
・イラン軍「この戦いは最終的な降伏まで続く」。
(3)トランプ演説に「失望」
・イランとの戦闘における「中核的な戦術目標」がほぼ達成されつつあるという内容に過ぎず。
・米国軍が手を引いても、ホルムズ海峡の封鎖は続くことが明らかになった。
・戦争の終結時期について明確な道筋を示せず。
・イランとの交渉経緯もなく、トランプ氏の一方的な言い分にしか過ぎない。イランとの交渉が進展していないことが判明した。
・トランプ氏の「独り言」だった。
(4)トランプ演説後の反応
・米国メディアの反応、「演説は期待外れ」「肩透かし」。
・米国民からは「演説をやらなかった方が良かった」との声も。むしろ、不安を募らせた。
・米国WTI原油先物98ドル⇒113ドルに急騰。
・日経平均は4/2、▲1,276円安と大幅下落。
(5)トランプ氏の大口発言と矛盾
・NATO離脱
米国連邦議会の承認が必要だが、議会は与野党ともに認めない方向。
・湾岸諸国への戦費要求
実際には戦費要求はしていない。
湾岸諸国はイラン戦争を要請せず、むしろイランからの反撃で被害。
・ホルムズ海峡開放は関与しない、米国とは関係ない
ホルムズ海峡の封鎖の発端は、トランプ氏のイラン攻撃で生じたこと。
海峡封鎖で、米国WTI価格急伸、米国ガソリン価格は高騰。
原油価格の急伸は、米国経済後退と米国インフレ上昇と米国を襲う。
そして、11月中間選挙で与党・トランプ共和党は敗色濃厚。
海峡開放の恩恵は、米国ガソリン価格の低下に即効する。
トランプ政権のレイムダック加速を和らげる可能性もある。
・トランプ大統領は日本時間4/3夜、「もう少し時間があれば、ホルムズ海峡を簡単に開放して石油を奪うことができる」とSNSに投稿した。イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖は続く中でのSNS投稿。
・イランの空域・海域は米国軍の完全支配下にあり、ミサイルは破壊したので、イランは反撃できない
米空軍機2機の撃墜、ミサイル・ドローンによる攻撃が続いている。
イランの防空能力が残存していることが明らかになった。
米国軍の空中管制機・空中給油機がミサイル攻撃で破壊されている。
・サウジアラビア米国大使館を無人機2機攻撃、発表は「軽微」
実際は大規模火災が起き、一部は修復不能な状態だという。
・米国大統領4/4、交渉合意・ホルムズ海峡開放まで残り48時間、地獄の警告
パキスタンによる停戦交渉の行き詰まり打開の圧力か。
(6)トランプ氏の交渉手順「ディール」=「強烈な脅し」⇒相手が怯む⇒交渉妥結
・相手が怯む(ひるむ)まで、「脅し」の連続。トランプ氏の望む水準までイランが屈しなければ、期限を延長につぐ延長。例えば、48時間後⇒5日後⇒10日後⇒2~3週間後と期限を延長している。トランプ氏は「脅し一本槍」で、単純すぎる。
・これに対し、イランは海峡封鎖というキーを握ったまま「怯まない」。これでは「妥結」は遠のくばかりだ。イラン人は、(1)ペルシャ人としての誇り(2)宗教心の高さ(3)宗教体制の国家としての強さを持っている。
・トランプ氏は、相手にされないと、性格的に他の案件に気持ちが移るタイプである。つまり、トランプ氏は「移ろいやすい」タイプの人物でもある。トランプ氏にとって「別の逃げ口」が見つかれば、イランからの一方的撤退宣言もありえる。
(7)トラプ氏の4/1の演説は「不発」、後、何もしないことは「政治的リスク」。
・難しいことは解決できないため、イラン攻撃の不始末は片づけずに一方的に撤収する可能性がある。
・閣僚人事などで米国民の焦点を変えてくるとみる。
・ただ、イラン問題の整理が済むまでは原油高⇒米国ガソリン高値⇒米国のインフレ上昇という図式は変わりようがない。
・つまり、トランプ氏はイランとの停戦合意・ホルムズ海峡の開放をしなければ、米国原油高・ガソリン高の問題を解消できない。トランプ氏は、自分が引き起こしたイラン攻撃の後始末から逃れられないのだ。
