相場展望 8月6日号 米国株:米国・イラン合意期待の高まりで株価高騰したが、はたして本当か? 日本株:半導体シリコンサイクルは3~4年周期で好・不況を繰り返すため注意

2026年8月6日 17:34

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■Ⅰ.米国株式市場
●1.NYダウの推移
●1)8/3、NYダウ+693ドル高、53,178ドル                 (日経新聞)
・8/3の米国株式市場でNYダウは前週末比+1.32%高と3日続伸した。7/6以来、約1ヵ月ぶりに最高値を付けた。トランプ米国大統領がイランへの攻撃を停止すると明らかにした。米国原油先物が下落し、投資家心理が改善した。収益成長が好感された超大型テック株に資金が流入し相場上昇につながった。

・トランプ米国大統領は8/1、イランに対する攻撃を停止すると自身のSNSに投稿した。前週末には米国がイランのエネルギー施設への大規模攻撃を検討しているとの報道があったが見送った。トランプ氏は8/2に、イランと8/3に交渉すると語った。イラン情勢が悪化するとの警戒感が後退した。

・8/3の米国原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近9月物は1バレル=78ドル台と、前週末比▲7%あまり下落する場面があった。原油安を受けてインフレ懸念が後退し、同日の米国長期金利は低下した。原油安や金利の低下を背景に、投資家の運用リスクを取る姿勢が戻った。

・NYダウの構成銘柄では、マイクロソフトやアルファベット、アマゾンなど超大型テックの上昇が目立った。市場では「2026年4~6月期決算でクラウド事業などが市場の期待を上回る成長となり、投資収益率(ROI)への過度な懸念が和らいだ」との声があった。人工知能(AI)関連投資の拡大が懸念されたが、順調に収益を生み出しているとの見方から見直し買いが優勢になった。

・その他の構成銘柄では、米国当局から開発中の新型機「737MAX7」の認証を得たと伝わったボーイングが大幅に上昇した。エヌビディアやアメリカン・エキスプレス、ナイキが上げた。ホーム・デポやキャタピラー、ウォルト・ディズニーも買われた。一方、シェブロンやメルク、アップルは下落した。

・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前週末比+2.12%高と、3日続伸した。メタプラットフォームズやテスラ、スペースXが上昇した。クラウド事業を手掛けるコアウィーブやネビウスが大幅高となった。

・多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は前週末比+1.47%高と、3日続伸した。取引時間中には6/2に付けた最高値7,609を上回る場面もあった。

●2)8/4、NYダウ+907ドル高、54,085ドル              (日経新聞)
・8/4の米国株式市場でNYダウは前日比+1.70%上昇し、4日続伸した。2日連続で最高値を更新した。中東情勢を巡る不安が後退し、株式を買う動きが広がった。同日に決算を発表したキャタピラーが上昇したことも、株価指数を押し上げた。NYダウの上げ幅は一時+1,000ドルを超えた。

・ベッセント米国財務長官は8/4の米国CNBCの番組で、ホルムズ海峡の開放などでイランとの合意が近いとの認識を示した。イランが欧州各国に対して同海峡の機雷除去を認めることを検討していると、ブルームバーグ通信が同日伝えた。

・エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の航行の正常化が進むとの見方から8/4の米国原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近9月物は1バレル=75ドル台と先日に比べ▲5.7%下落した。原油価格の高止まりが米国経済や企業収益の重荷になるとの懸念が和らいだ。

・キャタピラーは+5.6%上昇した。8/4朝に発表した2026年4~6月期決算で売上高などが市場予想を上回った。人工知能(AI)データセンター関連の旺盛な需要が確認されたことで買いが入った。

・7月に大幅に下落していた半導体関連銘柄を買い直す動きが広がったことも、投資家心理を支えた。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+6.5%高で終えた。

・市場では「イラン情勢に対する不安の後退に加え、ハイテク株に投資資金が戻っていることで株高の勢いが強まっている」との指摘があった。

・その他のNYダウの構成銘柄では、シスコシステムズやIBM、エヌビディアが上昇した。セールスフォースやホーム・デポ、ゴールドマン・サックスも高かった。半面、アナリストが投資判断を引き下げたナイキが下落した。創業者による株式の売却が明らかになったアマゾンも安かった。

