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トヨタ国内生産台数300万台確保は難しい (2) 操業再開を目指した体制構築を
■操業再開を目指した体制構築を
このような防疫に関する「基本的知見」を踏まえて工場操業再開を考えると、第一に、作業者の中にいるであろう「陽性者」を発見し隔離しなければならない。これにはPCR検査によって陽性者を発見するが必要だが、全ての人に検査を実施することは、現実的ではない。そのため、現在経済活動を犠牲にして、「全員隔離」を行わねばならない状況となっている。
【前回は】トヨタ国内生産台数300万台確保は難しい (1) 防疫の基本的知見
例えばだが、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバルなどの大手メーカーでは、「独自にPCR検査体制」を作り出すことも方策の一つだ。楽天でPCR検査キットを販売したところ、多くの非難を受けて中止に追い込まれている。だがグループに医療機関もある大手自動車メーカーであれば、独自にPCR検査体制を整備して、独自に機械を購入し、医師、看護師、臨床検査技師など人材を確保して検査に当たらせることも、不可能ではないはずだ。それは、工場操業が可能になるからだ。
毎日のようにPCR検査が出来れば、7割の検査精度でも陽性者を検出するには十分で、感染対策を出来るだけ取った工場で、陰性者の集団で作業を再開していける。陽性者は適切な場所で看護体制を取って自主隔離する。毎日のように検査が出来れば、陽性者を早く判別出来、感染力を持つ前に隔離し、重症化を防ぐにも早期治療が出来るのだ。
あくまで一つの方法論ではあるが、経済を再開させるには、あらゆる手段を検討した上で、先手先手が必要なのではないか。
■早期操業再開に向けた施策を
日本企業の立ち直りが遅れると、産業全体にとって死活問題となるやもしれない。操業再開を先行している中国、韓国企業などに市場を奪われる危険が生じている。ドイツ、フランスなども中国市場などで活動を開始するはずで、日本企業だけが取り残される危険がある。アメリカ社会が、感染拡大の終息が見えない時期であっても、早期に経済活動を再開するのは、今後の世界市場での動きをわきまえているからであろう。
世界経済の動きにおいては甘えた考えは許されず、今後、もし日本経済の凋落があれば、「日本人の生活レベル」が世界の中で後進国レベルとなってしまう懸念が生じている。役所のシステムにおいては、すでにIT化では先進的な国に比べて大きく遅れており、国民にとって不可欠な「感染データの公表」すらリアルタイムで出来ないのだ。
トヨタなど大手企業の組織は、当たり前だが日本の行政組織と比較すれば遥かに先進的で、必要なデータ集計システムもすぐに作ることが出来るだけの基礎は整っている。行政組織に頼らず独自に感染症対策を作り上げ、早期に操業再開にめどを立てるべき時であろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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