・イランが攻撃して損傷を受けた湾岸諸国の原油・ガス設備の生産回復には数年はかかるという。事態の正常化は長期化する。イラン、湾岸諸国と米国との損害賠償問題の交渉も長引きそうだ。
(8)解決には「トランプ氏の米国大統領【辞任】」も一考
・原油高で被害を受けた国・地域から、米国は損害賠償を要求される可能性がある。
・損害賠償は、最終的に米国民が支払うことになる。米国経済はスタグフレーション(経済後退とインフレ)に陥ることは必至。世界経済もマイナス成長となろう。
・消費支出は厳しく・企業業績もふるわなくなる。インフレと高金利は、株式の割高感を意識させる。株式市場は厳しい展開となる可能性がありえる。
・トランプ氏は、同盟国であるEUなど各国の不信も招いた。米国の信認は大きく低下。11月の米国の中間選挙で与党・共和党は敗北への流れに傾いている。
・こういった状況を作り出したのは「トランプ米国大統領」である。トランプ氏が常識人であれば「大統領辞任」するだろう。ただ、トランプ氏は「他人責任」論者であろうから、どういう結末が待ち受けているか?
(9)株式市場は暗く長い途か
・いずれにしても、株式市場が発する評価は「トランプNO」だろう。株式市場にとって暗く長い途の訪れを予感させる。
2)3月雇用統計が堅調であったため、年内の利下げ観測が消失した
・3月米国雇用統計で就業者数は+17.8万人増加、失業率は4.3%に低下した。
・10月限の原油価格をみると、市場は原油高危機が秋までには収束すると示唆。つまり、現在の原油高は夏まで高値圏にあると示唆している。このことから、米国ガソリン価格も高値水準を維持することになる。
・となれば、米国は(1)雇用は堅調(2)インフレ加速のため、米国金利は上昇せざるを得なくなる。
3)米国金利と原油上昇は、米国株式相場にとってブレーキ役
・企業業績にとって、(1)原油高はコスト高(2)金利高は企業収益の悪化につながる。
・消費支出にとっても、価格転嫁による値上げは消費抑制でマイナス効果。
・家計には、ガソリン価格の高騰が直撃する。
・このような状況下では、株式の割高感が増すため、米国株式市場にとって逆風となろう。株式市場をとりまく環境が厳しくなるため、慎重な運用が必要になる。
●3.トランプ政権、2027年国防費、史上最大規模の240兆円を要求、前年度比+4割増(テレ朝)
1)国防以外の分野では、再生可能エネルギー関連補助や教育などが▲10%削減、額にして約▲730億ドル(約▲11.6兆円)減。
●4.トランプ大統領「相互関税」で、誤算続きの1年、貿易赤字は▲197兆円に拡大(読売新聞)
1)トランプ氏は、「米国の貿易赤字解消を目的として相互関税を導入」したはず。しかし、2025年のモノの貿易赤字額は過去最大の約1兆2,500億ドル(約197兆円)に拡大してしまった。
2)今年に連邦最高裁は相互関税は違法との判決を下し、徴収した関税の還付などトランプ氏にとって誤算続きの1年となった。徴収した相互関税1,660億ドル(約26兆円)の還付の準備が進んでいる。
3)関税収入を財源に、物価高対策の実施も難しくなり、政権の重荷となっている。
●5.米国3月雇用統計、前月比+17.8万人、予想+6万人増を上回った(フィスコ)
1)失業率は4.3%で、前月4.4%から改善した。
2)米国では、イラン情勢の影響で物価上昇圧力が高まる一方、労働市場の底堅さを保っているとみられ、市場では連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを急がないという見方が広がっている。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)4/2、上海総合▲29安、3,919
2)4/3、上海総合▲39安、3,880
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)4/2、日経平均▲1,276円安、52,463円