・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前日比+2.58%高と、4日続伸した。データ分析プラットフォームのパランティア・テクノロジーズが+29.4%高で終えた。8/3夕に発表した2026年4~6月期決算で売上高などが市場予想を上回ったうえ、収益見通しを引上げ、好感した買いが集まった。

・多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も前日比+1.78%高と、4日続伸した。6/2以来2ヵ月ぶりに最高値を更新した。

●3)8/5、NYダウ+263ドル高、54,349ドル                 (日経新聞)
・8/5の米国株式市場でNYダウは前日比+0.48%高と、5日続伸した。3日連続で最高値を更新した。米国とイランの交渉が進展するとの観測から原油先物価格が下落した。投資家心理の改善につながり、主力株に買いが入った。市場予想を上回る四半期決算を発表した銘柄にも買いが入った。

・米国とイランがホルムズ海峡の暫定的な開放で合意する見通しだと、米国ニュースサイトのアクシオスが8/4に報じた。米国は8/5にも公表する予定だという。イランとオマーンがホルムズ海峡の開放に向けた草案が最終段階に近づいていると、イラン国営メディアが8/5伝えた。

・ホルムズ海峡の航行が正常化に向かうとの観測から、8/5の米国原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近9月物は前日から下落した。市場では「合意に至るのか動向を注視する必要はあるが、原油安は株式相場の支えだった」との指摘があった。

・NYダウの構成銘柄では、アムジェンが+4.5%高だった。8/4発表した2026年4~6月期決算では売上高などが市場予想を上回った。ウォルト・ディズニーも高かった。8/5発表の四半期決算では特別項目を除く1株利益が市場予想を上回り、好感した買いが集まった。

・エヌビディアは+3.4%高で終えた。スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が8/4、人工知能(AI)インフラ構築にエヌビディア製品だけを使う考えを示したことが材料視された。

・8/5朝発表の7月のADP全国米国雇用リポートでは、非農業部門の雇用者数(政府部門除く)が前月比+4.4万人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想7.5万人増を下回った。もっとも市場では「8/7発表の7月の米国雇用統計の方が注目度が高い」との声が聞かれ、材料視されにくい面があった。

・その他のNYダウの構成銘柄では、シャーウィン・ウィリアムズとナイキが高かった。マクドナルドも買われた。半面、アルファベットが下落した。AI開発の研究者が退職すると発表し、AI開発を巡る競争力が低下するとの懸念から売りが出た。アマゾンとマイクロソフトも安かった。

・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は前日比▲0.83%安と、5営業日ぶりに反落した。8/4夕に四半期決算を発表したアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)とスペースXが下げた。サンディスクも安かった。

・多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は前日比▲0.16%安と、5営業日ぶりに反落した。

●2.米国株 : 米国・イラン合意期待の高まりで株価高騰したが、はたして本当か?
●1)➀米国・イラン和平合意期待②キャタピラー好決算などで、株価は8/4~5最高値更新
⑴米国・イランの合意期待。
・イランとオマーンがホルムズ海峡の開放に向けた案が8/6妥結したと報じられた。ただし、この案には米国が加わっていないため、その実効性に懸念がある。
⑵半導体関連株の急落で逃避していた資金が、戻ってきて株高となったようだ。
⑶米国株、好決算を追い風に急伸
・好決算発表銘柄の上昇
・8/4  パランティア +29.4%高、 キャタピラー +5.6%高
・8/5  アムジェン +4.5%高、 エヌビディア +3.4%高
・データ分析プラットフォームのパランティアが4~6月期決算発表で売上高が前年同期比+93%増と、市場予想を上回った。純利益は3.3倍。株式市場は、好感し株価は8/4、+29.4%高と大幅高
・キャタピラー、4~6月期決算で売上高・利益が市場予想を上回るデータセンター関連の建設ラッシュで需要が増える

