相場展望5月3日 米FRBのテーパリングは『悪性インフレの芽を摘む』効果 ⇒ 株価的にはリスク 米バフェット氏、『株式に慎重姿勢』で現金保有増やす

2021年5月3日 09:27

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)4/29、NYダウ+239ドル高、34,060ドル
  ・バイデン大統領は4/28、施政方針演説で、インフラ投資計画や教育などを支援する「米国家族計画」の必要性を訴えた。大型の財政支出が米景気の回復を牽引すると改めて意識させた。
  ・米新規失業保険申請件数が減少し労働市場の改善が続いており、米GDP1~3月期が+6.4%増加したことも、投資家心理を上向かせた。
  ・マクドナルドの売上がコロナ禍の水準に戻り株価は上昇した。

【前回は】相場展望4月28日 好決算でも売られる銘柄が相次ぎ、膠着感が強い展開に

 2)4/30、NYダウ▲185ドル、33,874ドル(日経新聞)
  ・中国で製造業の景況感が鈍化し、市場心理を冷やした。
  ・半導体不足や新興国での新型コロナの蔓延などが世界経済の重荷になるとの懸念が強まり、景気敏感株を中心に売りが優勢となった。

●2.米FRBのテーパリングは『悪性インフレの芽を摘む』効果が期待できる ⇒ 株価には注意

 1)米市場公開委員会(FOMC)決定、『金融政策は変更無く継続』 
  ・2022年末まではテーパリング(金融緩和の代官的縮小)に着手しない。
  ・利上げは2023年終盤まで実施しない。

 2)FRB・ECB・日銀の中央銀行の金融緩和策継続に対するリップサービスが際立つ

 3)市場の見方は、『懐疑的』
  ・期待インフレ率(BEI)は8年ぶり高水準の2.43%に上昇。
   ⇒ 世界経済のエンジンである米国と中国の需要拡大で商品指数(CRB)は上昇。4兆ドル規模の財政支出があれば、需要超過になり、インフレ率上昇は必然的。
  ・米1~3月期経済成長率は+6.4%と市場予想を上回った。
  ・米消費者信頼感指数は14カ月ぶりの高水準となった。
  ・雇用は順調に改善、課題のサービス部門雇用はワクチン接種率上昇で急回復を予想。
   ⇒ 米金融政策『米雇用と米経済成長(GDP)の急回復するまで金融政策は変更しない』という根拠は、2021年夏ごろにはクリアできそう。
   ⇒ テーパリングの実施条件を満たす。
   ⇒ むしろ、テ―パリングすることで、『悪性インフレの芽を摘む』必然性が高まる可能性がある。

 4)株価変動には警戒
  ・株価的には、テーパリング(金融緩和の段階的縮小)は高株価を牽引してきた重要事項が転換するだけに注視したい。

●3.バフェット氏は、『株式に慎重姿勢』で『株売り・現金保有増やす』(ブルームバーグより抜粋

 1)バフェット氏の投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは5/1の当局への届け出で明らかにした。
  ・届け出の要旨
   (1)同社の株式売り越し額を、~3月(第1四半期)に増加させ、約5年で2番目の高水準に達するとともに、
   (2)自社株買ペースを鈍らせた。

 2)これは最高経営責任者(CEO)である、ウオ-レン・バフェット氏が、株式対して慎重な見方を強めていることを示しており、同社の現金保有額は1~3月期末時点で前期末比+5.2%増え、過去最高に近い1,454億ドル(約15兆8,900億円)となった。

 3)バークシャー社の2,820億ドル規模の株式ポートフォリオを反映する純損益は1~3月に+117億ドル(約1兆2,870億円)の黒字。新型コロナの世界的流行で株価が下落した前年同期は▲497億ドル(▲5兆4,670億円)の赤字だった。

 4)その他
  ・バフェット氏は、「SPAC(特別買収目的会社)はキラー(破壊的)」として、『株式市場のカジノ化』を警告している。

●4.米GDPの1~3月期は年率+6.4%増、個人消費は+10.7%増(読売新聞より抜粋

 1)商務省が4/29発表した、2021年1~3月期の、実質国内総生産(GDP)は、年率換算で前期比+6.4%増だった。
  ・バイデン政権の大型財政出動や、新型コロナウイルスにワクチン接種の進展で、3四半期連続のプラス成長になった。
  ・米経済は過熱感への警戒も出ている。
  ・実質GDPの実額は年率換算で約19兆ドル(約2,000兆円)と、コロナ禍前の2019年10~12月期の約99%の水準まで回復した。

 2)GDPの約7割を占める個人消費は+10.7%増だった。
  ・3月中旬から8割超の世帯を対象にした1人当たり最大1,400ドル(約15万円)の現金給付が始まり、3月の小売売上高は前月から+9.8%も上昇した。

 3)製造業も、世界的な半導体不足などの逆風のなか、回復傾向をたどる。
  ・全米供給管理協会(ISM)が集計した3月の製造業景況指数は、37年ぶりの高水準となった。

