相場展望2月1日号 外国人投資家の相場操縦で、買いに誘われた個人信用投資家がハシゴ外され損失を抱え込む展開

2021年2月1日 09:20

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)1/28、NYダウ+300ドル高、30,603ドル
  ・前日の▲633ドル安と今年最大の下落となった反動もあり、自立反発狙いの買いも入って一時+600ドル超まで上昇しほぼ全値戻しをしたが、その後、売られ前日の下げ幅の半値戻しまで縮小した。
  ・金利上昇で金融株が買われ、好決算ながら材料出尽くしでアップルが下がった。

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 2)1/29、NYダウ▲620ドル安、29,982ドル
  ・NYダウが3万ドルを下回ったのは1カ月半ぶり。
  ・米新興証券のロビンフッドが価格変動の大きい銘柄にたいする取引制限を緩和し、個人投資家による投機的な取引が市場混乱を招くとの警戒感から、幅広い銘柄で売り優勢となり、一時▲700ドル超の下げ幅となった。(日経新聞)

●2.米国株が反落しSP500は週間で10月来の大幅安とマイナスで、懸念が続く(ブルームバーグ)

 1)1/29の米株式市場は大幅反落。
  一部の個人投資家による取引が株式市場に大混乱を引き起こしているとの懸念が続く中あらゆる業種が広範に売られた。
 2)新型コロナアクチンの接種見通しが不透明なことも意識された。
  中でも、J&Jの有効性は66%と低く、南アフリカ変異株に対する有効性も比較的低かった。(ブルームバーグ)

●3.恐怖指数(VIX)は30ポイントを超えており、注意が必要

 1)恐怖指数(VIX)の推移
  1/21  1/22  1/25  1/26  1/27  1/28  1/29  
  VIX指数 21.3  21.9  23.2  23.0  37.2  30.2  33.1
  NYダウ ▲12  ▲179  ▲36  ▲22  ▲633  +300  ▲620 (単位:ドル)

 2)なお、不安心理が高まりとされる20ポイントを上回り続け、さらに30を超えたので、注意が必要な状態が継続している。

●4.米10~12月期のGDPは前年同期比+4.0%と、予想+4.2%を下回った(フィスコ)

●5.投機化した米国株式市場の実例と悪影響

 1)中小型株で、空売り残高が多い銘柄に対して、個人投資家がSNSを通じて集団で買い仕掛けを行って、売り方の買い戻しを狙う手法で企業業績実態とかけ離れた株価まで上げさせて利益を得るやり方が横行している。

 2)実例の1つに、ゲームストップ株、AMCエンターテイメント株がある。
  ・ゲームストップは、新興証券のロビンフッドが取引制限を出した1/28に▲40%下落、1/29には取引制限緩和したことで個人投資家の買いが活発化し+68%高となった。

 3)証券取引委員会(SEC)は「株価の極端な乱高下(ボタティリティ)は投資家に急速かつ深刻な損失をもたらし、市場の信頼を損なう可能性がある」とした。(ロイター)

 4)ヘッジファンド(HF)が空売りして数十億ドルの損失を穴埋めするため、保有する優良銘柄の一部売却に動く中、アップルやマイクロソフトが売られ下落した。(ロイター)

 5)今回の空売りで損失計上したヘッジファンドによる、損失補填のための優良株銘柄の益出し売却による混乱が株式市場全体に広がる恐れがあると指摘されている。(朝日新聞)

 6)ロビンフッドは1/30、購入制限銘柄リスト更新し、50銘柄に対象拡大(ブルームバーグ)

 7)今後、警戒すべき事項は、(1)乱高下を引き起こした個人投資家の株式投資からの離散と (2)政府による証券市場への規制強化である。その動向によって、株高の流れに大きな変化を起こさせる可能性がある。

●6.米企業の決算発表は好成績

 1)調査会社リフィニティブによると、1/29までに10~12月期決算発表したSP500企業184社のうち、利益がアナリスト予想を上回った企業の割合は84.2%と、過去四半期の平均75.5%を上回っている。(ロイター)

●7.米新規失業保険申請件数84.7万件と、予想87.5万件・前週の91.4万件から改善(ロイター)

●8.米2020年GDPは前年比▲3.5%と74年ぶりの低水準に(NHK)

●9.企業業績

 1)フェイスブック 10~12月期決算は、純利益が前年同期比+53%増の112.2億ドル(共同)
 2)テスラ     2020年12月年間決算で初の黒字+750億円、EV好調 (共同通信)
          販売台数は2019年比+36%増の約50万台と目標通り。
 3)米航空3社   2020年度決算で純損失合計は▲283.4億ドル(約3兆円)(共同通信)
 4)マクドナルド  10~12月期決算は欧州の都市封鎖響き予想下回る(ロイター)
          純利益は13.8億ドルの黒字。