●2)主要株価指数
⑴主要株価指数の推移(最高値との比較)
    NYダウ      S&P500     半導体株(SOX)     日経平均
7/06  53,055ドル  6/02  7,609   6/22  14,634   6/25  72,366円
8/05  54,349    8/05  7,723   8/05  12,008   8/05  66,300
差異  +1,294        +114       ▲2,626       ▲6,036
騰落率 +2.4%高       +1.4%高     ▲17.9%安      ▲8.3%安

・NYダウとS&P500種は過去最高値を上回った。しかし、半導体株(SOX)は、AI過剰投資や半導体価格の低下への懸念から大きく下落した。

●3)スペースX、株価下落が止まらない
⑴スペースXの株価推移
・6/12        160.95ドル   新規上場、公募価格135ドル
6/16 201.80            最高値
7/07         149.47    ナスダック100の採用日   
7/17          123.99   公募価格135ドル割れ
8/05           108.27  最高値比▲46.3%安、公募価格比▲19.8%安

⑵スペースX、IPO後で初の四半期決算で売上高が市場予想を上回る  (ブルームバーグ)
・4~6月売上高は78億ドルで、予想は68.1億ドルを上回る。
・設備投資は約184億ドルに増加、株価は時間外取引8/4で▲約5%安。

⑶スペースX株の売却制限が8/6にも初解除9億株超 ⇒低迷する株価にさらなる売圧力を予想

●4)ガソリン価格に次いで、ディーゼル油価格にも上昇がインフレ加速の火種
・イランへの米国軍による攻撃停止を受け、原油価格が低下し、米国株が7/30~8/5の5営業日でNYダウは+2,755ドル高となり、史上最高値を更新したナスダック総合も含め全面高となった。
・しかし、ロシアの石油精製所の攻撃によって、欧州ではディーゼル燃料が高騰している。欧州では北海原油は+24%上昇に対して、ディーゼル燃料は+42%と高騰している。1ガロン=5ドルを超えた。
・ディーゼル燃料は、農機器具・自動車など幅広く使われている。コスト要因となることから、穀物価格などが高騰し、インフレの懸念がある。すでに、米国産のトウモロコシ、小麦、大豆などの価格が上昇している。
・米国金利は最近、低下気味であるが、金利上昇に反転する可能性がある。米国FRBでは、金利引き上げの声が大きくなってきている。金利上昇は、相対的に株高が意識され、売られやすくなる。このため、インフレ動向に目を離さないようにしたい。

●5)米国・イラン合意期待の高まりで株価高騰したが、はたして本当か?
⑴バルチック海運指数は最近、急伸している
       7/29    2,632
       8/05    3,063
       上げ幅   +431
       上昇率   +16.3%高
⑵バルチック海運指数が上昇要因は、船舶需給のひっ迫していることを示す
・つまり、中東情勢やロシア・ウクライナの攻撃激化で船舶需要が引き締まっていることに要因がある。
⑶米国株式相場は、米国・イランの交渉妥結を見込んで買い優勢が続いている
・NYダウは、最高値更新を続けている。
⑷だが、米国・イランの交渉妥結見通しが近いとの報道は、「トランプ政権による一方的な報道」によるものである点に注目したい
・トランプ政権の都合で発表した報道に過ぎない。
・イランの報道は、別のことを伝えている。
⑸AMDは決算発表し売上高はAI半導体の需要増で+50%増えたが、株価は下落⇒注目
・AMDの株価が下落した点に注目したい。(AMD=アドバンスト・マイクロ・デバイス)
・株式市場を取り巻く環境は、決して楽観できるようなものではない。

3.米国7月ISM非製造業景況指数は54.1、予想54.5を下回る             (ザイFX)

4.ミネアポリス連銀総裁、FRBは高インフレ抑制のため直ちに利上げ開始を      (ブルームバーグ)

5.サウジアラビア、フーシ派との紛争再燃回避へ水面下で外交交渉、石油輸出保護図る(ブルームバーグ)

6.米国6月JOLT求人件数は735.9万件と予想745.4万件を下回る               (フィスコ)
1)レイオフは引き続き低水準。

7.イランが協議否定、米国大統領は8/3批判「イラン指導部は信じられないほど二枚舌」     (FNN)