 4)過熱懸念
  ・バイデン政権は、インフラ投資や育児・教育支援拡大など総額4兆ドル規模の成長戦略を提案している。
  ・相次ぐ大型財政出動には「景気が過熱し、高インフレを招きかねない」との声もある。
  ・財政出動と金融緩和で景気が刺激され、金利上昇に弾みが付けば、ドル高が進み、新興国から資金流出など世界の金融市場の波乱要因になりかねない。

●5.テーパリング(金融緩和の段階的縮小)の議論が高まる可能性

 1)カプラン米ダラス連銀総裁が4/30、テーパリング協議に前向き発言(フィスコ)
  ・株式市場の高水準、住宅市場の歴史的好況など、米国の金融市場に行き過ぎや不均衡が認められるとしたうえで、量的緩和の段階的縮小を議論するのが適当との判断を示した。(ロイター)

●6.米4月ミシンガン大学信頼感指数は88.3と、予想87.5を超え昨年3月以降で最高(フィスコ)

●7.米雇用コストは、1~3月期+0.9%上昇と予想+0.7%を上回る伸びに加速(ロイター)

 1)賃金の伸びが加速し、今年の物価上昇率が高まることを示す。

●8.米3月コア個人消費支出(PCE)は前年比+1.8%と、2月+1.4%から拡大(フィスコ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)4/29、上海総合指数+17高、3,474(亜州リサーチ)
  ・先週の好地合いを継ぐ流れ。
  ・ただ、中国と西側諸国との対立が警戒され、上値は重かった。

 2)4/30、上海総合指数▲28安、3,446(亜州リサーチ)
  ・中国の経済指標が下振れしたことが相場の重石となった。4月中国製造PMIは51.1にとどまり、市場予想51.8や3月実績51.9から低下した。
  ・メーデーの大型連休がスタートすることも買い手控え要因として意識された。

●2.世界銀行(IMF)は、中国GDP成長率を2021年+8.1%に急上昇と報告(亜州リサーチ)

●3.中国4月製造業PMIは51.1と14カ月連続で好況を維持(新華社)

 1)中国4月製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.1と、前月より▲0.8下落した。
  ・予想値51.8を下回り、回復ペースの鈍化を示唆。(ブルームバーグ)

 2)非製造業ビジネス指数は54.9と好調だが、前月より▲1.4%下落した。(新華社)
  ・予想の56.1を下回り、軟化を示唆。 (ブルームバーグ)

●4.中国政府は、テンセントなどフィンテック13社に規制順守を指導(ロイター)

●5.中国当局は、トヨタと滴滴出行に合弁会社設立で独禁法違反と各50万元の罰金(時事通信より抜粋

 1)トヨタと滴滴出行は2019年に合弁会社を設立した際に、事前届け出を行なっておらず、独禁法の企業結合の規定に違反したと認定された。競争の排除や制限は無かったという。

 2)ソフトバンクに対しても3月に、滴滴出行との合弁会社設立で同額50万元(約840万円)の罰金を課している。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)4/30、日経平均▲241円安、28,812円
  ・中国景気の回復鈍化や半導体不足を懸念し、電機や自動車が安い。(ブルームバーグより抜粋
  ・決算発表前後にソニーやTDKなど値嵩株の下落が目立った。
  ・日本株は4月に入って、積極的に売られるというよりは、買い手不在で軟調。
  ・緊急事態宣言の発出後も人出が減っていないとの報道もあり、感染動向の先行きを懸念する声が多い。
  ・緊急事態宣言が予定通り解除され、ワクチン接種が進むなどの改善が無ければ、日本株式は足踏み状態が続くとみている。

●2.日経平均とNYダウの4月相関は、乖離幅拡大

 1)NYダウ  3/31 32,981ドル ⇒ 4/30 33,874ドル 上昇率+2.71%
  日経平均  3/31 29,178円  ⇒ 4/30 28,812円  下落率▲1.25%

●3.決算発表以後の株価反応

 1)市場予想より良かった銘柄が買われて上昇、予想に対し冴えない銘柄は売られる展開。

●4.企業動向

 1)パナソニック  中小型テレビの生産を中国企業に委託へ(共同通信)
 2)JTB      政策投資銀行にコロナで財務悪化のため資本支援の要請(朝日新聞)
 3)トヨタ・ダイハツ・スズキ  小型電気自動車(EV)で共同開発(共同通信)
   EV化は、(1)ホンダ=GMが提携、(2)日産=三菱自が連合で開発を進める。

●5.企業業績

 1)ANA  21/3月期純損益▲4,046億円の過去最大の赤字、来期は黒字化(日テレ)
 2)デンソー    売上高     営業利益  当期利益
          21/3月期  4兆9,367億円 1,551億円 1,251億円
          22/3月期  5兆4,600   4,130    3,170

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします) Ⅳ.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・7747 朝日インテック  米国のワクチン接種進展で手術件数回復期待。
 ・6981 村田製作所    アップル5Gスマホに期待。
 ・2802 味の素      業績堅調。割安感。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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