相場展望11月18日 米国株の注目、決算⇒債務上限・予算・インフレ 日本株、外国人の買い仕掛け不発?個別物色へ

2021年11月18日 09:29

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)11/15、NYダウ▲12ドル安、36,087ドル(日経新聞より抜粋
  ・米長期金利が1.63%近辺と前週末1.56%から上昇し、高PER(株価収益率)銘柄のハイテク株の売りを誘った。
  ・10月米小売売上高や米小売大手の決算発表を控え、様子見ムードも強かった。市場では、高インフレが消費者心理に与える影響が警戒されている。電気自動車のテスラや、半導体のエヌビディアの下げが目立った。
  ・もっとも、NYダウの下値は堅かった。

【前回は】相場展望11月15日 米国では、『インフレの高まりが、政治問題化』 物価上昇を転嫁できない日本企業に業績懸念?

 2)11/16、NYダウ+54ドル高、36,142ドル(日経新聞より抜粋
  ・米10月小売売上高が市場予想を上回り、消費が景気回復を後押しするとの見方につながった。
  ・ホームセンターのホーム・デポの8~10月期決算が市場予想を上回る増収増益で大幅高になり1銘柄で、NYダウを+139ドル押し上げた。
  ・Gサックスは11/16、SP500が2022年末に5,100まで上昇するとのリポートを公表した。11/16終値を+8%上回る。企業業績の伸びに加え、名目金利から期待インフレ率を引いた実質金利のマイナスが続き、株式に資金が流れやすい状況が続くと説明した。
  ・NYダウは、前日大幅高のボーイングが売られ、上値が重くなった。ハイテク株が多いナスダック総合は、アップル、AMDなどが買われ反発した。

 3)11/17、NYダウ▲211ドル安、35,931ドル(日経新聞より抜粋
  ・前日は市場予想を上回る10月小売売上高や米企業の好決算などを材料に過去最高値に近づいたが、11/17は目先の利益確定売りが優勢だった。
  ・クレジットカードのビザが大幅安となったこともNYダウを下押しした。ビザは、アマゾンが来年1月から英国サイトで利用停止すると伝わり、嫌気された。ビザは▲5%安となり、1銘柄でNYダウを▲70ドル近く押し下げた。
  ・長期金利の上昇が一服し、利ザヤ改善期待の後退で金融株が売られた。反面、販売好調の観測が出たアップル、投資判断引上げのボーイングは買われた。

●2.米国株の注目は、決算ラリー⇒債務上限・予算切れ・インフレ対策へ

 1)7~9月期決算発表ラリー終了

 2)今後の注目イベント
  (1)債務上限問題が12/3期限到来、民主党・共和党のバトル再開
  (2)暫定的な政府予算の期限切れを12月に迎え、政治面での動きに注目
  (3)物価・賃金上昇によるインフレ圧力を受けた長期金利の上昇リスク

 3)例年なら株価は堅調に推移する可能性が高かったが、今年は上記の事由の動向に影響を受ける可能性に、注目したい。
  ・イエレン米財務長官は、最近、(1)(2)について早期妥結が必要と訴えている。
  ・(3)については、FRBの「インフレは一過性」スタンスに対して、市場では疑問を呈する意見が増えてきている。
  ・物価と賃金の上昇で、長期金利上昇への懸念が高まりつつあり、インフレ対策を求める声が高まり始めている。庶民の生活感として、賃金は上昇しているが、それ以上に物価が高くなっており、インフレで生活困窮が増している現状のリポートが多く寄せられるようになった。
  ・バイデン大統領の支持率低下の要因は、
   国民が要求するインフレ対策(物価対策)
   アフガン撤退の不手際
  に対する不満が表れたと予測されている。この国民の不満を受けて、野党・共和党はバイデン民主党政権を攻撃してくると思われる。バイデン政権にとって、来年の中間選挙をにらんでも、『インフレ対策』は待ったなしの政治問題化したと言える。
  ・米連邦準備制度理事会(FRB)議長の任期が来年2月に迫っており、次期FRB議長の人選においては「インフレ対策」の側面からも検討されると思われる。なお、イエレン財務長官はパウエル現議長の再任に賛成しているが、民主党左派を代表するウォーレン上院議員は一貫して反対し交替を求めている。