8.米国大統領、対イラン発言は二転三転、「勝利宣言」と相次ぐ前言撤回              (AFP)
1)米国のトランプ大統領は、歴代政権の中でも極めて攻撃的な軍事威嚇を繰り返す一方、その撤回も頻繁に行ってきた。

■Ⅱ.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
●1)8/3、上海総合▲22安、3,809                    (亜州リサーチ)
・週明け8/3の中国本土マーケットで上海総合指数は、中国景気の先行き不安が重しとなる流れとなり、前営業日比▲0.59%安と反落した。

・取引時間中に公表された民間が集計する7月の中国製造業PMIは50.9と、市場予想52.0に反し、前月実績51.7をも下回った。また、国家統計局が先週発表した製造業PMIは49.2に低下し、5ヵ月ぶりに景況判断の境目となる50を割り込んだ。

・先週、上げが目立ったハイテク関連などに売りが先行した。

・もっとも、株価指数は下値を叩くような売りはみられなかった。

・中国景況感の低下を受け、当局が経済対策を急ぐとの期待も広がっている。中国共産党中央政治局の月例会議が先週7/30に開催され、下半期に積極財政と適度に緩和的な金融政策を実施していくことが決定された。それを受け、国家発展改革委員会は7/31、内需拡大に向けた実施計画の策定を急ぐと声明している。

・業種別では、
ハイテク関連の下げが目立つ。
医薬も冴えない。
資源・素材、保険、食品飲料・酒造なども売られた。
半面、
重電や発電の電力は高い。
宇宙・軍需産業、自動車、不動産、通信ネットワーク、銀行・証券も買われた。

●2)8/4、上海総合+12高、3,822                    (亜州リサーチ)
・8/4の中国本土マーケットで上海総合指数は、外部環境の改善が好感される流れとなり、前日比+0.33%高と反発した。

・過度な中東不安が薄らぐなか、ハイパースケラー(超大規模なデータセンターを自社で保有・運用)など成長株(グロース株)に買いが先行し、主要指標のNYダウが+1.3%高と3日続伸した。約1ヵ月ぶりに史上最高値を更新した。中国株マーケットにも買いが波及している。

・ただ、株価指数の上値は限定的だった。中国の景気動向を見極めたいとして、様子見ムードも漂っている。

・今週は8/5に民間集計の7月RatingDog中国サービス業PMI、8/7に7月の貿易統計、8/9に7月の物価統計が発表される予定。前日までに官民が公表した7月の中国製造業PMIはそろって予想を下回っただけに、内容が気懸りだ。

・業種別では、
半導体などの上げが目立つ。
医薬も急伸。
発電・電設、軍需産業、素材なども買われた。
半面、
銀行・保険は冴えない。
消費、運輸、自動車、エネルギーも売られた。

●3)8/5、上海総合+56高、3,878                    (亜州リサーチ)
・8/5の中国本土マーケットで上海総合指数は、前日の好地合いを継ぐ流れとなり、前日比+1.47%高と続伸した。7/16以来、約3週間ぶりの高値水準を回復した。

・中東不安の後退や、米国株高が好感された。米国・イラン情勢を巡っては、ベッセント米国財務省官が米国テレビに8/4に出演し、ホルムズ海峡の解放に向けたイランとの合意は早ければ今日8/4、もしくは明日にも成立する可能性があると発言した。

・また、昨夜の米国株式市場では、主要指標のNYダウが+1.7%高と4日続伸し、前日に引き続き史上最高値を更新した。人工知能(AI)や半導体産業の巨額投資を巡る不安が薄れるなか、フィラデルフィア半導体株価指数は+6.6%高と急伸した。

