相場展望10月7日号 米国株: 雇用統計の強さでインフレ再点火の可能性強まる、株価には負 日本株: 149円台乗せと円安が進行、中国株高もあって本日は急伸か

2024年10月7日 09:50

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)10/3、NYダウ▲184ドル安、42,011ドル
 2)10/4、NYダウ+341ドル高、42,352ドル

【前回は】相場展望10月3日号 日本株: 石破政権は短命?挙党体制組まず、石破発言はブレまくり

●2.米国株 : 雇用統計の強さでインフレ再点火の可能性強まる、株価にはマイナス

 1)9月の利下げ▲0.50%はインフレ再点火を起こし、間違いだった可能性高い
  ・その要因は、9月雇用統計の数値が市場予想を上回っていたからだ。
    ・非農業部門雇用者数は前月比+25.4万人増と、予想+14万人増を大幅に上回り、6カ月で最大の伸びを記録した。
    ・失業率は4.1%と、前月の4.2%から低下し、改善した。
    ・平均時給は前年同月比で+4.0%増と、堅調な伸びを示した。

  ・つまり、9月に利下げした目的だった「労働条件の悪化を防ぐ」ための利下げは必要なかった。

  ・むしろ、原油高による原材料コスト上昇やガソリン価格上昇もあって、加えて労働条件の良さがインフレ再燃を引き起こし、再加速するリスクが増えた。

  ・したがって、11月にFRBは追加の利下げを模索しているようだが、取り止めるべきだろう。まして、株式市場では▲0.50%の追加利下げへの期待があるが回避するべきだ。9月の雇用統計の数値からすると、9月の大幅利下げ実施は必要なかった。

  ・やはり、FRBは民主党大統領候補の支援のための「大幅利下げ」を実行したといわれても仕方がないだろう。FRBは政治からの独立性を保ち、中立であるべき。日本の日銀も同様である。政治は、中央銀行の金融政策に圧力と影響を行使するのは自重すべきである。

  ・FRBが11月に金利引下げを実施しない場合、株式市場で「期待外れ」として売られやすくなる局面が訪れるリスクがある。ただ、実際にはFRBは▲0.25%の金利引下げをする可能性が高いとみる。

●3.米国9月雇用統計、非農業部門雇用者数は+25.4万人増で、予想+14万人を大幅上回る 

 1)失業率は4.1%で、前月の4.2%から低下した。(ロイター)
 2)平均賃金は前年比+4.0%上昇、前月比+0.4%上昇。
 3)発表後は円相場は148円台と円安が進む。

●4.米国港湾スト、長期化なら物価上昇につながる=シカゴ連銀総裁(ロイター)

●5.米国ISM非製造業指数の9月は54.3と、予想51.7を超え、昨年2月以来の高水準(ブルームバーグ)

 1)サービス業指数は活発化したが、製造業指数は不振であり、乖離が一段と鮮明。

●6.サウジが警告、生産上限を守らなければ、原油価格50ドルに下落も(Quick Money)

●7.欧州、8月のEV販売が▲43.9%減の衝撃、補助金がないと売れない、HV順調(Merkmal)

●8.伊自動車フィアットを持つステランティス、今年の生産台数は前年75.1万台から50万台以下に落ち込む見通し(ロイター)

 1)電気自動車(EV)を筆頭に需要の低迷が続いているため。
 2)独フォルクスワーゲン(VW)も先月初めて国内工場閉鎖の方針を打ち出した。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)10/3、祝日「国慶節」で休場。
 2)10/4、祝日「国慶節」で休場。

●2.EU、中国から輸入のEVを最大35.3%の関税上乗せを決定(NHK)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)10/3、日経平均+743円高、38,552円
 2)10/4、日経平均+83円高、38,635円

●2.日本株:石破・自民党は方針がぐらつき、選挙では苦戦か

       円相場は149円乗せと円安が進行、中国株高もあって本日は急伸か

 1)石破首相、公認問題でも「方針がぐらつき」ダッチロール
  ・石破氏は、公認問題で自民党総裁選のなかで「ふさわしい候補者か、党として責任を持たなければならない」と、公認しない可能性にも踏み込んでいた。
  ・しかし、石破首相の方針として、自民党は「裏金議員」を「原則公認」の方針に転換した。しかも、比例区の重複立候補も容認。
  ・だが、世論の反発も強く、10/6になって安倍派を中心に一部裏金議員を非公認とし比例重複も認めない方針に心変わりした。ただ、安倍派以外の裏金議員の多くが公認されることになる。安倍派で公認確実視されていた荻生田、丸川議員も非公認に追加されるという。
  ・なお、最大の裏金を受領した二階氏は「引退」を理由に「処分なし」。もともと高齢で歩行が難しい状態で、次男を後継者としており、「引退」は予想された。「引退」は自民党としての「処分」ではない。そこに公党である自民党とは名ばかりの、ただの権力争いの集団とみられやすくなってきた。ここにも、自民党の「いい加減な手打ち」がある。
  ・見方を変えれば、石破首相による節操のない「反対勢力狩り・弾圧」である。
  ・これでは無党派層のなかの中道・保守勢は、選挙になれば自民党離れを起こし保守中道を取り込む公約を進めている野田氏が党首の立憲民主党に流れる目がでてきそうだ。

 2)投資主体別では、9月4週(~9/27)までは海外投資家は売り越し継続
  ・個人投資家も、9月3・4週と2週連続で売り越し。
  ・ただし、証券(自己)部門は、9月3・4週と大幅買い越し。
  ・今週前半は海外投資家は売り込んでいるため、株価先物から断続的な買いが入ると見込む。

 3)本日10/7は、円安進行を受け、日経平均は大幅上昇の可能性が高い
  ・円相場が円安へと進行した要因
   ・石破首相が、日銀総裁に「金利引上げの環境ではない」と伝えた。
   ・米国雇用統計で、米国経済の底堅さが示された。
  ・強い米国雇用統計を受け、円急落、10/4米国で149円01銭と、1カ月半ぶりの円安となった。
  ・自動車や機械など輸出関連株などが上昇するとみる。
  ・中国株の急騰を受けて、中国関連株にも波及しそうだ。

●3.日銀、正常化路線に政治の逆風、石破発言で年内利上げ観測が後退(ブルームバーグ)

●4.ファーストリテイリング、9月既存店売上高は前年同月比+22.1%増(日経新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・2413 エムスリー       業績堅調。
 ・2595 アダストリア      業績堅調。
 ・3140 ウエルシア       業績堅調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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