●3.サマーズ氏が警告、インフレ対策失敗がトランプ氏の帰り咲きをもたらす(ブルームバーグより抜粋

 1)サマーズ元米財務長官は11/15、過度なインフレへの対処に失敗すれば、トランプ前米大統領の帰り咲きをもたらす可能性があると警告した。

 2)バイデン政権には、米連邦準備制度理事会(FRB)のFRB議長人事に対してインフレ抑制という課題で選任し、インフレ抑制が金融政策全般に反映されるべき、と述べた。

 3)インフレ対策として、
  (1)関税引き下げ
  (2)FRBの資産購入のテーパリング(段階的縮小)を加速する
  ように促した。

●4.ゴールドマン・サックスは、SP500の2022年末想定5,100、上昇鈍化  (ロイターより抜粋

 1)理由は、(1)経済成長の鈍化 (2)FRBの金融引き締め (3)実質利回りの上昇 が来年のリターンを+9%と、2021年初来+25%リターンからの低下を見込んだ。

●5.モルガン・スタンレーは、SP500の2022年目標を▲5%下落した4,400を予想(ロイター)

 1)下落理由は、
  (1)金利が上昇して、株式市場がより不安定になる。
  (2)米企業の1株当たりの利益成長の鈍化
  (3)海外企業と比較して割高感

●6.ソロス・ファンドは、不動産と金融株の投資拡大、米国株式は減少 (ブルームバーグより抜粋

 1)7~9月期に不動産と金融株への投資を増やした。一方、米国株式資産の価値は9月末時点で49.6億ドル(約5,654億円)と、前期から▲2.05億ドル(約234億円)減少した。

●7.セントルイス連銀ブラード総裁は、テーパリングの加速を推奨(フィスコ)

 1)経済次第だが、2022年に2回の利上げを予想しているとした。

 2)テーパリング終了を待たずに利上げも可能だと指摘した。

●8.仮想通貨が11/16に大きく売られ、ビットコインは6万ドル割れ (ブルームバーグ)

 1)バイデン政権のインフラ投資法案の成立で暗号通貨資産を巡る税務報告義務が生じることや、中国がマイニングを一掃するとしたことが背景となっている模様。

●9.米10月小売売上高は前月比+1.7%増、市場予想+1.5%を上回る(ブルームバーグ)

 1)数十年ぶりのインフレ高進となる中でも、堅調な個人消費が続いていることを示す。

●10.米10月鉱工業生産は前月比+1.6%、予想+0.8%・9月▲1.3%を上回る(フィスコ)

●11.米10月設備稼働率76.4%、予想75.9%・9月75.2%を上回る(フィスコ)

 1)パンデミック前の水準を回復した。

●12.米11月NAHB住宅市場指数83、予想80・9月80を上回る(フィスコ)

●13.欧州

 1)デギンドスECB(欧州中央銀行)副総裁、「インフレに注意、警戒が必要」(ロイター)
  ・エネルギー価格の上昇が続いた場合、賃金の上昇圧力につながり、物価上昇に広がる可能性があるので、ECBはインフレに注意を払い、警戒する必要がある。
  ・「賃金・物価スパイラルの回避が非常に重要だ」と強調した。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)11/15、上海総合▲5安、3,533(亜州リサーチより抜粋
  ・米中首脳オンライン会談11/16を前に、米中関係改善への期待から買いが入る場面も見られたが、前週末に2週間ぶりの高値をつけていたこともあり、次第に利益確定の売りに押された。
  ・不動産業界を巡る懸念材料も浮上。
  ・中国国家統計局発表によると、中国の主要70都市のうち、今年10月に前月比で新築住宅価格が下落した地域は52都市まで拡大し、前月の36都市から増加。
  ・鉱工業生産は+3.5%増、小売売上高+4.9%増がし市場予想を上回った。反面、1~10月の都市部固定資産投資+6.1%増は市場予想を下回った。
  ・業種別では、化学・非鉄が安く、電子部品・農林・水産・航空機も売られた。反面、ホテル・観光・食品・医療器械は高かった。