・一方、朝方に公表された民間集計による7月の中国サービス業PMIは50.4と、市場予想の53.7・前月実績54.1から低下した。

・株価指数は弱含む場面がみられたものの、徐々に上げ幅を拡大した。当局が景気を押し上げるため、追加の経済対策を急ぐとの見方が広まっている。

・業種別では、
ハイテクの上げが目立つ。
産金・非鉄も高い。
不動産、医薬、自動車、インフラ関連、建設・化学素材、空運、保険・証券なども買われた。
半面、
銀行は冴えない。
・7~9月期に金融緩和が打ち出されるとの見方が広がるなか、利ザヤ縮小の警戒感が広がっている。
・7/30に開催された中国共産党中央政治局の月例会議では、これまでの財政・金融政策の効果を高める考えが示された。
エネルギー、消費も売られた。

2.中国製造業PMI、7月は50.9に低下、4ヵ月ぶりの低水準=民間調査        (ロイター)
1)7月中国製造購買担当者景気指数(PMI)は50.9と、6月の51.7から低下した。輸出受注は拡大に転じたものの、生産と新規受注の伸びが鈍化した。

3.中国が戦略資源レアアースを使ってEUにも外交圧力、14社を輸出規制に対象に     (東洋経済)

■Ⅲ.日本株式市場
●1.日経平均の推移
●1)8/3、日経平均▲607円安、63,754円                  (日経新聞)
・8/3の東京株式市場で日経平均は前週末比▲0.94%安と、3営業日ぶりに反落した。日本・米国両政府は日本時間8/3朝、円買いの協調介入を、前週末7/31に実施したと発表した。追加介入の思惑を背景に、8/3午前の外国為替市場で円相場は一時1ドル=155円22銭近辺まで急伸し、5月上旬以来の円高水準を付けた。円高による業績悪化が懸念され、自動車、ゴム、鉄鋼など輸出関連とされる銘柄に売りが広がった。日経平均の下げ幅は一時▲1,600円を超えた。

・片山財務相とベッセント米国財務長官は8/3に、それぞれ、さらなる協調介入を躊躇(ちゅうちょ)しない姿勢を示した。国内では3月期決算企業が四半期決算発表を本格化させており、協調介入以前の円安傾向を反映して、2027年3月期通期の想定為替レートを円安方向に見直した企業も多い。市場では「協調介入のさらなる実施などで、円相場が1ドル=140円台まで上昇すると、日本株に対する今期の増益シナリオが崩壊してしまう。円水準の一段の切り上げリスクが警戒されている」との声が聞かれた。

・日経平均は前週末7/31に+2,500円近く上昇したとあって、戻り待ちの売りも出やすかった。日本株との連動性を高めている韓国総合株価指数(KOSPI)が8/3、大幅安となったことも日本株の売りを促した。トランプ米国大統領がイランへの攻撃停止を宣言したことを背景に原油価格が下落したことから、航空燃料下落への期待から空運などには買いが入ったが、景気敏感株全体を底上げするには至らなかった。

・もっとも、このところ軟調だった半導体関連の一角はしっかり。キオクシアは7/31に発表した2026年7~9月期の連結純利益の見通しが市場予想に届かなかったものの、自社株買いや株式分割の実施が好感されて3日続伸した。TDKやフジクラにも買いが入った。前週末の米国株式市場で主要3指数が上昇し、アマゾンは市場予想を上回る決算が好感されれ大幅高となった。市場では「ハイパースケラー(大規模クラウド事業者)による人工知能(AI)への過剰投資に対する懸念はいったん収束した」との声が聞こえた。

・東証株価指数(TOPIX)は▲1.08%安と反落した。JPXプライム150指数も▲0.99%安と反落して終えた。

・東証プライムの売買代金は概算で11兆7,886億円、売買株数は28億2,409万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1,060、値上がりは464、横ばいは33だった。

・個別銘柄では、アドバンテストやファナック、トヨタが下げた。一方、ソフトバンクG(SBG)やファーストリテイは上げた。

●2)8/4、日経平均+202円高、63,957円                  (日経新聞)
・8/4の東京株式市場で日経平均は前日比+0.32%高と反発した。前日の米国ハイテク株高を受けて人工知能(AI)・半導体関連やデータセンター関連銘柄の一部に買いが入り、日経平均を支えた。だが、日本・米国の協調介入をきっかけに為替相場が円高基調に転じるとの警戒が上値を抑え、日経平均は下げる場面も多かった。

