相場展望9月22日号 米国株: 金利上昇局面入り⇒米国株は相対的に「割高」意識を示唆 日本株: 9/19日銀のETF売却方針で日経平均乱高下⇒過熱感を証明

2025年9月22日 13:28

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)9/18、NYダウ+124ドル高、46,142ドル
 2)9/19、NYダウ+172ドル高、46,315ドル

【前回は】相場展望9月18日号 米国株: FRBの利下げ継続期待で、株価上昇 日本株: 日経平均は堅調に上昇するが、過熱感も膨らんでいる

●2.米国株 : 金利上昇局面入り⇒米国株は相対的に「割高」意識を示唆

 1)金利上昇局面入り⇒米国株は相対的に「割高」意識を示唆
  ・米国金利とNYダウの推移
    日付け   2年債利回  10年債   30年債    NYダウ
    9/02    3.639%   4.261    4.975    45,295ドル
    9/11    3.542    4.021    4.651    46,108
    9/19    3.576    4.129    4.748    46,315

  ・金利は、9/2⇒9/11と低下している。しかし、その後、9/19へと上昇している。この金利上昇は株式の相対的な割高感が高まっていることを示唆している。

  ・NYダウは、金利上昇にかかわらず、上昇を続けている。これは、どこかのきっかけで「下落可能性が高まっている」ことを示している可能性がある。NYダウは上昇を続けるためには、金利低下が必要と思われる。

●3.エヌビディア、インテルに50億ドル出資、半導体共同開発も(ロイター)

 1)PCとデータセンター向け半導体を共同開発する。
 2)今回の出資は、ソフトバンクGからの20億ドルの投資と、米国政府からの57億ドルの投資に続くものになる。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)9/18、上海総合▲44安、3,831
 2)9/19、上海総合▲10安、3,820

●2.中国・若者(16~24歳)の失業率18.9%で過去最悪、大学卒業過去最多の雇用のミスマッチが深刻化(テレ朝)

 1)若者の失業率が前月に比べて1.1%悪化した18.9%で、調査方法を見直した2023年12月以降で最も悪い数字となった。25~29歳は0.3%悪化して7.2%、若年層の失業率の高さが目立っている。
 2)2025年の大学卒業者数は1,222万人と過去最多も、景気減速が続くなか、大学を卒業しても就きたい職種の募集がないなど、雇用のミスマッチが深刻化している。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/18、日経平均+513円高、45,303円
 2)9/19、日経平均▲257円安、45,045円

●2.日本株 : 9/19の日銀によるETF売却方針で日経平均は乱高下⇒過熱感を示す

 1)海外投資家主導で、(1)株価指数先物と(2)少数の銘柄で、日経平均が続伸
  ・9/18、日経平均寄与度の高い上位5銘柄
       銘柄名     寄与度
     アドバンテスト  185円
     東エレク     122
     ソフトバンクG   40
     TDK        34
     ソニー      28
     寄与度合計   409円 :日経平均+513円に対し79.7%を占める。

 2)9/19の日経平均の狂騒劇は「高値恐怖症」がなせるもの
  ・要因は、日銀が保有する約37兆円(簿価ベース)のETFとJ‐REITの放出が伝わったことがきっかけ。

  ・日銀は、過去、金融緩和策の一環として株式市場から上場投資信託を通じて日本株を買い上げることで資金を供給してきた。その残高は、2025年3月末時点で、約37億円(簿価ベース)もの巨額に膨れ上がり、出口を探る段階にあった。

  ・直近の日銀金融政策決定会合で、解消方針を決定した。ところが解消といっても年3,350億円と極めて少額で、解消には100年を超えるしろものだった。
     ・解消する上場投信の1年間の売却額
        上場投資信託(ETF)   3,300億円
        不動産投資信託(J‐REIT)  50億円
          年間合計       3,350億円
   日経平均の年間取引額は1,100兆円規模もあり、取るに足らないETF放出額である。なお、簿価3,350億円を時価ベースに置き換えても年1兆円に至らないと思われる。

  ・このような市場に与える少額の売却方針が伝わっただけで、日経平均が極端な値動きをしたのは、それだけ市場が「過熱恐怖感」を持っていたためと考えられる。
    ・報道で日経平均は約▲800円下落 ⇒ 終値▲257円安まで下げ幅を縮小。

 3)これは過熱感の高まりで、市場の不安定感を露出させたのが9/19の日経平均
  ・9/19、日銀によるETF売却方針で、日経平均は大きく揺らいだ。
   日経平均の売買額からみると、市場に影響を与えない極めて少額の放出額である。
  ・言えるのは、それだけ市場関係者に「高値警戒感が高まっていた」ということだ。
  ・今後、市場関係者の「慎重な投資スタンス」が顕在化する可能性がある。そのため、より慎重な投資スタンスを求めるサインであったかもしれない。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・1893 五洋建設    業績絶好調
 ・6869 シスメックス  業績堅調
 ・7735 スクリン    業績回復期待

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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