 2)11/16、上海総合▲11安、3,521(亜州リサーチより抜粋
  ・中国景気の先行き不安がくすぶる流れとなった。
  ・不動産業の落ち込みが鮮明化する中、11/15公表の不動産関連の指標が軒並み低迷したことから、経済全体に対する悪影響が懸念された。
  ・米中首脳のオンライン会談が波乱なく終了し、両国関係の改善期待が強まる中で買われる場面が見られたものの、上値は重く、株価指数は中盤から再びマイナスに転じた。
  ・業種別では、景気動向に敏感な資源・素材株が下げを主導し、不動産株も冴えず。反面、医薬品株、海運・保険・食品飲料株が買われた。

 3)11/17、上海総合+15高、3,537(亜州リサーチ
  ・対外関係の改善期待が強まる流れとなった。王岐山・副主席は11/17のフォーラムで、「世界から孤立した状態で、中国の発展はあり得ない」と発言し、世界経済成長のために各国と協力することや、外国からの投資開放を進める考えを示した。
  ・前日にはバイデン米大統領と習近平・国家主席がオンライン会議した。台湾問題などで応酬はあったものの、偶発的な衝突を回避し、対話を継続する必要性の認識で一致した。
  ・業種別では、素材・エネルギーが高く、重電・自動車・ハイテクが買われた。反面、小売・家電・食品・金融・運輸・医薬品が売られた。

●2.中国10月小売売上高が前年比+4.9%増も、本格回復には至らず(読売新聞より抜粋

 1)伸び率は前年同月比+4.9%増で市場予想を上回ったが、9月+4.4%増からやや改善したものの、新型コロナの感染再拡大による厳格な行動制限が足を引っ張り、本格回復に至っていない。

 2)生産動向を示す鉱工業生産は+3.5%増と、9月+23.1%を下回った。半導体などの供給不足で減産が続く主力の自動車では減産幅が縮小した。原材料価格の高騰や電力供給制限が重なり、粗鋼やセメントなど幅広い産業で減少続く。

 3)投資動向を示し固定資産投資は1~10月累計で、前年同期比+6.1%増だった。1~9月の+7.3%増から伸びが縮小した。不動産大手・中国恒大集団の経営危機をきっかけに不動産開発に急ブレーキがかかった。インフラ(社会基盤)投資も低迷した。

●3.中国商務省11/15発表、1~10月の外資導入額は前年同期比+17.8%増(新華社)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)11/15、日経平均+166円高、29,776円(日経新聞より抜粋
  ・主要企業の決算発表がほぼ一巡し、好決算銘柄への物色が相場を支えた。
  ・前週末の米株式相場の上昇も支援材料となった。
  ・ハイテク・自動車株の上昇が目立ち、日経平均の上げ幅は一時+250円を超えた。
  ・国内総生産(GDP)の7~9月期は物価変動の影響を除く実質で前期比・年率換算▲3.0%減だった。市場予想▲0.7%減を下回る悪化をしたが、相場の反応は限られた。
  ・市場では、緊急事態宣言が解除され、個人消費の反動増から内需企業の収益が持ち直し、業績相場の色彩が強まるとの、指摘があった。
  ・買い一巡後は心理的節目の3万円を前に利益確定売りや戻り待ちの売りが出た。