・8/3の米国株式市場ではアルファベットやマイクロソフトなどハイパースケラー(大規模クラウド事業者)が牽引する形で、NYダウが約1ヵ月ぶりに最高値を更新した。8/4は半導体株の比重が大きい韓国総合株価指数(KOSPI)が取引終盤に上昇したこともあり、東京市場では東京エレクトロンやキオクシアなどAI・半導体関連銘柄の一角が買われた。ハイパースケラーによる投資継続期待でフジクラなどデータセンター関連株の買いを誘った。

・日経平均は▲800円あまり下落する場面もあった。日本・米国両政府による円買いの協調介入などを背景に7月下旬に1ドル=163円台だった円相場は、足もとでは157円台後半まで円高・ドル安が進んでいる。業績見通しを上方修正したトヨタの株価が下げて終えるなど、円高進行が業績の上振れ期待を後退させ、輸出関連株の売りを促した。市場では「日本・米国がわざわざ協調介入をした真意が分からず、株式相場も方向感が出ずらい」との声もあった。

・東証株価指数(TOPIX)は+0.04%高と、小幅ながら反発した。JPXプライム150指数は▲0.17%安と、続落して終えた。

・東証プライムの売買代金は概算で10兆2,837億円、売買株数は26億214万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は629で、値下がりは902、横ばいは26だった。

・個別銘柄では、イビデンや京セラ、レーザーテクが上昇した。一方、ソフトバンクG(SBG)やアドバンテスト、ファーストリテイが下落した。

●3)8/5、日経平均+2,342円高、66,300円             (日経新聞)
・8/5の東京株式市場で日経平均は前日比+3.66%高と続伸した。節目の6万6,000円台を回復して7/23以来約2週間ぶりの高値を付けた。8/4の米国株式相場の上昇で運用リスクを取りやすくなった海外投資家などの買いが東京市場の半導体関連株を中心に入った。8/5の韓国総合株価指数(KOSPI)などアジア株高も追い風になった。

・8/4の米国株式市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が+6%を超える上げとなった。半導体関連への見直し買いが活発になり、東京市場でもアドバンテストや東京エレクトロンはじめ業績好調な半導体株に買いが広がった。イビデンは8/4に2027年3月期の業績見通しの上方修正を発表したのが好感されて制限値幅の上限(ストップ高水準)まで急伸した。

・日経平均は朝方に上値追いとなった後、後場に入ると大引けにかけて再び上げ幅を広げた。8/5は韓国のKOSPIや台湾加権指数などアジア株が全般に堅調に推移し、日本株への買いも続いた。キオクシアが前週末の決算発表を経て株価が持ち直しているのも個人投資家などの心理改善につながった。

・半面、日本・米国の協調円買い介入を受けて外国為替市場で円安・ドル高が修正されるなか、海外事業の外貨建て利益の多い商社で三井物産、三菱商事などが下げた。海運株の下げも目立った。

・東証株価指数(TOPIX)は前日比+2.13%高と続伸した。JPXプライム150指数は+1.81%高と、3営業日ぶりに反発して終えた。

・東証プライムの売買代金は概算で10兆9,236億円、売買株数は27億8,122万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1,019と、全体の約65%だった。値下がりは491、横ばいは48だった。

・個別銘柄では、ソフトバンクG(SBG)やフジクラ、村田製作所、TDKが上昇した。一方、ファーストリテイやダイキン、横河電機、KDDIが下落した。

●2.日本株 : 半導体のシリコンサイクルは3~4年周期で好・不況を繰り返す
●1)日経平均の日中の動き
⑴8/3の日経平均
  前日終値    (64,362円)
  始値  ▲528         前営業日の急騰のため、戻り待ちの売り
  安値         ▲1,659  円急騰で輸出株安、利益確定売り、韓国株大幅安
  高値 ▲457          売り一巡後は、下げ幅縮小 AI相場復活
  終値   ▲607        小幅に売り
                 (63,754円)

⑵8/4の日経平均
  前日終値    (63,754円)
  始値     +241      米国ハイテク株高を受けAI・半導体関連に買い
  安値          ▲890 円急騰で輸出銘柄に売り
  高値  +486         韓国株上昇で、好決算・リバウンド狙いの買い
  終値     +202      引け際やや売られる
         (63,957円)

