相場展望6月3日号 米国株: BRB目標のインフレ率+2%には、再利上げが必要 日本株: 自律反発の局面、米国株高が追い風

2024年6月3日 11:17

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)5/30、NYダウ▲330ドル安、38,111ドル
 2)5/31、NYダウ+574ドル高、38,686ドル

【前回は】相場展望5月30日号 米国株: 金利低下期待が後退し、米国株は軟調に転換か 日本株: 金利高と米国株安が、日本株に逆風を強める方向にある

●2.米国株:FRBはインフレ率目標+2%に近付けるためには、再利上げが必要

 1)NYダウは自律反発に向かう局面に入った
  ・NYダウの推移
     3/28   39,807ドル    
     4/15      37,735
     4/30      37,815  4/15とダブルトップを底で付け、反発へ。
     5/17   40,003     3/28と高値でダブルトップを付け、反落へ。
     5/30      38,111
     5/31      38,686   5/31に反発開始のサインがでた。

 2)物価上昇率の伸びが鈍化し、景気後退懸念が増し、金利低下期待が膨らむ
  ・米PCE物価指数が4月+2.7%上昇と、個人消費の伸びが鈍化。4月個人消費支出の物価指数(PCE)の伸びが、市場予想と一致したことを受け、インフレが長期化することへの懸念が後退。インフレ加速への警戒感が株式市場で和らぐ。
  ・インフレ指標をにらみ利下げ時期模索の段階に入る。

 3)5/31は取引終了にかけて買い注文が増えて、値上がり幅は今年最大となった
  ・月末特有の買いが入った。
  ・米国株を取り巻く経済環境は改善の兆しがでたが、この改善の兆しは「幻」に終わる可能性もある。
  ・また、FRBが金利引下げに慎重なこともある。インフレ率は昨年夏場から急速に鈍化してきたが、このところ鈍化は足踏みしている。FRBの金利引上げ効果によりインフレ率は鈍化しているが、FRBが金利引上げ停止したことに伴い、インフレ鈍化も停まった感がある。物価上昇目標の2%に近付けるためには、金利再引上げが必要となる可能性がある。

●3.FRBの現行政策は物価目標達成に「適切」=ニューヨーク連銀総裁(ロイター)

 1)現在の金融政策設定の下で、経済が好調に推移していることを踏まえると「利下げの緊急性は感じていない」と述べた。

●4.米GDP、1~3月期速報値+1.6%⇒+1.3%増に下方修正、消費支出が鈍化(ロイター)

●5.米マクドナルド、5年間で+4割値上がり、インフレ(物価高)の深刻さが浮き彫りに(毎日新聞)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)5/30、上海総合▲19安、3,091
 2)5/31、上海総合▲4安、3,086 

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)5/30、日経平均▲502円安、38,054円  
 2)5/31、日経平均+433円高、38,487円  

●2.日本株 : 自律反発の局面、米国株高が追い風

 1)5/30の大幅下げは、アドテストなど半導体関連株が投げ売りされた結果
  ・小型株は、むしろ逆に上昇した。
  ・株価指数の値動き
    大型株    ▲22安
    中型株    ▲ 5安
    小型株    +14高
    日経平均   ▲502円安

 2)5/31の大幅高は、(1)自律反発と(2)MSCI構成銘柄の定期入れ替えに伴う買い直し
  ・自律反発。
    5/16  38,920円
    5/30  38,054円
    差引  ▲ 866円安
    5/31  + 433円高  : 下げ幅に対して+50.0%の値戻し

  ・米MSCIの定期銘柄入れ替えに伴い大幅な買い直しを誘引。

  ・5/31大引け間際の1分間に4兆円弱の売買高と急増。それに伴い、日経平均も急伸した。

  ・東証プライムの動き
         売買金額    売買高
    4/30   5兆6,678億円  20億7,443万株 
    5/30   4兆3,985億円  17億0,870万株
    5/31   7兆7,612億円  29億8,398万株

 3)6/3は、株価大幅上昇も、次第に上値の重い展開を予想
  ・大幅上昇の要因
  ・自律反発のエネルギーがまだ残っている。
  ・米NYダウが反発局面に入った。
  ・主力半導体株が調整しており、反動高の局面をうかがっている。
  ・長期金利の上昇がひとまず一服した。
    10年債利回りの動き
      5/17   0.948%
      5/30   1.062
      5/31   1.054
      6/03   1.055

●3.大手銀5行が、住宅ローン固定金利を6月から引上げ、2カ月連続(時事通信)

 1)三菱UFJ    +0.14%引上げ⇒1.20%
   三井住友   +0.05%引上げ⇒1.75%
   みずほ    +0.05%引上げ⇒1.55%
   三井住友信託 +0.10%引上げ⇒1.445%
   りそな    +0.05%引上げ⇒1.83%

 2)短期金利に連動する変動金利は5行とも据え置いた。

●4.利上げペース早まる必要も、円安で物価再上昇なら=安達・日銀委員(ブルームバーグ)

●5.7月請求の電気料金、補助金終了で電力10社が値上げ、夏の家計を直撃(時事通信)

●6.岸田首相と関係閣僚はライドシェアの結論を先送り、反対派に配慮(時事通信)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・2175 エス・エム・エス    業績堅調
 ・3865 北越          業績堅調
 ・4480 メドレー        業績堅調 

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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