相場展望6月10日号 米国株: 雇用者数増は予想を上回り、金利は上昇に反転、株価の重しに 日本株: 6月スタートは堅調も、次第に重くなる傾向と予想

2024年6月10日 10:21

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)6/6、NYダウ+78ドル高、38,886ドル
 2)6/7、NYダウ▲87ドル安、38,798ドル

【前回は】相場展望6月6日号 米国株: 労働市場の過熱感薄れ金利低下、エヌビディア効果で株高 日本株: 円高と金利高で「逆風が増す」展開を予想

●2.米国株 : 雇用者数は予想以上に増加、金利上昇に反転し、株価の重しに

 1)米NYダウは上昇の勢いが弱まわるも継続
  ・5月のNYダウは月間で+871ドル上昇・+2.3%上昇。
   6月は6/7までで、+112ドル上昇・+0.29%上昇。
  ・NYダウの推移   5月月間     ~6/7
     5/01     37,815ドル    38,686ドル 
     5/31     38,686    6/7 38,798
     差引     + 871      + 112

 2)雇用統計を受け、年内の利下げは見送られる可能性が高い
  ・雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月に比べ+27.2万人増と、市場予想の+19万人増を上回った。
  ・平均時給は前月比+0.4%と上昇し、市場予想の+0.3%より高かった。

 3)米5月雇用統計が労働市場の底堅さを示す⇒利下げ時期の不透明感高まる⇒株安へ
  ・雇用者数が予想外に増加し、米経済は堅調を示す。
  ・労働市場の逼迫感は和らいできたが、再び逼迫感が増える傾向。
  ・経済成長の強さを背景に、利下げ期待が後退する。
  ・米株価は利下げ期待で株価上昇してきただけに、金利上昇の転換は負。
  ・金利上昇は、株価は相対的に割高感が勝り株価は不安定要因となる。
  ・労働市場が逼迫状況下にあり、失業率は4.0%と低い。これが賃金の上昇圧力を保っている。
  ・米国の物価上昇圧力は鈍化してきたが、再上昇の兆しが浮上し依然として高い水準にある。

●3.米5月雇用統計、予想28.5万人を大きく上回る27.2万人増、失業率4.0%に上昇(ロイター)

●4.米新規失業保険申請件数は前週比+0.8万件増の22.9万件、予想22万件を上回る(ロイター)

 1)前週から増加に転じたが、引き続き労働市場は底堅く経済の下支えとなる見通し。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)6/6、上海総合▲16安、3,048
 2)6/7、上海総合+2高、3,051

●2.LME銅が続落、中国の需要懸念で工業用金属に新たな圧力(ブルームバーグ)

●3.中国で個人用スマホやPCを強制検査、「スパイ摘発」を名目に新規定を7/1施行(zakzakより抜粋)

 1)現地日本人、渡航者の「リスク」がさらに高まりそうだ。
 2)今回の「新規定」は、反スパイ法の規定を細分化し、個人や組織が所有する電子機器について国家安全機関の調査権限を強化する。
  ・具体的には「電子メール、メッセージ、決済記録、写真や動画を含むデータを調べることができる、としている。
  ・今回の新規定は中国人に加えて、すべての外国人にも監視網を張るものだ。
  ・中国事情に詳しい評論家の石平氏は、「日本人も、中国当局の勝手な解釈で捜査され、拘束される危険性について十分な自覚が必要だ」と語った。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)6/6、日経平均+213円高、38,703円
 2)6/7、日経平均▲19円安、38,683円

●2.日本株 : 6月スタートは堅調も、次第に重荷が増すと予想

 1)日経平均の5月の上昇はわずか、6月のスタートは堅調
  ・日経平均の推移   5月       ~6/7
     5/01     38,405円
     5/31     38,487    6/7 38,683
     差引     + 82円高     +196円高

 2)6/6の日経平均は+213円高にも関わらず、値下がり銘柄が多く、内容悪し
  ・6/6の新高値・新安値銘柄数
    新高値銘柄数   44
    新安値銘柄数   62
    値上がり銘柄数  601
    値下がり銘柄数  988

 3)経験則では、6月の上昇は大きく期待できない

●3.SOMPO、RIZAPと子会社に300億円出資へ(NHKより抜粋)

 1)RIZAPは、初心者向けのジム「chocoZAP」の出店を加速する中で費用がかさみ、昨年度まで2年連続で最終赤字となっており、今回の提携で調達した資金を新規の出店などに充てるほか、SOMPOの顧客にジムの利用を促すとしている。

 2)SOMPOは、保険以外の分野を一段と拡大していくねらいがある。

●4.トヨタとマツダ、6/6から5車種の生産停止、認証不正問題で(TBS)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・3038 神戸物産     デフレ対応で売上増期待
 ・4385 メルカリ     好業績期待
 ・8267 イオン      好業績期待

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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