●10.欧州関連

 1)独コメルツ銀行 独国内の支店4割閉鎖し、人員削減1万人を提案(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)1/28、上海総合指数▲58安、3,505
  ・中国人民銀行(中央銀行)の4日連続の資金吸収を嫌気した流れがあり、1/28は昨年10月以来の大きさとなる1,500億元だった。
  ・人民銀行の高官は「不動産や株式の分野でバブルが生じつつある」とコメント。当局が抑制に本腰を入れていると警戒された。
  ・本土株売買は2日続けて売り越し、資金流出も懸念された。(亜州リサーチ)

 2)1/29、上海総合指数▲22安、3,483
  ・買い先行後に売られる流れ。
  ・中国人民銀行(中央銀行)は1/29に市場に資金供給を行ったものの、春節(旧正月2月12日)を前にして4日連続の資金吸収は異例で、資金逼迫が警戒された。
  ・国家統計局による1月中国製造業PMIの公表を1/31に控え、模様眺めのスタンスも漂った。                        
  ・航空機製造関連の下落が目立ったが、観光・酒造はしっかり。(亜州リサーチ)

●2.中国の短期金利が4日連続で上昇、春節前の資金需要と金融政策が引締め転換で(ロイター)

 1)短期金利は一時3.0435%と上昇し、中国人民銀行が定める金利上限に近づいた。

●3.中国政府は今年度の成長目標設定見送る可能性、地方政府の債務を懸念して(ロイター)

●4.香港GDP、2020年は政治混乱に加えコロナ禍で過去最悪の▲6.1%減少(ブルームバーグ)

●5.中国の短編動画アプリ運営の快手科技は香港市場で420億ドル(約5,670億円)規模のIPOを実施した。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)1/28、日経平均▲437円安、28,197円
  ・NYダウやナスダックの今年最大の下落を受け、値嵩株のハイテク株を中心に売られた。
  ・日経平均は一時▲650円超の下げ幅を記録したが、その後、押し目買いもあり下げ渋った。

 2)1/29、日経平均▲534円安、27,663円
  ・前日の大幅下落の反動高と、好決算銘柄の買いで一時+100円超の上昇となったが、米国株先物の下落に引きずられて、リスク回避が高まり、幅広く大幅下落した。

●2.日経平均分析: 

 外国人投資家に相場操縦され上昇した日経平均を見て、個人信用投資家が買いに誘い出されて滅多切りされ損失を抱え込む展開へ
 1)外国人投資家の売買シェアは、1月3週に66.1%を占め圧倒的な市場支配力を保持している。それに対し、個人信用投資家は1月3週で16.9%。

 2)外資による相場操縦1月2~3週は仕掛けの時 現物株を買って日経平均を上昇させ、片やリスク回避で先物を売るという手法を取った。
  ・買いの現物は日経平均寄与度の高い値嵩株(ファーストリテイ、ソフトバンクG、東京エレク等)に的を絞って買い上がった。
  ・それにより、空売りしていた投資家は踏み上げられて、買い戻しを急いだため、株価がさらに舞い上がった。
  ・それを見た個人信用投資家が好機とし買いに参入した。

 3)頃合いを見て外資投資家は、1月3週から先物と現物を売り浴びせ、売り転換した。

 4)1月4週、米NYダウの弱気模様を見た外国人投資家は売りを加速させた。

 5)騙されたと知った個人信用投資家は急いで売りに転じ株式市場からの撤退を急いだ。それが1/28、1/29の出来高急増と大幅下落につながったと推測する。

●3.先物外国人投資家動向

 1)外国人先物残高で見る、長らく25万枚台の買い越しを維持してきたが、1/29に24万枚台にレンジを下げた模様。
  ⇒ Cスイスは残高ベースで買い越しをしてきたが、1/29にはマイナス残高となった。
  ⇒ 外国人投資家は本格的な売り転換始まりの兆候か?

●4.企業動向

 1)昭和電工   アルミ事業を売却し、化学品に集中(時事通信)
 2)オリンパス  オランダの医療機器メーカーを買収し、完全子会社化へ(ロイター)
 3)トヨタ    2020年の世界販売台数で5年ぶりトップ(東海テレビ)
 4)マツダ    国内で初めての量産EV(電気自動車)販売開始(毎日新聞)

●5.企業業績

 1)オリエンタルランド 4~12月決算はコロン影響で最終損益▲287億円の赤字(FNN)
 2)ノジマ       4~12月期決算は巣ごもり需要で白物家電が拡大し純利益2.27倍438億円と過去最高益(神奈川新聞)
 3)カプコン      4~12月期決算は巣ごもり需要で純利益175億円過去最高(NHK)
 4)JR東日本      2021年3月期業績予想を下方修正し純損失▲4,500億円(共同通信)
 5)ANA        4~12月期決算は過去最大の純損失▲3,095億円(朝日新聞)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6289 技研製作所  事業を世界に拡大し業績絶好調。
 ・4182 三菱ガス   業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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