相場展望2月8日号 SNS個人投資家の騒乱を契機に、市場は敏感に なっており、数週間は注意したい

2021年2月8日 07:59

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)2/4、NYダウ+332ドル高、31,055ドル
  ・週次の新規失業保険申請件数が77.9万件と、前週より減少し、雇用環境の改善が期待された。
  ・イエレン財務長官が株式市場の乱高下問題について、金融規制当局と協議すると報じられ、市場の混乱が沈静化に向かうとの期待も支援材料になった。(日本証券新聞)
  ・株式市場に先週、混乱を巻き起こした個人投資家による投機的な売買が弱まり、買い安心感につながった。

【前回は】相場展望2月4日号 米SNSによる個人投資家が起因した騒動は収束へ ハイテク好決算で楽観論に戻った米株式市場 米株次第の日本株

 2)2/5、NYダウ+92ドル高、31,148ドル
  ・バイデン政権が実現を目指している追加経済対策への期待感が相場を支えた。
  ・SP500は3,886、ナスダック総合も13,856と最高値を2日連続で日更新した。
  ・1月雇用統計で予想をやや下回ったことから、経済対策の早期実現気運が米議会で高まるとの観測も支えとなった。(共同通信)

●2.米株式市場は、SNS個人投資家の騒乱を契機に、敏感になっており数週間は警戒したい

 1)ゲームストップなどSNS個人投資家が巻き起こした銘柄の値動きが落ち着きつつあるが、2月に入って、同様の芽はバイオ、薬品などの小型株に広がりを見せ始めている。つまり、市場全体を圧迫しかねないストレスを巡って警戒が広がりかねない。

 2)SP500とナスダック総合は2/5、前日に続き史上最高値を更新した。上げの要因は、(1)好調な企業決算 (2)追加経済刺激策への期待 (3)ワクチン接種の進展 が好材料となっている。

 3)SP500は昨年3月から+74%上昇し、株価収益率(PER)もさらに高水準に位置している。恐怖指数(VIX)も依然として20ポイント台にとどまっていることは、投資家が通常より市場の混乱に敏感になり、不安心理が強まっていることを映していると思われる。市場が高値圏にあるだけに、ゲームストップ株などの乱高下が、市場参加者の意識にリスク懸念を高めたと思われる。

 4)つまり、マイナス材料が出れば、大量の売りが通常よりも出やすくなる地合いにあると言えそうだ。数週間は警戒したい。

●3.米株式市場に影響を与える要因

 1)相場押し上げ
  (1)米国経済対策1兆9,000億ドル(約200兆円)成立。
  (2)緩やかな金利上昇であれば、景気回復を示唆するものとして好感。
  (3)企業の好決算発表。

 2)相場への懸念
  (1)米消費者物価指数の市場予想以上の上昇による金利上昇。
   ・急な金利上昇をすればハイテク株が割高感で下落しやすくなる。
  (2)議会によるレディット(SNS)取引規制強化の報道あれば、株価には重石。
   ・議会下院の金融サービス委員会は2/18に公聴会を開催。(時事通信)
   ・証券取引委員会(SEC)は詳細な株式売買記録やSNSでの投稿状況などの調査に着手した。(時事通信)
  (3)第2のゲームストップ株による市場の騒乱。

●4.バイデン大統領の「1兆9,000億ドルの米国救済策」が議会可決の見通し高まる

 1)最大ポイントは、個人に支援金を直接給付すること。
  ・年収7.5万ドル未満の単身者と、既婚者で合計年収が15万ドル未満のすべての個人に1,400ドルの直接支援を行い、扶養家族にも1人一律500ドルを支援するという内容である。

 2)米上院で2/5に採決された「予算決議」により、上院では(1)予算審議の遅延行為が禁止され、(2)多数決で予算案が可決できることになった。

 3)バイデン政権は、失業給付の特例措置が期限切れとなる3月中旬までに成立を目指す。ただ、国民の団結と与野党の融和を唱えるバンデン氏が民主党単独で法案を成立させる「強行突破」を図れば、後々の政権運営や議会審議に禍根を残しかねない。(産経新聞より抜粋

