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ノースボルト破綻で迫られるEV戦略の見直し
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●ノースボルトが破綻
スウェーデンの電気自動車(EV)用電池の新興メーカーであるノースボルトが、11月21日に米連邦破産法11条を申請し、経営破綻した。
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10月には従業員を20%削減するなど、リストラ策を進めてきたが、投資家や債権者との交渉が不調に終わり、破産申請に追い込まれた。
負債総額は約58億ドル(約8990億円)と見られており、申請により2.45億ドルの資金調達が可能となり、事業は継続される。
中国電池メーカーに対抗する企業として期待されていたが、価格競争に敗れた。
EV用電池は中国メーカーが85%のシェアを持っているが、さらに中国の寡占化が進むことで、EV戦略はどのように変化するのだろうか?
●鳴り物入りで誕生したノースボルト
ノースボルトは、米テスラの調達担当だったピーター・カールソン氏らによって2016年に設立。独自動車メーカーVWやBMW、米金融大手のゴールドマンサックスらの出資を受けて、極端なアジア依存からの緩和を目指していた。
欧州自動車メーカー向けのEV用電池供給を目指し、ニッケルなどを使う三元系リチウムイオン電池が一般的で注力していたものの、中国メーカーは鉄を使ったLFPリチウムイオン電池が主流となり、コストダウンに成功した。
中国でしか生産できないLFPが主流となり、ノースボルトの出資者であるBMWやVWも、LFPを使うようになった。
●価格競争以外の問題も
ノースボルトのスローガンは「石油を歴史に変えよう」だった。
破綻の原因がクリーンエネルギーにこだわり過ぎて、水力発電や風力発電などの自然エネルギーのみを使って生産することを目指し、技術や価格が二の次になっていたという指摘がある。
創立当初も工場を構築するノウハウがなく、アジア依存を目指しながら中国や韓国の工場設備を提供してもらうしかなく、技術も中国頼みだった。
そもそもEV需要の失速も大きな原因ではとも言われている。
出資会社のVWは国内工場を閉鎖するなど、EV戦略の見直しを迫られている。
ドイツはEV補助金を打ち切り、ウクライナ紛争によって高止まりする電気料金も欧州のEV化にブレーキをかけている。
米国もトランプ大統領の再選で、EV支援策が見直される可能性が高く、不透明となった。
ノースボルト破綻は、後にEV戦略の大きな転換点となる象徴的な出来事として語られるかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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