2)4/3、日経平均+660円高、53,123円
●2.日本株:オイルショックに巻き込まれた日本経済
1)オイルショックに巻き込まれた日本経済
・米国のイラン攻撃に端を発した原油高が、企業・国民に襲い掛かってきた。企業は、プラスチック原料の確保に走り回り、原料メーカーからの値上げ要求の対応に苦慮してしる。田植えの時期を控えた農家は、肥料高に加え、農機具の燃料費高騰に悩んでいる。漁業は船の燃費高が、漁獲の制限をさせ、漁獲高の確保に苦しんでいる。国民の健康を守る医療も揺らいでいる。
・ちゃっかりと便乗値上げもあるだろう。
・問題解決には、ホルムズ海峡の安全開放とペルシャ湾岸の原油・ガス施設の修繕と操業開始が必須である。
・原因は、米国・イスラエルによるイラン攻撃にある。米国自身も原油高・ガソリン価格高騰が襲い、米国民生活にも影響している。「イラン攻撃」は何のために実行されたのか?誰が得をするのか? それが、国なのか個人なのか?実に奇妙な「イラン攻撃」である。
2)日本市場をとりまく金融市場はダメージはない今のところないが、注意したい
・資産運用における打撃は今のところ受けていない。
・ただ、ダメージ情報は世界を一気に駆け巡るため、注意したい。特に、日本株式市場の3分の2は、米国・欧州の外資系が握っているだけに、欧米の動きは注意深くウオッチしたい。
・海外投資家の動向をみると、4週間前から日本市場から撤収の動きが始まっている。それも、静かに。海外筋は、(1)株価先物で買い上がって、(2)現物株をこっそり売り払っている。どこかの時点で、海外勢は牙を抜くかもしれない、という危惧をしている。
・なお、最近の日経平均の上昇は「海外短期筋による先物主導の買い」が絡んでいる。
・オイルショックに巻き込まれた日本経済で、企業収益・家計に与える影響を見極める必要が生じている。この影響が、日本株市場に与える度合いに注視したい。
3)日経平均寄与上位5銘柄の寄与度
(1)4/2、日経平均下落▲1,276円安、下落寄与額は▲705円安、占有率55.25%
・寄与銘柄 寄与下げ幅 株価下げ幅
アドバンテスト ▲332円安 ▲1,375円安
ソフトバンクG ▲129 ▲160
東京エレクトロン ▲127 ▲1,260
TDK ▲64 ▲127
ファーストリテイ ▲53 ▲660
合計 ▲705
・東証33業種では、30業種が下がり、海運、陸運、倉庫・運輸が上がった。値下がり上位の業種は、石油・石炭、鉱業、非鉄金属が目立った。
(2)4/3、日経平均下落+660円高、上昇寄与額は+346円高、占有率52.42%
・寄与銘柄 寄与上げ幅 株価上げ幅
アドバンテスト +104円高 +430円高
ファーストリテイ +104 +1,290
フジクラ +65 +323
東京エレクトロン +40 +400
TDK +33 +66
合計 +346
・本日も、海外短期筋による株価先物の買いにみられるように、海外勢の投機的な買いが目立った。
●3.米国マイクロソフト、日本に1兆6,000億円投資、2029年までにAI競争力強化(ブルームバーグ)
●4.米国バークシャー、円建て社債の発行準備、日本での投資戦略巡り思惑も(ブルームバーグ)
1)スワップ市場は日銀が7月までの利上げを確実視している。
2)バークシャーは日本での事業拡大に一段と積極的なっており、3月には東京海上への投資を発表した。調達資金が三菱商事や伊藤忠商事といった大手総合商社を含む日本企業の保有拡大に充てられるとの思惑から、円債発行に対する投資家の注目度は高い。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・5929 三和 業績堅調
・6367 ダイキン 業績堅調
・9616 共立メンテナンス 業績好調
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