⑶8/5の日経平均
  前日終値    (63,957円)
  始値      +608     米国株高を追い風
  安値      +598
  高値 +2,345         海外投資家の半導体株買い、韓国株高が押し上げ
  終値 +2,342         キオクシア株高で半導体株の見直し買い
       (66,300円)

●2)日経平均を動かす、寄与上位5銘柄の状況
⑴8/3、日経平均▲607円安に占める寄与上位5銘柄の寄与額▲594円安、占有率97.85%
銘柄         寄与額      下落率     株価下落幅    
アドバンテスト   ▲258円安    ▲%安   ▲1,070円安    6857
ファナック     ▲171      ▲14.30  ▲1,021      6954
イビデン      ▲ 75      ▲     ▲1,115      4062
東京エレクトロン  ▲ 51      ▲     ▲ 510      8035
京セラ       ▲ 39      ▲     ▲ 147      6971   
  合計      ▲594円安

・日経平均が上げるのも・下げるのも、AI・半導体関連株次第が続く。

⑵8/4、日経平均+202円高に占める寄与上位5銘柄の寄与額+415円高、占有率2.05倍
銘柄         寄与額      上昇率     株価上昇幅    
東京エレクトロン  +172円高    +3.11%高    +1,710円高
キオクシア     + 69      +5.96      +2,930
フジクラ      + 68      +7.88      + 338
イビデン      + 53      +5.12      + 795
京セラ       + 53      +5.56      + 197
  合計      +415円高

⑶8/5、日経平均+2,342円高に占める寄与上位5銘柄の寄与額+1,788円高、占有率76.34%
銘柄         寄与額      上昇率     株価上昇幅    
アドバンテスト   +657円高    + 8.77%高    +2,720円高
ソフトバンクG    +587      +13.96      + 730
イビデン      +268      +24.49      +4,000
東京エレクトロン  +186      + 3.26      +1,850
フジクラ      + 90      + 9.62      + 445    
  合計      +1,788円高

・AI・半導体株高と演出する海外短期筋の株式相が続く。

●3)半導体のシリコンサイクルは3~4年周期で好・不況を繰り返す
・そのため、数量と価格が大きく変動するのが特徴である。
・これから問題視されるのが、中国の長鑫科技集団(CXMT)の動向である。CXMTはメモリーのDRAMでは中国最大手である。そのCXMTは上海証券取引所で新規上場し、巨額資金調達を成功させた。その巨額資金でDRAMを増産⇒需給の悪化不安⇒半導体価格の急落が予想される。
・DRAMは、マイクロン、サムスン電子、SKハイニックスの3社が市場の約90%を握る。CXMTはこの3強を脅かす強力な対抗馬として浮上している。
・アップルがCXMT製品を採用する可能性がある。

3.日清紡、上期営業利益+302.7億円と前年同期比+64.4%増、無線・通信事業が好調(TRADER'S WEB)

4.丸大食品、4~6月期営業利益は+13.4億円と前年同期比▲33.4%減だった  (TRADER'S WEB)

5.三井物産、4~6月期利益は前年比+53%増で最高、価格高騰で金属資源事業が好調  (テレ朝)

6.日本製鉄、2027年3月期純利益は2,900億円、予想から+700億円増、米国市況が好調(日経新聞)

7.トヨタ、2027年3月期純利益は3兆2,500億円、予想3兆円から上方修正、円安・HVが寄与(日経新聞)

8.三菱商事、4~6月期純利益+47%増、上方修正の余地探る、石炭・銅事業・天然液化ガスが収益寄与
(ロイター)
9.伊藤忠、米国航空機リースに経営参画、東京センチュリー子会社に3,000億円出資   (ロイター)
1)東京センチュリーは子会社株式の50%譲渡で、特別利益500億円見込む。

■Ⅳ.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・7952 河合楽器     業績絶好調
・7974 任天堂      株価底入れ期待
・8113 ユニ・チャーム  業績好調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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