●5.米2020年貿易赤字は▲96兆円で過去最大、コロナで輸出が落ち込む(共同通信より抜粋

 1)米商務省2/5発表、2020年貿易赤字は前年比5.9%増の▲9,049億ドルとなった。新型コロナの感染拡大で世界経済が失速し、その影響で輸出が落ち込んだ。

 2)対中国の赤字は▲10.0%減の▲3,108億ドルで、米赤字の34.3%を占めた。

 3)バイデン政権は米雇用への影響を警戒し、米製造業の強化に向けた取り組みを加速させる方針だ。

 4)中国以外の国に対する赤字が急増している。2020年の赤字額は2017年比でベトナムと台湾が+8割増、メキシコ+6割増。中国に拠点を持つ企業が関税回避で、(1)中国から生産移管した (2)中国製の電子部品を
第3国で完成品にして米国に輸出する「迂回取引」も増えている。(時事通信より抜粋

●6.ゲームストップ株は週間で▲80%安、時価総額▲1.9兆円吹き飛ぶ(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)2/4、上海総合指数▲15、3,501
  ・中央銀行による金融引き締め懸念と、短期金利の上昇もネガティブ材料となった。
  ・春節(旧正月)の大型連休を来週に控え、流動性の逼迫懸念高まる。(亜州リサーチ)

 2)2/5、上海総合指数▲5、3,496
  ・短期金利低下で小高く始まったが、大型連休前の買い手控えで、小幅低下した。(亜州リサーチ)

●2.民間企業の勢い削ぐ中国共産党の『党の指導』(Wedgeより抜粋

 1)中国政府は、民間企業に対し権力を振りかざし始めたようだ。
  (1)反トラスト姿勢の強化:アリババ傘下の金融会社アントなどへの統制強化。
  (2)外国法の域外適用への反発:外国の制裁や補償に応じた国内外の企業を提訴できる。
  これらは、中国共産党統治の抱える本質的矛盾を露呈している。

 2)2000年代の中国経済の大躍進の主役は、民営経済であり国有経済ではない。
  (1)中国の民営企業に、「56789」という言い方がある。
   ・税収の5割以上が民営企業
   ・GDPの6割以上が民営企業
   ・科学技術の創新の7割以上が民営企業
   ・都市就業者の8割以上が民営企業
   ・企業数の9割以上が民営企業

  (2)官僚機構の権化である党が、実体経済に関与すればするほど、経済効率は損なわれる。
   ・「党の指導」は、この民営企業を弱体化させ、市場の機能を削ぎ、経済の効率は損なわれることになる。

●3.企業業績

 1)レノボ  10~12月期決算純利益は前年同期比+53.1%増の420億円(新華社)
 2)航空6社  2020年の業績は予想赤字合計1兆4,400億~1兆6,700億円(新華社)
 3)アリババ  10~12月期決算純利益は+56%増の1兆2,500億円(新華社)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)2/4、日経平均▲304円安、28,341円
  ・2月に入り3日間で+1,000円近く上昇した反動もあり、ハイテク株を中心に利益確定売りが先行した。(株探)

 2)2/5、日経平均+437円高、28,779円
  ・米追加経済対策の早期成立への期待感で上昇した米株高を背景に、先物が牽引し、企業決算発表で業績に通しの上方修正した銘柄に買いが集まり、大幅高となった。
  ・日経平均の寄与上位5銘柄で+201円高、上昇幅の46%を占めた。

●2.日経平均の先週は、外資系が先物で大量の買い越しに転換で+1,115円高

 1)2/5は米国株高を受けて、外資系による先物の大量買いが牽引(2/5、+8,741枚買い越し)し、大幅高。

 2)個別株では好決算の発表を好感し、買いが入った。

 3)先週の日経平均は+1,115円高となったが、外資系による先物の買い戻しが牽引した。
  ・先週は、先物で外資系は+16,808枚買い越したが、内訳はJPモルガン+7,225枚買、Gサックス+6,004枚買、Cスイス+5,106枚買である。売り方はバークレイズ▲2,063枚売。

 4)日本株は、相変わらず米国株の動向を見た外資系の動き方次第となる傾向が強い。そのため、米国株の推移を注意深く見たい。

●3.企業動向

 1)LIXIL  希望退職応募者965人。(共同通信)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

  ・6055 ジャパンマテリアル 半導体向け特殊ガス供給装置が好調。
  ・6754 アンリツ      5G受注に期待。
  ・5201 AGC        業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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