相場展望4月7日号 米国株: トランプ関税で、米国が最大の敗者になる可能性 日本株: 日経平均の下げ幅を拡大する可能性が大

2025年4月7日 16:49

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)4/3、NYダウ▲1,679ドル安、40,545ドル
 2)4/4、NYダウ▲2,231ドル安、38,314ドル

【前回は】相場展望4月3日号 米国株: トランプ関税で、世界経済は大荒れの様相を深める 日本株: 「相互関税」を、日本再生のチャンスと捉えて行動しよう!

●2.米国株:トランプ関税で、急速な「円高・ドル安」、米国が最大の敗者になる可能性

 1)高関税「相互関税」発表で、米国への跳ね返りを意識⇒米国経済指標は急落
  ・リスク回避姿勢が強まる   
  ・世界経済の悪化を意識し、国際商品価格は急落(発表前4/2⇒後4/4)
     WTI原油       71.71  ⇒  61.99   ▲ 9.72安・▲13.55%安
     CRB指数(国際商品)313.56  ⇒ 288.46  ▲25.10安・▲ 8.00%安
  ・米国長期金利は4.00%割れと低下
     10年国債利回り    4.131 ⇒  3.998 ▲0.133低下・▲3.21%低下  
  ・為替はドル安(円ドル相場)に転換
               149.75円 ⇒ 145.97円 ▲3.78円安・▲2.52%低下

 2)米国株式市場、4/3~4の2日間で急落、「調整局面入り」が明確に
            4/2(発表前日)⇒ 4/4時点
  ・NYダウ     42,225ドル   ⇒ 38,314  ▲3,911安・▲ 9.26%下落
  ・ナスダック総合  17,601  ⇒ 15,587  ▲1,945安・▲11.44%下落  
  ・S&P500     5,670     ⇒  5,074  ▲ 596安・▲10.51%下落
  ・半導体株(SOX)  4,320     ⇒  3,597   ▲ 723安・▲16.73%下落
  ・FANG+     11,778     ⇒ 10,373   ▲1,405安・▲11.92%下落

 3)米国株を牽引してきた主力株の下落が、米国株を底に導いている
           4/2(発表前日)⇒ 4/4時点
  ・エヌビディア   110.30ドル ⇒ 94.31   ▲15.99安・▲14.49%下落
  ・テスラ       282.76  ⇒ 239.32   ▲43.44安・▲15.36%下落

 4)トランプ関税で、急速な「円高・ドル安」、米国が最大の敗者になる可能性
  ・トランプ氏の「相互関税」発表を受け、ドルは▲4円近く急落した。
  ・トランプ関税が、米国の①インフレを再燃させ②米国経済の後退の可能性を高める懸念がある。
  ・相互関税発表まで米国株は弱含んでいたが、発表後は急落した。
  ・トランプ高関税政策を是正しない限り、ドルは基軸通貨の地位から転落し、米国は奈落の底に陥る可能性が出てきた。
    ・米国は「ドルの基軸通貨」を維持できているため、膨大な財政赤字と貿易赤字にも関わらず消費経済を享受できていた。世界から資金を集められてきたことで、成り立っていたのが米国経済である。米国の最強の強みである「ドルの基軸通貨」の地位から「比較強い通貨・ドル」に転落した場合、米国経済を支えてきた消費経済は力を失うことになりそうだ。
    ・トランプ高関税政策は、「米国を危険な道にいざなう」可能性がある。そうなった場合、トランプ高関税で「米国が最大の敗者」に落とし込むことになる。まさに、世界と米国の繁栄をもたらしたブレトン=ウッズ体制は崩れ、世界秩序は混とんに向かうリスクがある。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)4/3、上海総合▲8安、3,342
 2)4/4、祝日「清明節」で休場

●2.中国「34%報復関税」発表(テレビ朝日)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)4/3、日経平均▲989円安、34,735円  
 2)4/4、日経平均▲955円安、33,780円  

●2.日本株 : 日経平均の下げ幅を拡大する可能性が大

 1)日経平均などの株価指数の推移(トランプ相互関税発表前4/2⇒4/4時点)
           4/2     4/4    下落の状況
  ・日経平均   35,725円 ⇒ 33,780   ▲1,945円安・▲5.44%安
  ・TOPIX    2,650   ⇒  2,482   ▲ 168安 ・▲6.33%安

 2)日経平均の恐怖指数は、米国と同様に、急速に悪化している
  ・恐怖指数(VIX)の推移   4/2   4/4
    日経VIX        27.34  35.48
    S&P・VIX       30.02  45.31

 3)円相場
  ・4/4は「145.97円」と146円割れ
  ・円相場の推移      4/2     4/4   円高の状況
     円・ドル相場   149.75円 ⇒ 145.97  +3.78円高・+2.52%高
  ・円高は輸出関連企業の業績にマイナスとなり、日本株にとっても負となる。

 4)日経平均は、米国株と比較すると、底堅い状況にある
            4/2        4/4    下落の状況
  ・NYダウ     42,225ドル   ⇒ 38,314  ▲3,911安・▲ 9.26%下落
  ・ナスダック総合  17,601  ⇒ 15,587  ▲1,945安・▲11.44%下落  
  ・S&P500     5,670     ⇒  5,074  ▲ 596安・▲10.51%下落

 5)結論:日経平均の下げ幅を拡大する可能性が大いにある
  ・米国株価指は4/3~4の2日間で軒並み▲10%以上下落している。
  ・日本は貿易立国であるため、トランプ高関税政策の直撃を受ける。トランプ関税を受け、米国株は奈落の底に向かっているリスクがある。米国株の底打ちまで、日本株は引きずられる。
  ・本日4/7は米国株の大幅安の影響を受けるだろう。現段階での「底と思い込んだ株買い」は危険である。
  ・トランプ氏は「不動産取引」のレベル感で、政治・経済に臨んでいる。政治・経済まして株式相場は、不動産取引とは比べ物がないぐらい、深くて複雑な構造となっている。トランプ氏では、経済・政治の深遠さは理解できない。トランプ氏は明けてはならない「岩戸」をこじ開けたが、米国民はその危険性を感じ始めている。それが、マスク氏への抗議デモの進展に現われていると思われる。
  ・日本株を落ち着いて見れるのは、先のことになりそうだ。

 3.日本の働きかけ奏功せず、米国が相互関税24%、安倍元首相をトランプ氏回顧(ロイター)
  1)野村総合研究所の木内登英氏は、関税24%が日本の国内総生産(GDP)を▲0.59%押し下げると試算。自動車関税と合わせると、下押し効果は▲0.79%に拡大するとみる。木内氏は「想定より悪い最悪に近い数字」と話す。「日本としては安全保障面での米国との関係もあり、交渉カードがない」と語る。

  2)関税24%は、4/9に発効する。

  3)トランプ大統領は親密な関係を築いた安倍・元首相を振り返り「日米間の貿易が不均衡について彼は分かっていると答えた。彼がいたらもっと良い取引になっていただろう」と語った。

●4.三菱商事、1兆円上限に自己株取得、年間配当10円増配(ロイター)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・3182 オイシックス     業績好調
 ・4568 第一三共       業績好調

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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