 2)11/16、日経平均+31円高、29,808円(日経新聞より抜粋
  ・小幅上昇し、4日連続続伸した。9/28以来、約1カ月半ぶりの高水準となった。
  ・金利上昇が追い風となる保険株、景気敏感な自動車株などの上昇が相場を支えた。反面、節目の3万円近辺では主力銘柄に目先の利益確定売りが出て、相場の上値を抑えた。

 3)11/17、日経平均▲119円安、29,688円(日経新聞より抜粋
  ・前日までに+700円ほど上昇した後とあって、心理的な節目の3万円が意識され幅広い銘柄に利益確定売りや戻り待ちの売りが出た。
  ・為替市場で4年8カ月ぶりの円安・ドル高が進み、原材料の輸入コスト上昇が企業業績を下押すとの懸念から鉄鋼・ガラス土石・パルプ・紙・空運に売りにつながったことが重荷になった。
  ・9月機械受注統計は予想を下回ったため、機械など設備投資関連の一部が下げた。
  ・香港ハンセン指数が軟調に推移したことも、国内投資家心理を冷やした。

●2.日本株は、決算シーズン⇒外人の買い仕掛け不発? 個別物色の流れへ

 1)9月期決算発表シーズンは11/15でほぼ終了。
 
 2)外国人投資家のソシエテは11/17に株式先物で買い仕掛けしたが失敗した。外国人投資家ソシエテとアムロは11/17に猛然と先物の買い仕掛けをしてきたが、野村が大量の先物売りで応じた。
    11/17 ソシエテ +9,318枚買い : 野村  ▲9,133枚売り
        アムロ  +2,993枚買い : みずほ ▲1,333枚売り

 3)本日11/18は、昨日の外国人・ソシエテは買い仕掛け失敗の巻き返しをするのか、撤退するのかに注目したい。なお、アムロは超短期筋のため、今日はドテン売りの可能性がある。

 4)最近の好決算発表で日経平均は30,000円に接近するところまで上昇していた。ところが、決算発表終盤11/11以降は、日経平均は上昇しても、「値上がり銘柄数よりも、値下がり銘柄数の方が多い」という現象が表れた。

 5)個別銘柄のチャートを見ても、ダブルトップを形成したかと思われる動きが散見されるため、注意深く今後の株価の動きを見たい。

●3.政府は、補正予算で蓄電池工場建設に1,000億円規模の補助金 (時事通信)

●4.内閣府発表のGDP、民間予測より大幅に悪化、宣言が長引き旅行や宿泊が低迷(朝日新聞)

 1)内閣府発表の7~9月期実質GDPは▲3.0%と、民間エコノミスト37人平均▲0.56%から大幅に悪かった。

 2)デルタ株が猛威を振るい、夏休みの旅行・飲食が低迷、東京オリパラも無観客。夏の気温低下でエアコン販売不振、自動車生産不振、設備投資も年率▲14.4%減。

●5.英政府、米エヌビディアの英アーム買収を巡り6カ月にわたり詳細調査命令(ロイターより抜粋

 1)英国政府は、米国・中国・EUとともに、アーム買収が競争や国家安全保障に与える影響を長期にわたり調査するとした。

 2)買収計画に新たなハードルが生じたことになった。
   3)エヌビディアは2020年9月、ソフトバンクGからアームを買収することで合意。

●6.企業動向

 1)村田製作所 タイに積層セラミックコンデンサー生産で投資 (時事通信)
 2)村田製作所 工場再エネ化などに令和6年度までに投資2,300億円(産経新聞)
 3)アオハタ  家庭用ジャム、ホイップ・スプレッドを9年ぶり値上げ(IT media)
       値上げ要因は、ジャム類の果実原料、食用油の価格高騰、物流費上昇
 4)ソフトバンクG 傘下の米投資ファンドが、アコーディア・ゴルフを買収(共同通信)
           アコーディアは全国約170カ所のゴルフ場を運営している

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・7912 大日本印刷   業績堅調。半導体関連に期待。
 ・4552 JCRファーマ  業績好調。
 ・4004 昭和電工    業績回復。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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